頸髄損傷の症状・費用と訪問看護|シンプレ訪問看護
頸髄損傷は、首の部分にある脊髄(頸髄)が傷つくことで、手足や体幹の動き、皮膚の感覚、排泄や呼吸などにさまざまな影響があらわれる状態です。多くは事故や転倒など突然のできごとで受傷するため、本人もご家族も「これから家でやっていけるのだろうか」という大きな不安を抱えやすいものです。この記事では、頸髄損傷の症状や原因、在宅で必要になるケア、訪問看護でできる支援、費用や使える制度、相談先までを順にやさしく整理します。
頸髄損傷とは

頸髄損傷とは、背骨の中を通る脊髄のうち、首にあたる「頸髄」が傷ついた状態をいいます。頸髄は脳から手足へ指令を伝え、また手足からの感覚を脳へ届ける大切な通り道です。ここが傷つくと、損傷した部分から下の運動や感覚に障害が出ると説明されています。首は体のなかでも高い位置にあるため、頸髄損傷では影響が手足の広い範囲に及びやすいとされています。
損傷した高さで症状が変わる
頸髄はC1からC8まで番号で分けられ、傷ついた高さによって残る機能が変わると考えられています。一般に、より上のほうで損傷すると影響する範囲が広がりやすく、より下のほうであれば手の一部を使える方もいるとされています。同じ頸髄損傷でも、一人ひとり状態は異なります。実際にどの動作ができるかは、専門の医師やリハビリ職が評価したうえで判断されます。
完全麻痺と不全麻痺の違い
頸髄損傷は、運動や感覚がほとんど失われる「完全麻痺」と、一部の機能が残る「不全麻痺」に大きく分けられます。近年の調査では、一部の運動機能が残る不全麻痺が比較的多いと報告されています。不全麻痺の場合も、残った機能をどう活かすかはリハビリや生活環境の調整が関わってくるとされています。
頸髄損傷で起こりやすい合併症
頸髄損傷では、皮膚の床ずれ(褥瘡)、尿の通り道の感染、肺炎、血のかたまりができる血栓症などが起こりやすいといわれています。これらは日々の健康管理で予防や早期発見をめざせる部分も多いと考えられています。気になる変化があるときは、早めに主治医へ相談することが大切です。
頸髄損傷であらわれる主な症状

頸髄損傷の症状は、運動や感覚の麻痺だけでなく、排泄や呼吸、血圧の調整など体のさまざまな働きに広がるのが特徴とされています。手足の麻痺だけでないという点が、頸髄損傷の在宅療養を考えるうえで大切なポイントです。ここでは代表的な症状を整理します。
手足の麻痺と動かしにくさ
頸髄が傷つくと、首から下の手足や体幹が動かしにくくなったり、力が入りにくくなったりするとされています。損傷の高さによっては、肘や指を一部動かせる方もいれば、起き上がりや移乗に介助を要する方もいます。残った力を活かす工夫を、リハビリ職や福祉用具と一緒に考えていくことになります。
排尿と排便の障害
頸髄損傷では、膀胱や腸の働きにも障害が出やすいといわれています。尿が自然に出しにくくなり、決まった時間に管で尿を出す「自己導尿」や、膀胱に管を留め置く方法(留置カテーテル)が用いられることがあります。排便もリズムが乱れやすく、計画的な排便のケアが必要になることが多いとされています。
呼吸や血圧など自律神経の症状
体の働きを自動で調整する自律神経も傷つくため、立ち上がったときの血圧低下(立ちくらみ)や、汗が出にくく体に熱がこもる「うつ熱」などが起こりやすいと説明されています。また、損傷部位より下の刺激がきっかけで急に血圧が上がる反応がみられることもあるとされ、注意が必要な症状のひとつです。気になるときは主治医へ相談しましょう。
感覚の低下と褥瘡のリスク
感覚が鈍くなると、痛みや圧迫に気づきにくくなり、同じ姿勢が続くことで床ずれ(褥瘡)ができやすくなるといわれています。皮膚の観察と体位変換が予防の基本とされ、在宅でも家族と専門職が一緒に取り組む部分です。
頸髄損傷の主な原因

