統合失調症の症状をわかりやすく解説|原因・治療法・回復の流れまで詳しく紹介
統合失調症は、幻覚や妄想などの症状が現れる精神疾患のひとつです。本人の内面で大きな葛藤があっても、外見からはわかりにくいことが多い病気です。
早期に治療を始めることで回復が期待できるため、統合失調症の症状を正しく理解することがとても大切です。
この記事では、統合失調症の主な症状や病型、原因、治療法について詳しく解説します。こころや行動に変化を感じている方、またはご家族に心配な方がいる場合は、ぜひ参考にしてみてください。
統合失調症の主な3つの症状を解説

陽性症状(幻覚・妄想など)
統合失調症の陽性症状には、幻覚や妄想といった現実には存在しない感覚や考えが強く現れます。
代表的なのは「幻聴」で、実際には聞こえない声が聞こえるように感じることがあります。ときには「命令されている」「監視されている」といった妄想を強く信じ込むこともあります。
これらの症状が続くと、興奮や混乱が生じ、独り言を話したり、独りで笑ってしまうなどの行動が見られる場合もあります。
陽性症状は本人にとって非常に苦痛を伴うため、早期の治療や支援が重要です。
陰性症状(感情の平板化・意欲低下)
陰性症状では、感情の表現が乏しくなり、表情の変化が少なくなります。以前は楽しめていたことに興味を持てなくなる、話す機会が減るなど、社会的な活動が減少していきます。
また、思考力や意欲の低下がみられるため、身の回りのことが疎かになり、生活が閉じこもりがちになるケースもあります。
このような症状が続くと、周囲からは「怠けている」と誤解されることもありますが、実際には病気による脳機能の変化が原因です。
家族や支援者が理解し、焦らず見守る姿勢が大切です。
認知症状(記憶力・集中力の低下)
統合失調症では、記憶力や集中力の低下といった認知機能の障害もみられます。
簡単な作業や家事でも順序立てて行うことが難しくなり、思考の整理がうまくいかなくなることがあります。
そのため、人との会話に集中できない、話の内容を理解できないなど、コミュニケーションにも影響が出ることがあります。
認知症状は回復に時間がかかることもありますが、リハビリや訪問看護などの支援を受けながら改善を目指すことができます。
統合失調症の症状ごとに分けられる3つの病型

・30歳前後で発病することが多い
・主な症状は妄想や幻覚
破瓜型(はか型)
・30歳前後や思春期での発病が多い
・意欲の低下
・感情の浮沈が起こらなくなる
緊張型
・20歳前後に発病することが多い
・大声や叫び声をあげる
・身体が緊張し奇妙な姿勢になる
統合失調症には、現れる症状の特徴によっていくつかのタイプ(病型)に分けられます。代表的なものが「妄想型」「破瓜型(はか型)」「緊張型」の3つです。
それぞれの病型には特徴的な症状の現れ方があり、治療や支援の方法にも違いがあります。自分や身近な人がどのようなタイプに当てはまるかを知ることで、より適切なサポートを受けやすくなります。
妄想型統合失調症
妄想型は、統合失調症の中でも比較的発症が遅いタイプで、幻覚や妄想が中心となる症状が特徴です。
「誰かに監視されている」「悪口を言われている」といった被害妄想や、「特別な使命がある」と感じる誇大妄想などが見られることもあります。
発症年齢は30歳前後が多く、感情や意欲の低下は比較的少ない傾向にあります。
症状が強い時期には混乱が生じることもありますが、薬物療法などで比較的安定しやすいタイプとされています。
破瓜型統合失調症
破瓜型は、思春期から20代前半に発症することが多く、主に陰性症状が強く現れる病型です。
感情の起伏が乏しくなり、会話や行動に活気がなくなっていくのが特徴です。考えがまとまりにくく、他者との関わりが減少することもあります。
発症が早いほど社会生活への影響が大きくなるため、早期の気づきと支援が非常に重要です。
医師や訪問看護などの支援を受けながら、少しずつ生活リズムや意欲を取り戻すことが大切です。
緊張型統合失調症
緊張型は、20歳前後で発症することが多いタイプで、興奮や強い緊張状態がみられるのが特徴です。
突然叫び出したり、逆に長時間動かずに固まってしまうなど、行動の極端な変化が現れることがあります。
また、体がこわばったり、奇妙な姿勢を保つなど、身体的にも特徴的な症状を伴うことがあります。
緊張型の統合失調症では、身体的リスクも伴うため、医療機関での早期治療が不可欠です。適切な治療を行うことで症状が安定し、社会生活への復帰も目指せます。
統合失調症の原因とは?遺伝・脳機能・環境要因

