PTSDの診断基準となる症状とは。診断の基準となる特徴をチェック!
PTSDの診断は、基本的に医師の問診による診断が中心です。診断は、PTSDの症状をもとに基準が定められています。
PTSDと診断された場合、焦ったり自分を責めたりする必要はありません。医師の指示に従って治療していくことが大切です。
今回は、PTSDの診断の仕方や症状について、わかりやすく説明します。もし「自分はPTSDかもしれない」と思ったら、専門機関に相談するおようにしましょう。
PTSDの診断基準
基本は問診による診断
PTSDの診断は基本的に問診によって判断されます。問診ではトラウマ体験の内容や症状有無、その症状の度合いなど、さまざまな視点から診断を行っていきます。
また原因となった出来事との関連性についても調べるために質問し、くすりや他の病気によるものでないか確認していきます。
PTSDは経験したつらい経験を何度も繰り返し思い出し再体験するように感じ続ける苦しい病気です。
症状は他にも人によってあらわれ方が複雑で様々であることから、PTSDだと診断を受けるまで時間がかかる場合があります。
臨床基準により問診内容が決まっている
- 基準①侵入症状の診断
- 基準②回避症状の診断
- 基準③認知および気分に対する悪影響の診断
- 基準④覚醒度および反応性の変容の診断
現在日本では、PTSDの診断にDSM-5といった国際的な基準を用いて診察を行っています。
患者さんの症状には大きく分けて上記の4つの症状があり、トラウマになるような体験がどのような症状をおこしているか確認をしていきます。
診断の基準はこれから紹介する症状が1カ月以上続くことが条件となります。
人によっては数カ月や数年以上と長い間症状が続くことも珍しくなく、日常生活を送る上でとても大きな支障をきたしてしまいます。
心当たりのある方は一人で抱え込まず、専門的な知識を持った人や周りの方の力を借りながら治療していくことが大切です。
以下では、4つの症状カテゴリーについてさらにわかりやすくご紹介します。
PTSDの診断基準になる症状例
①侵入症状の診断
症状例 | 侵入症状 |
---|---|
診断基準 |
・つらい体験などで 心を乱す記憶がある ・心を乱す夢を 繰り返し見る ・出来事が再び 起こっていると思う ・出来事を思い出す |
「侵入症状」とは、つらい体験があり、日中意識していない時にでも、つらくて怖い体験を何度も繰り返して思い出してしまう事であり、フラッシュバックといわれています。
なかにはつらい体験を思い出すだけではなく、実際にその出来事が起こっているような再体験と言われる症状も生じるなど、本人にとってつらい体験を消化できなくなっています。
症状例として、戦争を体験した退役軍人などが、花火をきっかけに侵入症状が引きおこるケースがあります。
また、強盗の被害者が映画の中で銃を見ることをきっかけに症状が引き起こされるなど報告されており、侵入症状を引き起こすきっかけはさまざまです。
回避症状の診断
症状例 | 回避症状 |
---|---|
診断基準 |
思考・感情 または記憶の回避 活動・場所 会話・人の回避 |
「回避症状」とは、トラウマ体験に関わるつらい記憶や恐怖感を避ける状態のこと。特にトラウマを思い出させる人物・状況・活動などから必死に避けることが特徴です。
症状例としては、暴力をふるわれた繁華街やオフィスビルに入ることを避けることなどがあげられます。
また回避症状がある方には、つらい記憶を思い出さないようにするため、つらい出来事の記憶を思い出せなくなったり、自分のことを他人のように感じたりすることもあります。
認知および気分に対する悪影響の診断
症状例 | 気分症状 |
---|---|
診断基準 |
・記憶障害 ・過剰な否定的確信、予想 ・持続的な歪んだ思考 ・持続的な陰性感情の状態 ・行動の関心減退 ・孤立感、疎遠感 ・陽性感情を経験できない |
「認知および気分に対する悪影響」とは、自分や周りの方、世界が悪いものだと信じてしまう否定的な認知や、自分が悪いから外傷的な出来事が起きたのだと思い込んだりします。
また、そのほかにも恐怖や罪悪感などのネガティブな感情が続き、人と関わることが苦しくなり、孤独を感じたり、幸せや満足感などのポジティブな感情を感じられなくなるような症状が見られます。
覚醒度また反応性の変容の診断
症状例 | 覚醒度また反応性症状 |
---|---|
診断基準 |
・睡眠障害 ・易怒性または怒りの爆発 ・無謀または自己破壊的な行動 ・集中困難 ・強い驚愕反応 ・過度の警戒心 |
