PTSDは本当に治らない?原因・症状・治療法・相談先まで徹底解説
「PTSDは治らないのでは?」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、事故や犯罪被害、災害など命に関わるような強いストレス体験をきっかけに発症する精神疾患です。時間の経過とともに自然に回復する方もいますが、数ヶ月から数年たっても症状が続き「治らない」と感じてしまうケースもあります。
本記事では、「PTSDは本当に治らないのか?」という疑問に焦点をあて、自然回復する場合や「治らない」と言われる理由について解説していきます。今まさにお悩みの方やご家族がサポートを検討している方にとって、参考になる内容をまとめました。
PTSDは本当に治らないのか?

自然回復するケースもある
PTSDは「一度発症すると一生治らない」と誤解されることがありますが、必ずしもそうではありません。トラウマ体験から時間が経過することで、心が徐々に回復し症状が軽快する自然回復のケースも少なくありません。研究によると、多くの人は数ヵ月から1年程度で症状が改善することがあるとされています。
ただし、自然回復の過程には個人差があり、体質やストレス環境、周囲のサポート体制によっても大きく左右されます。そのため「治る人」と「治らない人」がいるのは当然であり、治らないからといって自分を責める必要はありません。
「治らない」と言われる理由
「PTSDは治らない」と言われてしまう背景には、いくつかの要因があります。まず、PTSDは症状が複雑でうつ病や不安障害などの併発も多く、長期化する傾向があるためです。また、症状が一時的に改善しても再び強いストレスを受けると再発することもあります。
さらに、適切な治療を受けられなかったり、周囲からの理解不足によって孤立してしまうと、症状が慢性化して「治らない」と感じやすくなります。実際には、専門的な治療や支援を受けることで多くの人が改善・回復しており、PTSDは決して「治らない病気」ではないということを知ることが大切です。
PTSDが治らない要因とは?
遺伝や体質の影響
PTSDが「治らない」と感じる大きな要因のひとつに、遺伝的な要因が関わっていると考えられています。研究によると、PTSDの発症には30〜40%程度の遺伝的影響があるとされ、同じ環境でストレス体験を受けても、回復しやすい人と症状が長引く人がいるのはそのためです。また、特定の遺伝子がストレス耐性や自然治癒力に影響を与える可能性も指摘されています。
ただし「遺伝だから治らない」と決めつけるのは早計です。体質的に回復しにくい傾向があっても、治療や支援によって改善する可能性があります。
生活習慣や環境要因
生活習慣や周囲の環境もPTSDが治らない原因のひとつです。飲酒・喫煙・カフェインの過剰摂取は、睡眠障害や不安感の増加を引き起こし、症状を悪化させることがあります。また、依存傾向が強まると断つ際に離脱症状が出て、さらに心身への負担となります。
加えて、仕事や家庭でのストレスが続くと心の回復が妨げられ、症状が長引くケースも少なくありません。規則正しい生活習慣を意識し、ストレスを軽減できる環境を整えることが、治療の効果を高めるうえで重要です。
周囲の理解やサポート不足
PTSDが慢性化する背景には、周囲からの理解や支援不足も大きく影響します。トラウマ体験を打ち明けたときに、心ない言葉をかけられたり、理解が得られなかったりすると、二次的なトラウマとなり症状が悪化することがあります。その結果「誰にも話せない」と孤立感が強まり、治療意欲の低下につながることも少なくありません。
また、医療機関のサポートが十分でない場合や、適切な治療にアクセスできないことも「PTSDは治らない」と感じる要因になります。専門的な治療と同時に、家族や周囲の理解・支援が得られることが、改善への大きな力となります。
PTSDの主な症状

再体験・回避症状
PTSDの代表的な症状のひとつが「再体験症状」です。過去のトラウマとなった出来事が、ふとした瞬間に鮮明によみがえり、まるで当時の状況に戻ったかのように感じてしまいます。これをフラッシュバックと呼び、強い恐怖や苦痛を伴うことがあります。また、夢の中でトラウマを繰り返し見る悪夢に悩まされる方も少なくありません。
同時に「回避症状」として、トラウマを思い出すきっかけとなる場所・人・物事を避ける行動が見られることがあります。例えば事故現場に近づけない、人との関わりを断つ、関連する話題を避けるなどです。これらは一時的に心を守る反応ですが、長期的には生活範囲を狭めてしまい、PTSDが治らない要因となることがあります。
麻痺症状・過覚醒症状
PTSDでは「感情の麻痺(麻痺症状)」も特徴的です。興味や喜びを感じにくくなり、家族や友人への愛情を失ったように感じる方もいます。人間関係に距離が生まれることで孤独感が強まり、症状の長期化につながる場合もあります。
また「過覚醒症状」として、常に緊張が続いて落ち着けない状態になることがあります。具体的には、些細な物音に過剰に驚く、怒りを抑えられない、集中力が続かない、眠れないなどです。これらは交感神経が過剰に働き続けることで起こる反応で、心身を疲弊させる要因となります。
再体験・回避・麻痺・過覚醒はPTSDの4つの主要症状とされ、これらが複合的に現れることで日常生活への影響は大きくなります。症状が強く続くと「PTSDは治らない」と感じやすくなりますが、実際には薬物療法や心理療法で軽快する可能性が高いことが分かっています。
PTSDと合併しやすい疾患

