認知症の睡眠障害と昼夜逆転の原因・対応|シンプレ訪問看護
夜になっても眠ってくれない、真夜中に起き出して家の中を歩き回る、昼間はうとうとしているのに夜だけ目がさえている——認知症の介護をしていると、こうした眠りの問題に悩まされることが少なくありません。認知症の睡眠障害は、ご本人だけでなく家族の眠りも削っていきます。この記事では、認知症の睡眠障害に多い症状のパターンや原因、受診の目安と相談先、薬との付き合い方、家庭でできる工夫、そして訪問看護でできる支えまでを、順番に整理してお伝えします。
認知症の睡眠障害とは

認知症の睡眠障害とは、認知症にともなって眠りのリズムや質が崩れ、夜に眠れない・日中に眠り込む・夜間に起き出して行動するといった状態が続くことをいいます。もの忘れや段取りの難しさといった認知機能そのものの症状とは別に、暮らしの中であらわれる症状のひとつとして整理されます。家族が最も疲れる症状のひとつでもあり、相談の入り口になることの多いテーマです。
眠りのリズムが崩れることで起こる
人の体には、朝の光や食事、日中の活動によって整えられる約1日周期のリズムがあります。認知症では、このリズムを刻む脳のはたらきや、眠りをうながすホルモンの分泌に変化が生じ、夜にまとまって眠ることが難しくなるといわれています。その結果、夜の眠りが細切れになり、日中に眠気がずれ込むという形になりやすくなります。眠れないこと自体よりも、「眠る時間帯がずれてしまう」ことが問題の中心になるのが、加齢による不眠との大きな違いです。
加齢による眠りの変化との違い
年齢を重ねると、誰でも眠りは浅くなり、夜中に目が覚める回数が増えていきます。60歳以上では、何らかの睡眠の問題を抱えている人が少なくないとされています。ただし加齢による変化は、朝までに何度か目が覚めても本人が困っていない、日中の生活が回っている、という範囲におさまることがほとんどです。一方で認知症の睡眠障害では、夜中に起きて着替えて外に出ようとする、家族を起こして同じ話を繰り返すなど、生活そのものが立ち行かなくなる場面が出てきます。「年のせい」で片づけず、生活に支障が出ているかどうかで線を引いて考えることが大切です。
本人と家族の生活の両方に影響する
夜眠れない状態が続くと、ご本人は日中の活動量が減り、日中に眠ることでさらに夜眠れなくなる、という循環に入りやすくなります。夜間の歩き回りは転倒の危険とも隣り合わせです。同時に、そばで見守る家族も夜中に何度も起こされ、睡眠不足のまま日中の家事や仕事に向かうことになります。介護する側が眠れない状態は長くは続けられません。夜の困りごとは、ご本人の症状としてだけでなく、家族の生活を守る視点からも早めに相談してよいテーマです。
認知症の睡眠障害に多い症状のパターン

ひと口に認知症の睡眠障害といっても、あらわれ方はさまざまです。寝つけないのか、夜中に起きてしまうのか、夕方から落ち着かなくなるのか、眠っている最中に動くのかによって、考えられる背景も、相談したときの対応も変わってきます。まずは「どの形か」を分けるところから始めると、受診や相談の場でも話が伝わりやすくなります。
寝つけない・夜中に何度も目が覚める
布団に入ってもなかなか寝つけない、いったん眠っても1〜2時間おきに目を覚ます、明け方に目が覚めてそのまま眠れない、といった形です。認知症では眠りが浅くなり、途中で目覚める回数が増えやすいとされています。目が覚めたときに、今が夜であることや自分がどこにいるのかがわかりにくくなると、不安から起き出して家族を探すこともあります。夜中の行動の多くは、不安や困りごとが引き金になっています。何を探しているのか、何が不快なのかを一緒に確かめると、落ち着くきっかけが見つかることがあります。
昼夜逆転と日中の強い眠気
夜に眠れないぶん日中に眠り、そのためにまた夜眠れなくなる状態です。日中に長く眠ってしまうと、体のリズムを整える光や活動の刺激が届きにくくなり、逆転が固定されやすくなります。デイサービスの利用日だけは夜眠れる、といった変化が見られることもあり、日中の過ごし方の影響は大きいといえます。ただし、日中の強い眠気は薬の影響や、脱水・感染症など体調の変化が背景にあることもあるため、急に眠り込むようになった場合は自己判断せず、かかりつけ医に相談してください。
夕方から落ち着かなくなる
