認知症とうつの違いと見分け方・在宅支援|シンプレ訪問看護
「最近もの忘れが増えた」「一日中ふさぎ込んで、好きだったことにも興味を示さなくなった」。年を重ねたご家族にこうした変化が現れたとき、それが認知症のはじまりなのか、それともうつなのか、判断がつかずに戸惑う方は少なくありません。認知症とうつは症状が重なりやすく、専門の医師でも区別が難しいとされています。さらに、両方を併せもっている場合もあります。
この記事では、認知症とうつの関係、症状の違いを見分けるときの目安、うつが認知症のように見える「仮性認知症」、受診と検査の流れ、治療とご家族の関わり方、在宅療養にかかる費用や保険、そして訪問看護でできる支えまでを、順を追ってご紹介します。
認知症とうつはどのような関係があるのか

認知症とうつは、まったく別の病気として区別されています。それでも「認知症とうつ」がセットで語られるのは、高齢期においてこの二つが非常に近い場所にあるからです。厚生労働省の研究班の推計では、2022年時点の認知症の高齢者は約443万人、認知症の一歩手前とされる軽度認知障害の高齢者は約559万人とされ、合わせると高齢者のおよそ3.6人に1人にあたります。一方で、気分の落ち込みや意欲の低下も高齢期には決してめずらしいものではありません。両方が同時に起こることもあるため、「どちらか一方」と決めつけずに見ていくことが大切です。
高齢者に見られるうつの特徴
高齢者のうつは、若い世代のうつとは見え方が違うといわれています。「悲しい」「気分が落ち込む」といった訴えがはっきり出ないことが多く、代わりに不眠、食欲の低下、頭痛、めまい、便秘、体のだるさといった身体の不調として現れやすい傾向があるとされています。
また、意欲や集中力が落ち、考えるスピードが遅くなることで、もの忘れが増えたように見えることもあります。ご本人は「年のせい」「もう体がついていかない」と話すだけで、気持ちのつらさを言葉にしないこともめずらしくありません。周囲からは元気がなくなったようにしか見えず、うつが見過ごされてしまう理由のひとつになっています。
認知症にともなって現れるうつの症状
うつは、認知症そのものにともなって現れることもあります。認知症では、もの忘れなどの中核的な症状に加えて、不安、意欲の低下、抑うつ、興奮といった行動・心理面の症状が現れることが知られています。抑うつはその代表的なもののひとつです。
専門誌の報告では、認知症の方のうち抑うつが見られた割合はおよそ3人に1人とされ、認知症の種類別ではレビー小体型でもっとも多く、次いで血管性、アルツハイマー型、前頭側頭型の順に多かったとされています。とくにレビー小体型認知症は、初期に抑うつが目立ち、うつ病と区別がつきにくい時期があるといわれています。
うつと認知症が重なりやすい背景
なぜ両者は重なりやすいのでしょうか。ひとつには、うつが認知症の危険因子として働いている可能性が指摘されています。研究では、かなり以前のうつの既往があった方でも、その後にアルツハイマー型認知症を発症する割合が高まったと報告されており、うつが将来のリスクを高める要因なのか、それとも認知症のごく初期の症状として現れているのかは、いまも議論が続いているとされています。
もうひとつは、高齢期に重なる生活の変化です。配偶者や友人との死別、退職による役割の喪失、体の衰えや持病、外出の機会が減ることによる孤立。こうした重なりが気分の落ち込みを招きやすくすると考えられています。認知症の初期に「うまくできない」自分に気づき、そのつらさから気分が沈むこともあります。原因を一つに絞らず、体・心・環境の全体から見ていくことが、認知症とうつの理解につながります。
認知症とうつで見られる症状の違い

認知症とうつは、もの忘れ、意欲の低下、日常生活のしづらさなど、表面に出てくる姿がよく似ています。ただ、両者では症状の「出方」や「訴え方」に違いが見られることがあり、それが受診の際の手がかりになります。ここでは、医療の現場でよく整理される4つのポイントを取り上げます。あくまで目安であって、これだけで判断できるものではない点はあらかじめお伝えしておきます。
もの忘れの自覚と訴え方の違い
もっとも分かりやすいとされるのが、もの忘れに対するご本人の姿勢です。うつが背景にある場合、ご本人はもの忘れを強く自覚し、深刻に訴える傾向があるといわれています。「何も覚えられない」「頭が働かない」と、自ら困りごとを口にします。
