うつ病の治療にはどんな方法がある?治療の注意点や接し方についても解説
うつ病の治療には「精神療法」や「薬物治療」、「休養・環境調整」があります。
再発を防いだり、悪化しないようにするためには、できるだけ早く治療を始めることが必要です。
今回この記事では、うつ病の「治療方法」について解説していきます。うつ病の症状でお悩みの方や、そういった方が身近にいるかたは参考にしてみて下さい。
うつ病の治療方法
休養・環境調整
うつ病になったら職場や学校で受けるストレスを極力減らすためにも、十分な休養と環境調整を心掛けましょう。
うつ病を抱える方の中には、会社を休むことで上司や同僚に迷惑をかけるのではないかと責任を感じる人も多いですが、自分ができることを無理なくやることが回復への近道です。
また、うつ病の症状として食欲不振や寝つけないなどの睡眠障害が見られる方は医師に相談し、職場での配置転換や残業時間の短縮、家事の分担などできる範囲で周囲へ助けを求めるのがよいでしょう。
精神療法
精神療法は、うつ病を発症するきっかけとなったストレスの対処法を学んで再発を防ぐもので、よく行われるものには「認知行動療法」と「対人関係療法」があります。
認知行動療法
ストレスを感じる場面を取り上げて、認知の歪みと呼ばれる物事の捉え方や考え方のクセを変えることで、うつ状態を悪化させる循環を断ち切る方法を学びます。
認知の歪みの具体例で言うと、仕事などで完璧を求めてしまったり、必要以上に自分を責めるなどの考え方の偏りがあります。
対人関係療法
うつ病のきっかけとなっている対人関係の具体的な問題について解消する力を高め、ストレスを軽減する目的で行われます。
これまでの対人関係の歴史や現在の対人関係を振り返り、自分の気持ちを伝える方法を学んだり、対話する方法を学んだりします。
薬物治療
うつ病の薬物治療では、セロトニン再取り込み阻害薬というSSRIやSNRIとよばれる「抗うつ薬」が良く使われます。
うつ病の原因のひとつに、脳内でのバランスの乱れがあると言われており、セロトニンは気分や情緒を調節するために重要な役割をもっています。
抗うつ薬は、このセロトニンの取り込みの仕組みに働きかけ、セロトニンの量を増やすことにより、うつ病の症状を和らげるために使用されます。
その他に、不眠気味だったり寝つきが悪いといった方には、睡眠導入剤や睡眠薬など、患者様の症状や状態に合わせて処方されます。
うつ病の症状
精神症状
・気分の落ち込み
・物事をネガティブな思考で考える
・興味を持てたことに関心を持てなくなる
・物事を楽しむ気持ち・喜ぶ気持ちを失う
うつ病で見られる精神症状には、意欲の低下や不安や焦り、イライラなどの感情の乱れにくわえて、集中力の欠如やミスの増加などの作業面の支障などがあります。
周りが気づきやすい症状は、意欲の低下や気分の落ち込みから、うつ病になる前と比べて飲酒量が増えたり、口数が減ったりするといった行動面の異常です。
このような思考面の変化や行動面の異常によって周囲とのかかわりが希薄になり、日常のさまざまな場面で悪影響を受けます。
身体症状
・不眠・過眠
・頭痛・めまい
・過食・拒食
うつ病というと精神症状を思い浮かべる人も多いですが、うつ病は頭痛や不眠、過眠などの身体症状が表れることもあります。
よくあるケースは身体症状をきっかけに医療機関で検査をしてもらったが、異常が見当たらずにいくつかの医療機関をまわって、精神科や心療内科の受診を勧められたケースです。
身体症状が精神症状よりも目立って表れる場合もあるので、気になる症状が続くときには精神科や心療内科を受診して、 医師に相談することをおすすめします。
うつ病の原因
うつ病の原因となるきっかけには複数の要因が重なって発症することが一般的です。
うつ病はいくつかの要因が重なって発症することが多く、人間関係や家庭内のトラブル、大切な人やものを失うなどのストレスフルな出来事が、うつ病のリスクを高めることがあります。
また、完璧主義や凝り性といった性格傾向の人もうつ病を発症しやすく、その他には遺伝的な要因や慢性的な身体疾患などもうつ病の発症の要因と考えられています。
うつ病の方が気を付ける事
- 休養をとる
- 生活リズムを整える
- 睡眠時間を確保し規則正しい習慣を身につける
- バランスのとれた健康的な食事をこころがける
うつ病の再発や悪化を防ぐためには、発症の引き金となるストレスを避け、睡眠や食事などの基本的な生活習慣を見直す必要があります。
脳と体を休ませるために十分な睡眠を取ることが大切で、とくに朝早く目が覚めてしまったり、寝つきが悪かったりする人は、できるだけ体内時計や生活リズムを整えましょう。
睡眠以外でいうと、飲酒や偏った食事を避けて栄養バランスの良い食事を心がけるのはもちろん、規則正しい時間に食事を取ることも大切です。
うつ病の方への接し方(ご家族や職場の方)
あなたの身近な人がうつ病になったとき、本人のいつもと違う様子に気づいて、相談につなげることが重要となります。
心の不調は自分では気づきにくい上に、気づいても職場や家族に迷惑をかけたくない気持ちから、自分自身で抱え込んで不調を悪化させるケースも多く見られるからです。
悲観的な発言が増えたり、眠れなくなったりと、本人が不調を訴える他に口数が減るなど他人から見えやすい変化があります。
無理やり原因を探すことや無理な特別対応など、本人のストレスになりうることは避けましょう。
うつ病の方が利用できる制度
休職・傷病手当
休職・傷病手当は、病気の療養で会社を休んでいる間に勤務先から給与が支払われないときに一定の手当がもらえる制度で、給与の支払いがあっても、給与の日額のkン額が、傷病手当金の日額より少ないときはその差額が支給されます。
対象は勤務先の健康保険に加入している人で、最長で1年6カ月の期間にわたり、標準報酬月額の2/3を日割りした金額が休んだ日数分に応じて支給されます。
