慢性炎症性脱髄性多発神経炎と訪問看護|シンプレ訪問看護
手足に力が入りにくい、しびれる、感覚が分かりにくい。そんな症状が長く続くとき、慢性炎症性脱髄性多発神経炎という末梢神経の病気が関係していることがあります。再発と寛解をくり返したり、ゆっくり進行したりする経過のため、「これから家でやっていけるのだろうか」と不安を抱えるご本人やご家族は少なくありません。この記事では、慢性炎症性脱髄性多発神経炎の症状・原因・治療をやさしく整理したうえで、訪問看護でできる在宅療養の支えや費用・保険、相談できる先までまとめて解説します。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎とは

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、英語の頭文字をとって「CIDP」とも呼ばれる病気です。脳や脊髄から全身へ伸びる末梢神経に炎症が起こり、手足の力が入りにくくなったり、しびれや感覚の鈍さがあらわれたりするとされています。自己免疫の異常によって起こると考えられており、難病に位置づけられています。まずは、どのような病気なのかを整理していきます。
末梢神経の髄鞘が障害される自己免疫の病気
神経の情報を伝える線維は、ミエリン(髄鞘)という“電線のカバー”のようなもので守られているといわれています。慢性炎症性脱髄性多発神経炎では、本来は外敵を攻撃するはずの免疫が自分の末梢神経を誤って攻撃し、このミエリンがはがれてしまう「脱髄」が起こると考えられています。カバーがはがれると神経の信号がうまく伝わらなくなり、力の入りにくさや感覚の異常につながるとされています。障害される神経の場所や程度によって、症状の出方は一人ひとり異なるといわれています。
CIDPの経過と患者数
この病気の大きな特徴は、症状が2か月以上にわたって続く点だとされています。いったん落ち着いた症状が再びあらわれる「再発と寛解をくり返すタイプ」と、ゆっくりと進行していくタイプがあるといわれています。国内ではおよそ5,000人前後の患者がいると推計され、男性にやや多い傾向があるとされています。発症する年齢層は幅広く、小児から高齢者まで起こりうると報告されており、働き盛りの世代でみられることもあります。
ギラン・バレー症候群との違い
よく似た病気にギラン・バレー症候群があります。ギラン・バレー症候群は症状が4週間以内にピークに達して、その後は回復に向かうことが多く、再発は少ないとされています。一方の慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、2か月以上にわたって慢性的に続き、再発をくり返すことがある点が大きく違うといわれています。小児では急に発症してギラン・バレー症候群と区別がつきにくいこともあるため、どちらの病気にあたるかは、神経内科などの専門の医療機関で検査をして確認することが大切です。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎の症状

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の症状は、大きく分けて「運動の症状」と「感覚の症状」があるとされています。左右の手足に同じようにあらわれることが多いといわれていますが、出方や程度には個人差があります。日常の動作のしづらさとして気づかれることが多く、早めに専門の医療機関を受診することがすすめられています。
手足の力が入りにくい運動の症状
代表的なのが、手足の力が入りにくくなる運動の症状だとされています。歩きにくさや、階段の上り下りのつらさ、立ち上がりのしにくさなどとしてあらわれることがあるといわれています。手では、ボタンをかける、箸を使うといった細かい動作がしづらくなることもあります。進行のしかたはタイプによって異なるため、気になる変化があれば主治医に相談することが大切です。
しびれや感覚が鈍くなる感覚の症状
手足のしびれや、触れた感じが分かりにくい、ジンジンとした痛みといった感覚の症状も多いとされています。足の裏の感覚が鈍くなることで、バランスがとりにくくなり、ふらつきにつながることもあるといわれています。感覚の異常は見た目では分かりにくいため、ご本人がつらさを言葉にできるよう、周囲が話を聞く姿勢をもつことも支えになります。
日常生活で気づきやすいサイン
こうした症状は、箸が使いづらい、スリッパが脱げやすい、つまずきやすくなった、といった日常のちょっとした変化として気づかれることがあるといわれています。数日でピークに達するのではなく、数か月単位でゆっくり続いたり、よくなったり悪くなったりをくり返したりするのが特徴だとされています。「年のせい」「疲れ」と思って見過ごされることもあるため、気になる状態が続くときは早めに脳神経内科などを受診することが大切です。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎の原因

