認知症と精神疾患の違いを徹底解説|症状の見分け方と正しいケア方法
加齢とともに記憶力の低下や物忘れが増えると、「もしかして認知症かも?」と不安に感じる方も多いでしょう。
しかし実際には、認知症とよく似た症状を示す精神疾患も存在します。
誤った自己判断で放置してしまうと、治療のタイミングを逃すこともあるため注意が必要です。
この記事では、「認知症」と「精神疾患」の違いや、見分けるためのポイントについて詳しく解説していきます。
認知症の症状に似た精神疾患とは?

そもそも認知症とは?基本をおさらい
認知症とは、脳の神経細胞が壊れたり減少したりすることで、記憶・判断・理解などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出る状態を指します。
原因はさまざまで、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの血管障害に伴って起こることもあれば、脳内に異常なタンパク質が蓄積することで進行するタイプもあります。
特に多いのがアルツハイマー型認知症で、日本の認知症患者の半数以上を占めるといわれています。
発症年齢は高齢者が中心ですが、近年では40代以下の若年性認知症も増加傾向にあり、「年齢に関係なく誰にでも起こりうる病気」だと認識することが大切です。
認知症と似た症状を示す精神疾患
ここからは、認知症とよく似た症状を示す代表的な精神疾患について見ていきましょう。
記憶障害や注意力の低下など一見似ていても、原因や経過、治療法が異なる点を理解しておくことで、早期発見・早期治療につながります。
うつ病との見分け方
ただし、うつ病による物忘れは「新しいことが覚えられない」タイプであるのに対し、認知症は「すでに覚えたこと自体を忘れてしまう」点が大きな違いです。
また、うつ病は適切な治療で改善する可能性が高いため、専門医の診断を早めに受けることが重要です。
高齢者てんかんによる記憶障害
受け答えがおかしくなったり、怒りっぽくなったりといった症状が現れるため、認知症と混同されやすい傾向があります。
脳波検査などの専門的な検査を行うことで、正確な診断が可能です。
せん妄との違い
見た目は認知症と似ていますが、数日から数週間で回復する一過性の症状である点が特徴です。
一方で、認知症は時間をかけて徐々に進行していくため、この経過の違いが見分けるポイントとなります。
代表的な認知症の種類

アルツハイマー型認知症の特徴
アルツハイマー型
脳の変化
・老人斑
・神経原線維変化
特徴的な症状
・認知機能障害
・妄想
・徘徊
・感情の変化
経過
ゆるやかに進行し、広範囲な障害へ発展
最も多くみられるのが「アルツハイマー型認知症」です。脳内に異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞が壊れていくことで、記憶や判断力が少しずつ低下します。
初期には「物忘れ」や「同じ話を何度もする」といった軽い症状から始まり、次第に日常生活に支障が出てきます。
アルツハイマー型は精神疾患と誤解されやすいこともありますが、根本的な原因は脳の変性であり、うつ病などとは異なるものです。
ただし、進行に伴い感情の起伏や幻覚などの精神症状が現れる場合もあるため、早期の診断と治療が非常に重要です。
レビー小体型認知症の特徴
レビー小体型
脳の変化
・レビー小体の形成
・神経細胞が死滅
特徴的な症状
・認知機能障害
・認知の変動
・幻視、妄想など
経過
良い状態と悪い状態を繰り返しながら進行
アルツハイマー型に次いで多いのが「レビー小体型認知症」です。脳の神経細胞内に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積することで発症します。
このタイプでは、「実際には存在しないものが見える(幻視)」や「手足の震え」などの症状が見られ、精神疾患に似た幻覚・妄想を伴うこともあります。
また、日によって認知機能が大きく変動するのが特徴で、家族から「今日はしっかりしていたのに、次の日はぼんやりしている」と感じられることも少なくありません。
症状の理解と適切なケアにより、本人も家族も安心して生活を送ることができます。
脳血管性認知症の特徴
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脳血管性型
脳の変化
・脳の血管が詰まる
・破れることで血流障害が起こる
特徴的な症状
・麻痺
・手足のしびれ
・思考力低下
