【PTSDの対処方法】症状や発症する割合について詳しく解説します!
今回は、PTSDの対処法について、主に薬物療法と心理療法の2つに焦点を当ててご紹介します。
トラウマを経験した後、突然つらい記憶が蘇ったり、感情や感覚が麻痺したりする精神疾患「PTSD」。
そのまま放置すると、症状が悪化して何年も苦しめられる可能性があり、早期発見・早期治療が大切です。
PTSDへの対処法とは
対処法①薬物療法
・不安
・抑うつ気分
・強迫症状
・衝動的な怒りなど
アドレナリン系薬剤
・過剰覚醒
・衝動性
・過活動
・睡眠障害
・悪夢が軽減
ドーパミン系薬剤
・強いフラッシュバック
・自己破壊的行動
・爆発的怒り
・精神病的症状などに有効
三環系抗うつ剤
睡眠時のフラッシュバックや不眠に有効
PTSDの薬物療法では、セロトニン系薬剤のSSRI(抗うつ薬)が使用されやすく、日常生活での不安やイライラを緩和する効果が期待できますが、副作用がでる可能性があります。
SSRIで効果を感じられない人は、アドレナリン系薬剤や三環系抗うつ剤、ドーパミン系薬剤といった抗うつ薬が効果を発揮する場合がありますので、医師に相談しましょう。
抗うつ薬を服用すると、不安感や自殺願望、いら立ちが強くなるかもしれませんが、ほとんどの場合、数日で和らいでいくようです。もし副作用が強い場合にはこちらもしっかりと医師に相談しましょう。
対処法②認知行動療法
PTSDを発症する要因を理解する心理療法
認知行動療法とは、認知と行動の両面からアプローチする心理療法です。認知とは、物事や自分自身に対する考えや捉え方、解釈のことです。行動とは、その考えや捉え方に基づいた行動のことです。
PTSDの人は、トラウマ体験によって、認知が歪んでしまうことがあります。例えば、自分は悪い人だ、価値がないのだと思い込んだり、自分は再びトラウマ体験をすることを恐れたりなどです。
このような認知の歪みがあると、日常生活に支障をきたすことがあります。認知行動療法では、こうした認知の歪みを修正することで、症状の改善を目指します。
対処法③集団療法
集団療法とは、同じ体験をした人たちが集まり、お互いの体験や悩みを語り合い、共感し合うことによって、心の傷を癒す療法です。
トラウマ体験をした人は、周囲の理解や共感を求めても、なかなか得られずに孤立感や疎外感を感じてしまうことがあります。
集団療法では、同じような体験をした人たちと語り合うことで、自分は一人ではないことを実感でき、安心感を得ることができます。
また、他の人が実際にやっていた対処法や、今まで知らなかった知恵を得ることができるため、より効果的な対処法を身につけることができます。
PTSDの身体への対処法
対処法④眼球運動脱感作療法(EMDR療法)
PTSDの人は、トラウマ体験を脳の中でうまく処理できず、フラッシュバックや悪夢などの症状を引き起こすことがあります。
EMDR療法では、まず、トラウマ体験を思い出すように患者さんに促します。次に、セラピストが目を左右に動かす、音やタッチなどの刺激を患者さんに与えます。
患者さんは、その刺激を感じながら、トラウマ体験の記憶を思い出し、感情や身体感覚を体験します。このようなプロセスを繰り返すことで、トラウマ体験を脳の中でうまく処理できるようになり、症状が改善していきます。
対処法⑤そのほかの対処法
身体治療には、どのようなものがあるのかをみていきたいと思います。
理学療法
理学療法とは、運動機能の回復、高齢者の運動機能低下の防止などの目的があり、障害者や高齢者、けがや手術で体力低下した方など、対象はさまざまです。
理学療法は、病院や介護施設などで理学療法士が医師の指示をもとに、利用者にあった運動を行いますが、その専門的な知識を活かして、住宅改修などの相談に応じる場合もあります。
補完代替療法
厚生労働省の調査によると、PTSDの補完代替療法として、漢方や鍼灸、ヒーリングタッチ、レイキなどがよく用いられています。また、近年では、瞑想や催眠療法も注目を集めています。