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の原因は、自己免疫の異常にあると考えられています。本来は体を守る免疫のはたらきが、自分自身の末梢神経を攻撃してしまうことで炎症や脱髄が起こるとされています。ただし、なぜそのような免疫の異常が起こるのか、はっきりした引き金は完全には解明されていないといわれています。
自己免疫の異常で髄鞘が攻撃される仕組み
免疫が末梢神経のミエリン(髄鞘)を攻撃すると、神経の信号がうまく伝わらなくなり、力の入りにくさや感覚の異常があらわれると考えられています。この病気に特有の自己抗体はまだ見つかっていないとされており、原因の研究は今も続けられているといわれています。生活習慣や本人の努力不足で起こる病気ではないため、ご本人やご家族が自分を責める必要はありません。
発症のきっかけと診断の流れ
診断では、末梢神経に脱髄が起きているかを調べる神経伝導検査が重要とされています。あわせて、髄液の検査や、必要に応じてMRI・神経生検などが行われることがあるといわれています。よく似た他の病気と区別する必要があるため、診断や治療方針は神経内科などの専門の医師が判断します。気になる症状があるときは自己判断せず、専門の医療機関で相談することが大切です。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎の治療

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、治療で改善が期待できる病気のひとつとされています。治療の中心は、過剰になった免疫のはたらきを整えるものです。第一選択として、ステロイド療法・免疫グロブリン静注療法・血液浄化療法(血漿交換)が挙げられるといわれています。症状が落ち着いた「寛解」を保つことを目標に、長く付き合っていく治療になることもあります。治療法の選択や量は、状態に応じて主治医が判断します。
ステロイド療法
炎症を抑えるために、ステロイドを内服したり、症状が強いときには点滴で行ったりすることがあるといわれています。効果が期待される一方で、感染しやすくなる・血糖が上がる・骨がもろくなるといった副作用に注意が必要とされ、長く続けるあいだは副作用への対策も大切になります。自己判断で急にやめると症状が動くことがあるため、量の調整は自己判断せず主治医の指示にしたがいます。
免疫グロブリン療法
免疫グロブリンという血液製剤を点滴する免疫グロブリン静注療法(IVIg)も、よく行われる治療のひとつとされています。体内の免疫反応を整えるはたらきがあるといわれ、定期的にくり返し行われることもあります。どの治療をどのくらいの間隔で行うかは、症状の経過をみながら主治医が判断します。
血液浄化療法と再発予防
血液を浄化して、症状に関わる物質を取り除く血液浄化療法(血漿交換)が選ばれることもあるといわれています。これらの治療で十分な効果が得られない場合に、免疫抑制剤の併用が検討されることもあるとされています。再発をくり返すタイプでは、寛解を保ち再発に早く気づくことが大切とされ、こうした継続的な見守りの場面で訪問看護が役立ちます。治療方針について不安なことは、主治医や訪問看護に相談しながら進めていくと安心です。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎の在宅療養の進め方

治療で症状が落ち着いてくると、慢性炎症性脱髄性多発神経炎の療養の場は自宅が中心になっていきます。再発をくり返したり、ゆっくり進行したりする経過の病気だからこそ、家での体調の変化に早く気づき、無理なく日常を続けられる工夫が大切になるといわれています。在宅では、家族だけで抱え込まず、訪問看護をはじめとした支えを上手に使っていくことがポイントです。
再発の早期発見と体調の見守り
再発のサインに早く気づくことは、在宅療養でとても大切なポイントとされています。以前より手足の力が入りにくくなった、しびれが広がってきた、歩きにくさが増したといった変化は、再発や悪化の手がかりになることがあるといわれています。こうした変化を一人で判断するのは難しいため、定期的に体調を見守り、気になる点を主治医へつなぐ役割を訪問看護が担います。
服薬を続けるための支え
ステロイドや免疫の治療は、症状が落ち着いてからも長く続くことがあるとされています。飲み忘れや自己判断での中断は症状の変動につながることがあるため、無理なく服薬を続けられる工夫が大切です。訪問看護では、薬の飲み具合や体調を一緒に確認し、副作用が出ていないかを見守りながら、困りごとを主治医に相談する橋渡しをします。
転倒予防とリハビリの工夫
手足の力の入りにくさや感覚の鈍さがあると、ふらつきや転倒のリスクが高まることがあるといわれています。住まいの段差や手すりの有無を見直したり、福祉用具を取り入れたりすることが、暮らしやすさにつながる場合があります。体を動かす機会が減ると筋力が落ちやすいため、主治医やリハビリ職と相談しながら、その人に合った範囲で体を動かすことが大切とされています。どの程度動いてよいかは状態によって異なるため、自己判断せず専門職に相談しながら進めると安心です。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎の訪問看護でできること