・感情の不安定
経過
発作を繰り返しながら段階的に進行
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などによって脳の血流が途絶え、神経細胞が損傷することで起こるタイプです。
糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病を持つ方に多く見られ、発作を繰り返すたびに症状が段階的に悪化します。
また、感情のコントロールが難しくなり、突然怒り出すなどの変化が見られる場合もあります。
リハビリテーションや生活習慣の改善により進行を遅らせることが可能なため、早期発見と治療が大切です。
認知症の初期症状を見逃さないために
怒りっぽくなるなどの感情の変化
認知症の初期に見られる代表的なサインのひとつが「感情の変化」です。
これまで穏やかだった方が、些細なことで怒ったり、感情の起伏が激しくなったりする場合は注意が必要です。
脳の前頭葉には感情をコントロールする働きがありますが、この部分の機能が低下すると、イライラや攻撃的な言動が出やすくなります。
一見すると性格が変わったように感じられますが、実は脳の変化による症状のひとつであり、本人にもコントロールできないものです。
怒りっぽさや頑固さが続くと、「精神疾患ではないか」と誤解されることもありますが、早期の認知症の可能性も視野に入れて受診を検討しましょう。
意欲の低下や無気力感
次に見逃されやすいのが、意欲の低下です。
以前は趣味や外出を楽しんでいたのに、最近は何もやる気が起きない、テレビをぼんやり見るだけ、といった状態が続くことがあります。
このような変化は「うつ病」などの精神疾患にも似ていますが、認知症の場合は思考力や判断力の低下も同時に現れる点が異なります。
家族が「怠けている」と誤解してしまうケースも多いですが、実際には脳の働きが衰えているサインであることが多いのです。
早めに専門医に相談することで、適切な対応や治療方針を立てることができます。
以前はできたことに手間取るようになる
認知症の初期には、「今まで簡単にできたことに時間がかかる」「途中で手順を忘れる」といった変化も見られます。
例えば料理の手順を思い出せない、買い物の目的を忘れて同じ商品を何度も購入するなど、日常の小さな違和感が増えていきます。
このような変化は、加齢による単なる物忘れと区別が難しいですが、生活に支障をきたすほどの頻度や範囲で現れる場合は、認知症の初期症状の可能性があります。
また、焦りや混乱から不安が強くなり、精神的なストレスが高まることも少なくありません。
早期に気づいて医療機関を受診すれば、進行を遅らせたり、本人の不安を軽減したりすることが可能です。
認知症の治療方法をチェック
薬物療法で進行を抑える
中核症状の進行を抑制
・NMDA受容体拮抗薬
・脳神経の損傷を抑制し、認知機能を維持
NMDA受容体拮抗剤
・脳神経の損傷を抑制
・中核症状の進行を抑制
認知症の治療では、薬物療法が中心となるケースが多くあります。
これらの薬は、記憶障害や判断力低下などの進行を遅らせる効果があり、脳内の神経伝達をサポートします。
ただし、薬の効果は個人差があり、完治を目的とするものではありません。
そのため、「症状の進行を緩やかにして生活の質を保つ」ことが治療の主な目的となります。
また、薬の副作用が出ることもあるため、医師や薬剤師と相談しながら慎重に使用していくことが大切です。
精神を落ち着かせる薬の活用
睡眠への導入・不眠や夜間の徘徊を軽減
漢方薬・抗精神病薬
幻覚や興奮、妄想の緩和
認知症の中には、幻視・妄想・不安・興奮といった精神症状(BPSD)が現れることがあります。
これらの症状に対しては、抗精神病薬や漢方薬などを適切に使い、心を落ち着かせる治療を行います。
たとえば、漢方薬の「抑肝散(よくかんさん)」は、怒りっぽさや興奮を和らげる効果があり、高齢者にも比較的使いやすいとされています。
ただし、薬に頼りすぎると副作用のリスクもあるため、服薬の有無や量については必ず医師の指示に従いましょう。
非薬物療法(リハビリ・生活改善など)
非薬物療法
認知機能の維持や回復を目指す
生活リハビリテーション(料理・洗濯・買い物などの行動訓練)
料理や洗濯などで回復を目指す
園芸療法
園芸を通して記憶や触覚を蘇らせる
音楽療法
音楽を通して心の安定や意欲回復を促す
非薬物療法は、薬を使わずに脳の活性化や生活の質向上を目指す方法です。