ただし、日本では、これらの療法の対象や方法、評価方法などについて、不明な点が多いのが現状です。これらの心身療法の効果については、まだ十分なエビデンスがありませんが、今後の研究が期待されています。
PTSDの特徴は?発症する割合について
PTSDの特徴
強い恐怖や死を感じる体験をしたり、家族や友人が死亡した知らせを聞いたりした後、そのときの記憶や感情、感覚を無意識に思い出したり、悪夢を見たりすることが1カ月以上続きます。
どのタイミングで思い出してしまうのかわからず、普段から不安と緊張感をもち続けてしまうため、現実逃避したい思いから記憶が一部なくなる場合もあるでしょう。
強いショックが原因で「記憶の断片化」が起こり、その経験はなぜ起きたか、どうなったのかがわからなくなって、精神的に不安定な状態になる可能性もあります。
PTSDを発症する割合
1.1~1.6%
20代から30代前半
3.0~4.1%
PTSDを発症する割合は上記のとおりで、3カ月ほどで治癒する場合が多いのですが、まれに1年以上症状が続く場合もあり、慢性化率は25%程度となっているようです。
またWHOの調査によると、アジア人にPTSDの発症が多く、中でも女性が発症する傾向が強いことがわかっています。
PTSDは、自然災害や強盗、性的被害などの犯罪から発症し、そのストレスから他の精神疾患(うつ病、アルコール依存症など)を引き起こす可能性が高くなっています。
PTSDとトラウマの違い
トラウマとは、生死に関わる危機や、深刻な身体的・精神的苦痛を伴う出来事を体験したことにより、心の傷を負うことです。
一方、PTSDとは、トラウマ体験から4週間以上経過しても、その体験に関する記憶や感情が繰り返しよみがえったり、強い恐怖や不安を感じたりするなど、日常生活に支障をきたすような症状が続いている状態です。
つまり、トラウマは体験そのものであり、PTSDはその体験による精神的な影響の強さや持続期間によって区別されます。
トラウマの体験は、誰にでも起こり得るものです。しかし、誰もがPTSDを発症するわけではありません。
PTSDを発症するかどうかは、個人の性格や置かれた状況などによっても影響を受けると考えられています。
PTSDの主な症状
突然つらい記憶が蘇る
つらい体験をしてから1カ月以上たっても、日常生活において急にその体験を思い出してしまい、同じ光景や身体の痛み、同じ感情がよみがえってしまうでしょう。
ふとした瞬間につらい記憶がよみがえり、またその体験をしている感覚におちいってしまうことで現実感がなくなり、周りからの呼びかけに反応できなくなる場合もあります。
自分でもいつ思い出してしまうかわからなくて、常に不安や緊張感が高まってしまい、その結果、イライラしやすい、警戒心が強い、不眠などの状態が続きやすいようです。
記憶を呼び起こす状況や場所を避ける
PTSDのひとは、日々の生活の中でつらい記憶を呼び起こすものをさけたり、その記憶に関する話題をしなくなったりするので、行動が制限されて人間関係にも影響がでるでしょう。
また、何がきっかけで記憶を呼び起こすかわからない場合もありますが、それでも無意識のうちにきっかけになりそうな状況や場所をさける傾向があるようです。
つらい記憶そのものを失うひともいますが、それは恐怖から逃れるため自分の心をまもる防衛反応であり、正しい反応といわれています。
感情や感覚が麻痺する
トラウマを思い出したくないために、警戒心が強くなり、小さな物音にも敏感に反応したり、落ち着きがなくなったりします。
また、感情のコントロールが困難になり、イライラしやすくなったり、急に涙が出てきたりすることがあります。
そのため、孤独感や罪悪感を感じやすくなり、物事への興味や関心が薄れ、人に気を許すことができにくくなり、家族や友人に対しても、冷たく接するようになる傾向があります。
PTSDの相談ができる場所はあるの?
