在宅人工呼吸指導管理とは?費用と訪問看護|シンプレ訪問看護
ご家族が在宅で人工呼吸器を使うことになったとき、まず出てくる言葉のひとつが「在宅人工呼吸指導管理」です。これは、在宅で人工呼吸療法を続ける方を主治医が定期的に管理・指導するしくみで、在宅人工呼吸指導管理を受けている方は訪問看護を医療保険で利用しやすくなります。この記事では、在宅人工呼吸指導管理とは何か、人工呼吸療法の種類や対象になる人、訪問看護でできる支援、医療保険や費用、相談先まで、本人・ご家族の目線でやさしくまとめます。在宅での療養に向けた備えの全体像がつかめるはずです。
在宅人工呼吸指導管理とは

在宅人工呼吸指導管理とは、病院ではなくご自宅で人工呼吸療法を続けている方に対して、主治医が定期的に状態を確認し、装置の管理や緊急時の対応について指導するしくみのことをいいます。医療機関では、在宅人工呼吸指導管理を行った場合に「在宅人工呼吸指導管理料」という項目を月1回算定するとされています。読者の方がこの管理料そのものを意識する場面は多くありませんが、この管理を受けていることが、後で出てくる保険や費用の話に深く関わってきます。
在宅人工呼吸療法で行うこと
在宅人工呼吸療法は、自分の力だけでは十分な呼吸が続けにくい方が、人工呼吸器の助けを借りながらご自宅で生活するための療法です。具体的には、装置そのものの保守・管理、必要な保守内容のご本人やご家族への説明、夜間や緊急時の対応の取り決めなどが含まれるとされています。装置は医療機関から貸し出され、回路などの付属品の費用は管理料に含まれるしくみになっているといわれています。つまり、ご家庭で機器をそろえる負担を心配しすぎなくてよい設計になっています。
対象になる人と医師の判断
対象になるのは、長期にわたって持続的に人工呼吸の助けが必要で、かつ病状が落ち着いていて、在宅での人工呼吸療法が適当だと医師が認めた方とされています。導入するかどうか、どの方法が合うかは、あくまで主治医が状態を総合的にみて判断します。なお、睡眠時無呼吸症候群でASVという機器を使う方などは、この在宅人工呼吸指導管理の対象にはならないと案内されています。ご自身が対象になるかどうかは、入院中の主治医や退院支援の担当者に確認しておくと安心です。
在宅人工呼吸療法の種類と使う人

在宅人工呼吸療法には、大きく分けてマスクを使う方法と、気管切開を行う方法の2種類があるとされています。どちらになるかは病気の種類や進み方によって異なり、在宅人工呼吸を始める方は子どもから高齢の方まで幅広いのが特徴です。ここでは、それぞれの方法と、どんな方が使うことが多いのかを整理します。
マスクで行うNPPV
NPPVは、鼻や口に当てたマスクを通して空気を送り込み、呼吸を助ける方法です。気管を切開せずに使えるため、体への負担が比較的少ないとされ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺結核後遺症、間質性肺炎などの呼吸器の病気、神経や筋肉の病気の方などに用いられることが多いといわれています。マスクの当たり方によって皮膚に負担がかかることもあるため、装着の様子をこまめにみていくことが大切と考えられています。
気管切開で行うTPPV
TPPVは、のどに開けた気管切開の口から管(気管カニューレ)を通し、人工呼吸器につないで呼吸を助ける方法です。自力での呼吸が難しくなった段階で選ばれることが多いとされ、神経や筋肉の病気が進んだ場合などに用いられるといわれています。たんの吸引や気管切開部のケアが日常的に必要になりやすく、ご家族の手技や見守りが欠かせない場面が増えていきます。
神経や筋肉の病気・呼吸器の病気・子どもまで
在宅人工呼吸療法の対象になる病気は幅広く、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの神経・筋肉の病気、COPDや肺結核後遺症などの呼吸器の病気が代表的とされています。また、生まれつきの病気などで人工呼吸器を使うお子さんもいます。高齢の方だけのしくみではない点はおさえておきたいところです。年齢や生活の状況に合わせて、必要な支援の組み立て方も変わってきます。
在宅人工呼吸を支える訪問看護でできること