一方で認知症では、もの忘れの自覚が乏しく、指摘されると「そんなことはない」と取り繕ったり、話題を変えたりすることが多いとされています。検査の場面でも違いが現れやすく、うつのある方は答えようとする努力が乏しく「わかりません」と答えることが多いのに対し、認知症の方は懸命に答えようとして間違えることが多い、と説明されています。
症状の始まり方と進み方の違い
始まり方にも違いが見られます。うつは、退職、死別、引っ越し、病気やけがといった何らかのきっかけのあとに、数週間から数か月という比較的はっきりした時期をもって始まることが多いとされています。ご家族が「去年の秋ごろから急に変わった」と時期を指摘できるケースもよくあります。
これに対して認知症は、はっきりしたきっかけがないまま、月単位・年単位でゆっくりと進んでいくのが一般的だとされています。「いつからと言われると分からないが、気づけば数年前とは違う」という語られ方をしやすいのが特徴です。
気分の落ち込みと一日のなかでの変化
気分の落ち込みは、うつでは中心的な症状として現れ、認知症では目立たないこともあります。認知症では、気分が沈むというより、そわそわして落ち着かない、大きな声を出す、歩き回るといった形で不調が表に出ることもあります。
また、うつでは一日のなかでの調子の変化、いわゆる日内変動が見られることがあり、朝がもっともつらく夕方にかけて楽になるという形をとりやすいとされています。認知症ではこうした規則的な変動は目立ちにくい一方、夕方から夜にかけて落ち着かなくなる方もいます。同じ「夕方」でも意味合いが異なるため、いつ、どんなときに調子が変わるのかを記録しておくと、受診の際に役立ちます。
妄想の内容に見られる違い
事実とは異なることを強く確信してしまう症状も、内容に違いが出やすいといわれています。うつでは、重い病気にかかっていると思い込む、取り返しのつかない罪を犯したと感じる、お金がなくなって生きていけないと訴えるといった、自分を責める方向の内容が中心になりやすいとされています。
認知症では、財布や通帳を「盗られた」と身近な人を疑う訴えが代表的です。介護している家族が疑われることも多く、ご家族にとってはとてもつらい場面ですが、これは記憶の障害と不安が重なって起こる症状のひとつと考えられています。
| 見るポイント | うつが背景にある場合 | 認知症の場合 |
|---|---|---|
| もの忘れの自覚 | 自覚があり、強く訴える | 自覚が乏しく、取り繕う |
| 始まり方 | きっかけがあり比較的はっきりしている | きっかけが不明で徐々に進む |
| 気分の落ち込み | 目立つ | 目立たないこともある |
| 一日のなかの変化 | 朝につらく夕方に楽になることがある | 規則的な変動は目立ちにくい |
| 妄想の内容 | 病気・罪・お金など自分を責める内容 | もの盗られなど周囲を疑う内容 |
この表はあくまで一般的な傾向を整理したもので、当てはまらない方も多くいらっしゃいます。両方が併存することもありますので、チェックリストのように使ってご家庭で結論を出すのではなく、気づいたことを書き留めて医師に伝える材料としてお使いください。
うつが認知症のように見える仮性認知症

認知症とうつを考えるうえで、ぜひ知っておいていただきたいのが「仮性認知症」という考え方です。認知症と診断される前の段階で、実はうつが背景にあったというケースがあり、この場合は治療によって認知機能の落ち込みが改善していくことが期待できるとされています。「認知症だから仕方ない」とあきらめる前に、一度立ち止まって考える価値のある視点です。
仮性認知症とはどのような状態か
仮性認知症とは、うつなどが原因となって、記憶力・集中力・判断力の低下といった認知症とよく似た症状が現れている状態を指す言葉です。うつが原因である場合は「うつ病性仮性認知症」とも呼ばれています。
大きな違いは、脳そのものに変性などの障害が起きているわけではない、という点にあります。気分の落ち込みによって思考や行動のスピードが落ち、注意を向ける力が弱まった結果として、もの忘れが目立って見えている状態と説明されます。うつが軽くなるにつれて、認知機能の面も戻っていくことが多いとされています。
仮性認知症で見られやすい症状
仮性認知症では、もの忘れや集中力の低下と並んで、気分の落ち込み、不安、焦り、意欲の低下といった抑うつの症状が強く出るのが特徴とされています。そのほか、眠れない、食欲がわかない、頭痛や便秘が続くといった身体の不調をともなうこともあります。周囲への関心が薄れ、「死にたい」といった言葉が出ることもあり、この場合は早めに専門の医師へ相談することが大切です。