保健所・保健センター
保健所・保健センターは市区町村に設置されており、保健師や精神保健福祉士など専門知識をもつスタッフが相談に応じてくれます。
不登校、ひきこもりなど家族の悩み相談や医療、福祉に関する相談、アルコール依存症など、さまざまな相談に対応し、地域住民の健康や福祉を支える取り組みを行っています。
電話相談や面談による相談、また保健師が直接、家庭訪問して相談を行うことも可能ですので、事前に電話して希望を伝えておくとスムーズになるでしょう。
精神保健福祉センター
医師や看護師、保健師、作業療法士、精神保健福祉士など専門分野のスタッフが在籍しており、事前に予約をして電話や面談での相談が可能です。
相談内容は、こころの健康や精神障害者の社会復帰の相談、認知症である家族の相談など、さまざまな精神保健福祉に関わることに対応しています。
また、精神保健福祉センターによってデイケアなども行っており、各センターで事業内容が違ってくる場合もありますので、ホームページや電話で確認をしましょう。
精神科病院・クリニック
精神科病院には、専門職である医師、看護師、薬剤師、作業療法士、臨床心理士、精神保健福祉士などが勤務しており、患者さまにあわせた治療、退院に向けた支援を行います。
精神科病院では、患者さまの各関係先(保健所や精神保健センターなど)と連携し、精神疾患の治療を行い、社会復帰が円滑に進むようにリハビリテーション施設等を併設しています。
また、地域の一般病棟と連携をとり、安心して通院できる体制になっていて、病院によっては身体の合併症を治療できるところもあるでしょう。
精神科訪問看護
サービス名 | 精神科訪問看護 |
---|---|
職種 |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数 |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神訪問看護とは、精神疾患を患う方が、日々の暮らしで困っていることを解消できるよう、看護師などの専門職が自宅を訪問し、サポートを行うサービスです。
具体的には、夜眠れない、薬を飲み忘れてしまう、人付き合いがうまくいかない、引きこもってしまうなど、さまざまな相談に対応しています。
医師の指示のもと、スタッフは日常生活のサポート、薬の管理、健康チェック、ご家族の悩み相談などを行います。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
当ステーションの特徴
シンプレは、精神疾患を患うすべての方に、看護や支援を提供しています。精神疾患の例としては、PTSD、統合失調症、うつ病、双極性障害、認知症などが挙げられます。
精神疾患は、こころの状態に偏りが生じ、精神的にうまくいかないようになる可能性のある疾患です。具体的には、不眠、幻覚、妄想、幻聴、気分の落ち込み、食欲の低下など、さまざまな症状が現れることがあります。
日本には、精神疾患を患う人が約400万人以上いるといわれています。シンプレは、そうした方々が安心して暮らせるよう、サポートさせていただきます。
精神疾患の一例
うつ病
・一日中気分が落ち込んでいる
・眠れない・疲れやすい・食欲がない
統合失調症
・「幻覚」「妄想」「幻聴」がある
その他精神疾患全般
シンプレの対象は精神疾患全般になります。精神疾患の一例は上記に記載している通りです。
精神疾患とは、こころの状態が平均よりも偏りが生じてしまい、精神的にうまくいかないようになる可能性がある疾患です。
精神疾患の症状は、不眠、幻覚、妄想、幻聴、気分が落ち込む、食欲がないなど症状はさまざまであり、日本に精神疾患をもつ人は、平成29年度で約400万人以上いるといわれています。
対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
上記は、シンプレの対応エリアです。対応エリア外でも、近隣であれば対応できる場合がございます。
シンプレでは、看護師、ケアマネジャー、社会福祉士など、さまざまな専門職がチームを組んで、ご利用者さまの安心した暮らしを支えるために、看護や支援を提供しています。
ご不明な点やご要望がございましたら、お気軽に電話やお問い合わせフォームからご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
PTSDの対処法には、薬物療法、心理療法(認知行動療法や再処理法)、集団療法、身体治療があり、保健所や精神保健福祉センター、精神科病院に相談ができます。
PTSDの方は、ネガティブになりやすく、うつ病などの精神疾患を併発する場合もありますので、早めに相談するようにしましょう。
自宅で看護が受けられる精神訪問看護は、ご利用者さまの不安を解消するサポートを提供しています。
シンプレは精神科に特化した訪問看護で、緊急時には各関係機関と連携して対応いたします。
ご希望やご不安など、お気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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