統合失調症は、遺伝や脳の働き、環境要因など、複数の要素が関係して発症すると考えられています。
しかし、どれか1つの原因で起こるわけではなく、いくつかの要因が重なり合って発症すると言われています。
「なぜ自分が統合失調症になったのか」と悩む方も多いですが、原因を知ることは病気を理解し、回復に向けた第一歩になります。
遺伝的要因と家族歴
統合失調症は、遺伝が関係するとされていますが、必ずしも親や兄弟が発症しているからといって自分も発症するとは限りません。
遺伝的な「なりやすさ」を持っている人が、ストレスなどの外的要因によって発症するケースが多いとされています。
つまり、「遺伝そのものが原因」というよりも、「体質的に影響を受けやすい素因」が関係していると考えられています。
家族歴がある場合は、早期に変化に気づき、医療機関へ相談することが再発防止にもつながります。
脳の神経伝達物質の異常
統合失調症の研究では、脳内で情報を伝達する物質である「ドーパミン」や「セロトニン」が深く関わっているとされています。
これらの神経伝達物質が過剰に分泌されたり、バランスが崩れたりすることで、幻覚や妄想などの統合失調症の症状が現れると考えられています。
また、脳の構造や機能に軽微な異常がある場合にも、思考や感情のコントロールに影響が出ることがあります。
薬物療法では、これらの神経伝達物質のバランスを整えることが重要な目的となります。
ストレスや生活環境による影響
統合失調症は、ストレスや生活環境の変化が引き金となって発症することもあります。
例えば、人間関係のトラブル、過労、生活リズムの乱れなどが長期間続くと、心身のバランスが崩れ、症状が出やすくなることがあります。
特に、元々ストレスに弱い傾向がある人は、環境変化の影響を強く受ける傾向があります。
一方で、十分な休息・適度な運動・安心できる人間関係といった生活環境の改善により、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることも可能です。
日常生活の中で無理をせず、支援を受けながら自分に合ったペースで過ごすことが大切です。
統合失調症の発症から治療までの5段階

・焦りや不安感
・不眠
・音に敏感になる
②前兆急性期
・幻覚や妄想
・他人と自分との境目が分からなくなる
③休息期
・無気力になる
・眠気が強い
・からだがだるい
④回復期
・徐々に症状がおさまり、ゆとりが出る
⑤安定期
・回復期を経て安定した生活を送れる
統合失調症は、発症から治療・回復までにいくつかの段階を経て進行していきます。
一般的に「前駆期」「急性期」「消耗期」「回復期」「維持期」の5つの時期に分けられ、それぞれに特徴的な症状やサポートの必要性があります。
段階を理解しておくことで、症状の変化に早く気づき、適切な対応をとることができます。
前駆期(違和感や不調が始まる時期)
この時期は、統合失調症の初期段階で、焦り・不安・不眠などの軽い心身の変化が現れます。
周囲から見ると「少し様子が変だな」と感じる程度のことも多く、本人も病気とは気づかないケースが少なくありません。
音や光に敏感になったり、人付き合いを避けるようになったりすることもあります。
早い段階で違和感に気づくことができれば、発症を遅らせたり軽く抑えたりすることができる場合もあります。
急性期(幻覚・妄想などが強まる時期)
この時期は、統合失調症の陽性症状が強く現れる段階です。幻聴や妄想に悩まされ、現実との区別が難しくなることもあります。
興奮したり混乱したりするため、入院による治療が必要になることもあります。
本人は非常に不安定な状態にあり、家族も戸惑う時期ですが、焦らず医師や看護師のサポートを受けることが大切です。
適切な治療を行うことで、徐々に症状が落ち着いていきます。
消耗期(症状で心身が消耗する時期)
急性期を経た後は、心身のエネルギーが消耗し、強い疲労感や無気力状態に陥ることがあります。
眠気が強く、何をするにも気力が湧かない状態になることも多いです。
この時期は「もう治らないのでは」と感じる人もいますが、実際には体と心を休める重要な期間です。
焦らず休養を取り、医療者の指導のもとで少しずつ生活リズムを整えていきましょう。
回復期(治療により安定していく時期)
治療の効果が現れ始め、少しずつ症状が落ち着いてくる時期です。
気持ちにゆとりが生まれ、意欲や社会的な活動への関心も戻ってきます。
しかし、ここで無理をして生活を元通りに戻そうとすると再発のリスクがあるため、段階的に行動を広げることが大切です。
訪問看護やデイケアなどを活用しながら、無理のないペースで社会参加を目指しましょう。
維持期(再発予防・社会復帰の時期)
症状が安定し、社会生活を送ることができる時期です。
この時期のポイントは、再発を防ぎながら自立した生活を継続することです。
薬の自己中断や過度なストレスは再発の原因となるため、医師の指示を守り、規則正しい生活を心がけましょう。
また、精神科訪問看護を利用することで、服薬管理や生活リズムの調整などをサポートしてもらうこともできます。
安定した環境の中で、自分らしい生活を続けていくことが目標です。
統合失調症の症状を感じたら医師に相談しよう

