トラウマとPTSDの違いとは?症状・治療法・相談先を徹底解説

強烈なショック体験や心に深く刻まれる出来事は「トラウマ」となり、時には長期的な精神的ストレスを引き起こします。トラウマとPTSDは混同されやすい言葉ですが、実際には異なる概念です。
放置すると、うつ病やパニック障害などの二次的な精神疾患につながることもあるため、早めの理解と対応が大切です。
本記事では、トラウマが続いた場合にPTSDへと発展する可能性や、その症状・治療法について詳しく解説します。
トラウマの症状が続くとPTSDになるの?

そもそもPTSDとは
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、衝撃的な出来事や強い恐怖体験によって心が深く傷ついたときに発症する精神疾患です。特徴的な症状には、突然つらい記憶がよみがえる「再体験」、関連する出来事を避けようとする「回避」、さらには不眠や頭痛などの身体的症状も含まれます。
PTSDを完全に治す薬は存在しませんが、抗うつ薬や抗不安薬を用いて症状を和らげることは可能です。また、認知行動療法など心理的アプローチを組み合わせることで、苦しい状況から回復しに向かうための道筋が見えてきます。
トラウマの種類と特徴
自然災害や事故など、一度限りの出来事で心に強い衝撃を与えるもの
慢性反復性トラウマ
いじめや家庭内暴力など、繰り返し体験することで心に傷が蓄積するもの
トラウマは「心の傷」を意味し、その種類によって症状の現れ方が異なります。例えば、大きな地震や交通事故は単回性トラウマの典型例であり、一度の体験で強い恐怖が残ります。一方で、長期間にわたる暴力やいじめは慢性反復性トラウマとなり、心に深い影響を及ぼしやすいのです。
トラウマとPTSDの違い(判断基準)
初期の反応は「急性ストレス反応」と呼ばれることがあり通常は時間の経過とともに軽減していく
PTSD
診断基準として症状が1ヶ月以上持続することが求められる
トラウマ体験をしても多くの場合は徐々に回復に向かう傾向にあります。しかし、強烈なショックや命に関わる危険が記憶に残り、長期間苦しみが続く場合、それはPTSDに発展した可能性があります。PTSDでは、恐怖や不安が繰り返し蘇り、集中力低下や不眠なども伴います。
このように、「トラウマ」と「PTSD」は別物でありながら密接に関係しているのです。
PTSDでよく見られる症状

再体験症状(いきなり過去の辛い状況が蘇る)
PTSDの代表的な症状のひとつが「再体験」です。過去に体験したつらい出来事や恐怖が、時間が経っても突然フラッシュバックのようによみがえります。
出来事そのものだけでなく、その時の恐怖や苦痛まで強烈に思い出されるため、本人にとって大きな苦しみとなります。睡眠中に悪夢として繰り返し現れることも多く、日常生活に深刻な影響を及ぼします。
周囲の人には理解されにくい症状ですが、「トラウマの記憶が繰り返し侵入してくる」ことこそがPTSDの大きな特徴です。
過覚醒症状(過敏な状態が続く)
PTSDでは常に神経が張りつめており、落ち着けない「過覚醒」状態が続きます。特別な理由がなくても緊張や不安が強く、ちょっとした物音にも過剰に反応してしまいます。
このような過敏な状態が続くと、睡眠の質が悪化し、不眠や慢性的な疲労につながります。本人の意思でリラックスできないため、精神的・身体的に消耗してしまうのです。必要に応じて薬物療法を取り入れるなど、専門的な治療が求められます。
回避症状(辛い過去を避ける)
「回避」とは、つらい記憶を思い出さないようにする行動を指します。例えば交通事故がトラウマとなっている場合、事故を思い出すきっかけになる車や道路を避けようとします。
一時的に避けるだけなら問題ありませんが、外出自体ができなくなるなど日常生活に制限が出ると、深刻な問題へと発展します。PTSDの回避症状は、本人が意識的に避けている場合と、無意識のうちに避けている場合の両方があります。いずれも早期に適切なサポートを受けることが重要です。
感情や感覚の麻痺(心が無感覚になる)
PTSDの症状の中には「感情や感覚の麻痺」もあります。これは、あまりに強い悲しみや恐怖を経験した結果、心が自分を守るために感情を鈍らせてしまう状態です。
そのため、家族や友人に対する愛情といったポジティブな感情まで感じにくくなり、人間関係に距離が生じることがあります。孤立を深めるきっかけにもなりやすいため注意が必要です。
この症状は防御反応のひとつですが、長期的に続くと大きな悪影響を及ぼすため、専門家への相談が不可欠です。
PTSDを改善する治療法

