ナルコレプシーの症状とは?突然の眠気・情動脱力など詳しく解説
ナルコレプシーは「日中に強い眠気が繰り返し起こる」ことで知られる睡眠障害の一つですが、実際の ナルコレプシーの症状 がどのようなものなのか、詳しく知らない方も多いかもしれません。
思春期から若い年代で発症するケースが多いといわれていますが、年齢にかかわらず誰にでも起こり得るため、早めに特徴を理解しておくことが大切です。
この記事では、ナルコレプシーの基礎知識から原因、検査、治療方法、相談先までを分かりやすく解説します。もし日中の強い眠気や不安を感じている方がいれば、ぜひ参考にしてみてください。
ナルコレプシーとは?

ナルコレプシーの定義
ナルコレプシーとは、脳の睡眠と覚醒のリズムを調整する働きが乱れることで、日中に制御できない眠気が繰り返し起こる疾患です。夜にしっかり眠っていても突然眠り込んでしまうことがあり、生活に大きな影響を与えることがあります。特に、仕事中や運転中など集中が必要な場面で眠気が生じると危険につながるため、早期発見と適切な対処が重要です。
発症年齢と有病率
ナルコレプシーは10代後半〜20代で症状が出始めるケースが多いとされますが、どの年代でも発症する可能性があります。日本を含め世界的にみても、過眠症の中では比較的知られた疾患であり、本人が「疲れているだけ」と思い込み、受診が遅れてしまうこともあります。早めに特徴を知っておくことで、症状を見逃しにくくなります。
放置した場合のリスク
ナルコレプシーを放置してしまうと、突然の眠気による事故リスクが高まるだけでなく、学業や仕事、日常生活の質が大きく低下してしまいます。また、眠気や自分ではどうにもならない症状が続くことで、自己肯定感の低下や精神的ストレスを抱える人も少なくありません。適切な治療や生活調整を行うことで症状は大きく改善するため、不安がある場合は早めに専門医へ相談することが大切です。
ナルコレプシーにはどんな症状がある?

突然強い眠気に襲われ眠ってしまう(睡眠発作)
ナルコレプシーの症状として最もよく知られているのが、日中に急に眠気が強まり、そのまま寝てしまう「睡眠発作」です。夜にしっかり眠っていても、脳が覚醒状態を保てないため、思いがけないタイミングで眠気に襲われてしまいます。特に、仕事中や会話中でも急に意識が遠のくことがあり、生活への支障は小さくありません。運転中や危険作業時に発作が起こると事故につながる可能性があるため、早めの対策が求められます。思春期〜若年層で発症しやすい傾向はありますが、どの年代でも発症し得る点も特徴です。
情動脱力発作を伴うこともある
強い眠気に加えて、ナルコレプシーでは「情動脱力発作」が見られることがあります。これは、笑う・驚く・怒るといった感情の変化をきっかけに全身の力が抜けてしまう症状で、膝が崩れたり、体が支えられなくなってしまう場合があります。発作は予測が難しく、突然力が抜けて転倒する危険もあるため、周囲の理解と注意が必要です。日常で感情が動く場面は多いため、本人にとってストレス要因となることもあります。
睡眠麻痺や夜間熟眠障害などを伴うこともある
ナルコレプシーの症状は日中の眠気だけではなく、夜間の睡眠にも影響することがあります。代表的なのが「睡眠麻痺(いわゆる金縛り)」で、脳は起きていても身体が動かせない状態が突然起こります。また、夜間の眠りが浅く、何度も目が覚めてしまう「夜間熟眠障害」が生じるケースも少なくありません。これらは、睡眠と覚醒の切り替えがうまくいかないことが原因とされ、日中の眠気がさらに強まる悪循環を引き起こすことがあります。そのため症状の全体像を理解し、適切に対処することが大切です。
ナルコレプシーになってしまう原因は?
