複雑性PTSDの治療法を徹底解説|薬物療法・心理療法・訪問看護まで安心サポート

こんにちは。みなさんは複雑性PTSDという言葉をご存じでしょうか?PTSDには種類があり、事故や災害など突発的な出来事による「単純性PTSD」に対して、長期的または繰り返されるトラウマによって発症するのが「複雑性PTSD」です。
近年では、虐待やDV、いじめ、戦争体験などが原因で複雑性PTSDを発症するケースが増えており、本人だけでなく家族にとっても大きな問題となっています。
本記事では複雑 性 PTSD 治療について、医療機関で行われる代表的な治療法をわかりやすく解説します。外出が難しい方には訪問看護サービスの利用も選択肢となるため、最後までチェックしてみてください。
複雑性PTSDの治療法にはどのようなものがある?
薬物療法による症状の緩和
複雑性PTSDは長期間にわたり心に大きな傷を抱えるため、精神科や心療内科では薬物療法が用いられることがあります。特に多く使用されるのは「セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」で、不安や抑うつ感、睡眠障害などを和らげる効果が期待できます。
薬名 | 効果 |
---|---|
パキシル![]() |
不安や落ち込みを改善 |
ジェイゾロフト![]() |
気分の落ち込み・不眠・無気力の改善 |
薬物療法はあくまで症状を緩和するものであり、根本的なトラウマの処理にはカウンセリングや心理療法と組み合わせて行われます。医師は問診や検査を行い、一人ひとりの症状に合わせた薬を選択します。
対人関係療法で人間関係を再構築する
複雑性PTSDの方は、人との関わりに恐怖や不安を感じ、良好な関係を築けないことがあります。対人関係療法では、自分の感情や思考を客観的に見つめ直し、人間関係のパターンを理解することで、より適応的な関わり方を学んでいきます。
この治療法は「過去のトラウマ」だけでなく「現在の人間関係」に焦点を当てるため、日常生活における不安の軽減や信頼関係の回復に効果的とされています。
複雑性PTSDに効果的とされるその他の治療法
複雑性PTSDの治療は薬物療法だけでは十分とは言えません。心に深く刻まれたトラウマに向き合うためには、心理療法など非薬物療法を併用することが大切です。ここでは、複雑 性 PTSD 治療の中でも特に注目されている「持続エクスポージャー療法」と「EMDR療法」について解説します。
持続エクスポージャー療法(PE療法)
持続エクスポージャー療法(PE療法)は、トラウマ体験を避けるのではなく、段階的に向き合うことで心の負担を軽くしていく方法です。治療ではまず安全な環境でトラウマ記憶を語り、恐怖や不安に対して徐々に慣れていく「曝露」を繰り返します。
この過程を通して「過去の出来事は現在の自分に危害を加えない」という認識を強化し、過度の恐怖反応を減らしていきます。
PE療法は時間をかけて取り組む必要がありますが、フラッシュバックや回避行動を軽減し、社会生活を取り戻す大きな助けとなります。
眼球運動脱感作療法(EMDR)
EMDR(眼球運動脱感作療法)は、比較的新しい心理療法として世界的にも広く導入されています。患者はセラピストの指示に従って目を左右に動かしながら、トラウマ体験を思い出します。
この「眼球運動」によって脳の情報処理が促進され、過去の記憶に伴う強い感情が和らいでいくとされています。
EMDRは薬を使わない治療法であり、副作用が少ないのも特徴です。そのため、薬物療法だけでは十分に改善が見られない方や、副作用が気になる方にも有効と考えられています。
持続エクスポージャー療法とEMDRはいずれも専門のトレーニングを受けた医師や心理士が行う必要があり、自己流での実施は推奨されません。複雑性PTSDは一人で抱え込むには負担が大きいため、必ず専門機関に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
そもそも複雑性PTSDとは?
ここまで複雑 性 PTSD 治療について紹介してきましたが、そもそも「複雑性PTSD」とはどのような疾患なのでしょうか?