日中は穏やかに過ごせていたのに、夕方から夜にかけて不安が強まり、そわそわして歩き回る、「家に帰る」と言って出ていこうとする、大きな声が出るといった状態があらわれることがあります。夕方から夜間に不穏になるこうした状態は、介護の現場では「夕暮れ症候群」と呼ばれています。はっきりした原因はまだわかっていないとされていますが、体内時計の変化や、暗くなることで周囲が見えにくくなること、一日の疲れなどが関係すると考えられています。夕方に照明を早めにつける、静かな環境にするといった工夫で和らぐ場合があります。
眠っている間に大声を出したり体が動く
眠っている最中に大声で寝言を言う、腕を振り回す、隣で寝ている家族をたたいてしまう、といった状態です。夢の内容に合わせて体が動いてしまうもので、レム睡眠行動障害と呼ばれます。特にレビー小体型認知症で多くみられるとされ、認知症と診断される何年も前からあらわれることもあるといわれています。本人や家族がけがをする危険があるため、この形が疑われるときは、我慢して様子を見るのではなく、脳神経内科や精神科などの専門の医師に相談することが大切です。
認知症の睡眠障害が起こる原因

認知症の睡眠障害には、脳の変化そのものによるものと、暮らしの中の条件によるものが重なっています。脳の変化は治せなくても、生活の条件のほうは変えられる余地があります。原因をひとつに決めつけず、いくつかの要素が重なっているという前提で見ていくと、家庭でできることと、医療に相談したほうがよいことを切り分けやすくなります。
脳の変化と体内時計の乱れ
睡眠と覚醒のリズムは、脳の中にある体内時計のはたらきと、夜になると分泌が増えるメラトニンなどのホルモンによって調整されています。認知症では、この体内時計にあたる部分の神経細胞が減ったり、メラトニンの分泌が低下したりすることで、昼と夜のメリハリがつきにくくなるといわれています。眠る力そのものが弱くなる変化なので、「気合いで生活を戻す」という考え方ではうまくいきません。外からリズムの手がかりを届けるという発想に切り替えることが、対応の出発点になります。
日中の活動量や光を浴びる時間の不足
体内時計は、朝の光と日中の活動によって毎日調整されています。外出の機会が減り、日当たりの悪い部屋で一日を過ごし、会話も少ない生活が続くと、リズムを整える手がかりが極端に少なくなります。日中に光と活動が足りないと、夜の眠りは浅くなります。認知症になると自分から予定を組み立てることが難しくなるため、朝カーテンを開ける、洗濯物を一緒にたたむといった小さな役割を、周囲が用意する意味は大きいといえます。
痛み・かゆみ・頻尿など体の不調
夜間の落ち着かなさの背景に、体の不快感が隠れていることは珍しくありません。腰やひざの痛み、皮膚の乾燥によるかゆみ、便秘、夜間に何度もトイレに行きたくなる状態、息苦しさなどです。認知症が進むと、こうした不調を言葉で説明することが難しくなり、そわそわ・興奮という形で表に出ることがあります。いつもと違う様子が続くときは、まず体調の変化を疑い、かかりつけ医に相談してください。睡眠時無呼吸のように、治療によって夜間の状態が変わる病気が隠れていることもあります。
薬の影響や不安・環境の変化
飲んでいる薬の副作用で日中に眠気が強く出て、夜眠れなくなることもあります。反対に、夜に飲む薬が合わずに、かえって落ち着かなくなる場合もあります。また、入院や引っ越し、家族構成の変化など、環境が変わった直後は不安が強まりやすくなります。薬の内容や飲み方の判断は主治医が行うものですが、気づいた変化を記録して伝えることは家族にもできます。自己判断で中止せず、気になる点は受診時に伝えるようにしてください。
認知症のタイプ別にみる眠りの特徴

認知症の睡眠障害は、原因となる病気のタイプによってあらわれ方に傾向があるとされています。同じ「夜眠らない」でも、背景が違えば注意すべき点も変わります。診断はあくまで医師が行うものですが、タイプごとの傾向を知っておくと、家庭での様子を伝えるときに役立ちます。
アルツハイマー型認知症
最も多いタイプで、加齢にともなう眠りの変化がより強くあらわれるといわれています。眠りが浅く途中で目覚める回数が増え、日中の居眠りが増えて昼夜のリズムが崩れやすくなります。夕方から不安や落ち着かなさが強まる状態も、このタイプで見られやすいとされています。朝の光と日中の活動でリズムを支えることが、対応の柱になります。進行にともなって夜間の見守りの負担が増えていくため、早い段階から介護保険のサービスを組み合わせておくと、家族の生活を保ちやすくなります。