脳内にある神経細胞の機能低下
ナルコレプシーの大きな原因として考えられているのが、脳内にある覚醒を維持する神経細胞の働きが弱まることです。特に「オレキシン」と呼ばれる物質が不足することで、睡眠と覚醒の切り替えが不安定になり、日中に強い眠気や突然の睡眠発作が起こりやすくなります。このオレキシンの欠乏は、脳の覚醒システムそのものに影響を与えるため、十分に寝ているはずなのに目覚めを維持できないといった ナルコレプシーの症状 につながります。覚醒のリズムがうまく調整できなくなることで生活全体に影響が及ぶ点が特徴です。
感染症などによる自己免疫過程への影響
もう一つ注目されているのが、感染症をきっかけに免疫が自分の神経細胞を攻撃してしまう「自己免疫反応」です。風邪やインフルエンザなどの感染後にナルコレプシーが発症するケースが報告されており、脳脊髄液中のオレキシン濃度が低下する原因のひとつと考えられています。症状が突然あらわれる人がいるのも、こうした免疫反応の影響による可能性があります。日常的な感染症によっても脳機能に変化が生じる場合があるため、気になる症状が続くときは早めに医療機関へ相談することが大切です。
頭部外傷や遺伝的な要因で起こることも
頭部への強い衝撃がきっかけで、覚醒に関わる神経がダメージを受け、ナルコレプシーを発症する例もあります。また、家族内で発症しやすい傾向がみられることから、遺伝的な影響も無視できません。ただし、遺伝子だけでなく、生活環境やストレス、感染症など複数の要因が重なって発症すると考えられており、遺伝=必ず発症ではありません。そのため個々の症状や背景を丁寧に確認しながら理解することが重要になります。
ナルコレプシーの検査・診断方法は?
睡眠ポリグラフ検査(PSG)
・脳波
・眼球運動
・心電図
・筋電図
・呼吸曲線
・いびき
・動脈血酸素飽和度など
入院日数
一泊二日
睡眠ポリグラフ検査(PSG)は、睡眠中の体の状態を詳しく調べるための基本的な検査で、ナルコレプシーの診断でも重要な役割を持ちます。脳波や呼吸状態などを同時に記録することで、睡眠の質や眠りの深さ、無呼吸の有無などを確認できます。入院が必要ですが、痛みはなく、検査中も体を動かしたりトイレに行くことも可能です。夜間睡眠の状態を把握することは、日中の強い眠気(ナルコレプシーの症状)を評価するための前提となる大切な工程です。
反復睡眠潜時検査(MSLT)
・2時間おきに睡眠潜時を計5回検査
・眠気の程度を評価
反復睡眠潜時検査(MSLT)は、日中にどれくらい早く眠りに入ってしまうかを測定する検査です。2時間ごとに複数回の仮眠チャンスを設け、眠りに入るまでの時間(睡眠潜時)を記録します。短時間で睡眠に入るほど眠気が強いと判断され、ナルコレプシーの診断に有用です。なお、この検査を受けていないと、過眠症関連の薬の処方が難しい場合もあるため、正確な診断に欠かせない検査と言えます。
覚醒維持検査
睡眠判定指標を用いた入眠潜時の測定
入院日数
・20分または40分の検査
・2時間間隔で4回
検査費用
保険適応外のため要問い合わせ
覚醒維持検査は、眠りやすい環境でも「どれくらい起き続けられるか」を測定する検査です。強い眠気があるほど覚醒を維持できなくなるため、その程度を客観的に判断できます。MSLTと組み合わせることで、日中の眠気の強さを多角的に評価でき、治療方針を決める際にも役立ちます。検査結果は平均値で比較し、症状の重さを可視化します。
ナルコレプシーの治療方法は?
生活指導(規則正しい睡眠・短時間の昼寝など)
ナルコレプシーの治療では、薬物療法だけでなく、生活習慣を整えることも非常に重要です。まず取り組むのは「睡眠のリズムを整える」ことで、毎日ほぼ同じ時間に就寝・起床する習慣づけを行います。また、昼間に強い眠気が出やすい方には、短時間(15〜20分程度)の仮眠を取り入れる方法も有効です。睡眠記録表をつけることで自分の眠気の波を把握しやすくなり、日常生活の調整にも役立ちます。生活面の改善は、ナルコレプシーの症状の安定にもつながるため、治療の土台となる大切なステップです。
薬物療法(中枢神経刺激薬・抗うつ薬など)
症状が中等度以上の場合には薬物療法が必要となります。日中の眠気が強い方には、中枢神経刺激薬を用いて覚醒を促す治療が行われることが多く、夜間に眠りが浅い場合には睡眠薬が処方されるケースもあります。情動脱力発作がある場合は抗うつ薬が効果を示すこともあり、症状に合わせて薬を選択します。ただし、どの薬にも副作用の可能性があるため、自己判断で調整せず、医師の指示に従って使用することが大切です。薬と生活調整の両面から向き合うことで、日常の活動が続けやすくなります。
家族や周囲のサポートの重要性
ナルコレプシーは、見た目から症状が分かりにくいことも多く、周囲に理解されにくい疾患でもあります。そのため、家族や職場、学校など、日常生活を共にする人々が症状を正しく理解していることが、安心して生活を送るための大きな支えとなります。例えば「突然眠ってしまうことがある」「感情の変化で力が抜けることがある」といった特徴を共有しておくことで、本人が困ったときもサポートを受けやすくなります。症状を一人で抱え込まない環境づくりが治療の継続にもつながります。
ナルコレプシーかもと思ったときの相談先は?