在宅人工呼吸を続けるうえで、訪問看護は心強い支えになります。訪問看護師は主治医の指示のもとで定期的にご自宅を訪れ、呼吸や全身の状態を観察し、気になる変化を主治医へ橋渡しします。機器の操作やケアの方法を一方的に教えるというより、ご家族がこれまで行ってきたやり方を一緒に確認しながら、不安なところを相談できる関係をつくっていくイメージです。
呼吸や全身の状態の観察
訪問のたびに、呼吸の状態や顔色、体温、たんの量や性状、皮膚の様子などを観察し、いつもと違うところがないかを確認していきます。マスクや気管切開部のまわりの皮膚トラブルは起こりやすいとされるため、早めの気づきが大切と考えられています。気になる変化があれば、看護師が主治医に報告し、必要な対応につなげます。判断や治療方針を決めるのは主治医で、看護師はその間をつなぐ役割を担います。
機器やケアの使い方を一緒に確認
人工呼吸器の回路や加湿、アラームが鳴ったときの対応、たんの吸引や排痰のケアなどは、ご家庭で毎日続いていくものです。訪問看護では、これまでのやり方を一緒に確認し、困っている点を一緒に整理していきます。「この音は何だろう」「このときどうすれば」といった小さな疑問をその場で相談できることが、在宅療養の安心につながるといわれています。手技そのものは、退院前から医療機関で指導を受けたうえで、在宅で継続して確認していく流れが一般的です。
ご家族の不安や困りごとの相談
在宅人工呼吸は、ご家族の見守りや介助が日常的に必要になります。訪問看護では、ケアの方法や日々の困りごと、利用できる制度や相談先について、気軽に相談できる窓口としての役割も持っています。ご家族だけで抱え込まず、専門職や地域の支援につなげていくことが、長く続けていくうえで大切と考えられています。
在宅人工呼吸と訪問看護の保険と訪問の頻度

在宅人工呼吸を行う方の訪問看護は、保険の取り扱いに大きな特徴があります。どの保険が使えるか、どのくらいの頻度で来てもらえるかは多くの方が気になる点なので、ここで整理します。在宅人工呼吸を行う方は、医療保険での訪問看護が中心になります。
人工呼吸器を使う状態と医療保険
訪問看護では、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に当てはまる方は、年齢や要介護認定の有無にかかわらず医療保険での訪問になります。人工呼吸器を使用している状態はこの別表7に含まれており、要介護認定を受けている方でも医療保険の訪問看護になります。マスクを使うNPPVの場合も、主治医が在宅人工呼吸指導管理料の人工呼吸器加算を算定しているときは、別表7の人工呼吸器を使う状態に当てはまるとされています。別表7に当てはまるかどうかは主治医が判断し、訪問看護指示書に記載します。ご本人やご家族が自分で申請する手続きは不要です。
必要なときは訪問回数を増やせる
別表7に当てはまる方は、通常より手厚い訪問看護を利用できます。具体的には、週4日以上の訪問や、1日に2〜3回の複数回訪問、最大3か所の訪問看護ステーションの併用などが認められているとされています。さらに、人工呼吸器に加えて気管カニューレを使うなど別表8の状態にも当てはまる場合は、90分を超える長時間の訪問など、さらに手厚い特例も利用しやすくなります。実際にどのくらいの頻度にするかは、状態やご家庭の状況をふまえて主治医や訪問看護ステーションと相談して決めていきます。なお制度は年度の改定で変わることがあるため、最新の内容は主治医・ステーション・お住まいの市区町村でご確認ください。
在宅人工呼吸にかかる費用と負担をやわらげるしくみ

費用は、在宅人工呼吸を続けるうえで多くのご家庭が気にされる点です。在宅人工呼吸にかかる医療費には医療保険が使え、負担をやわらげる公的なしくみがいくつも用意されています。ここでは目安と、知っておきたい制度をまとめます。なお金額や制度は年度の改定で変わるため、最新の内容は各窓口でご確認ください。
医療費の自己負担と高額療養費
在宅人工呼吸にかかる医療費は、加入している医療保険が適用され、自己負担は年齢や所得に応じておおむね次のようになります。下の表の割合は、あくまで自己負担分の目安で、最終的な支払い総額ではありません。
| 区分 | 医療費の自己負担割合 |
|---|---|
| 小学校就学前 | 2割 |
| 就学後〜69歳 | 3割 |
| 70〜74歳 | 2割(現役並み所得は3割) |
| 75歳以上 | 1割(所得に応じ2割・3割) |
※表の割合は健康保険の自己負担分で、最終的な支払い総額そのものではありません。さらに、生活保護では自己負担なしになる場合があります。さらに、1か月の自己負担が一定額を超えた分が払い戻される高額療養費制度があり、所得に応じた上限が設けられています。月々の負担が一定の範囲に収まるしくみだと考えておくと安心です。
指定難病や障害の医療費助成
在宅人工呼吸の対象になる病気のなかには、ALSなどの指定難病が含まれます。指定難病の医療費助成を受けると、自己負担は2割になり、所得に応じた月額の上限が設けられます。上限は、生活保護で0円、人工呼吸器を装着している方は所得を問わず月1,000円とされ、ほかに低所得で2,500円・5,000円、一般所得で10,000円・20,000円、上位所得で30,000円という区分があります。人工呼吸器を使う方は、負担が大きく軽くなる場合があるということです。このほか、重度の障害がある方の医療費助成(住民税が非課税なら実質無料になることが多い)や、18歳までのお子さんの子ども医療費助成(自治体により実質無料が多い)など、状況に応じて使える制度があります。どの制度が使えるか、どれが有利かは、市区町村の窓口や病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)が整理してくれるので、一人で抱え込む必要はありません。
在宅人工呼吸を始めるときと困ったときの相談先