レビー小体型認知症
眠っている間に夢に反応して動いたり大声を出したりするレム睡眠行動障害が高い頻度で見られるとされ、幻視や手足の動かしにくさ、日によって頭のはたらきに波があることなども特徴とされています。加えて、このタイプでは一部の薬に過敏に反応することが知られており、睡眠薬や精神を落ち着かせる薬の使い方に特に注意が必要とされています。市販の睡眠改善薬などを自己判断で使わず、主治医に相談してください。転倒しやすさもあるため、夜間の環境を整えることが特に重要になります。
血管性認知症
脳梗塞や脳出血などが背景にあるタイプで、障害を受けた場所によって症状の出方が変わるとされています。眠りに関しては、夜間の不眠や日中の傾眠が見られるほか、睡眠時無呼吸や、夜間の頻尿・排尿のトラブルが重なって眠りが分断されることもあります。高血圧や糖尿病の管理が生活の土台になるため、内服や血圧の状態を含めて主治医と共有しておくと安心です。手足の麻痺がある場合は、夜間にトイレへ向かう動線の安全確認も欠かせません。
認知症の睡眠障害で受診を考える目安と相談先

認知症の睡眠障害は、家庭の工夫だけで抱えるには重すぎることがあります。どこに相談すればよいのかがわからないまま時間が過ぎてしまうケースも多いため、相談先の選択肢を先に知っておくことが役立ちます。相談は早いほど選べる手が多いという点は、覚えておいて損のない考え方です。
受診を考えたいサイン
次のような状態が見られるときは、早めに医療機関に相談することをおすすめします。
- 夜間に外へ出ようとする、玄関の鍵を開けようとする
- 夜中に転んだ、ぶつけたなど、けがにつながる出来事があった
- 眠っている間に大声を出す、腕や足が激しく動く
- 数日のうちに急に眠らなくなった、逆に急に眠り込むようになった
- 日中の眠気が強く、食事や水分がとれていない
- 介護している家族が眠れず、心身の限界を感じている
特に、急な変化には体の病気や薬の影響が隠れていることがあります。ゆっくり進む認知症の症状とは分けて考え、短期間で様子が変わったときは受診を優先してください。
かかりつけ医やもの忘れ外来への相談
最初の相談先は、普段の体調を知っているかかりつけ医で構いません。血液検査や飲んでいる薬の見直しから、眠れない背景が見えてくることもあります。認知症の診断や、専門的な検討が必要な場合には、もの忘れ外来や脳神経内科、精神科などにつないでもらえます。地域には、専門的な鑑別診断や対応の相談を担う認知症疾患医療センターも整備されています。どこにかかればよいか迷うときは、かかりつけ医や次に紹介する窓口に相談すれば、地域の受け皿を教えてもらえます。
ケアマネジャーや地域包括支援センターの活用
すでに介護保険を利用している場合は、担当のケアマネジャーが最初の相談相手になります。夜間の困りごとを伝えることで、通所サービスの回数を調整する、訪問看護を組み入れる、短期入所を検討するなど、ケアプランの見直しにつながります。まだ介護保険を使っていない場合は、お住まいの地域を担当する地域包括支援センターが窓口です。要介護認定の申請から相談にのってもらえます。認知症の初期に集中的に関わる支援チームを置く自治体もあり、受診につながりにくいときの助けになります。
夜の様子を記録して医師に伝える
限られた診察時間で状況を伝えるのは簡単ではありません。そこで役立つのが、夜の様子を数日分だけ書き留めたメモです。何時に布団に入り、何時ごろ目を覚まし、そのとき何をしたか、日中はどのくらい眠っていたか、を並べて書くだけで十分です。時間の流れが見える形にすると、医師も看護師も状況をつかみやすくなります。訪問看護を利用している場合は、こうした記録の付け方を一緒に相談することもできます。数日分でも、受診の場で話がぐんと具体的になります。
認知症の睡眠障害の治療と薬の考え方

認知症の睡眠障害では、いきなり睡眠薬を使うのではなく、まず生活と環境を整えるところから始めるのが基本の考え方とされています。専門の学会がまとめた診療の手引きでも、睡眠の習慣を整える指導や環境調整を先に行うことが示されています。薬を使う場合も、種類の選び方には高齢者ならではの注意点があります。ここでは、家庭で知っておきたい範囲を整理します。
生活リズムを整える工夫が土台になる
