複雑性ptsdの治療方法を解説!

こんにちは。皆さまは複雑性PTSDという言葉をご存じですか?
PTSDには種類があって、虐待やDVなどのように長期的・もしくは繰り返されたトラウマの場合は複雑性PTSDと呼ばれています。
今回はその複雑性PTSDの治療法について詳しく説明していきます。
PTSDにより、外に出るのが怖いと感じているかたは訪問看護の利用がおすすめですよ。
複雑性PTSDの治療法にはどのようなものがある?
薬物療法
複雑性PTSDは、精神科や心療内科などの医療機関で治療することが可能です。はじめに、複雑性PTSDの治療法を見ていきましょう!
薬名 | 効果 |
---|---|
パロキセチン![]() |
抑うつ気分・不安 緊張を和らげる |
ジェイゾロフト![]() |
不安・落ち込み 無気力・眠れない等の症状改善 |
複雑性PTSDの主な治療法として薬物療法が挙げられ、精神科や心療内科の医師は問診や検査などを行い、患者さんのPTSDの症状に応じたお薬を処方します。
パキシルというお薬はパロキセチンが有効成分で、即効性はありませんが、継続して服用すると脳内の神経伝達がスムーズになり、不安や緊張を緩和できます。
ジェイゾロフトというお薬はセルトラリンが有効成分で、脳内の神経伝達物質を調整する作用があり、不安感や気分の落ち込みを和らげる効果が期待できます。
対人関係療法
複雑性PTSDは長期間にわたって虐待や暴力を受けてきたことが原因で発症するため、人と接する際に恐怖感を抱いてしまい、良好な対人関係を築けないことがあります。
対人関係療法は「安心・安全」な環境で、複雑性PTSDの原因になった過去のトラウマと向き合うことで、トラウマを克服してPTSDからの回復を目指す療法です。
対人関係療法を受けると、フラッシュバックなどの症状が出た場合でも対応策がわかり、パニックにならずに適切に対処できるようになり、対人関係の不安も解消されます。
複雑性PTSDに有効な認知行動療法とは?
複雑性PTSDの有効な治療法として、お薬を使わない非薬物療法の認知行動療法が挙げられます。では次に、2種類の認知行動療法を見ていきましょう!
持続エクスポージャー療法
持続エクスポージャー療法は「PE療法」とも呼ばれる認知行動療法で、認知(ものの考え方や受け取り方)に働きかけて、患者さんの気持ちを楽にするための治療法です。
安全な環境下でトラウマの記憶を思い出させ、PTSDを発症するきっかけになったトラウマに慣れさせることで、患者さんはトラウマを乗り越えられることを学びます。
持続エクスポージャー療法を受けた患者さんは70~80%程度の回復がみられ、複雑性PTSDの治療法として大変有効ですが、療法を行える施設や専門家が少ないことがネックです。
眼球運動脱感作療法
虐待や暴力を受けた時には、強い恐怖感で「目が点になる」ことがありますが、眼球の動きが止まると、その時に体験した出来事が未処理の体験として脳内にずっと残ります。
眼球運動脱感作療法(EMDR療法)とは、PTSDのきっかけになったトラウマ体験を思い出しながら、眼球を左右に動かすことで気持ちを楽にする療法です。
安全な環境でトラウマ体験を動画を観るように思い出しながら眼球を動かすことで、脳が未処理になっている体験を処理することができ、トラウマを克服できます。
そもそも複雑性PTSDってなに?
PTSDは複雑性PTSDと単純性PTSDの2種類に分けられます。では次に、複雑性PTSDと単純性PTSDの違いを見ていきましょう!