頸髄損傷の多くは、外からの強い力で首の骨や脊髄が傷つくことで起こるとされています。原因の傾向には若い世代と高齢の世代で違いがあるといわれ、頸髄損傷は幅広い年代に起こりうる点が特徴です。
交通事故やスポーツによる受傷
若い世代では、交通事故や高い場所からの転落、スポーツ中のけがなどが原因として目立つと報告されています。特に飛び込みや接触の強い競技などで受傷することがあるとされ、男性に多い傾向があるといわれています。突然の受傷であることが、本人や家族の心の負担を大きくしやすい面もあります。
高齢者の転倒による受傷
高齢の世代では、平らな場所での転倒など、比較的軽くみえるできごとがきっかけになることがあると説明されています。近年は高齢化を背景に、転倒による受傷が増える傾向にあるとも報告されています。日頃の住環境の見直しが、予防の一助になると考えられています。
骨折をともなわない頸髄損傷
もともと首の脊柱管が狭い方などでは、骨折や脱臼がはっきりしなくても頸髄が傷つくことがあり、「非骨傷性頸髄損傷」と呼ばれるとされています。高齢の方に比較的多いといわれており、受傷の状況がさまざまである点も頸髄損傷の特徴です。
頸髄損傷の治療と回復の見通し

頸髄損傷の治療は、受傷直後の急性期と、その後のリハビリ期、そして在宅での生活期で内容が変わっていくとされています。頸髄損傷の回復の見通しは損傷の程度によって大きく異なるといわれ、一律には語れない部分です。
急性期の治療とリハビリ
受傷直後は、首をできるだけ動かさないように固定し、必要に応じて圧迫を取り除く手術や全身の管理が行われると説明されています。状態が落ち着いてくると、関節が固まらないようにする運動や、残った機能を活かす訓練など、リハビリが中心になっていくとされています。どの治療を行うかは主治医が状態をみて判断します。
回復の見通しと向き合い方
回復の程度は人によって幅があり、時間をかけて少しずつ変化していくこともあるといわれています。先のことが見通しにくいなかでも、本人やご家族だけで抱え込まず、医療やリハビリ、福祉の専門職と一緒に進めていくことが支えになります。相談できる相手がいることが安心につながります。
頸髄損傷の在宅療養で必要なケア

頸髄損傷の在宅療養では、排泄や呼吸の管理、床ずれの予防、そして暮らしやすい住環境づくりが大きな柱になるとされています。毎日のケアを家族だけで抱えないことが、長く続けていくうえで大切です。ここでは在宅で必要になりやすいケアを整理します。
排泄と呼吸のケア
排尿は自己導尿や留置カテーテルで管理することがあり、清潔の保ち方や感染の早期発見が重要だと説明されています。損傷が高い位置にある場合は、たんの吸引や呼吸を助ける機器を使う方もいるとされています。これらの医療的なケアは、手技の確認を専門職と一緒に行いながら進めます。
褥瘡を防ぐケア
感覚が鈍い部分は床ずれができやすいため、こまめな体の向きの変更(体位変換)や、皮膚を清潔・乾燥しすぎない状態に保つスキンケアが基本とされています。クッションやマットレスなどの福祉用具を活用すると、体への圧をやわらげやすくなるといわれています。できたばかりの赤みの段階で気づくことが、悪化を防ぐ手がかりになります。
福祉用具と住まいの工夫
車いすや特殊寝台、移乗を助ける用具などをそろえ、段差をなくすなど住まいを整えることで、本人も介助する家族も動きやすくなるとされています。なお、入浴や移動そのものの介助、買い物などの生活援助は、主にホームヘルパー(訪問介護)が担う役割です。役割の分担を整理しながら、必要なサービスを組み合わせていきます。
頸髄損傷の訪問看護でできること