「もしかして統合失調症かもしれない」と感じたとき、または家族や身近な人の様子に違和感を覚えたときには、早めに医師へ相談することが大切です。
統合失調症は、早期発見・早期治療によって回復の可能性が高まります。
症状を我慢したり自己判断で放置したりすると、悪化してしまうこともあるため、専門機関への相談をためらわないようにしましょう。
精神科・心療内科での診断と治療
統合失調症の症状を感じたら、まずは精神科または心療内科を受診しましょう。
医療機関では、問診や観察、心理検査などを通して診断が行われます。
最近では「統合失調症専門外来」や「メンタルクリニック」など、専門性の高い施設も増えています。
通院が難しい場合には、訪問診療を行っているクリニックや精神科訪問看護を利用する方法もあります。
また、どの病院に行けばよいかわからないときは、地域の保健所に相談することで、適切な医療機関を紹介してもらうこともできます。
医師による治療と並行して、心理士や看護師、ソーシャルワーカーがチームで支援する体制も整っています。
その他の相談先一覧
精神保健福祉センター
各都道府県や政令指定都市に設置されている公的な相談機関です。
統合失調症をはじめとする精神疾患に関する相談に応じており、家族や支援者からの相談も受け付けています。
必要に応じて、リハビリやデイサービスなど地域支援につなげてもらえる場合もあります。
保健所
保健所でも、精神に関する悩みや生活上の支援について相談することができます。
担当保健師が、症状の状態や家庭の状況に応じてアドバイスをしてくれるため、受診を迷っている段階でも相談可能です。
電話で予約をしておくとスムーズに対応してもらえます。
家族と一緒に相談へ行くことで、より安心して話を進めることができます。
電話・SNS相談窓口
外出が難しい場合は、電話やSNSによる相談も利用できます。
厚生労働省の「まもろうよこころ」などの公式サイトでは、LINEなどで相談できる窓口も紹介されています。
代表的なものに「よりそいホットライン」や「こころの健康相談統一ダイヤル」などがあり、24時間体制で話を聞いてもらうことができます。
統合失調症の治療法を知っておこう