PTSDには大きく分けて「単純性PTSD」と「複雑性PTSD」があります。単純性PTSDは交通事故や災害、性被害など一度きりの強い体験が原因で起こります。一方で、複雑性PTSDは長期間にわたって繰り返される虐待やDV、戦争や拷問などによって心に深い傷を負い、その結果として発症します。
複雑性PTSDの定義と特徴
複雑性PTSDは、国際疾病分類(ICD-11)にも正式に記載されている疾患で、従来のPTSDに加えて「持続的な感情の調整困難」「強い自己否定感」「対人関係の障害」といった特徴を伴うのが大きな違いです。
長期的に恐怖や緊張の中で生活した結果、脳が常に危険を警戒する状態になり、フラッシュバックや悪夢だけでなく、自分を責めたり、人を信じられなくなる傾向が強まります。こうした症状は日常生活や社会生活に大きな影響を与え、本人だけでなく周囲の人々の生活にも負担をもたらします。
種類 | 原因 |
---|---|
単純性PTSD![]() |
事故・災害・性犯罪など |
複雑性PTSD![]() |
虐待・DV・戦争体験・拷問など |
単純性PTSDとの違いを解説
単純性PTSDと複雑性PTSDの最大の違いは「トラウマの性質と持続時間」にあります。単純性PTSDは一度の強烈な出来事で発症しますが、複雑性PTSDは繰り返される恐怖体験の積み重ねによって形成されます。
そのため複雑性PTSDでは、フラッシュバックや回避行動といった典型的なPTSD症状に加え、「自尊心の低下」「怒りの爆発」「人間関係の困難」など、より慢性的で広範な影響が現れることが多いのです。
ただし、同じ経験をしても必ず複雑性PTSDを発症するわけではなく、個人の性格や支援環境などによって症状の出方は大きく異なります。
複雑性PTSDにみられる特徴
ここでは、複雑 性 PTSD 治療を進める上で理解しておくべき特徴について解説します。複雑性PTSDは、通常のPTSDと比較して症状が広範囲かつ慢性的に現れることが多く、本人の生活や人間関係に深刻な影響を及ぼすのが特徴です。以下に代表的な3つの特徴を紹介します。
① 感情のコントロールが難しくなる
複雑性PTSDでは、怒り・恐怖・不安・悲しみといった感情のコントロールが困難になります。突然怒り出したり涙が止まらなくなったりするなど、予測不能な反応が生じるため、周囲の人が驚いてしまうこともあります。
また、常に緊張状態が続き、些細な刺激にも敏感に反応してしまうケースがあります。これは長期間のトラウマ体験によって神経系が過敏になり、危険を過大に察知してしまうためです。
感情調整の困難さは日常生活に大きな影響を及ぼし、仕事や家庭生活にも支障をきたすことがあります。
② 自己否定感が強くなる傾向
複雑性PTSDの方は、過去の虐待や暴力体験を「自分のせいだ」と捉えてしまうことが多く、強い自己否定感に苦しむ傾向があります。
「自分には価値がない」「何をやっても失敗する」といった否定的な思考に陥り、結果として自尊心が著しく低下してしまいます。こうした心理状態は、抑うつや無気力感を引き起こし、治療や社会復帰を難しくさせる大きな要因となります。
さらに、自己評価の低下は人間関係の悪化にも直結し、孤独感を深めてしまう悪循環につながります。
③ 対人関係を上手く築けない
複雑性PTSDの方は、他者を信頼することが難しく、人との関係を維持するのが困難になることがあります。虐待やDVを長期的に受けてきた経験から「人は自分を傷つける存在だ」という思い込みを抱きやすく、結果として親密な関係を避けてしまうのです。
他人との距離感がつかめず、過剰に避けるか、逆に無理に近づこうとして関係が不自然になる場合もあります。こうした人間関係のトラブルは、家庭や職場での孤立を招き、さらに症状を悪化させる要因となり得ます。
この特徴は複雑性PTSDの中核的な問題であり、治療においても重点的に取り組む必要があります。
