アルコール依存症のステージについてご紹介
アルコール依存症の「ステージ」という言葉をご存知ですか?
ステージとは、アルコール依存症の軽度から重度までの段階的な状態を表す単語です。
アルコール依存症はある日突然発症するのではなく、日々のアルコールの大量摂取が積み重なって起きる依存症です。
アルコール依存症のステージを知り、今自分自身がどのような状況なのかを確認してみてくださいね。
アルコール依存症のステージ
アルコール依存症は進行性の精神疾患であり、4段階のステージでアルコールへの依存度が進行します。はじめに、アルコール依存症のステージについて見ていきましょう!
ステージとはアルコール依存度段階のこと
1日平均60g以上のお酒を飲み続けることを多量飲酒といいますが、多量飲酒を続けていると、自分では気づかないうちにアルコール依存症などの飲酒問題を引き起こすと考えられています。
アルコール依存症はある日突然なるわけではなく、時間の経過に伴って徐々にアルコール依存症の症状が現れてきて、最終的には肝硬変などで死亡することもあります。
アルコール依存症の進行段階のことをステージといい、アルコール依存症は「依存症との境界線」「依存症初期」「依存症中期」「依存症後期」の4段階のステージで進行します。
ステージと飲酒の影響度
依存症との境界線
・依存が始まる前段階
依存症初期
・飲酒が日常化する
・アルコールに対する耐性がつく
依存症中期
・身体がアルコールを無意識に要求する
・離脱症状が現われる
依存症後期
・日常生活・仕事が困難になる
・社会的信用・家庭を失う
・飲酒による健康問題や死を指摘される
・食事をとらず飲酒を続ける
依存症の境界線は、多量飲酒が習慣化する前段階です。この段階では、まだ依存症とまでは言えませんが、二日酔いで仕事や生活に支障をきたす可能性があります。
依存症初期のステージでは、多量飲酒が習慣化し、飲酒時の記憶がなくなる「ブラックアウト」の症状が頻繁に起こるようになります。この段階では、すでに依存症の可能性が高いと言えます。
依存症中期のステージでは、飲酒のコントロールができなくなり、身体が無意識にアルコールを求めるようになってしまいます。この段階では、依存症を自覚し、治療を始めるべきです。
依存症後期のステージになると、肝硬変などの身体的症状が現れ、生命に危険が及ぶこともあります。
アルコール依存症にならない適正量
ビール:1日あたり500ml
焼酎:1日あたり100ml
日本酒:1日あたり1合弱
アルコールの適量は、アルコール依存症のリスクを減らすために重要です。厚生労働省によると、男性は純アルコール量で1日20g以下、女性や高齢者は10g以下が節度ある適度な飲酒量とされています。
1日の純アルコール量は、ビール1缶(500ml)、日本酒1合、焼酎1杯です。ただし、アルコールの耐性は個人差があるため、自分自身の適量を知っておくことが大切です。
飲酒を続けると必ずアルコール依存症になるわけではありませんが、過剰飲酒を続けるとアルコール依存症になるリスクが高まります。
アルコール依存症のステージ①依存症との境界線
アルコール依存症になるのを防ぐには、依存症との境界線を越えないように適正量の飲酒をすることが大切です。では次に、依存症との境界線のステージを見ていきましょう!
依存症との境界線になり得る状況
- 健康診断再検査
- 休肝日が作れない
- 二日酔い
- 飲酒が止まらない
- 記憶の消失
上記に該当する場合は依存症との境界線のステージに入っているため、健康診断で再検査を受けたり、二日酔いをすることが多くなってきた時は酒量を減らすことが必要です。
アルコール依存症になると多量飲酒が止まらなくなるため、お酒を飲まない休肝日を作ったり、何日間か禁酒をするとアルコール依存症になるのを防げます。
泥酔して記憶を消失するブラックアウトの症状が目立つようになってくると、アルコール依存症になる手前ですので、禁酒をするか酒量を大幅に減らす努力が必要になってきます。
記憶の消失は次のステージへ上がる兆候
依存症との境界線のステージではブラックアウトが最も深刻な症状であり、お酒を飲んで記憶の消失を頻繁に繰り返す場合は次のステージへ上がる兆候です。
次のステージへ上がってしまうとアルコール依存症の初期段階になるため、依存症との境界線を越えないようにするための努力が必要になってきます。
お酒を一切飲まない「断酒」をするのが一番良い方法ですが、お酒の量を徐々に減らしていき、適正量の飲酒を常に意識することがアルコール依存症の防止につながります。
アルコール依存症のステージ②依存症初期
依存症との境界線を越えてしまうと、依存症初期のステージに進行します。では次に、依存症初期のステージについて見ていきましょう!