頸髄損傷の訪問看護では、看護師などが定期的に自宅へ訪問し、体調の観察や医療的なケア、療養生活の支援、ご家族への助言などを行います。家での療養を専門職が一緒に支えるのが訪問看護の役割です。主治医の指示にもとづいて、その方の状態に合わせたケアを組み立てていきます。
体調の観察と医療的ケア
血圧や呼吸、皮膚の状態、排泄の様子などを継続して観察し、変化があれば主治医へ報告します。自己導尿やカテーテルの管理、床ずれの処置、たんの吸引などの医療的ケアも、主治医の指示のもとで行われます。小さな変化に気づくことが、合併症の予防や早期対応につながると考えられています。
療養生活とリハビリの支援
関節が固まらないようにする運動や、起き上がり・座る姿勢の保ち方など、療養生活に沿ったリハビリの支援も訪問看護で行えるとされています。これまで本人やご家族が続けてきたやり方を一緒に確認し、無理なく続けられる方法を相談しながら整えることを大切にします。難しい判断は主治医や専門職へつなぎます。
家族への助言と相談
介助の方法やケアのコツ、使える制度や困りごとの相談先など、ご家族が知っておくと安心できる情報をお伝えします。介助を担うご家族の体調や生活の負担にも目を向け、必要なときは他のサービスや相談窓口へつなぎます。抱え込まないことを一緒に考えていきます。
頸髄損傷の訪問看護にかかる費用と使える制度

頸髄損傷の訪問看護の費用は、公的な保険でカバーされる部分が大きく、頸髄損傷では医療保険が軸になります。費用の心配は大きいものですが、負担をやわらげる制度がいくつもあります。ここでは保険と助成のしくみを整理します。
医療保険で受けられる訪問看護
頸髄損傷は、国(厚生労働大臣)が定める疾病等の一覧(別表第7)に挙げられています。そのため、年齢や要介護認定の有無にかかわらず、訪問看護は医療保険で受けられます。この場合、週4日以上や1日に複数回の訪問、2か所の事業所の利用も可能とされています。別表第7は申請が不要で、診断にもとづいて自動的に適用されるため、特別な手続きは要りません。
窓口での自己負担の割合は、年齢や所得によって次のように決められています。
| 区分 | 医療保険の自己負担割合 |
|---|---|
| 義務教育就学前 | 2割 |
| 70歳未満 | 3割 |
| 70〜74歳 | 2割(現役並み所得は3割) |
| 75歳以上 | 1割(一定以上所得は2割・現役並み所得は3割) |
表の割合は、かかった費用のうち自分で支払う分を示したものです。子ども医療費助成で実質無料になることも多いとされ、お住まいの自治体によって扱いが異なります。最新の割合や条件は、加入する保険の窓口で確認してください。
高額療養費と医療費の助成
医療費の自己負担が1か月で一定の上限を超えたときは、超えた分が戻る「高額療養費制度」があります。上限額は所得によって決められており、家計の負担が重くなりすぎないよう設けられたしくみです。頸髄損傷は指定難病にはあたらないため、難病の医療費助成の対象ではありませんが、高額療養費が費用の支えになります。生活保護を受けている場合は、医療扶助により自己負担がない形になります。
身体障害者手帳で使える支援
頸髄損傷で手足の麻痺などが残った場合、身体障害者手帳の対象になることがあります。手帳があると、車いすなどの補装具や、特殊寝台・吸引器といった日常生活用具の支給を受けられる場合があるとされています。さらに、重度の障害がある方を対象にした医療費の助成(自治体により名称が異なります)では、住民税が非課税なら実質無料になることもあります。受傷の状況によっては、労災保険や自動車保険、障害年金が関わる場合もあります。どの制度が使えるかは、市区町村の窓口や医療ソーシャルワーカーが整理してくれます。
頸髄損傷の訪問看護の始め方