以上のように、複雑性PTSDは感情の調整の難しさ、強い自己否定感、そして人間関係の困難といった複数の特徴が重なって現れます。これらを理解し、適切なサポートや専門的治療を受けることで、少しずつ改善へと進むことが可能です。
複雑性PTSDの主な症状
複雑性PTSDでは、心と体の両面にわたって多様な症状が現れます。これらは単なる一時的なストレス反応とは異なり、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼすため、複雑 性 PTSD 治療を検討する上で正確に理解しておくことが大切です。ここでは代表的な3つの症状を紹介します。
フラッシュバックによる再体験
症状 | 内容 |
---|---|
フラッシュバック![]() |
トラウマ体験を繰り返し思い出す |
フラッシュバックはPTSDの代表的な症状であり、トラウマ体験をあたかも現在の出来事のように再体験してしまいます。光や音、匂いといった刺激が引き金となり、強烈な恐怖や動悸、発汗など身体的反応を伴う場合も少なくありません。繰り返される再体験により外出や人付き合いが難しくなることもあり、生活の質を大きく低下させる要因になります。
トラウマを避けようとする回避行動
症状 | 内容 |
---|---|
回避行動![]() |
トラウマと関連する人や場所を避ける |
トラウマ体験を思い出させるような状況や場所、人を無意識に避ける行動も複雑性PTSDの特徴です。例えば事故被害を受けた人が車を避けて外出できなくなる、性的被害に遭った方が異性との接触を極端に避けるなど、生活の幅が著しく狭まることがあります。
このような回避行動は一時的には安心感を与えるものの、長期的には社会参加を妨げ、孤立感を強める悪循環につながってしまいます。
記憶に関する問題や思考の混乱
症状 | 内容 |
---|---|
記憶障害![]() |
トラウマ体験の記憶が断片的になる |
記憶の問題は複雑性PTSDでよく見られる症状のひとつです。トラウマ体験をまったく思い出せなかったり、断片的にしか記憶できないことがあります。これは脳が過度のストレスから自分を守ろうとする防衛反応であり、思い出そうとすると強い不安や混乱を伴う場合もあります。
また、日常的な思考がまとまらなくなる、集中力が低下するなどの認知的な問題が現れることもあり、仕事や学業に大きな支障をきたすことがあります。
このように、複雑性PTSDの症状は多岐にわたり、時間の経過だけで自然に治るものではありません。早期に専門医へ相談し、薬物療法や心理療法を組み合わせた治療を受けることが、回復への第一歩となります。
外出が不安な方は精神科訪問看護を活用しよう
複雑性PTSDでは、強い不安や恐怖から「外に出られない」「人に会うのが怖い」と感じる方が少なくありません。そのため通院が難しく、複雑 性 PTSD 治療を受けたくても途中で中断してしまうケースも見られます。こうした場合に役立つのが精神科訪問看護です。医療従事者が自宅に訪問して支援するため、外出が困難な方でも安心して継続的な治療を受けることができます。
精神科訪問看護とは?
・精神科や心療内科に通院中の方
・医師から精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくても医師が訪問を必要と判断した方
訪問するスタッフ
・看護師や准看護師
・作業療法士などのリハビリ専門職
訪問時間
・1回30分〜90分程度
・週1〜3回が基本(必要に応じて週4回以上も可能)
精神科訪問看護は、医師の指示書に基づいて看護師や作業療法士が患者さんの自宅を訪問し、服薬管理や生活支援、社会復帰に向けたサポートを行います。複雑性PTSDの方にとっては、外出の不安を和らげつつ治療を継続できる大きなメリットがあります。
医療保険は適用されるの?