たとえば、音楽に合わせて手を動かすリズム療法や、園芸を通じて季節を感じる活動などがあり、楽しみながらリハビリが行えます。
また、生活の中での成功体験を積むことが、自信回復にもつながります。
このような取り組みは、精神疾患のリハビリにも共通する要素が多く、心身両面のケアに役立ちます。
訪問看護という選択肢もある
認知症が進行すると、通院や日常生活の維持が難しくなる場合があります。
そのようなときには、看護師などの専門職が自宅を訪問して支援を行う「訪問看護」を活用するのも一つの方法です。
訪問看護では、服薬管理・生活支援・再発予防・家族へのサポートなどを行い、在宅での生活を支えます。
特に、精神疾患を併発している方の場合、心身両方のケアを一貫して受けられる点が大きなメリットです。
訪問回数や時間は個々の状態に応じて調整できるため、医師や看護師と相談しながら無理のないサポート体制を整えましょう。
認知症ケアならシンプレ訪問看護ステーションへ
シンプレ訪問看護ステーションの特徴とは
シンプレ訪問看護ステーションは、精神疾患や認知症を中心に支援を行う訪問看護サービスです。
うつ病や統合失調症、発達障害など幅広い疾患に対応し、利用者さま一人ひとりの生活に寄り添ったサポートを行っています。
訪問を担当するのは、看護師・准看護師・作業療法士といった専門職。医療面・生活面の両方から支えることが可能です。
また、病院や行政機関と連携しながら、在宅でのケアや社会復帰を支援しています。
「通院が難しい」「家族だけでは対応が不安」という方にも、安心してご利用いただける環境が整っています。
精神科訪問看護でできること
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患または認知症の診断を受けた方
・診断がなくても医師が必要と判断した方
訪問するスタッフ
・看護師・准看護師・作業療法士などの医療専門職
訪問時間
・1回30〜90分/週1〜3回(状況により調整可)
精神科訪問看護では、服薬管理・生活リズムの調整・再発予防・家族支援などを行います。
特に、認知症と精神疾患を併発している方の場合、心身両方のサポートを受けることで、安心して自宅療養を続けることができます。
また、退院直後の生活支援や再発防止のアドバイスなど、医師との連携のもとで包括的なケアを実施。
「病気とともに自分らしく生きる」という目標を大切に、患者さま・ご家族双方の安心を支えています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
シンプレ訪問看護ステーションでは、東京23区を中心に、西東京市・三鷹市・調布市・府中市・東久留米市・武蔵野市など広範囲で訪問を行っています。
また、埼玉県の一部地域にも対応しており、近隣の市区町村についてもご相談に応じています。
訪問回数は週1〜3回(症状により週4回以上も可)、祝日・土曜の訪問にも対応しています。
年齢や症状を問わず、精神疾患や認知症でお困りの方が安心して在宅生活を送れるようサポートいたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|認知症と精神疾患を正しく見分けて早めの治療を
認知症とよく似た症状を示す精神疾患には、うつ病・高齢者てんかん・せん妄などがあります。
いずれも物忘れや意欲の低下など共通する症状が見られるため、自己判断では区別が難しいことがあります。
しかし、原因や経過、治療方法は大きく異なるため、早めに医療機関で適切な診断を受けることが何よりも大切です。
特に、最近では若年層にも認知症の初期症状が見られるケースがあり、早期発見・早期治療が生活の質を左右します。
また、認知症を抱える方の中には精神的な不安や抑うつを伴う場合も多く、「心と体の両面から支えるケア」が必要です。
そんなときに頼れる存在が、精神疾患にも対応できる訪問看護サービスです。
在宅でも安心して暮らせるよう、医師・看護師・家族が連携しながら、本人のペースに合わせたサポートを行いましょう。
シンプレ訪問看護ステーションでは、認知症や精神疾患を持つ方の心と生活を支える訪問看護を行っています。
ご家族の不安や介護の負担を軽減し、安心して毎日を過ごせるよう全力でサポートいたします。
気になる症状がある方や、どこに相談すればよいかわからない場合は、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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