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の訪問看護では、看護師が定期的に自宅へうかがい、体調の観察や療養上の世話、ご家族の相談支援などを行います。医療的な判断や指示を出すのは主治医で、訪問看護は主治医の指示書にもとづいて支援し、観察した内容を主治医へ報告・相談する立場です。「家でやっていけるだろうか」という不安に、具体的な支えで応えていくのが訪問看護の役割です。
症状や副作用の観察と医療的ケア
訪問看護では、手足の力やしびれの変化、再発の兆候、ステロイドなどの副作用が出ていないかを観察します。血圧や体調を確認し、点滴や注射などの医療的ケアが必要な場合は、主治医の指示のもとで対応します。気になる変化があれば早めに主治医へつなぐことで、治療の調整に役立てられます。
リハビリと生活機能を保つ支援
療養上の世話として、関節を動かす運動や、移乗・歩行の動作の見守りを、その人の状態に合わせて行うことがあります。掃除や買い物といった生活援助そのものはヘルパー(訪問介護)の役割になりますが、訪問看護では、安全に過ごすための動作の確認や、ご家族への介助方法のアドバイスを行えます。役割の違うサービスを組み合わせることで、暮らしを多面的に支えられます。
本人と家族の相談相手になる
在宅療養では、ご本人だけでなくご家族も不安や疲れを抱えがちです。訪問看護は、困りごとを相談できる身近な相手として、介助のしかたや使える制度、日々の心配ごとの相談に応じます。すべてを一方的に指導するのではなく、これまでのご家庭のやり方を一緒に確認しながら、迷ったときに相談できる伴走者として関わります。多くのステーションが24時間対応の体制を整えていますが、実際に利用できるかは契約前に確認しておくと安心です。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎の訪問看護にかかる費用と保険

費用は、在宅療養を考えるうえで多くの方が気になるところです。慢性炎症性脱髄性多発神経炎は医療保険での訪問看護が基本になり、さらに公費の助成で負担が小さくなることがあります。ここでは、知っておくと安心な制度を整理します。なお、保険の割合や助成の上限は年度の改定や地域・状態によって変わるため、最新・正確な内容は各窓口でご確認ください。
医療保険が基本になる理由
慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、国が定める「別表7(厚生労働大臣が定める疾病等)」に含まれます。別表7に該当する病気は、年齢や要介護認定の有無にかかわらず医療保険での訪問看護が適用され、状態によっては週4日以上、1日に複数回といった頻回の訪問も受けられます。どのくらいの頻度で訪問するかは、症状や主治医の指示、相談のうえで決まります。介護保険のサービス(ヘルパーによる生活援助など)は、65歳以上で要介護認定を受けているなど一定の場合に併用できることがありますが、訪問看護そのものは医療保険が軸になります。
指定難病の医療費助成
慢性炎症性脱髄性多発神経炎は指定難病でもあり、申請して認定されると、医療費の自己負担割合が軽くなり、所得に応じた月額の自己負担上限が設けられます。医療保険そのものの自己負担は年齢や所得により1〜3割が目安ですが、難病の医療費助成を使うと負担割合が2割に軽減され、上限を超えた分は支払わずにすみます。成人の指定難病の月額自己負担上限(外来+入院の合算)の目安は次のとおりです。
| 所得の区分 | 月額の自己負担上限(目安) |
|---|---|
| 生活保護 | 0円 |
| 低所得Ⅰ(本人年収〜約80万円) | 2,500円 |
| 低所得Ⅱ | 5,000円 |
| 一般所得Ⅰ(〜約370万円) | 10,000円 |
| 一般所得Ⅱ(〜約810万円) | 20,000円 |
| 上位所得(約810万円〜) | 30,000円 |
| 人工呼吸器等装着者 | 1,000円 |
表の金額は、助成を使ったときに自己負担となる月額の上限です。生活保護世帯は上限0円になります。医療費が高額で長く続く場合は、上限がさらに軽くなる仕組みもあるとされています。申請の手続きは、住所地の市区町村窓口や保健所、難病相談支援センターなどで相談できます。
費用の負担をやわらげる制度
このほかにも、1か月の医療費の自己負担に所得別の上限を設ける高額療養費制度があり、難病の助成と組み合わせて負担をやわらげられます。お子さんが対象になる場合は、18歳までの子ども医療費助成(東京ではマル乳・マル子・マル青)で実質無料になることが多く、症状が進んで重度になった段階では、重度心身障害者医療費助成(東京ではマル障)の対象になることもあります(手帳の取得などの要件や所得制限、取り扱いは自治体によって異なります)。どの制度が使えて有利かは、医療ソーシャルワーカー(MSW)や各窓口が整理してくれるので、家族だけで抱え込まず相談すると安心です。最新の制度内容は各窓口でご確認ください。
シンプレ訪問看護ステーションができること