「覚醒度または反応性の変容」とは眠ったり、集中することが難しくなることです。また危険の兆候があると過敏になるなど、些細なことでも驚くようになります。
自分の反応や感情をコントロールするのが難しく、睡眠障害や無謀な行動、つねにイライラし突然怒りを爆発するなどの症状がみられます。
こういった症状が1ヵ月以上持続することで、こころやからだに苦痛を感じたり、社会生活や日常生活に支障をきたしている場合PTSDと診断されます。
そのほかPTSDと診断される基準
PTSDと診断される基準にはほかにどのようなものがあるのでしょか?チェックしていきましょう。
①症状が一ヵ月以上続く
4つのカテゴリーの症状の他にも診断基準があり、トラウマ体験から少なくとも一ヵ月以上身体やこころの不調が続いているかどうか確認します。
発症後一ヶ月未満であればASD(Acute Stress Disorder急性ストレス障害)と診断され、通常ASDであれば自然回復の可能性が高いとされており、症状の期間によって区分されています。
②日常生活に支障をきたす
そのほかにも、日常的に重大な苦痛を引き起こしているか、また社会生活などでも大きな支障があるか確認されます。
トラウマ体験直後では、一時的な正常ストレス反応として抑うつな気分や不眠、不安が生じることが多く、すぐにASD、PTSDに結びつくわけではなく、日常生活との関連性についても質問されます。
PTSDと併存しやすい疾患
- アルコール依存症
- 抑うつ障害
- 不安障害
- 双極性障害
PTSDの方は上記のようなアルコール依存症や、双極性障害、不安障害、物質使用障害、素行症などの精神疾患を併存するリスクが高いと言われています。
特に物質使用障害(アルコール依存など)や素行症は女性より男性になりやすいと報告されており、認知症はかなり高い確率で併存することがわかっています。
またPTSDに近い精神疾患であるパニック障害・自閉スペクトラム症は、侵入症状や回避症状など似たような症状があるため、一見すると併発していると分かりづらく後からわかる可能性があります。
PTSDの治療法について
薬物療法
パキシル
ジェイゾロフト
SNRI
イフェクサー
非定型抗精神病薬
リスパダール
エビリファイ
セロクエル
気分安定薬
ラミクタール
デパケン
交感神経遮断薬
ミニプレス
PTSDの薬物療法では、まずは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が処方されることが多いです。
SSRIは、恐怖感や不安感を和らげる効果が強く、不安から生じる身体の震えや動悸などの身体症状にも効果があります。
また、症状や患者さんの体質に合わせて、他の薬が併用されることもあります。
治療が進むにつれて、効果的な薬の種類や量を調整していくことで、症状の改善が期待できます。
心理療法
認知行動療法は、PTSDの症状を引き起こしている考え方や行動を修正していく療法です。
ストレスを感じた出来事に対して、考え方(認知)、感情、身体の反応、行動を分析し、自分の考え方や行動を客観的に見つめ直し、トラウマ体験を過度に恐れる必要がないことに気づかせることで、症状を改善します。
認知行動療法は、医師や専門のカウンセラーの指導のもとで行うのが一般的です。
PTSDかもしれないと感じたら
・よりそいホットライン
・こころの健康相談ダイヤル
電話・窓口
・保健センター
・精神保健福祉センター
PTSDでお悩みの方の問い合わせ窓口として、電話相談ができる「よりそいホットライン」や幅広い相談に対応している「保険センター」「精神保健福祉センター」などがあります。
「よりそいホットライン」は24時間電話相談の受付をしてくれ、相談内容に応じて、対面相談に切り替えてくれたり、公的機関につなげたりしてくれるのが特徴です。
また保健センター、精神保健福祉センターは各センターの規模にもよりますが、医師や精神保健福祉士、臨床心理士などの専門家が在籍しています。
今すぐ誰かに話を聞いてほしかったり、1人で抱え込んで辛かったり、周りに相談できる人がいなかったりする場合にはぜひ上記のような相談窓口に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
精神科訪問看護を利用するという手段も
精神科訪問看護の利用プラン
サービス名 | 精神科訪問看護 |
---|---|
職種 |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数 |
原則週3日以内 (※例外もあります。) |