複雑性PTSDとは
長期間にわたって虐待を受けたり、繰り返し暴力を受けたような人は、心が深く傷ついてしまい、トラウマ体験が蘇ってフラッシュバックなどの症状が現れることがあります。
このように、長期的・慢性的に恐怖感にさいなまされ、身震いするようなつらい出来事を体験した人が発症することが多いPTSDを複雑性PTSDといいます。
種類 | 原因 |
---|---|
単純性PTSD![]() |
事故・災害 性犯罪など |
複雑性PTSD![]() |
虐待・DV・拷問など |
単純性PTSDは、戦争や事故、災害、性的犯罪被害などがPTSDを発症するきっかけになり、複雑性PTSDと同じように、トラウマ体験が蘇ってフラッシュバックなどの症状が現れます。
東日本大震災や阪神大震災などの大きな災害や交通事故などに遭遇し、命に関わるような恐怖体験をした人は単純性PTSDを発症することがあります。
複雑性PTSDと単純性PTSDの違いは、PTSDのきっかけになったトラウマ体験の期間と反復性で、トラウマ体験が長期に及ぶ場合は複雑性PTSD、短期的な場合は単純性PTSDになります。
ただし、心に傷を負う度合いは個人差があり、長期間にわたって虐待や暴力を受けた場合であっても、必ずしもPTSDを発症するとは限りません。
単純性PTSDとの違い
種類 | 原因 |
---|---|
単純性PTSD | 事故・災害 性犯罪など ![]() |
複雑性PTSD | 虐待・DV・拷問など![]() |
単純性PTSDは、戦争や事故、災害、性的犯罪被害などがPTSDを発症するきっかけになり、複雑性PTSDと同じように、トラウマ体験が蘇ってフラッシュバックなどの症状が現れます。
東日本大震災や阪神大震災などの大きな災害や交通事故などに遭遇し、命に関わるような恐怖体験をした人は単純性PTSDを発症することがあります。
複雑性PTSDと単純性PTSDの違いは、PTSDのきっかけになったトラウマ体験の期間と反復性で、トラウマ体験が長期に及ぶ場合は複雑性PTSD、短期的な場合は単純性PTSDになります。
複雑性PTSDの特徴
複雑性PTSDになるとどのような症状が現れるのでしょうか?では次に、複雑性PTSDの特徴について見ていきましょう!
①感情の制御が困難になる
親から長期間にわたって虐待を受けた人に多い症状ですが、長期間に及ぶ逃れようのない恐怖体験で感情の制御が困難になり、突然泣いてしまうなど情緒が不安定になります。
神経が過敏になって突然怒り出すこともあり、事情を知らない人は突然泣いたり怒ったりするので驚いてしまい、人間関係にも支障をきたすことがあります。
絶えずびくびくしていて些細なことで驚いたり、持続的な興奮状態やうつ状態から抜け出せないなど人によって症状はさまざまです。
②自分を否定的に捉える傾向が強い
複雑性PTSDの患者さんは、親からの虐待や人からの暴力などは全て自分に責任があると思い込んでしまい、自己卑下や挫折感、無価値感など自分を否定的に捉える傾向があります。
低い自尊心しか持てなくなると、周囲の人との間で良好な人間関係を築けなくなり、日常生活や社会生活に支障をきたすこともあるでしょう。
自信が欠如すると、実際は高い能力があっても能力を十分に発揮できなくなり、良い結果を出せないことでますます自信をなくすという悪循環に陥ります。
③対人関係を上手く築けない
長期間にわたって虐待や暴力を受けると、人に対する不信感が募り、人に対して親近感や愛情を抱けなくなったり、他者と持続的な関係を築くことが困難になることがあります。
他人との接触を避けて自分の殻に閉じこもったり、無理に親しくしようとして態度がぎこちなくなるなど、良好な人間関係を築けなくなってしまいます。
症状がひどくなると、家の外に出るのが不安で引きこもりになったり、仕事ができなくなるなど、ごく普通の社会生活を送ることが困難になる場合もあります。
PTSDのおもな症状
PTSDになるとどのような症状が出るのでしょうか?では次に、PTSDの主な症状について見ていきましょう!