もの忘れに対して深刻に悩み、自分から訴えるという点も、認知症との違いとして挙げられることの多いポイントです。脳の画像検査で明らかな異常が見られないこと、抗うつ薬による治療が効果を示しやすいことなども、区別の手がかりになるとされています。
仮性認知症の治療と回復の見通し
仮性認知症は、うつの治療によって症状の改善が期待できる状態です。休養と環境の調整、必要に応じた薬物療法や心理面の治療を組み合わせ、うつが軽くなるにつれて、集中力や記憶の面も落ち着いてくることが多いとされています。ただし回復には波があり、数週間で急に変わるというより、月単位でゆるやかに整っていく経過をたどることが一般的です。
一方で、うつと認知症が併存している場合には、うつの治療を行っても認知機能が完全には戻らないこともあるとされています。経過を見ながら診断が見直されることもあるため、治療を始めたあとも定期的に受診を続け、変化を主治医に伝えていくことが大切です。「うつの治療をしたのに良くならない」と感じたときこそ、自己判断で通院をやめず、そのまま相談してみてください。
認知症とうつを見分けるために医療機関で行われること

認知症とうつの区別は、症状の観察だけで決まるものではありません。医療機関では、問診、認知機能の検査、画像検査や血液検査などを組み合わせて、時間をかけて確かめていきます。ここでは、受診を考えたときにどこへ相談すればよいか、そして実際にどんなことが行われるのかを整理します。何を持っていけばよいかが分かるだけでも、受診のハードルはぐっと下がります。
はじめの相談先と受診先の選び方
まず思い浮かぶのは、ふだんから体調を診てもらっているかかりつけ医です。長く経過を知っている医師は、以前との違いに気づきやすく、必要に応じて専門の医療機関へ紹介してくれます。
専門的な検査を希望する場合は、もの忘れ外来、脳神経内科、精神科・心療内科、老年科などが選択肢になります。都道府県や政令市が指定する認知症疾患医療センターでは、鑑別診断や専門医療相談を担っています。「まだ受診と決めたわけではない」という段階なら、お住まいの地域包括支援センターに相談するという入口もあります。介護の相談窓口ですが、受診をためらうご家族からの相談も受け付けており、地域の医療機関の情報も持っています。
問診と認知機能の検査
診察では、いつ頃からどんな変化があったのか、きっかけになる出来事はあったか、生活のどの場面で困っているのかを聞き取ります。ご本人だけでなく、ご家族から見た様子も重要な情報になります。
認知機能を調べる検査としては、質問に答える形式のものが広く使われています。記憶や見当識、計算などを確認する検査に加えて、高齢者向けの抑うつの評価尺度を併用し、認知機能の低下と気分の落ち込みの両方を見ていくことがあります。検査は点数を競うものではなく、どの働きがどの程度保たれているかを知るためのものです。ご本人が緊張しすぎないよう、「調べてもらいに行こう」と穏やかに伝えられるとよいでしょう。
画像検査や血液検査で調べること
頭部のCTやMRIでは、脳の萎縮の程度や、脳梗塞・脳出血の跡がないかを確認します。必要に応じて、脳の血流を調べる検査が行われることもあります。仮性認知症では、脳の画像に明らかな異常が見られないことが多いとされています。
血液検査も欠かせません。甲状腺の機能低下やビタミンの不足など、治療で改善が見込める原因が隠れていることがあるためです。また、頭を打ったあとにゆっくり血がたまる慢性硬膜下血腫や、正常圧水頭症のように、治療によって症状が軽くなる可能性のある病気が見つかることもあります。認知症と決めつける前に、こうした原因を確かめることが検査の大きな目的のひとつです。
家族が受診時に伝えておきたいこと
診察の時間は限られています。あらかじめメモにまとめておくと、伝え漏れを防げます。整理しておきたいのは次のような内容です。
- いつ頃から、どんな変化に気づいたか
- きっかけになりそうな出来事があったか
- もの忘れを本人が気にしているか、指摘するとどう反応するか
- 眠り、食事、体重の変化
- 一日のなかで調子が変わる時間帯があるか
- できなくなった家事や手続き、危ないと感じた場面
- 飲んでいる薬とお薬手帳
薬の情報はとくに大切です。高齢の方は複数の医療機関から薬を受け取っていることがあり、薬の影響で意欲が落ちたり、ぼんやりしたりしている場合もあります。お薬手帳をまとめて持参し、市販薬やサプリメントも含めて伝えてください。
認知症とうつが疑われるときの治療と対応