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の在宅療養では、医療的な観察と、暮らしに寄り添う支えの両方が大切になります。シンプレ訪問看護ステーションは、こうした在宅での療養を支えるため、看護師などの専門職が定期的にご自宅へうかがい、体調の観察や服薬の見守り、ご家族の相談に応じています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、ご本人の状態に合わせて、次のような支援を行っています。
- 手足の力やしびれの変化、再発の兆候、薬の副作用などの観察
- 主治医の指示にもとづく医療的ケアと、主治医への報告・相談の橋渡し
- 転倒に配慮した動作の見守りや、療養上の世話
- ご家族への介助方法のアドバイスや、困りごと・制度の相談
大切にしているのは、一人ひとりのペースに合わせ、これまでのご家庭のやり方を一緒に確認しながら関わることです。困ったときに相談できる相手がそばにいることが、在宅での安心につながります。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 東京23区
- 八王子市
- 立川市
- 武蔵野市
- 三鷹市
- 青梅市
- 府中市
- 昭島市
- 調布市
- あきる野市
- 西東京市
- 小金井市
- 小平市
- 日野市
- 東村山市
- 国分寺市
- 国立市
- 福生市
- 狛江市
- 東大和市
- 清瀬市
- 東久留米市
- 武蔵村山市
- 多摩市
- 稲城市
- 羽村市
- 和光市
- 朝霞市
- 志木市
- さいたま市
- 蕨市
- 川越市
- ふじみ野市
- 所沢市
- 川口市
- 戸田市
- 富士見市
- 新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の頻度は、症状や主治医の指示に応じて週1〜3回が目安で、状態によっては週4回以上の頻回の訪問にも対応できる場合があります。1回の訪問はおおむね30〜90分で、土曜・祝日のご相談も承っています。ご本人だけでなくご家族からのご相談にも応じていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|慢性炎症性脱髄性多発神経炎の療養を支える訪問看護

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、末梢神経の脱髄によって手足の力の入りにくさやしびれがあらわれ、再発と寛解をくり返すことのある病気とされています。一方で、ステロイド療法や免疫グロブリン療法などで改善が期待でき、治療を続けながら自宅で過ごす方も多くいらっしゃいます。在宅療養では、再発の早期発見や服薬の継続、転倒への配慮など、見守りと工夫の積み重ねが支えになります。
費用の面でも、別表7に該当するため医療保険での訪問看護が基本となり、指定難病の医療費助成や高額療養費などで負担をやわらげられます。制度は複雑にみえても、MSWや各窓口が整理してくれるので、家族だけで抱え込む必要はありません。「家でやっていけるだろうか」という不安に、医療と暮らしの両面から寄り添うのが訪問看護です。シンプレ訪問看護ステーションでは、ご本人とご家族の毎日を支えるお手伝いをしています。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
※本記事は執筆時点の一般的な情報をまとめたものです。症状・治療の内容や、制度・保険のあつかいは、年度の改定・地域・ご本人の状態により異なる場合があります。参考:難病情報センター/厚生労働省/日本神経免疫学会/各医療機関の公開情報。最新・正確な内容は、主治医・訪問看護ステーション・市区町村の窓口など各窓口でご確認ください。