睡眠の習慣を整える指導として挙げられているのは、朝に日光を浴びること、日中に無理のない範囲で体を動かすこと、昼寝をとるなら30分以内にとどめること、夕方以降のカフェインを控えることなどです。どれも地味な内容ですが、体内時計に外から手がかりを届けるという意味では理にかなっています。薬より先に試す価値がある方法であり、薬を使う場合でも並行して続けることで効き方が安定しやすくなります。うまくいかない日があっても、続けること自体に意味があります。
睡眠薬を使うときに気をつけたいこと
生活の工夫を試しても眠れない状態が続く場合は、薬物療法が検討されます。近年は、覚醒を保つ物質のはたらきを抑えるオレキシン受容体拮抗薬や、体内時計にはたらきかけるメラトニン受容体作動薬などが、まず検討される選択肢として挙げられています。一方で、以前から広く使われてきたベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、せん妄・転倒・依存などのリスクがあるため、高齢者や認知症のある方には基本的にすすめられないとされています。日本老年医学会の指針でも、可能な限り使用を控えるよう示されています。どの薬を使うか、いつまで使うかを判断するのは主治医です。効いていないように見えても、自己判断で量を増やしたり中止したりせず、様子を伝えて相談してください。
ほかの病気や薬が影響していないかを見直す
眠れない原因が、認知症以外にあることも少なくありません。痛み、かゆみ、頻尿、息苦しさ、うつ状態、睡眠時無呼吸、むずむず脚といった状態は、それぞれ対応の方法が異なります。また、すでに飲んでいる薬の副作用が眠りに影響していることもあります。飲んでいる薬が複数の医療機関から出ている場合は、お薬手帳を1冊にまとめることで重複や飲み合わせを確認しやすくなります。薬局の薬剤師に相談できる点も、意外と知られていません。眠りの問題は、体全体の状態を見直すきっかけにもなります。
家庭でできる認知症の睡眠障害への工夫

ここからは、家庭で取り入れやすい工夫を紹介します。どれも眠りをすっかり元どおりにするためのものではなく、リズムを整えやすくし、夜の危険を減らすための備えです。全部やろうとしなくて構いません。続けられそうなものを一つか二つ選び、うまくいったかどうかを数日単位で見ていくくらいがちょうどよい進め方です。
朝の光と日中の過ごし方を整える
起きたらまずカーテンを開け、窓際で朝食をとるだけでも、光の量はかなり変わります。天気のよい日は短い散歩や庭先での作業を取り入れると、光と活動の両方を届けられます。日中の予定が空いてしまうときは、通所介護やデイケアの利用も選択肢になります。昼寝は昼過ぎまでに短くとるのが目安とされ、夕方の長い居眠りは夜の眠りを浅くしやすいといわれています。とはいえ、無理に起こし続けると不機嫌さが強まることもあるため、声のかけ方は日々の様子を見ながら調整してください。
夕方以降の環境をおだやかにする
夕方に不安が強まりやすい方には、暗くなる前に照明をつけて室内を明るく保つ、テレビの音量を下げる、来客や外出の予定を夕方に集中させない、といった工夫が助けになります。「帰る」と言って落ち着かないときは、正面から否定せずに、お茶を出す、一緒に座って話を聞くなど、いったん気持ちを受けとめる関わりが役立つことがあります。夜は入浴の時間を早めにする、寝る前の水分を極端に減らしすぎないなど、生活の順番を少し整えるだけでも変化が出る場合があります。
夜間の安全を確保する
夜中に起き出すことを完全に防ぐのは難しいため、起きても大きなけがにつながらない環境を先につくっておくことが現実的です。廊下やトイレまでの動線に足元灯を置く、床のコード類や段差をなくす、ベッドの高さを見直す、玄関の施錠を工夫するといった対策が挙げられます。転倒は夜間のトイレ移動で起こりやすいとされています。手すりや歩行の補助具は介護保険の福祉用具として相談できるので、必要そうならケアマネジャーに伝えてみてください。
家族が抱え込まないための考え方
夜間の対応が続くと、介護している方の睡眠不足が積み重なります。眠れない日が続いていると感じたら、それは相談してよいサインです。短期入所(ショートステイ)で数日休む、夜間や早朝にも対応する訪問系のサービスを組み合わせる、家族の間で夜の当番を分けるなど、方法はいくつもあります。休むことは介護の一部です。同じ立場の人が集まる家族会や、自治体の介護者向けの集まりで話をすると、気持ちが少し軽くなることもあります。一人で背負い続ける形にしないでください。
認知症の睡眠障害を支える訪問看護の役割