薬物治療(抗うつ薬・抗不安薬など)
気分の落ち込みや意欲低下を和らげる
抗不安薬
強い不安や緊張感を軽減する
気分安定薬
気分の波を抑え、安定した状態を保つ
PTSDに対する薬物治療は、症状の根本を消すものではありません。しかし、不安や抑うつなどの症状を緩和し、日常生活を取り戻す大きな助けとなります。
症状の程度によっては薬物療法だけで改善するケースもありますが、多くの場合は心理療法と併用して取り組むことで、より効果的な回復が期待できます。
心理療法:認知行動療法
認知行動療法は、物事の捉え方や考え方に働きかけ、認知を修正していく治療法です。PTSDでは「自分のせいでトラウマが起きた」など極端な考え方に陥ることがありますが、セラピストとの対話を通じてより現実的で柔軟な考え方を身につけていきます。
トラウマとPTSDによって起こる思考を修正し、健全な行動を取り戻すことを目的としています。
心理療法:力動的精神療法
力動的精神療法は、患者自身が自分の感情や行動を深く理解し、心の奥にある葛藤や未解決の問題に気づいていくアプローチです。
過去の体験が現在の不安や行動にどう影響しているのかを探りながら、より自分らしく生きるための方法を見つけていきます。
週1回程度の面談から始めることが多く、重度の場合には頻度を増やして行われます。
セルフケアでできること
治療と並行して、自分自身でできるセルフケアも大切です。深呼吸や瞑想などのリラクゼーション法、十分な睡眠、規則正しい生活習慣は回復を支えます。
また、信頼できる人との会話は孤独感を和らげます。
ただし、自分だけで症状を抱え込むのは危険です。セルフケアはあくまで補助的な手段であり、医師や専門家の治療を受けながら取り入れることが推奨されます。
家族や周囲のサポート
PTSDは本人だけでなく、その周囲の家族や友人にも影響を与える病気です。支える人たちが症状を理解し、焦らず寄り添う姿勢が回復を後押しします。
時には家族自身がサポートを受けることも必要です。専門機関や訪問看護サービスを活用することで、患者本人と家族双方に安心できる環境を整えることができます。
PTSDを発症する割合は?合併する精神疾患とは?

研究によると、PTSDの有病率は国による違いはあるものの、男性よりも女性の有病率が高いとされています。
PTSDは決してまれな病気ではありません。
誰にでも起こり得るものであり、「トラウマからPTSDへ移行するリスク」は多くの人が抱えている問題なのです。
「特別な人だけがなる病気」ではなく、社会全体で理解とサポートが必要な疾患といえるでしょう。
合併することが多い精神疾患(うつ病・不安障害など)
アルコール依存症
薬物依存
PTSDは単独で現れることもありますが、多くの場合、他の精神疾患を併発します。特にうつ病や不安障害、依存症との関連が強く、統計的には80〜90%の患者さんが何らかの合併症を持つとされています。
例えば「トラウマによる不眠や気分低下」が続いた結果、うつ病を発症するケースも少なくありません。また、不安を紛らわせるためにアルコールや薬物に頼り、依存症につながるリスクも高まります。
このように、PTSDは合併症によって症状がさらに複雑化する病気です。だからこそ早期に治療を始め、悪化を防ぐことが重要です。
PTSDの治療なら当ステーションにお任せください!

シンプレ訪問看護ステーションとは
日常生活を自分らしく送れるようサポート
症状の悪化防止・服薬支援
訪問時に体調を観察し、服薬をサポート
社会復帰へのサポート
医師や関係機関と連携し、社会参加を支援
ご家族への支援
相談・アドバイス、社会資源の活用をサポート
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科に特化した訪問看護サービスを提供しています。
看護師・准看護師・作業療法士が訪問し、退院後の生活支援や服薬管理、再発予防まで幅広く対応。利用者さまが抱える不安や悩みに寄り添い、「トラウマやPTSDを抱える方が安心して生活できる環境づくり」を大切にしています。
また、家族へのサポートも充実しており、患者さまだけでなくご家族の安心にもつながる体制を整えています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
当ステーションでは、東京23区を中心に、西東京市・武蔵野市・三鷹市・調布市・府中市・東久留米市・埼玉県一部の地域に訪問可能です。
記載のエリア以外でも訪問できる場合がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
訪問は週1〜3回が基本ですが、状態によっては週4回以上の対応も可能。祝日や土曜も訪問を行っており、「生活に寄り添う柔軟なサポート」を実現しています。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ

トラウマとPTSDは別物だが密接に関係している
衝撃的な出来事は「トラウマ」として心に刻まれますが、多くは時間の経過とともに回復していくケースがあります。しかし、強烈な体験による恐怖や不安が長く続き、日常生活に支障をきたす状態が続いた場合、それはPTSDへと発展している可能性があります。
トラウマとPTSDは異なる概念ですが、密接に結びついていることを理解することが、早期発見・早期治療の第一歩となります。
PTSDは適切な治療で改善できる
PTSDは決して「治らない病気」ではありません。薬物療法や心理療法を組み合わせ、必要に応じて訪問看護などの支援を受けることで、回復への道が開けます。
症状が重くても、焦らず段階的に治療を進めることで改善が期待できるのです。適切な治療と支援があれば、再び安心して生活することをへの道筋が見えてきます。
一人で抱え込まず専門家に相談することが大切
PTSDの症状は本人だけでなく、家族や周囲の生活にも影響します。そのため、一人で悩みを抱え込むのではなく、専門家や医療機関へ早めに相談することが重要です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、トラウマやPTSDに悩む方やそのご家族に寄り添い、退院後の支援から社会復帰まで幅広くサポートを行っています。
少しでも不安を感じている方は、ぜひご相談ください。あなたの回復への第一歩を私たちが一緒に支えます。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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