頸髄損傷の訪問看護は、主治医の指示書をもとに始まります。退院して在宅へ移るタイミングで利用を考える方が多く、早めに相談を始めると準備がスムーズになりやすいといわれています。ここでは始め方の流れと相談先を整理します。
退院前からの準備と相談先
入院中であれば、病院の医療ソーシャルワーカーや退院支援の担当者が、在宅でのサービス調整を手伝ってくれます。自宅での療養に不安があるときは、退院前に訪問看護ステーションへ相談しておくと、必要なケアや訪問の頻度を一緒に考えられます。まず相談することから始められます。
主治医やケアマネジャーとの連携
訪問看護は主治医の指示にもとづいて行われるため、主治医との連携が土台になります。なお頸髄損傷は介護保険の対象となる特定の病気には含まれていないため、40歳から64歳の方は頸髄損傷だけでは要介護認定を受けられないとされています。65歳以上の方や、ほかに対象となる病気がある場合は、介護保険で訪問介護や福祉用具などを組み合わせられることがあり、その際はケアマネジャーが調整役になります。複雑な手続きは専門職が整理してくれます。
シンプレ訪問看護ステーションについて

頸髄損傷の在宅療養では、医療的なケアと日々の暮らしの両方を、継続して支えてくれる存在が心強いものです。シンプレ訪問看護ステーションは、在宅での療養を専門職が一緒に支える訪問看護を行っています。一人ひとりの状態やご家族の希望に合わせて、無理のないケアを組み立てます。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、看護師などの専門職がご自宅へ訪問し、体調の観察や医療的なケア、療養生活の支援、ご家族への助言などを行います。頸髄損傷のように継続したケアが必要な状態でも、主治医や関係する専門職と連携しながら、その方の暮らしに沿った支援をめざします。気軽に相談できる関係を大切にしています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 東京23区
- 八王子市
- 立川市
- 武蔵野市
- 三鷹市
- 青梅市
- 府中市
- 昭島市
- 調布市
- あきる野市
- 西東京市
- 小金井市
- 小平市
- 日野市
- 東村山市
- 国分寺市
- 国立市
- 福生市
- 狛江市
- 東大和市
- 清瀬市
- 東久留米市
- 武蔵村山市
- 多摩市
- 稲城市
- 羽村市
- 和光市
- 朝霞市
- 志木市
- さいたま市
- 蕨市
- 川越市
- ふじみ野市
- 所沢市
- 川口市
- 戸田市
- 富士見市
- 新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の頻度は、状態に応じて週に複数回からご相談に応じます。必要なときは、より頻回の訪問について主治医と調整することもできます。1回の訪問時間や土日・祝日の対応、ご本人・ご家族からの相談についても、契約の前にお気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|頸髄損傷の在宅療養を訪問看護が支える

頸髄損傷は、手足の麻痺だけでなく、排泄・呼吸・自律神経の症状など幅広い影響があらわれる状態で、受傷の背景も年代によってさまざまです。在宅での療養では、排泄や呼吸の管理、床ずれの予防、住環境の工夫などが必要になりますが、家族だけで抱え込む必要はありません。頸髄損傷は医療保険で訪問看護を受けられ、高額療養費や身体障害者手帳に関わる支援など、負担をやわらげる制度も整っています。気になることがあれば、まずはお気軽にシンプレ訪問看護ステーションへご相談ください。
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本記事は一般的な情報をまとめたものです。症状や治療、利用できる制度・費用は、お一人おひとりの状態やお住まいの自治体・年度によって異なります。正確なことは主治医・訪問看護ステーション・お住まいの市区町村の窓口へご確認ください。
参考:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等別表第七」/一般社団法人日本脊髄外科学会/公益社団法人日本整形外科学会/国立障害者リハビリテーションセンター別府重度障害者センター