フラッシュバック
症状 | 内容 |
---|---|
フラッシュバック![]() |
トラウマになった内容を生々しく思い出す。 |
フラッシュバックはPTSDの代表的な症状であり、日本語では「再体験症状」といい、PTSDを発症するきっかけになったトラウマ体験が蘇り、再体験しているような感覚に陥ります。
また、トラウマになった体験が繰り返し夢に出てくることもあり、悪夢を繰り返し見ていると質の高い睡眠が取れなくなり、不眠症などの睡眠障害になることも多いです。
フラッシュバックや悪夢が繰り返されると、動悸や呼吸困難、吐き気などの症状が出て、適応障害や摂食障害、パニック状態、うつ状態などの合併症を引き起こします。
回避
症状 | 内容 |
---|---|
回避![]() |
トラウマ体験の内容を思い出す事を避ける。 |
回避の症状とは、トラウマ体験を思い出させるものを避けようとする行動を取ることです。トラウマと結びつく人や場所、物などを避けるあまり、生活に支障が出ることもあります。
例えば、交通事故の被害に遭ったことが原因でPTSDになると、車が怖くて外出できなくなったり、性的犯罪被害に遭った方が異性を避けるなどの行動が回避に該当します。
自分では気づかないうちに無意識で回避行動を取ることもあり、行動が制限されることで通常の日常生活・社会生活が送れなくなるケースもあります。
記憶の問題
症状 | 内容 |
---|---|
記憶の問題![]() |
過去やトラウマ体験の記憶が欠如している。 |
PTSDになるとトラウマになった出来事にフタをすることで、トラウマ体験の記憶や過去の体験の記憶が欠如することがあり、これを解離性障害や解離性健忘といいます。
解離性障害はいわゆる記憶喪失のことで、性被害に遭ったことがトラウマになって発症したPTSDによく見られ、男性よりも女性の方がなりやすい傾向があります。
まれなケースですが、自分が今まで体験してきたことの全ての記憶がなくなる「全般性健忘」の状態になることもあります。
外に出るのが不安な方は精神科訪問看護を利用しよう
PTSDになると外に出るのが不安で、通院治療が困難になることがあります。そのような場合は、精神科訪問看護の利用をおすすめします!
精神科訪問看護とは?
精神科訪問看護とは、精神疾患で在宅療養をしている方の自宅に、看護師や作業療法士などの医療従事者が訪問し、主治医の指示に従って適切なケアを行うサービスです。
精神科訪問看護ステーションはPTSDにも対応しており、自宅療養をしている患者さんの自宅を医療従事者が訪問し、患者さんが早期に社会復帰ができるように支援を行います。
在宅療養でPTSDから回復したい方は、精神科訪問看護も選択肢に入れ、利用を検討されると良いでしょう。
医療保険は適用されるの?
精神科訪問看護は国民健康保険や社会保険などの公的医療保険の適用が可能です。
公的医療保険の適用を受けられるのは、医師から「訪問看護指示書」の交付を受けた40歳未満の方と、40歳以上で要支援認定・要介護認定を受けていない方になります。
また、認知症以外の精神疾患により精神科訪問看護が必要な方も公的医療保険の適用を受けることが出来ます。
精神科訪問看護のサービス利用料金
負担割合 | 3割 | 2割 | 1割 |
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初回訪問![]() |
3,897円 | 2,598円 | 1,299円 |
2回目以降![]() |
2,565円 | 1,710円 | 855円 |
上記は正看護師or作業療法士が訪問した料金となります。
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
上記は医療保険を利用した際の精神科訪問看護のサービス利用料金となります。
また、上記のほかに早朝や深夜などの時間外訪問や、1回あたり1時間30分の訪問など、医師から健康状態に沿った訪問看護の指示があった場合は別途料金が発生します。
収入や年齢によっては、医療保険だけでなく自立支援受給者証、東京都や市区町村が行っている助成制度が適用され、1~3割の自己負担額が0円になる場合がございます。
詳しくはお近くの保健センターにお問い合わせください。
精神科訪問看護なら当ステーションにお任せ!
では最後に、東京を拠点に精神科訪問看護サービスを提供している当ステーションをご紹介いたします。
シンプレ訪問看護ステーションについて
シンプレ訪問看護ステーションは精神に特化した訪問看護サービスを提供しており、PTSDやPTSDによるうつ状態などの合併症にも対応しています。
精神疾患の専門知識がある看護師がご利用者様の状況・状態に応じて、医師の指示に基づいてサポートを提供し、ご家庭や地域社会で安心して生活を送れるように支援します。
シンプレ訪問看護ステーションには、PTSDに関する専門知識が豊富なスタッフが多数在籍しており、利用者様の主体性を尊重したケアを行い、早期の社会復帰をサポートします。
訪問看護の対象エリア
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<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションは、東京都を拠点に訪問看護サービスを展開しております。
他のエリアにお住まいの方も、ご相談いただければ対応できる場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
PTSDを治療して社会復帰するならシンプレへご相談ください
長期間にわたって虐待を受けたり、繰り返し暴力を受けたような人は心が深く傷つき、複雑性PTSDを発症することがありますが、PTSDは医療機関で治療することが可能です。
複雑性PTSDになると、外出することが困難になる場合がありますが、精神科訪問看護を利用すると自宅療養で複雑性PTSDを治療できます。
シンプレ訪問看護ステーションは精神に特化した訪問看護サービスを提供しており、PTSDやうつ状態などの合併症でお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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