精神疾患はカテゴリー化されている?カテゴリーごとの疾患の特徴
精神疾患は、うつ病、アルツハイマー病、アルコール依存症などさまざまなものがあります。
疾患数が多く、原因や症状によって判断をしなければならないため、医師が診断をするのに時間がかかってしまいます。
今回の記事では、代表的な精神疾患とそのカテゴリーについて紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでいってください。
精神疾患はICD-10でカテゴリー化されている
ICD-10とは
世界保健機関(WHO)は、『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)という国際的な疾病の診断基準を定めており、医師が精神疾患の診断をする際の参考に活用されています。
ICD-10は精神疾患だけでなく、あらゆる疾病の診断基準を定めていることが特徴です。診断基準は疾病ごとに細かく分類されており、14,609項目が基本分類表に記載されています。
今回はここでは、ICD-10の「第5章 精神及び行動の障害(F00-F99)」について代表的な障害について解説していきます。
代表的な精神障害のカテゴリー一覧
症状性を含む器質性精神障害
F1
タバコ、酒、薬物等の使用による精神障害
F2
統合失調症や統合失調症型障害、妄想性障害
F3
気分、感情に関わる障害
F0の器質性精神障害には、アルツハイマー病、血管性認知症、脳の損傷及び機能不全による精神障害などがあります。
F1の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害には、アルコール使用障害、アヘン類使用障害、大麻類使用障害などがあります。
F2の統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害には、統合失調症、統合失調症型障害、妄想性障害などがあります。
F3の気分障害には、躁病、うつ病、双極性障害などがあります。下記でさらに詳しく見ていきましょう。
精神疾患に該当する病気の代表例
カテゴリー | 病名例 | 症状 |
---|---|---|
F0 |
アルツ ハイマー病 |
物忘れ 作業能力 喪失 |
F1 |
アルコール 依存症 |
アル コール 依存 幻覚、妄想 飲酒中の 記憶喪失 |
F2 |
統合 失調症 |
幻覚や 妄想 |
F3 |
うつ病 | 気分の 落ち込み 身体の だるさ |
上記はICD-10のカテゴリーごとの代表的な精神疾患を掲載しています。カテゴリーF0の代表的な精神疾患はアルツハイマー病で、アルツハイマー型認知症などが該当します。
カテゴリーF1の代表的な精神疾患はアルコール依存症、カテゴリーF2は統合失調症、カテゴリーF3はうつ病であり、それぞれの精神疾患の概要は次の通りです。
F0例:アルツハイマー病
アルツハイマー病は脳の萎縮が原因で、物事を認識したり記憶する認知力が障害を受け、物忘れがひどくなったり、時間や場所などを正確に把握することが困難になってきます。
アルツハイマー病による認知症は「アルツハイマー型認知症」といい、加齢によって症状が発現して徐々に進行しますが、薬物療法で症状の進行をある程度抑制できます。
F0は「症状性を含む器質性精神障害」の精神疾患のカテゴリーであり、このカテゴリーの代表的な精神疾患として高齢者に多いアルツハイマー病が挙げられます。
F1例:アルコール依存症
アルコール依存症は、日常的に多量飲酒をすることで節度のある飲酒ができなくなってしまい、家族や仕事よりも飲酒を優先させることで生活が破綻することもあります。
アルコール依存症になると、うつ状態や不安感、睡眠障害などの離脱症状(禁断症状)が現れ、重症になった場合一過性の幻聴やけいれんなどの症状も出てくる恐れがあります。
F1は「タバコ、酒、薬物等による症状」の精神疾患のカテゴリーであり、このカテゴリーの代表的な精神疾患としてアルコール依存症が挙げられます。
F2例:統合失調症
統合失調症の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、脳の機能障害が原因であると考えられており、思考の脈絡の乱れや幻聴、妄想などの症状が現れます。
統合失調症は幻聴や幻覚などの妄想系の症状が出ることが特徴ですが、人によって出現する症状はさまざまであり、意欲の減退や閉じこもりなどの症状が出る場合もあります。
F2は「妄想系の症状」の精神疾患のカテゴリーであり、このカテゴリーの代表的な精神疾患として、以前は精神分裂病と呼ばれていた統合失調症が挙げられます。
F3例:うつ病
・睡眠障害
・吐き気
・食欲減退
・疲労・倦怠感 など
うつ病の心の症状
・意欲の低下
・何をしても気分が晴れない など
うつ病は、憂うつな気分や気分の落ち込みなどの「抑うつ状態」が長く続き、物事に対する意欲がなくなったり、眠れなくなったり、死にたいと思うようになったりします。
うつ病は気分や感情に関わる症状だけでなく、食欲不振や胃の不快感、頭痛、便秘などの身体的症状が出ることもあり、身体的症状が出ている場合は心療内科で治療できます。
F3は「気分、感情に関わる症状」の精神疾患のカテゴリーであり、このカテゴリーの代表的な精神疾患として、うつ病が挙げられます。
カテゴリーに該当しない精神疾患もある?
詳細不明の精神疾患とは?