睡眠障害全般を扱う睡眠外来
日中の強い眠気や突然の睡眠発作など、ナルコレプシーの症状が疑われる場合は、まず睡眠障害を専門に扱う「睡眠外来」に相談することがすすめられます。睡眠外来では、睡眠ポリグラフ検査(PSG)や反復睡眠潜時検査(MSLT)などの専門検査が受けられ、症状が睡眠不足によるものなのか、ナルコレプシーによるものなのかを明確に判断できます。睡眠障害を専門とする医師は症状の細かい差にも気づきやすく、正確な診断と適切な治療方針を立ててもらえる点が大きなメリットです。不安がある時点で早めに受診することで、症状悪化を防ぐことにもつながります。
精神科・精神神経科・神経内科
近くに睡眠外来がない場合や、まず相談だけしたいという場合には、精神科・精神神経科・神経内科といった専門科でも相談が可能です。これらの診療科でもナルコレプシーの基礎的な評価や、必要に応じて検査のできる医療機関へ紹介してもらえるケースがあります。ただし、医療機関によって対応範囲は異なるため、事前に「ナルコレプシーの検査や診断が可能か」を問い合わせておくと安心です。電話で確認しておくと、初診の流れや必要な準備が分かり、スムーズに受診できます。
他の精神疾患と併発なら精神科訪問看護が利用できることも
精神科訪問看護とは?
| サービス名 | 精神科訪問看護![]() |
|---|---|
| 対応スタッフ | ・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
| 訪問日数 | 原則週3日以内 |
ナルコレプシーでは、日中の強い眠気や睡眠発作だけでなく、気分の落ち込みや不安など、精神的な負担を抱えやすい方も少なくありません。特に、うつ病や不安障害など他の精神疾患を併発している場合、生活全体のサポートが必要になることがあります。そこで利用できるのが「精神科訪問看護」です。精神科の経験がある看護師や作業療法士が自宅を訪問し、体調管理や服薬のサポート、生活リズムの調整など、安心して日常を送るための支援を行います。自宅にいながら専門的な支援を受けられる点は大きなメリットで、通院が難しい方にとって心強い存在となります。
精神科訪問看護のサポート内容
- 日常生活の維持
- 生活技能の獲得・拡大
- 対人関係の維持・構築
- 家族関係の調整
- 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
- ケアの連携
- 社会資源の活用
- 対象者のエンパワーメント
精神科訪問看護では、利用者の生活状況に寄り添いながら、症状の悪化予防や気持ちの安定を図るサポートを行います。会話を通して不安を軽減したり、必要に応じて気分転換の手助けを行うことも可能です。また、家族へのアドバイスや関わり方のサポートも行っており、家庭内での負担軽減にもつながります。ナルコレプシーの症状があると生活リズムが乱れやすく、薬の飲み忘れが生じてしまうこともありますが、訪問看護では服薬管理のサポートも受けられるため安心です。一人で抱え込みやすい悩みに対して、多方面から支援を受けられる点が大きな特徴です。
精神科訪問看護ならシンプレ訪問看護ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションの看護内容
・生活支援、自立支援
・症状の悪化防止、服薬支援
・社会復帰へのサポート
・家族の方への支援
対象者
・睡眠障害
・統合失調症
・双極性障害
・不安障害
・パーソナリティ障害など
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神疾患に特化した訪問看護を提供しており、ナルコレプシーのように日常生活へ影響が出やすい症状を抱える方にも安心して利用していただけます。外出が難しい方でも自宅で看護が受けられるため、無理のない環境で体調管理を進められるのが大きなメリットです。また、利用者の状態に合わせた柔軟なケアを心がけており、症状の記録や睡眠リズムの確認、服薬状況のチェックなど、在宅での生活を支えるサポートを総合的に行っています。