認知症とうつの治療は、薬だけで完結するものではありません。薬による治療と、生活を整える関わり、そして周囲の接し方が組み合わさって、はじめて日々の過ごしやすさにつながっていきます。どの方法をどの順番で用いるかは、ご本人の状態や体の持病、飲んでいる薬によって変わるため、主治医が判断します。
うつに対する薬物療法の考え方
うつの治療では、気分の落ち込みを和らげる薬が用いられることがあります。高齢の方の場合は、体への負担やほかの薬との飲み合わせを考えて、少ない量から始めて慎重に調整するのが一般的だとされています。
効果があらわれるまでには時間がかかり、飲み始めてすぐに変化を感じられないことも多いものです。「効かないから」と自己判断でやめてしまうと、かえって症状が揺り戻すことがあります。眠気、ふらつき、口の渇き、便秘などが気になったときは、中止するかどうかを含めて主治医に相談してください。転倒につながる副作用は、高齢の方にとってとくに注意したい点です。
認知症の治療とうつ症状への対応
認知症そのものに対しては、進行のしかたに働きかける薬が用いられることがあります。ただし、抑うつや不安、興奮といった行動・心理面の症状については、まず環境や関わり方を見直すことから始めるのが基本的な考え方とされています。
たとえば、耳が聞こえにくくて会話に入れない、部屋が暗くて時間の感覚がつかめない、体の痛みをうまく訴えられない。こうした背景が気分の落ち込みや落ち着かなさにつながっていることがあります。原因が思い当たらないまま薬を増やすのではなく、暮らしの側から整えられることがないかを一緒に探していく。この順番が大切にされています。
生活リズムと活動を整える関わり
朝は決まった時間にカーテンを開けて日の光を入れる、日中は短くても体を動かす時間をつくる、昼寝が長くなりすぎないようにする。こうした生活リズムの工夫は、治療を支える土台になります。
とはいえ、これらは症状をなくすためのものではなく、治療を補う位置づけです。うまくいかない日があっても、ご家族が「できなかった」と責める必要はありません。続けられる形にととのえることのほうが大切で、家事の一部を一緒に行う、近所まで買い物に付き添う、昔から好きだったことに触れる時間をつくるなど、その方の暮らしに無理なく入るものから始めてみてください。
意欲の低下との違いをふまえた関わり
認知症では、気分の落ち込みとは別に、意欲そのものが乏しくなる状態が高い頻度で見られるとされています。前述の報告でも、抑うつよりもこの意欲の低下のほうが多く見られたとされています。以前はこれも抑うつの一部と考えられていましたが、近年は脳の器質的な変化にともなう別の症状群として区別されるようになってきたとされています。
この二つは、関わり方の面で違いがあります。気分の落ち込みがある場合、ご本人は「つらい」「申し訳ない」という苦しさを抱えています。一方、意欲が低下している場合は、本人につらさの自覚が乏しく、周囲が「怠けている」と受け取ってしまいがちです。励ましが負担になることもあるため、無理に急かさず、始めるきっかけを一緒につくる、最初のひと手間だけ手伝う、といった関わりが助けになります。どちらの状態なのかは見分けが難しいので、気づいたことを主治医や訪問看護師に伝え、一緒に考えていくとよいでしょう。
認知症とうつがある方を支える家族の関わり方

認知症とうつが重なると、ご本人だけでなく、支えるご家族にも大きな負担がかかります。何を言っても反応が薄い、以前の人柄と違って見える、そんな日々が続けば、戸惑いや苛立ちが生まれるのは自然なことです。ここでは、日々の関わりで意識しておきたいことと、抱え込まないための相談先をご紹介します。
励ますより安心を届ける声かけ
気持ちが沈んでいる方に「頑張って」「気の持ちようだよ」と伝えると、かえって追い詰めてしまうことがあります。ご本人はすでに頑張ろうとしていて、それができない自分を責めていることが多いためです。
意識したいのは、今のままで大丈夫だと伝わる声かけです。「無理しなくていいよ」「一緒にやろうか」「ここにいるからね」。内容そのものより、落ち着いた声の調子や表情のほうが伝わることもあります。もの忘れを指摘して訂正するより、まずは話したい気持ちを受け止める。この積み重ねが、安心して過ごせる時間につながっていきます。
家族だけで抱え込まないための相談先
認知症とうつの療養は長い期間にわたることが多く、ご家族だけで支え続けるのは簡単ではありません。次のような窓口があることを、知っておいていただきたいと思います。
- 地域包括支援センター(介護や生活全般の相談、介護保険の手続きの案内)
- 認知症疾患医療センター(専門医療相談、鑑別診断)
- 市区町村の高齢者福祉・介護保険の窓口