カテゴリー | F99 |
---|---|
内容 | F0~F9に 該当しない 精神疾患 |
概要 | ・原因が多岐にわたる ・はっきりした原因が ない |
詳細不明の精神疾患は、ICD-10のカテゴリーでは「F99」のカテゴリーに分類され、F0~F9のいずれのカテゴリーにも該当しない精神疾患をいいます。
通常の場合、精神疾患はF0~F9のいずれかのカテゴリーに分類できますが、臨床的に診断を下すことが困難な場合や、情報が不十分な精神疾患は「F99」に分類されます。
ただし、「F99」のカテゴリーに分類される詳細不明の精神疾患は非常に少なく、F0~F9のいずれかのカテゴリーに分類されるケースがほとんどです。
精神疾患に心あたりのある方が相談できる場所は?
精神科・心療内科
精神疾患をお持ちの方は精神療法・薬物療法などの治療が必要であり、医療機関で治療をすることが大切です。
こころの不調・ストレス症状が長く続いたり、社会生活に支障が出たりする場合には、自己判断や我慢せずに受診してみましょう。
医療機関には、精神科・心療内科・精神神経科など、各科によって専門に診る病気が異なりますので、受診前に電話・メールなどで問い合わせすることをおすすめします。
また受診した際には症状を上手く伝えられないこともあり、日頃感じていること・症状について事前にメモしておくこともよいでしょう。
電話相談窓口
- よりそいホットライン
- こころの健康相談統一ダイヤル
「よりそいホットライン」や「こころの健康相談統一ダイヤル」などで精神的な悩みについて電話相談ができます。
「よりそいホットライン」では、対面相談にも対応してくれ、24時間の電話相談が可能。また他の機関への同行支援など、具体的な解決に向けて支援までを行っていることが大きな特徴です。
「こころの健康相談統一ダイヤル」は、各都道府県・政令指定都市に設置しており、最寄りの精神健康保険センターのスタッフが対応しています。
各窓口ともに幅広いこころの悩みについて対応しており、寄り添いながら自分にあった解決方法を一緒に探してくれます。
SNS専門相談窓口
- 生きづらびっと
- こころのほっとチャット
- チャイルドラインチャット相談
また電話相談以外にも、SNSやアプリを使用した相談窓口もおすすめです。
「電話では上手く伝えることができない」「口に出すのがつらい」など電話相談に抵抗がある人は、SNS専門相談をしてみてはいかがでしょうか。
顔を明かさず相談ができ、自分のタイミングで相談することができますよ。
なお「チャイルドラインチャット相談」は、18歳までの相談できる子供様の専門窓口です。大人と同じように1人の人間として尊重しながら、真剣に悩みを聞いてくれます。
公的機関に連絡する
- 保健センター
- 精神保健福祉センター
また公的機関である保健センター・精神保健福祉センターに連絡するのもよいでしょう。
保健センターでは年齢・性別に関わらずさまざまな健康の問題について対応をし、各市町村に設置されています。精神疾患だけでなく、生活習慣病・高齢者保健・ひきこもりなど生活に関わる幅広い相談が可能です。
一方、精神保健福祉センターは各都道府県に設置されており、こころの悩みについて相談することができます。
精神保健福祉センターには専門性のあるスタッフがそろっているのが特徴ですが、近くにない場合、まずは保健センターに相談してみてもよいでしょう。
精神科訪問看護を頼るという選択肢も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・規則正しい生活リズムへの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・病状や普段の様子を観察
・服薬の管理や受診の支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へ接し方のアドバイスや相談支援
・社会資源の活用などを支援
精神疾患をお持ちの方は、家族のサポートや安心できる環境作りが重要です。精神科訪問看護では安心して自宅療養できる環境を整え、再発を予防していきます。
服薬状況の確認や、生活の状況を関係機関や医師への連携を行ったり、本人の悩みを克服できるよう生活リズムを整える方法を一緒に見直していきます。
訪問してご本人様と面会ができない場合でも、ご希望があればご家族様からの相談を受けることも可能であったりと、それぞれの利用者様にあった看護を行います。
精神訪問看護ならシンプレ訪問看護ステーションにお任せください!
シンプレ訪問看護ステーションって?
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、自宅療養中の患者さんの自宅に、精神疾患に精通している看護師が定期的に訪問します。
ご利用者様の主治医や関係機関と連携を取り、ご利用者様が家庭や地域社会で安心して日常生活を送れるようしっかりとサポートを行い、ご家族の方への支援も行います。
シンプレ訪問看護ステーションには、精神疾患の専門知識や臨床での経験が豊富なスタッフが多数在籍しており、あらゆるカテゴリーの精神疾患に対応しています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションにおいては、東京都を拠点に訪問看護サービスを展開しております。
上記のエリア以外に自宅がある場合でも対応できる場合がありますので、まずはお気軽に電話や問い合わせフォームでお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
精神疾患は『DSM-5』や『ICD-10』でカテゴリー化されており、精神疾患のカテゴリーを知っておくことで精神疾患に対する理解が深まり、病院を選ぶ際などに役立ちます。
アルツハイマー病やアルコール依存症、統合失調症などの精神疾患は入院治療が必要なケースがありますが、退院後の自宅療養は精神科訪問看護の利用をおすすめします。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、あらゆるカテゴリーの精神疾患でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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