統合失調症の治療は、薬物療法と心理社会的治療を組み合わせて行うのが基本です。
薬で症状を抑えるだけでなく、社会復帰を支えるリハビリや訪問看護など、生活全体をサポートする仕組みが整っています。
一人ひとりの状態に合わせて、医師や看護師、心理士など多職種が連携して治療を進めていくことが大切です。
ここでは、代表的な治療法について詳しく見ていきましょう。
薬物療法による症状のコントロール
抗精神病薬の役割
統合失調症の治療の中心となるのが抗精神病薬です。
この薬は、幻聴や妄想といった統合失調症の症状を和らげ、感情や行動の安定を保つ効果があります。
脳内の神経伝達物質であるドーパミンのバランスを整えることで、陽性症状を抑える働きをします。
また、不眠や不安が強い場合には、補助的に睡眠導入薬や抗不安薬が処方されることもあります。
副作用とその対策
薬には効果がある一方で、副作用が出ることもあります。
代表的なものは、眠気・体重増加・手の震えなどですが、医師が慎重に薬の種類や量を調整して対応します。
自己判断で服薬を中止すると、再発リスクが高まるため、必ず医師の指示に従いましょう。
副作用が気になる場合も、医療者へ正直に相談することが大切です。
最近では副作用の少ない薬も増えており、長期的な服薬がしやすくなっています。
心理社会的な治療で社会復帰を目指す
精神療法やリハビリテーション
薬だけでなく、カウンセリングや認知行動療法などの精神療法も重要です。
また、デイケアや訪問看護などを通じて、生活のリズムを整えながら社会復帰を目指すリハビリテーションも行われます。
同じ経験をもつ仲間とのグループ活動を通して、孤立を防ぎ、自信を取り戻す効果も期待できます。
病気や治療との向き合い方
統合失調症は長期的に付き合っていく病気であり、再発予防が大切です。
薬の服用を続けること、ストレスを溜めすぎないこと、無理をしすぎない生活を送ることが安定につながります。
また、家族や支援者が病気について正しく理解し、協力的な環境をつくることも重要です。
ご家族や周囲の接し方
再発防止のためには、家族や周囲のサポートが欠かせません。
焦らず穏やかに接し、患者さんが安心して過ごせる雰囲気を作ることが大切です。
また、支える家族自身もストレスを抱え込みすぎないよう、専門機関や訪問看護へ相談することをおすすめします。
精神科訪問看護による在宅でのサポート
・自宅で安心して暮らせるよう生活リズムを整える支援
・掃除や食事など日常生活のアドバイス
症状の悪化防止・服薬支援
・統合失調症の症状や生活の変化を観察
・受診や服薬をサポートし、再発を予防
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携し、社会復帰を支援
・就労や社会参加へのステップをサポート
家族の方への支援
・家族への相談対応やアドバイス
・利用できる社会資源の紹介
精神科訪問看護では、看護師や精神科経験のあるスタッフがご自宅に訪問し、症状の観察や服薬管理、生活面の支援を行います。
外出や通院が難しい方でも、自宅で治療を続けながら安心して生活できるようサポートします。
また、医療機関・行政・地域の支援機関と連携し、再発防止や社会復帰を支える体制が整っているのも特徴です。
精神疾患をお持ちならシンプレへ

シンプレの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは、精神科疾患のある方に特化した訪問看護を行っています。統合失調症があり、地域で生活している方の看護も担当しています。
内服薬の管理や、内服薬の副作用に対する不安などの相談にも、のることができます。シンプレの訪問看護師がお宅を訪問して生活の状況と合わせて看護します。
私たちは、地域で暮らす精神疾患のある方の自主性を尊重しています。利用者さんの思いをしっかりと受け止め、少しでも安心して生活できるように支援します。
利用者さんの主治医や、保健所の担当者とも連携しています。地域で利用者さんが暮らして行くために支援者同士の連携も行っています。
シンプレの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションでは、上記に記載のあるエリアに訪問看護を行っています。現在、訪問エリアを順次拡大中です。
上記に記載のあるエリア以外についても、訪問可能な場合があります。統合失調症の症状でお悩みの方が身近にいるなどで悩みがある場合、まずはお気軽にご相談ください。 ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|統合失調症の症状を理解して早期相談・治療へ

統合失調症は、幻覚や妄想といった陽性症状だけでなく、感情や意欲の低下、集中力の低下など、さまざまな症状が現れる病気です。
本人はもちろん、支えるご家族にとっても負担や不安が大きくなることがあります。
しかし、早期の相談と継続的な治療により、症状の安定と社会復帰を目指すことができます。
一度落ち着いたように見えても、ストレスや服薬の中断などによって再発することもあるため、医師の指示を守りながら焦らず治療を続けていくことが大切です。
また、訪問看護やデイケアなどの地域支援をうまく活用することで、在宅でも安心して療養を続けられます。
ご家族も、病気を正しく理解し、一人で抱え込まないようにすることがポイントです。
シンプレ訪問看護ステーションでは、統合失調症の症状に悩む方やご家族に向けて、
服薬管理・生活支援・社会復帰のサポートなどを行っています。
精神科訪問看護の経験を持つスタッフが丁寧に対応し、安心して療養できる環境づくりをお手伝いします。
「最近様子が違う」「通院が難しい」と感じたら、早めにご相談ください。
統合失調症は、適切な治療と周囲の支えがあれば回復を目指せる病気です。
不安や疑問を一人で抱えず、まずは専門家や地域の支援機関に相談することから始めてみましょう。
小さな一歩が、あなたや大切な人の未来を変えるきっかけになります。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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