- 保健所・精神保健福祉センター(こころの健康に関する相談)
- 認知症の人と家族の会などの家族会、認知症カフェ
- 担当のケアマネジャー、かかりつけ医、訪問看護ステーション
同じ立場の方が集まる家族会や認知症カフェでは、実際に経験した人だからこそ分かる工夫を聞くことができます。気持ちを言葉にして誰かに聞いてもらうだけでも、抱えているものは軽くなります。「まだ相談するほどではない」と感じる段階でも、窓口はつながっておいて構いません。
支える家族自身の心と体を守る
介護を担うご家族が、気分の落ち込みや不眠を抱えてしまうことがあります。責任感が強い方ほど、休むことに罪悪感を持ちやすく、一人で抱え込みやすい傾向があるとされています。
休息をとることは、療養を続けていくために必要な備えです。介護保険を利用できる状態であれば、通所介護や短期入所を組み合わせて、ご家族が休む時間を確保するという方法もあります。介護から一時的に離れて休むこうした支えは、介護の現場では「レスパイト」と呼ばれています。どのサービスをどう組み合わせられるかは、ケアマネジャーが状況に合わせて整理してくれます。ご家族自身の眠れなさや気分の落ち込みが続くときは、遠慮なくご自身のかかりつけ医にも相談してください。
認知症とうつの在宅療養にかかる費用と保険

認知症とうつを在宅で支えていくうえで、避けて通れないのがお金の心配です。結論からお伝えすると、認知症とうつの療養には介護保険・医療保険に加えて、負担をやわらげる公的な仕組みがいくつも用意されています。ここでは2026年9月時点の制度をもとに、目安となる数字を挙げながら整理します。制度は年度の改定や自治体によって変わるため、最新の内容は各窓口でご確認ください。
介護保険と医療保険の使い分け
訪問看護には介護保険と医療保険のどちらも使われますが、どちらが適用されるかは年齢と要介護認定の有無で決まります。
65歳以上で要介護・要支援の認定を受けている方は、原則として介護保険が優先されます。40歳から64歳の方でも、介護保険の16種類の特定疾病のひとつである「初老期における認知症」に該当すれば、要介護認定を受けたうえで介護保険を利用できます。一方、うつだけでは16の特定疾病に含まれないため、40歳から64歳で認知症の診断がない場合は、医療保険での訪問看護となります。
例外もあります。精神科を標榜する医療機関の精神科の医師から「精神科訪問看護指示書」が交付された場合、精神科訪問看護は医療保険で提供されます。どの保険で利用するかは、診断名や指示書の内容によって決まるため、ご本人やご家族が判断する必要はありません。主治医、ケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー、訪問看護ステーションが整理してくれます。
自己負担の目安と負担をやわらげる仕組み
介護保険で訪問看護を利用した場合の費用は、訪問の長さによって決まる単位数をもとに計算されます。訪問看護ステーションから看護師が訪問する場合、30分以上1時間未満で823単位が目安です。1単位はおおむね10円で、地域によって多少前後します。
| 訪問の長さ | 単位数 | 1割負担のときの目安 | 2割負担のときの目安 |
|---|---|---|---|
| 20分未満 | 314単位 | 約350円 | 約700円 |
| 30分未満 | 471単位 | 約520円 | 約1,050円 |
| 30分以上1時間未満 | 823単位 | 約920円 | 約1,830円 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 1,128単位 | 約1,250円 | 約2,510円 |
※訪問看護ステーションから訪問した場合の目安です。表の金額はお支払いいただく自己負担分で、加算の有無や地域によって変わります。介護保険の自己負担割合は所得に応じて1割から3割です。
1か月の自己負担が重くなったときは、高額介護サービス費という仕組みがあります。介護保険サービスの自己負担が一定額を超えた分が、申請により後から払い戻されます。上限は所得によって段階が分かれており、住民税課税世帯で課税所得380万円未満の方は月44,400円、住民税非課税世帯は月24,600円、年金収入等が一定額以下の方や生活保護を受けている方は月15,000円が上限とされています。
自立支援医療や手帳などの制度
医療保険で精神科の治療を続ける場合は、自立支援医療(精神通院医療)を利用できることがあります。通院での精神医療にかかる医療費の自己負担が原則1割になり、所得に応じた月額の上限も設けられています。うつ病は対象となる疾患に含まれます。ただし介護保険の訪問看護とは併用できない点にご注意ください。