認知症の睡眠障害は、夜に起きている出来事であるだけに、診察室では伝わりにくい困りごとです。訪問看護は、主治医の訪問看護指示書にもとづいて生活の場に入り、体調や暮らしの様子を観察して主治医につなぐ役割を担います。家での様子を医療に橋渡しする窓口があることは、夜の困りごとを抱える家庭にとって心強い支えになります。ここでは、訪問看護がどのように関わるのかを具体的に見ていきます。
夜の様子を整理し主治医につなぐ
訪問看護師は、訪問のたびに睡眠の状況を確認し、いつ・どのくらい眠れているか、日中の過ごし方はどうか、夜間に何が起きているかを整理していきます。家族が書き留めたメモを一緒に見返し、どの情報が受診時に役立つかを確かめることもできます。気づいた変化は主治医へ報告され、薬の調整や検査の判断に生かされます。治療方針や薬の内容を決めるのは主治医ですが、その判断のもとになる生活の情報を届けるのが訪問看護の役割です。
服薬の状況と体調の変化を観察する
睡眠に関わる薬は、効きすぎても効かなくても生活に影響します。訪問看護では、飲めているか、日中にふらつきや強い眠気が出ていないか、食事や水分がとれているか、便通はどうかといった点を観察します。眠れない背景に痛みや発熱、脱水が隠れていることもあるため、体調の変化を早めに見つけて共有します。これまで家庭で続けてきた飲ませ方や声のかけ方を一緒に確認しながら、無理なく続けられる形を探していきます。
介護する家族の相談相手になる
夜間の対応は、正解がわからないまま毎晩続くことが負担になります。訪問看護では、夜中に起き出したときの声のかけ方や、転倒を防ぐための環境の整え方について、その家の間取りや生活に合わせて一緒に考えることができます。掃除や買い物といった生活援助は訪問介護(ヘルパー)の役割になるため、必要に応じてケアマネジャーに橋渡しし、サービスを組み合わせる形を相談します。相談できる相手がいるという状態そのものが、介護を続けるうえでの支えになります。
利用の始め方と費用の目安
訪問看護は、主治医が交付する訪問看護指示書があって初めて始められます。認知症で要介護認定を受けている方の訪問看護は、原則として介護保険の給付となり、ケアマネジャーが作るケアプランに組み込んで利用します。40歳から64歳の方でも、初老期における認知症は介護保険の特定疾病にあたるため、要介護認定を受ければ介護保険で利用できます。要介護認定を受けていない場合は医療保険での利用となり、急に状態が悪くなったときに主治医が特別訪問看護指示書を交付した期間も医療保険のあつかいになります。どちらになるかは、かかりつけ医やケアマネジャー、ステーションが整理してくれます。
介護保険で訪問看護を利用する場合の費用は、次の単位数をもとに計算されます。
| 訪問の時間 | 単位数(1回) | 1割負担の目安 |
|---|---|---|
| 20分未満 | 314単位 | 約330円 |
| 30分未満 | 471単位 | 約490円 |
| 30分以上60分未満 | 823単位 | 約860円 |
| 60分以上90分未満 | 1,128単位 | 約1,180円 |
表の金額は自己負担分で、実際の支払いは所得に応じて1割から3割に分かれます。1単位あたりの単価は地域によって差があり、東京23区などではこの目安より高くなります。また、1か月の自己負担が上限を超えた分は高額介護サービス費として払い戻され、住民税課税世帯は月44,400円、住民税非課税世帯は月24,600円などの上限が定められています。生活保護を受けている方は介護扶助の対象となり、自己負担が生じない場合があります。※2026年9月時点の制度をもとにした一般的な目安です。最新の金額や適用は、お住まいの市区町村の介護保険窓口やケアマネジャーにご確認ください。
なお、夜間や休日の連絡に備えた24時間対応の体制は、訪問看護ステーションの多くが届け出ています。ただし実際にどこまで対応できるかはステーションによって異なるため、契約の前に確認しておくと安心です。
認知症の睡眠障害の在宅ケアでシンプレ訪問看護ステーションができること