精神科訪問看護は国民健康保険や社会保険などの公的医療保険が適用されます。医師から「訪問看護指示書」が交付されれば利用可能で、40歳未満の方や、40歳以上で要介護認定を受けていない方も対象です。
また、自立支援医療制度や心身障害者医療費助成制度、生活保護などの制度と併用できる場合もあり、自己負担額を軽減できるケースもあります。経済的な不安から治療を諦めてしまう方にとっても、安心して利用できる制度設計になっています。
精神科訪問看護のサービス利用料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
1割負担![]() | 1,299円/回 | 855円/回 |
2割負担![]() | 2,598円/回 | 1,710円/回 |
3割負担![]() | 3,897円/回 | 2,565円/回 |
上記は医療保険を利用した場合の料金目安です。加えて、深夜・早朝の訪問や長時間の訪問が必要な場合には、別途加算料金が発生することがあります。
ただし、収入や年齢によっては助成制度が適用され、自己負担が1割~3割からゼロになるケースもあります。詳しくは地域の保健センターや訪問看護ステーションに相談することをおすすめします。
このように、精神科訪問看護は外出が不安で治療が続けられない方にとって大きな支えとなります。特に複雑性PTSDのように長期的なケアが必要な場合、訪問看護を併用することで安心して回復への道を歩むことができるでしょう。
複雑性PTSDのケアならシンプレ訪問看護ステーションへ
複雑性PTSDの方にとって、通院を続けながら治療を受けるのは大きな負担になることがあります。そのような時に頼りになるのが、地域に根ざした訪問看護サービスです。特に当ステーション「シンプレ訪問看護ステーション」は精神科に特化した支援を行っており、複雑 性 PTSD 治療のサポートにも力を入れています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神疾患に精通した看護師や作業療法士がご自宅に訪問し、服薬管理や生活支援、社会復帰のサポートを行っています。
複雑性PTSDでは、フラッシュバックや不安、孤立感などが続くことがありますが、専門スタッフが患者さんに寄り添いながら一人ひとりに合わせた支援を提供します。
また、病院や行政、家族との連携を大切にし、情報を共有することで安心して治療を継続できる体制を整えています。「病気と付き合いながらも自分らしく生活できる」ことを目指してサポートするのが当ステーションの特徴です。
訪問看護の対象エリア
シンプレ訪問看護ステーションは東京都を中心に幅広いエリアでサービスを提供しています。対応エリアは以下の通りです。
- 東京23区
- 西東京市、武蔵野市、三鷹市、調布市、府中市、東久留米市
- 埼玉県の一部地域
上記以外の近隣地域にお住まいの方でも、訪問が可能な場合があります。詳しくはお気軽にご相談ください。
訪問時間は1回30分〜90分、訪問回数は週1〜3回が基本ですが、必要に応じて週4回以上の訪問にも対応可能です。土曜・祝日の訪問も行っているため、ライフスタイルに合わせた利用が可能です。
さらに、シンプレではうつ病・統合失調症・発達障害・双極性障害など多様な精神疾患に対応しており、胃ろうや在宅酸素療法、緩和ケアなどの医療処置も行えます。複雑性PTSDと他の疾患を併発している方でも安心して利用できるのが強みです。
制度面では、自立支援医療制度(精神通院)や心身障害者医療費助成制度、生活保護などの利用が可能で、経済的な負担を軽減しながら継続的に治療を受けられます。
複雑性PTSDは長期的なケアが必要ですが、専門スタッフと制度を活用することで安心して治療を続けることができます。自宅での療養に不安を感じている方は、ぜひシンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
まとめ|複雑性PTSDは専門的な治療と訪問看護の併用で回復を目指そう
複雑性PTSDは、虐待やDV、いじめ、戦争体験など長期的で繰り返されるトラウマが原因で発症する深刻な疾患です。フラッシュバックや回避行動、記憶の混乱といった典型的な症状に加え、感情のコントロールが難しい、強い自己否定感を抱く、人間関係が築けないといった特徴が重なり、生活の質を大きく損ないます。
そのため、単なる時間経過で自然に改善することは難しく、必ず専門的なサポートを受けることが重要です。
複雑 性 PTSD 治療では、薬物療法による症状緩和だけでなく、持続エクスポージャー療法やEMDRといった心理療法を組み合わせることが効果的です。さらに、日常生活の中で治療を継続できる環境を整えることも大切です。外出が不安な方や通院が困難な方は、精神科訪問看護を活用することで自宅にいながら支援を受けることができます。これは複雑性PTSDの方にとって非常に大きな安心材料となるでしょう。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神疾患に特化した専門スタッフが一人ひとりに寄り添い、服薬支援や生活支援、再発予防などを行っています。東京都23区や西東京市、武蔵野市、三鷹市、調布市、府中市、東久留米市、さらには埼玉県の一部地域まで対応しており、幅広いエリアでサービスを利用できます。制度面でも自立支援医療制度や医療費助成制度が活用でき、経済的な不安を軽減しながら継続的に治療を進められます。
複雑性PTSDの回復には「専門的な治療」と「継続可能な生活支援」の両立が欠かせません。時間はかかるかもしれませんが、適切な医療と訪問看護を併用すれば、少しずつ前に進むことができます。もしご自身やご家族が複雑性PTSDでお悩みなら、一人で抱え込まず専門機関に相談してみてください。早期に支援を受けることで、安心して生活を取り戻す第一歩を踏み出せます。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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