そのほかにも、次のような制度が負担の軽減につながります。
- 高額療養費制度(医療保険の1か月の自己負担に所得別の上限を設ける仕組み)
- 高額医療・高額介護合算療養費制度(医療費と介護費の年間合計が高額になったときの払い戻し)
- 精神障害者保健福祉手帳(税の控除や各種割引などにつながる場合がある)
- 障害者控除対象者認定(要介護認定を受けた方が対象になることがあり、所得税・住民税の障害者控除につながる)
- 生活保護を受けている場合の医療扶助・介護扶助
制度の名前が並ぶと手続きが大変そうに見えますが、どれが使えるか、どこに申請すればよいかは、市区町村の窓口、病院の医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーが一緒に整理してくれます。手続きをご家族が一人で調べ切る必要はありません。
認知症とうつがある在宅生活を支える訪問看護

認知症とうつがある方の在宅療養では、通院の合間の時間をどう過ごすかが大きな意味を持ちます。診察室では落ち着いて見えても、家では眠れていない、食事が進まない、薬が残っている。こうした変化に気づけるのは、実際に暮らしの場を訪ねる人です。訪問看護は、主治医が交付する訪問看護指示書にもとづいて看護師などが自宅を訪問し、暮らしの場で状態を確かめるサービスです。
体調と服薬の確認
訪問看護師は、血圧や脈拍、体温、食事や排せつの状況、体重の変化などを確認します。認知症とうつが重なっている方では、体の不調がうまく言葉にならず、痛みや便秘が気分の落ち込みや落ち着かなさとして現れることもあります。
薬の管理も大切な役割です。飲み忘れや重複がないか、残薬はどれくらいか、副作用と思われる様子がないかを確認します。飲み方の工夫はご家庭ごとに違うため、これまでのやり方を一緒に確認しながら、続けやすい形を探していきます。気になる点があれば主治医へ報告し、処方の見直しにつなげます。
生活リズムと気持ちの変化を見守る支援
起きる時間、日中の過ごし方、眠りの深さ、口数や表情。訪問を重ねることで、こうした変化を時間の流れのなかで捉えられるようになります。「先週より言葉が減った」「昼寝が長くなった」といった小さな違いが、状態を判断する手がかりになります。
また、ご本人にとって訪問看護師は、家族とも医師とも違う立場の相手です。家族には言いにくい不安や、診察では話しそびれたことを、訪問の時間にぽつりと口にされることもあります。話を聞き、必要なことを主治医へ橋渡しする。この役割も訪問看護が担っています。
家族の相談相手になる役割
訪問看護は、ご本人だけを対象にしたサービスではありません。ご家族が抱えている困りごとの相談にも応じます。もの盗られの訴えにどう返せばよいか、入浴を嫌がるときにどうするか、こうした日々の場面での対応を一緒に考えます。
ただし、看護師が正解を一方的に教えるわけではありません。ご家庭にはこれまで積み重ねてきたやり方があり、ご家族のほうが詳しいことも多くあります。一緒に確認しながら進めるのが実際の姿です。介助の方法で困っている場合や、生活面の手伝いが必要な場合は、訪問介護など使える制度・サービスへの橋渡しも行います。
主治医やケアマネジャーとの連携
訪問看護は単独で動くものではなく、主治医の指示のもとで提供され、観察した内容を報告して指示の精度を高めていく立場にあります。医療的な判断や治療方針を決めるのは主治医です。
介護保険を使っている場合は、ケアプランを作成するケアマネジャーとも情報を共有します。訪問の回数や時間は、ご本人の状態やご希望をふまえて、ステーションやケアマネジャーと相談しながら決まります。「週に何回来てもらえるのか」は状態によって変わるため、まずは相談のうえで組み立てていくとお考えください。
認知症とうつのある暮らしを支えるシンプレ訪問看護ステーション

認知症とうつが重なると、体のこと、気持ちのこと、暮らしのことが絡み合い、どこから手をつければよいか分からなくなりがちです。シンプレ訪問看護ステーションは、こころとからだの両面から在宅の療養を支えることを大切にしています。診察室では見えにくい家での様子を確かめ、主治医やケアマネジャーへつなぎながら、ご本人とご家族に伴走します。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科領域に力を入れてきた訪問看護ステーションです。認知症にともなう気分の落ち込みや不安、うつによる不眠や意欲の低下といった状態にも、日々の訪問のなかで向き合ってきました。