うつ病・不安障害
PTSDは単独で現れることもありますが、多くの場合「合併症」を伴うことが知られています。その中でも特に多いのがうつ病や不安障害です。
トラウマ体験による再体験や回避行動が続くことで、気分の落ち込みや無力感が強まり、うつ病を発症するケースは少なくありません。うつ病が合併すると「生きていても仕方がない」と感じてしまうなど、自殺念慮のリスクも高まります。また、不安障害を併発する場合には、強い緊張や過度な心配が続き、外出や人との交流が困難になることもあります。
このように合併症が重なると、症状が複雑化し「PTSDは治らない」と感じてしまう背景につながります。しかし、適切な治療を組み合わせることで改善の可能性は十分にあります。
依存症など
PTSDを抱える方の中には、アルコールや薬物に頼って気持ちを落ち着けようとする人もいます。いわゆる「自己治療」としての飲酒や薬物使用ですが、依存症を発症してしまうと症状がさらに悪化するリスクがあります。
実際に研究では、PTSD患者の約半数以上がアルコール依存症を併発しているとされており、薬物依存や行為障害なども少なくありません。男性はアルコールや薬物依存を合併しやすく、女性はうつ病や不安障害の合併が多いといわれています。
依存症は本人だけでなく家族関係や社会生活にも深刻な影響を及ぼします。そのため、依存傾向が見られる場合は早めに医療機関や支援機関に相談することが重要です。依存症を放置するとPTSDの改善が遅れ、症状が長期化する要因にもなり得ます。
PTSDの治療と対処法

精神療法(心理療法)
PTSDの治療において中心となるのが精神療法(心理療法)です。代表的な方法に「持続エクスポージャー療法」があり、これは安全な環境でトラウマ記憶を思い出し、少しずつ恐怖や不安を和らげていく治療法です。また「認知処理療法」では、トラウマ体験の意味づけや捉え方を整理し、歪んだ思考を修正していきます。さらに「眼球運動脱感作療法(EMDR)」は、眼球運動を利用して記憶の処理を促し、苦痛を軽減させる治療として注目されています。
これらの心理療法は、時間はかかるものの多くの研究で有効性が確認されており、PTSDは治らない病気ではないということを示しています。
薬物療法
心理療法に加えて、強い不安感や不眠、抑うつ症状がある場合は薬物療法が用いられます。第一選択とされるのは抗うつ薬の一種である「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」です。これにより気分の安定や不安の軽減が期待できます。また、不眠が強い場合は睡眠薬や抗不安薬が処方されることもありますが、依存性のリスクがあるため長期使用には注意が必要です。
薬物療法は症状を抑える手段として有効ですが、根本的な解決には心理療法と組み合わせることが大切です。
セルフケアと生活習慣の改善
治療を効果的に進めるためには、日常生活の工夫も欠かせません。規則正しい生活リズムを整える、十分な睡眠をとる、軽い運動を取り入れるなどは心身の回復を助けます。また、飲酒や喫煙、過剰なカフェイン摂取は症状を悪化させる可能性があるため控えるようにしましょう。
さらに、信頼できる人に話を聞いてもらう、リラクゼーション法を取り入れるといったセルフケアも有効です。こうした取り組みを続けることで、「PTSDは治らない」と感じていた方も回復への道を歩める可能性があります。
PTSDの相談先

専門家の相談窓口
「PTSDが治らないのではないか」と感じて一人で悩み続けてしまう方は少なくありません。そのようなときには、公的な相談窓口を利用するのがおすすめです。
代表的な相談先として「保健所・保健センター」「精神保健福祉センター」「いのちの電話」があります。どれも無料または低額で利用でき、安心して相談できます。
保健所・保健センター
保健所や保健センターでは、心の健康や医療、福祉に関する幅広い相談を受け付けています。必要に応じて医療機関への紹介や、訪問支援などを行ってくれる場合もあり、地域に密着したサポートが期待できます。
精神保健福祉センター
各都道府県や政令指定都市に設置されている精神保健福祉センターでは、専門職員による電話相談や面接相談が可能です。センターによっては、デイケアや家族会などの支援事業を行っているところもあります。
いのちの電話
「いのちの電話」は全国に展開している電話相談窓口で、匿名で利用できるため安心です。自殺念慮や深い孤独感を抱える方にとって大切な支えとなっており、地域によっては24時間対応している拠点もあります。
精神科訪問看護を利用する
| サービス名 | 精神科訪問看護 |
|---|---|
職種![]() |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数![]() |
原則週1〜3回(※例外あり) |
精神科訪問看護は、看護師や作業療法士が自宅を訪問し、服薬管理や生活支援、症状の観察などを行うサービスです。外来通院が難しい方や、不安感が強く日常生活に支障がある方にとって大きな助けとなります。
訪問看護を利用することで「PTSDは治らない」と感じていた方も、日々の生活が安定し、治療を続けやすい環境が整えられる可能性があります。一人で抱え込まず専門職の支援を受けることが回復の第一歩となるでしょう。
PTSDの訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!

シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科に特化した訪問看護サービスを提供しています。利用者さんが抱える悩みや不安に寄り添い、安心して生活できるよう支援することを大切にしています。
訪問では、利用者さんが語る主観的な思いと、医療スタッフが観察した客観的な情報を組み合わせて看護を行います。そのため、症状の変化をいち早く察知し、適切な対応につなげることが可能です。
「PTSDは治らない」と感じている方に対しても、専門職による継続的なケアが安心感を与え、少しずつ前向きな気持ちを取り戻せるようサポートしています。
精神疾患の一例
・トラウマとなった記憶が突然よみがえる
うつ病
・気分の落ち込みや憂うつ感が続く
統合失調症
・幻覚や妄想が特徴的で生活に支障をきたす
双極性障害
・躁状態とうつ状態を繰り返す
その他の精神疾患
・適応障害、発達障害、不安障害など幅広く対応
シンプレ訪問看護ステーションでは、PTSDだけでなくうつ病や統合失調症、双極性障害など、幅広い精神疾患をサポートしています。症状によっては外来通院が困難になることもありますが、訪問看護であれば自宅で必要なケアを受けられるため安心です。
シンプレの対応エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリアは、東京23区、西東京市、武蔵野市、三鷹市、調布市、府中市、東久留米市、さらに埼玉県の一部地域です。近隣の市区町村でも訪問できる場合がありますので、お気軽にご相談ください。
また、祝日や土曜日も訪問が可能で、1回あたり30分〜90分、週1〜3回を基本としています。症状やご希望に応じて柔軟に対応できるため、安心してご利用いただけます。
PTSDをはじめとする精神疾患を抱えている方やご家族が「どうしても治らないのではないか」と不安を感じたとき、地域で寄り添うシンプレ訪問看護ステーションの存在は心強い支えになるはずです。ぜひ一度ご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ

PTSDは「治らない」わけではない
PTSDは重いトラウマ体験がきっかけとなって発症するため、「もう治らないのではないか」と感じてしまう方も少なくありません。しかし実際には、時間の経過とともに自然に回復する人も多く、適切な治療を受ければ症状の軽快・改善が期待できます。つまり「PTSDは治らない」という表現は誤解を招きやすく、正しくは<門的な治療と適切なサポートを受けることで、確実に改善や回復に向かうことができますspan class="makeryellow">「改善や回復までに時間や支援が必要な病気」であるといえます。
治療と支援で改善・回復が可能
PTSDは再体験・回避・麻痺・過覚醒といった特徴的な症状を示し、さらにうつ病や依存症を合併することもあります。そのため長引くケースもありますが、心理療法や薬物療法を組み合わせることで改善が見込めます。また、セルフケアや生活習慣の見直しも重要です。
「治らない」と感じてしまうのは、回復までに時間がかかることや、周囲から理解を得られにくいことが背景にあります。しかし、治療や支援を継続することで多くの人が回復しているのも事実です。一人で抱え込むのではなく、医療機関や支援サービスを積極的に活用することが大切です。
相談できる窓口や訪問看護を活用しよう
保健所や精神保健福祉センター、いのちの電話といった公的相談窓口は、気軽に相談できる場として有効です。さらに、通院が難しい方には精神科訪問看護の利用もおすすめです。看護師や作業療法士が自宅に訪問し、服薬支援や生活サポートを行うことで、安心して療養生活を続けられる環境が整います。
特にシンプレ訪問看護ステーションでは、PTSDを含む幅広い精神疾患に対応しており、東京23区をはじめとした地域で利用可能です。訪問頻度や時間も柔軟に対応しているため、ご本人やご家族の状況に合わせた支援を受けられます。
「PTSDは治らない」と思い込んでしまうと、希望を失いやすくなります。しかし、専門的な治療と適切なサポートを受けることで、確実に改善や回復に向かうことができます。まずは一歩踏み出して、信頼できる相談先や訪問看護を活用してみてください。
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