精神科訪問看護とは、精神疾患を抱える方や精神的な理由でサポートが必要な方に対して、看護師や作業療法士などの専門の資格をもつスタッフがご自宅に訪問することです。
自立した生活を営めるための支援や症状の悪化防止・服薬支援など、日常生活レベルからご本人をサポートしていきます。
またご家族への支援も並行して実施し、利用者様をとり巻く環境全体を整えていく役割も担っています。
地域社会で安心して日常生活を送ることができるようにするため、主治医の指示のもと、看護及び社会復帰指導などの必要な支援を行います。
訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係や日常生活の支援を受けられる
訪問看護では、上記のようにさまざまなサービスを行っており、訪問看護は主治医が必要と判断すれば利用することが可能です。
年齢などの制限はなく、医師の判断で利用の有無が決定し、利用料金には医療保険が適用され、少ない自己負担で訪問看護を受けることができます。
医療の知識やスキルを有した看護師のサポートを自宅で受けることで、家族の肉体的・精神的な負担を軽減することにもつながります。
精神科訪問看護の内容
- 日常生活の維持/生活技能の獲得・拡大
- 対人関係の維持・構築
- 家族関係の調整
- 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
- ケアの連携
- 社会資源の活用
- 対象者のエンパワーメント
精神科訪問看護のサービス内容は、日常生活からの助言や援助を行っており、食事・睡眠・清潔・対人関係などからサポート。また、症状の観察や早期発見、身体合併症への配慮など考え、日々体調の変化についていち早く発見します。
都度、主治医と連絡を取り、関係機関への連絡・相談などを行い、地域全体でサポートする体制を整えていきます。
また地域の保健師や相談員、ケアマネジャーなどと連携し患者さんの自立を促していきます。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療(精神通院医療)制度はすべての精神病を対象に、継続的な通院をしている人が申請・利用できる制度です。
この制度を利用することで、3割負担の医療費が1割負担まで軽減されるという大きなメリットがあります。
全ての医療機関で1割負担になるわけではなく、登録を行った病院・薬局・精神科訪問看護などの医療機関で対象となるため注意が必要です。
また状況にもよりますが月間の自己負担額に上限が定められるので、原則として上限を超える分の医療費は負担する必要がないのも特徴の1つでしょう。
シンプレはPTSDの看護サポートも行っています
シンプレ訪問看護ステーションの特長
PTSDの方への対応やケアについては、家族や周囲のサポートが必要不可欠です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、特に精神科に特化した訪問看護サービスを展開し、患者さんが自宅でも安心してケアを受けられる看護を提供しています。
患者さんはやはり、「暮らし慣れた自宅でケアを受けながら、社会生活を過ごしてみたい」と考えている方も多いと思います。シンプレでは、利用者さんの自主性を大切にし看護の立場から支援します。
また主治医や地域の支援者と連携して支援し、入院をしなくても利用者さんがその方らしい生活を継続できるように一緒に考えていきます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
PTSDの診断についてその基準や問診内容について説明してまいりました。
また、PTSDの症状は特徴的であり、フラッシュバックや悪夢といった再体験症状、トラウマに関わる大事な記憶を忘れたり、否定的な感情をもつなどさまざまな症状を引き起こします。
そのため、心だけではなく、不眠や頭痛、動悸などの身体の不調を感じることがあります。
治療するためには薬物療法だけではなく、併せて心理的な療法や日々の生活から心身を整える必要があり、本人にとって余裕のある生活を目指していきます。
シンプレ訪問看護ステーションでは、そんな方に対して日常生活からサポートを行い、病気のケアや社会復帰の支援を行っています。
またご家族に対して看護の立場からサポートを行います。PTSDでお悩みの場合には、シンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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