在宅人工呼吸は、退院に向けた準備の段階から少しずつ始まります。退院前の打ち合わせから訪問看護の利用までを、一緒に組み立てていける体制が整っているので、どこに相談すればよいかを知っておくと安心です。
退院前の打ち合わせから始まる
退院前には、ご本人・ご家族と、医療機関や在宅の支援者が集まって打ち合わせを行うことが多いとされています。実際に外泊をして、ご自宅で人工呼吸の管理ができるか、困る点がないかを確かめる方法もあります。その際に訪問看護師がご自宅を訪れて状況を確認し、生活や療養について具体的に相談に乗ることで、退院後の生活への安心につなげていきます。準備の段階から関わってもらえることが、在宅へのスムーズな移行を支えます。
主治医・ステーション・行政の窓口
困ったときの相談先は、状況に応じて複数あります。体調や治療のことは主治医、日々のケアや機器のことは訪問看護ステーション、費用や制度のことは市区町村の窓口や病院のMSWが頼りになります。多くの訪問看護ステーションが24時間対応の体制を届け出ているとされ、夜間や緊急時に連絡できる安心感があります。ただし実際に対応できる範囲はステーションによって異なるため、契約の前に確認しておくとよいでしょう。最新の制度や手続きについても、これらの窓口で確認することをおすすめします。
在宅人工呼吸の療養を支えるシンプレ訪問看護ステーション

在宅人工呼吸を続けていくうえで、定期的にご自宅を訪れて状態をみて、相談に乗ってくれる存在は大きな支えになります。シンプレ訪問看護ステーションでは、医療的なケアが必要な在宅療養を、主治医や関係機関と連携しながら支えます。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神科の訪問看護に強みを持ちながら、医療や介護の訪問看護にも対応しています。専門職が定期的にご自宅を訪問し、呼吸や全身の状態の観察、機器やケアの使い方の確認、ご家族の不安や困りごとの相談などを、一人ひとりのペースに合わせて行います。在宅人工呼吸のように医療的な管理が続く場合も、主治医の指示のもとで観察と報告を丁寧に重ね、安心して在宅療養を続けられるようにサポートします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 東京23区
- 立川市
- 武蔵野市
- 三鷹市
- 府中市
- 昭島市
- 調布市
- 西東京市
- 小金井市
- 小平市
- 日野市
- 東村山市
- 国分寺市
- 国立市
- 福生市
- 狛江市
- 東大和市
- 清瀬市
- 東久留米市
- 武蔵村山市
- 多摩市
- 稲城市
- 和光市
- 朝霞市
- 志木市
- さいたま市
- 蕨市
- 川越市
- ふじみ野市
- 所沢市
- 川口市
- 戸田市
- 富士見市
- 新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の頻度は週1〜3回が目安で、状態に応じて週4回以上の訪問や1日複数回の訪問にも対応できる場合があります。1回の訪問時間はおおむね30〜90分で、土日・祝日のご相談も承っています。ご本人だけでなくご家族の不安や困りごとのご相談にも対応していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。※お受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。まずはお問い合わせから対応可否をご確認ください。
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在宅人工呼吸指導管理と訪問看護のまとめ

在宅人工呼吸指導管理は、ご自宅で人工呼吸療法を続ける方を主治医が定期的に管理・指導するしくみです。人工呼吸器を使う状態は別表7に当てはまるため、年齢や要介護認定にかかわらず医療保険の訪問看護を利用でき、訪問回数も増やせます。費用は医療保険が使え、高額療養費や指定難病の医療費助成など、負担をやわらげるしくみも用意されています。退院前の打ち合わせの段階から、主治医・訪問看護ステーション・市区町村の窓口やMSWと相談しながら準備を進めていけるので、在宅人工呼吸への不安を一つずつ整理していけます。在宅での療養を支える選択肢として、訪問看護の活用をぜひ検討してみてください。
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※本記事は執筆時点の一般的な情報をまとめたものです。医療や保険・公費の制度は、年度の改定や地域・ご本人の状態によって取り扱いが異なる場合があります。個別の判断や最新の内容は、主治医・訪問看護ステーション・お住まいの市区町村の窓口・病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)などでご確認ください。シンプレ訪問看護ステーションでお受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、一部対応できない場合もありますので、まずはお問い合わせください。/参考:厚生労働省「診療報酬の算定方法」「特掲診療料の施設基準等 別表第七・別表第八」、難病情報センター、全国訪問看護事業協会、各医療機関・自治体の公開情報