訪問では、看護師などの専門職がご自宅にうかがい、体調と服薬の確認、生活リズムの見守り、気持ちの変化への対応、ご家族からの相談対応などを行います。一人ひとりのペースを尊重することを基本に、「これまでどうされていましたか」と確かめるところから始め、ご家庭のやり方を踏まえて無理のない形を一緒に探していきます。医療的な判断は主治医が行い、当ステーションは観察と支援、そして主治医への橋渡しを担います。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 東京23区
- 立川市
- 武蔵野市
- 三鷹市
- 府中市
- 昭島市
- 調布市
- 西東京市
- 小金井市
- 小平市
- 日野市
- 東村山市
- 国分寺市
- 国立市
- 福生市
- 狛江市
- 東大和市
- 清瀬市
- 東久留米市
- 武蔵村山市
- 多摩市
- 稲城市
- 和光市
- 朝霞市
- 志木市
- さいたま市
- 蕨市
- 川越市
- ふじみ野市
- 所沢市
- 川口市
- 戸田市
- 富士見市
- 新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の回数は週1回から3回程度が目安で、状態によってはより多く訪問することもあります。1回の訪問時間はおおむね30分から90分で、土曜・祝日の対応も行っています。訪問の頻度や時間は、ご本人の状態とご希望、主治医の指示、ケアマネジャーとの調整をふまえて決めていきますので、まずはご相談ください。ご本人だけでなく、支えるご家族からのご相談も承っています。
※お受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。まずはお問い合わせから対応可否をご確認ください。
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認知症とうつの違いを知り、必要な支えにつながるために

認知症とうつは、もの忘れや意欲の低下といった似た姿を見せる一方で、もの忘れの自覚、始まり方、一日のなかでの調子の変化、妄想の内容などに違いが見られることがあります。うつが背景にあって認知症のように見えている「仮性認知症」であれば、治療によって改善が期待できるとされています。だからこそ、「年のせい」「認知症だから仕方ない」と決めてしまう前に、一度専門の医師に相談することが大切です。
受診では、問診と認知機能の検査に加えて、画像検査や血液検査で治療できる原因が隠れていないかも確かめられます。ご家族が気づいた変化のメモとお薬手帳は、そのまま診断の手がかりになります。治療が始まったあとも、薬だけに頼るのではなく、生活リズムを整える関わりや、安心が伝わる声かけが日々を支えていきます。
費用の面でも、介護保険と医療保険に加えて、高額介護サービス費や自立支援医療、高額療養費といった負担をやわらげる仕組みが用意されています。どれが使えるかは、市区町村の窓口や医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーが整理してくれます。そして、通院の合間の時間を支える手段として、訪問看護という選択肢があります。
認知症とうつを抱えながらの毎日は、ご家族だけで背負うには重いものです。相談できる先があること自体が、大きな支えになります。気になる変化があるとき、どこに相談すればよいか分からないとき、シンプレ訪問看護ステーションにもお気軽にお声がけください。
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※本記事は2026年9月時点の一般的な情報をまとめたものです。制度の内容や保険のあつかい、費用の目安は年度の改定・地域・ご本人の状態により異なる場合があります。また、シンプレ訪問看護ステーションがお受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。ご利用を検討される際は、お問い合わせから対応可否をご確認ください。参考:厚生労働省「認知症施策推進基本計画」「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」、厚生労働省「介護報酬の算定構造」「高額介護サービス費」、厚生労働省「自立支援医療制度の概要」、日本精神神経学会誌「うつ病と認知症との関連」、MSDマニュアル プロフェッショナル版。最新・正確な内容は各窓口でご確認ください。