依存症初期では精神がアルコールに依存し始める
依存症初期のステージになると飲酒のコントロールができなくなり、お酒なしでは生きられないほど精神的にアルコールに依存するようになってきます。
症状がさらに進むと、家庭や仕事よりもお酒を飲むことを優先させるようになり、酒気帯び運転で交通事故を起こすなど、深刻な事態が発生することもあります。
泥酔をして記憶を消失するブラックアウトは頻繁に起こり、健康診断では肝機能や血圧値の異常が目立つようになってきて、身体的にもアルコールに依存するようになってきます。
アルコール依存が進む心理的状況
- ほろ酔いで満足できなくなる
- 飲みすぎてしまう
- お酒なしではいられない
依存症初期のステージでは、ほろ酔いでは満足できなくなり、適正量を大幅に上回る多量飲酒を毎日続けるようになってきます。
この段階で禁酒をしたり酒量を減らすことができると症状の悪化を防げますが、多量飲酒をやめることができないと、お酒が中心の生活を送るようになってしまいます。
この段階で禁酒や減酒に成功すれば、依存症の進行を防ぐことができます。しかし、多量飲酒をやめることができなければ、依存症が進行し、お酒が中心の生活になってしまいます。
アルコール依存症のステージ③依存症中期
依存症中期のステージになると、身体がアルコールに依存するようになってきます。では次に、アルコール依存症の中期のステージを見ていきましょう!
禁断症状が出始める段階
依存症中期のステージになると、アルコールに対する依存が身体的に深刻化し、発汗、震え、不安などの離脱症状が現れます。
これらの症状は、飲酒を再開することで一時的に緩和されますが、飲酒をやめると再発します。
また、依存症中期のステージでは、飲酒をコントロールする能力が失われ、酒量がさらに増えていきます。そのため、健康や仕事、家庭生活に深刻な問題を引き起こすようになります。
周囲とのトラブルが出始める
- 問題行動を起こす
- 酒を飲みたくて嘘をつく
- 二日酔い緩和の為迎え酒を飲む
依存症中期のステージでは、アルコールの依存が深刻化し、日常生活や社会生活に大きな支障をきたすようになります。
症状や行動により、仕事や学業に支障が出たり、家族や友人との関係が悪化したりします。また、肝機能の低下や脳の損傷などの身体的症状も深刻化していきます。
この段階では、本人は依存症を自覚していても、治療や支援を受けることに抵抗を感じる人が多いです。しかし、この段階で治療や支援を受けなければ、依存症がさらに悪化し、生命に危険が及ぶこともあります。
アルコール依存症のステージ④依存症後期
アルコール依存症が進行すると、最終的には依存症後期のステージに至ります。では次に、アルコール依存症の後期のステージについて見ていきましょう!
酒なしでは生きられなくなる
- 生活が困難化
- 家庭・社会的信頼の失墜
- 食事よりも飲酒が第一になる
依存症後期のステージでは、アルコールへの依存が完全にコントロール不能となり、日常生活や社会生活が完全に破綻します。
上記のような症状や行動により、飲酒が原因で仕事を辞めたり、夫婦喧嘩が絶えず離婚をするなど、仕事や家庭も失ってしまうことも多く、社会的信頼は失墜してしまいます。
食事をせずにお酒だけを飲むようになるため栄養不足の状態に陥り、精神状態や健康状態はますます悪化してきます。
内臓疾患が顕著になる
依存症後期のステージでは、アルコールの大量摂取による内臓疾患や脳の損傷が顕著になり、本人は社会から孤立し、生命の危険にさらされます。
具体的には、脂肪肝やアルコール性肝炎、肝硬変などの肝臓病、脳の萎縮や認知機能の低下による認知症、心臓病や糖尿病などの生活習慣病、がんなどが現れます。
この段階で治療や支援を受けなければ、死に至ることもある危険な状態です。
アルコール依存症のステージを進めないために
アルコール依存症のステージの進行を止めるには、多量飲酒をしないことが大切です。では次に、アルコール依存症のステージを進めないための方法を見ていきましょう!