市区町村の健康国民保険には休職・傷病手当制度はなく、勤務先の健康保険に加入している被用者本人になるなど、いくつかの条件があるので確認が必要です。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は精神障害が理由で社会生活と日中生活に制約がある方を対象とした手帳のことで、所持者が一定の精神障害の状態であることを認める制度です。
1~3級まで障害の程度が分かれていて、3級の場合は日常生活もしくは社会生活が制限を受ける、あるいは日常生活か社会生活に制限を加える必要がある程度のものと定義されています。
全国一律に受けられるサービスは、公共料金の免除や税金の免除などがあり、地域によっては、公共交通機関が安くなるなど金銭面のメリットもあります。
自立支援制度について
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療制度は心身の障害を抱える方もしくは継続的な精神通院医療が必要と判断された方を対象に、医療費の自己負担額を減らす公費負担医療制度です。
所得に応じて一月あたりの負担上限額は変動し、月額総医療費の1割がこれに満たない場合は1割まで負担を減らせます。
医師から意見書をもらい、管轄の自治体へ申請することで発行されますが、申請してから証明書の受け取りまで1~2ヶ月はかかるので、早めに申し込むのがよいでしょう。
うつ病の方が相談できる窓口
電話相談窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談統一ダイヤル
SNS相談窓口
・こころのほっとチャット
・生きづらびっと
うつ病患者は周りに迷惑をかけてはいけないと悩みを一人で抱え込みがちですが、悩みを抱えている人の状況にあわせて、相談員が話を聞いてくれる窓口があります。
電話相談と聞くと「生きることに疲れた」「死にたい」などの命をつなぐイメージがありますが、相談窓口の対象は、若者全般を対象としているものや10代~20代女性の悩みなどさまざまです。
電話での相談に抵抗がある方はLINEやSNSをつかったチャット相談サービスがあり、
それらを通じて地域の誰もが立ち寄って気軽に相談できる居場所へのつなぎもおこなっています。
精神科訪問看護のサポートを得ることも可能
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神訪問看護とは、精神科勤務経験や研修を受け資格を持っている看護師や作業療法士等が精神疾患をもつ方の自宅に直接訪問して、在宅医療を提供するサービスです。
訪問時間については医療保険の場合は30分から1時間半程度となっています。ご利用者様の体調に合わせて時間を調整いたします。
また訪問回数は基本的に週に3回まで利用することはできます。ただし条件によっては週に4回以上利用することも可能です。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
うつ病の治療では、家族のサポートや安心できる環境作りが重要なため、精神科訪問看護では安心して自宅療養できる環境を整え、再発を予防していきます。
服薬状況の確認や、生活の状況を関係機関や医師への連携を行ったり、本人の悩みを克服できるよう生活リズムを整える方法を一緒に見直します。
訪問してご本人様と面会ができない場合でも、ご希望があればご家族様からの相談を受けることも可能であったりと、それぞれの利用者様にあった看護を行います。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら看護を受けられる
- 対人関係や日常生活の相談ができる
- 食や生活のアドバイスをもらえる
精神科訪問看護のメリットは外出が難しい方でも、自宅という慣れた環境でサポートが受けられ、患者の症状以外に対人関係の相談や日常生活に関する相談もできることです。
家事や食事、入浴に困難さを感じているときに、生活訓練やショートステイなど困りごとに応じたサービスを提案してくれるので、自分でサービスを探す手間が無くなります。
また前述した通り、規則正しい生活を送るための食生活の乱れについて、精神医療の専門職からアドバイス受けられ、うつ病の悪化を防ぐことができます。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレは精神科に特化した訪問看護ステーションで、精神科の勤務経験者(精神科の経験が無い人は研修を受けて在籍)が在籍しており、、精神疾患患者を看護したい気持ちをもったスタッフが集まっています。
専門的な知識をもったスタッフがいるため、利用者の個性を伸ばしながら、自主性の尊重を大切にしています。
また、必要に応じて医療機関や行政と連携を取り、社会資源の活用もしながら、患者の状況に合わせて社会復帰のサポートをします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
今回はうつ病の治療や症状、利用できる制度について、具体例を挙げながら解説しました。
うつ病の治療は、生活リズムやバランスのよい食事などの基本的な生活習慣を整えた上で、医師の判断でさまざまな療法をおこなうのが基本です。
どこにいても相談ができる電話やチャット相談サービスに加えて、病院まで足を運べない人や精神疾患をもっていて社会復帰を目指す人を支える精神訪問看護というサービスがあります。
シンプレは精神に特化した訪問看護サービスで、患者と社会の架け橋になれるよう、あなたの生活を支えます。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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