シンプレは、医師・行政・地域の支援機関とも積極的に連携しており、治療や社会復帰に向けたスムーズなサポート体制を整えています。利用者一人ひとりのペースを尊重しながら、生活の中で困りごとが生じたときに気軽に相談できる存在として寄り添うことを大切にしています。自宅で安心して過ごせる居場所づくりを重視し、長期的な回復と安定した生活の実現をサポートしています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレの訪問エリアは、東京23区、西東京市、武蔵野市、三鷹市、調布市、府中市、東久留米市、さらに埼玉県の一部地域まで幅広く対応しています。近隣のエリアであれば訪問可能な場合もあり、状況に応じた柔軟な調整が可能です。子どもから大人まで年齢を問わず利用でき、生活や体調に関する相談、サービス内容の詳細説明、訪問スケジュールの調整なども気軽にお問い合わせいただけます。
訪問時間は1回30分〜90分、訪問回数は週1〜3回を基本とし、必要に応じて週4回以上の対応も可能です。看護師・准看護師・作業療法士が在籍し、退院支援から再発予防、生活リズムの調整、服薬支援、家族へのサポートなど、さまざまなニーズに対応しています。精神科ならではの専門知識を活かしながら、一人ひとりの生活に寄り添う支援を行っていることが特徴です。
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まとめ
ナルコレプシーは強い眠気・情動脱力・睡眠麻痺などが特徴
ナルコレプシーは、日中の強い眠気や突然眠り込んでしまう睡眠発作、感情の変化で力が抜ける情動脱力発作、さらに睡眠麻痺や夜間の熟眠障害など、幅広い症状がみられる疾患です。これらの症状は日常生活に大きく影響し、学業や仕事、家事などの場面で困難を感じることも少なくありません。 特に、ナルコレプシーの症状は周囲から理解されにくいことが多く、「怠けているように見える」と誤解されてしまうこともあります。そのため、本人が抱えるストレスは大きく、正しい理解とサポートが不可欠です。症状の特徴をきちんと把握することで、より適切な対応や支援につながります。
原因は脳や免疫、遺伝などが関係している
ナルコレプシーの原因としては、オレキシン不足による脳内の覚醒システムの不調、感染症後の自己免疫反応、遺伝的要因、外傷など、複数の要因が関連すると考えられています。ひとつの原因だけでなく、複数の要素が重なって発症することもあるため、症状が続く場合は早めに専門医へ相談することが大切です。また、症状の背景は人によって異なるため、個別の状況に応じた治療やケアが必要となります。
診断には睡眠検査が必要
ナルコレプシーの確定診断には、睡眠ポリグラフ検査(PSG)や反復睡眠潜時検査(MSLT)などの専門的な睡眠検査が欠かせません。これらの検査により、夜間睡眠の質や日中の眠気の強さを客観的に評価できます。自己判断だけでは原因を特定することは難しいため、症状が疑われる場合は睡眠外来や専門科を受診し、正確な診断を受けることが重要です。検査結果に基づいた治療を行うことで、生活の質は大きく改善します。
治療は薬物+生活改善の両輪が大切
治療では、生活リズムを整える生活指導と、日中の眠気や夜間の症状を改善する薬物療法を併用するケースが多く見られます。短時間の昼寝や睡眠記録の活用、薬による覚醒度の調整などを組み合わせることで、日常生活が安定しやすくなります。また、家族や職場・学校の理解も大きな支えとなるため、周囲と適切に情報を共有することが安心につながります。一人で抱えず、医療や支援サービスをうまく利用することが継続的な改善につながります。
相談先や訪問看護を活用して安心できる生活を
症状が気になるときは、睡眠外来や精神科・神経内科など専門医へ早めに相談することが重要です。また、ナルコレプシーに加えて他の精神疾患を併発している場合には、精神科訪問看護の利用も有効です。シンプレ訪問看護ステーションでは、看護師・准看護師・作業療法士が自宅での生活をサポートし、服薬管理や再発予防、生活リズムの調整など細やかなケアを行っています。自宅で無理なく支援を受けながら、安心して日常生活を送るためのサポートを受けることができます。気になる症状がある場合は、ぜひ専門機関や訪問看護を活用し、より安定した生活につなげてください。
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