アルコールを多量摂取をしない工夫
- 1日の酒量を守る
- アルコールが進む行為をしない
- 休肝日を設ける
1日の酒量を守るためには、飲む量を事前に決めておくことが大切です。
飲み会やお酒の席では、最初から飲み過ぎないように、水やお茶を飲んだり、食事を摂ったりして、アルコールの吸収を遅らせましょう。また、周囲の人に「今日はもう十分」と断る勇気も必要です。
休肝日を設けることで、肝臓を休ませることができます。休肝日を設ける場合は、週に1日程度、お酒を飲まない日を設けるのがよいでしょう。また、1週間に1日以上の休肝日を設けるようにしましょう。
アルコールが進む行為とは
多量飲酒を防ぐには、アルコールが進む行為を避けることが大切です。
空腹時にお酒を飲むと、血中アルコール濃度が急激に上昇し、酔いやすくなったり、二日酔いの症状が重くなったりします。
飲み会の席で、周囲の人に流されてお酒を飲むと、自分で飲む量をコントロールできなくなり、多量飲酒につながる可能性があります。
ストレスや悩みを抱えているときにお酒を飲むと、アルコール依存症のリスクが高まる可能性があります。
お酒を飲むときは、お酒を飲むペースをゆっくりにする、水やお茶を飲みながらお酒を飲むなど、工夫しましょう。
依存症に陥ったら早期治療を行う
依存症に陥ったら、早期治療が大切です。
アルコール依存症は、初期の段階で治療を開始することで、回復の可能性が高まります。そのため、アルコール依存症の兆候が見られたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
アルコール依存症は精神疾患であり、心療内科や精神科などで治療を受けることができます。また、アルコール依存症の専門医療機関も存在します。
医療機関では、抗酒薬による薬物療法や断酒教育プログラムなどを受けることができます。これらの治療を受けることで、アルコール依存症からの回復を目指すことができます。
精神科訪問看護を利用するという手段もある
精神科訪問看護の利用プラン・利用内容
サービス名 | 精神科訪問看護 |
---|---|
職種 | ・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数 | ・原則週3日以内 |
精神科訪問看護は精神科や心療内科に通院され精神疾患と診断されている方、診断はなくとも睡眠障害などで医師が訪問看護が必要と判断された人が対象です。
看護師や作業療法士などの医療スタッフが医師の指示のもと自宅へ訪問し、病状観察や日常生活指導、また家族支援などのサポートを行います。
通常、訪問は医療保険を利用し週3回まで可能で、1回の訪問は30分から90分と決められています。体調や病状に合わせて訪問回数や時間を調整します。
外出が難しい方や精神科への入退院を繰り返している方、ご家族がどのように関わっていけばいいか困っている方は訪問看護を検討してみましょう。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
シンプレはアルコール依存症のサポートも行います!
シンプレ訪問看護ステーションではアルコール依存症をお持ちの方の訪問看護も行っています。
シンプレ訪問看護ステーションとは
シンプレ訪問看護ステーションは精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しており、アルコール依存症や薬物依存症などの依存症にも対応しています。
アルコール依存症をお持ちの方が、病気と付き合いながら自分らしい生活ができるように、自主性を尊重した看護サービスを提供しています。
また、病院、行政、在宅との情報共有を行い、それぞれの専門性を活かしながら治療や社会復帰のサポートができるのも特徴です。
シンプレは訪問看護サービスを通して利用者の不安を受け止め、治療への頑張りを一緒に共有し、心から安心できる居場所づくりをお手伝いします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
アルコール依存症は進行性の精神疾患であり、4段階のステージを理解して、次のステージに進まないように努力をすることがアルコール依存症の予防や回復につながります。
アルコール依存症のステージが進むと在宅療養で治療を続けることがありますが、なかなか一人でアルコール依存に向き合っていくことは難しいので精神科訪問看護の利用も考えてみるといいでしょう。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神疾患に特化した訪問看護を提供しておりますのでアルコールでお悩みで訪問看護のご利用検討されたい1度話を聞いてみたいなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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