認知症の睡眠障害は、原因の見当をつけることと、夜の安全を確保すること、そして介護する家族が休めるようにすることを、同時に進めていく必要があります。どれも一度に整うものではなく、暮らしの様子を見ながら少しずつ調整していく作業です。生活の場に定期的に入る訪問看護は、その調整を続ける役割を担えます。シンプレ訪問看護ステーションでも、認知症のある方とご家族の在宅生活を支えています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは、看護師をはじめとする専門職がご自宅にうかがい、体調の観察や服薬状況の確認、療養生活の相談をおこなっています。認知症のある方の訪問では、睡眠と日中の過ごし方のバランス、食事や水分のとれ方、転倒につながりそうな環境などを、暮らしの流れに沿って確認します。ご家族がこれまで続けてこられた関わり方をうかがったうえで、無理なく続けられる形を一緒に考えることを大切にしています。不安や気分の落ち込みへの支援を得意としてきた経験も、夜間の不穏や不安が強い場面での関わりに生かしています。医療的な判断や薬の内容は主治医が決めるものですので、私たちは観察した内容を主治医へ報告し、必要な調整につなぐ立場で関わります。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 東京23区
- 立川市
- 武蔵野市
- 三鷹市
- 府中市
- 昭島市
- 調布市
- 西東京市
- 小金井市
- 小平市
- 日野市
- 東村山市
- 国分寺市
- 国立市
- 福生市
- 狛江市
- 東大和市
- 清瀬市
- 東久留米市
- 武蔵村山市
- 多摩市
- 稲城市
- 和光市
- 朝霞市
- 志木市
- さいたま市
- 蕨市
- 川越市
- ふじみ野市
- 所沢市
- 川口市
- 戸田市
- 富士見市
- 新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の回数は週1回から3回程度が目安で、状態に応じて回数を増やして相談することもできます。1回の訪問時間はおおむね30分から90分の範囲で、土曜・祝日の訪問についてもご相談いただけます。ご本人への支援だけでなく、夜間の対応に悩むご家族からのご相談にも対応しています。介護保険の利用や他のサービスとの組み合わせについては、ケアマネジャーと連携しながら進めていきます。
※お受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。まずはお問い合わせから対応可否をご確認ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|認知症の睡眠障害は一人で抱えず相談から

認知症の睡眠障害は、寝つけない、夜中に何度も起きる、昼夜が逆転する、夕方から落ち着かなくなる、眠っている間に体が動くなど、いくつかの形であらわれます。背景には、体内時計の変化に加えて、日中の光や活動の不足、痛みや頻尿といった体の不調、薬の影響、環境の変化などが重なっていることが少なくありません。まずは朝の光と日中の過ごし方を整え、夜の安全を確保するところから始め、急な変化や夜間のけが、眠っている間の激しい動きが見られるときは、かかりつけ医やもの忘れ外来に相談してください。
薬を使う場合も、高齢の方には注意が必要な種類があり、判断は主治医が行います。介護保険を使っている方はケアマネジャー、これからの方は地域包括支援センターが相談の窓口になります。夜眠れない状態は、家族だけで抱え続けるものではありません。訪問看護は、家での様子を医療につなぎ、夜の環境づくりや介護する方の相談にも関わることができます。認知症の睡眠障害でお困りのことがあれば、シンプレ訪問看護ステーションへお気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報をまとめたものです。制度の内容や保険のあつかいは年度の改定・地域・ご本人の状態により異なる場合があります。また、シンプレ訪問看護ステーションがお受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。ご利用を検討される際は、お問い合わせから対応可否をご確認ください。参考:日本認知症学会「かかりつけ医・認知症サポート医のための認知症診療ガイドライン」、日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」、日本睡眠学会「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」、厚生労働省、各市区町村の介護保険窓口。最新・正確な内容は各窓口でご確認ください。