人工呼吸器の在宅ケア・費用と訪問看護|シンプレ訪問看護
退院を前に「人工呼吸器を使ったまま、家で本当に暮らしていけるのだろうか」と不安を抱えるご本人やご家族は少なくありません。人工呼吸器を使用している状態でも、訪問看護をはじめとする在宅医療の体制を整えることで、住み慣れた家での療養を支える仕組みが用意されています。この記事では、人工呼吸器を使用している状態と訪問看護について、できること・訪問の頻度・費用や保険・相談先まで、やさしく解説します。
人工呼吸器を使用している状態とは

人工呼吸器を使用している状態とは、なんらかの病気や障害で自分の力だけでは十分に呼吸ができなくなり、機械の助けを借りて呼吸を補っている状態を指します。これは特定の病名ではなく、在宅で人工呼吸器を装着しながら療養している「状態」をまとめた呼び方です。近年は医療の進歩や在宅支援の広がりにより、小児から高齢者まで幅広い年齢の方が在宅で人工呼吸器を使用しているといわれています。人工呼吸器を使用している状態の方が安心して暮らすうえで、訪問看護は身近な支えのひとつになります。
在宅で人工呼吸器を使う主な病気
在宅で人工呼吸器が必要になる背景には、さまざまな病気があるとされています。もともとは筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの神経や筋肉の病気が中心でしたが、現在では慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺結核後遺症などの呼吸器の病気にも広がっていると報告されています。また、脊髄性筋萎縮症や脳性麻痺など、先天的な病気をもつお子さんが在宅で人工呼吸器を使うケースも増えているといわれています。つまり、人工呼吸器を使用している状態は、年齢や原因となる病気もさまざまだという点が特徴です。
気管切開とマスクによる人工呼吸の違い
在宅の人工呼吸療法は、大きく二つの方法に分けられます。ひとつは、のど(気管)を切開して管を通し、そこに人工呼吸器をつなぐ気管切開の方法(TPPV)です。安定して呼吸を補える一方、たんの吸引やカニューレの管理が欠かせません。もうひとつは、鼻や口にマスクを当てて空気を送る方法(NPPV)で、会話や食事の機能を保ちやすいとされています。どちらが適しているかは病気の種類や進み具合によって異なり、主治医とよく相談しながら選ぶことになります。在宅では、それぞれの方法に合わせて訪問看護が日々の管理を支えます。
人工呼吸器の在宅療養で訪問看護ができること

人工呼吸器を使用している状態の在宅療養では、訪問看護師が定期的に自宅を訪れ、呼吸器の管理や全身の観察、ご家族への支援などを行います。医療的なケアと暮らしの安心の両面から支えてくれるため、家族だけで抱え込まずに済むことが大きな安心につながります。ここでは、人工呼吸器を使用している状態で訪問看護が担う主な役割を紹介します。
呼吸器の管理と全身の観察
訪問看護師は、人工呼吸器が正しく作動しているか、設定や回路に問題がないかを確認し、呼吸の状態や酸素の値、体温・血圧などの全身状態を観察します。気づいた変化は記録され、必要に応じて主治医へ報告されます。治療方針やケアの内容を決めるのは主治医ですが、看護師は日々のささいな変化を見守り、医師とご家族の橋渡し役を担います。こうした見守りがあることで、体調の変化に早めに気づきやすくなるとされています。
痰の吸引と気管カニューレのケア
気管切開をしている場合は、たんの吸引やカニューレまわりのケアが欠かせません。訪問看護では、吸引や清潔の保持、皮膚のトラブルがないかの確認などを行います。ご家庭で行っている方法についても、これまでのやり方を一緒に確認しながら、困りごとがあれば相談に応じます。一方的に教えるのではなく、ご本人やご家族のペースに合わせて支えていくのが在宅でのケアの基本です。
家族が安心して続けられるための支え
人工呼吸器を使用している状態の在宅療養は、ご家族の支えが大きな力になります。だからこそ、ご家族の負担や不安に目を向けることも訪問看護の大切な役割です。ケアのちょっとしたコツの共有や、体調・気持ちの相談に応じることで、家族の心強い味方になります。困ったときに相談できる相手がいることは、在宅療養を続けるうえでの安心材料になります。
人工呼吸器を使う方の訪問看護の頻度

人工呼吸器を使用している状態の方は、訪問看護を手厚く受けられる仕組みが整っています。通常、医療保険の訪問看護は週3日までが目安ですが、人工呼吸器を使用している状態はその制限の対象外です。実際にどのくらいの頻度で訪問するかは、ご本人の状態やご家族の希望をふまえ、ステーションと相談しながら決まります。人工呼吸器を使用している状態だからこそ、必要に応じてしっかり通える体制があると考えると安心です。
必要に応じて訪問を増やせる仕組み
人工呼吸器を使用している状態は「厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)」に含まれており、この場合は週4日以上・1日に2〜3回の訪問も利用できます。さらに、二つの訪問看護ステーションを併用できるなど、利用の幅が広がります。これらは制度として定められた取り扱いで、年齢や要介護認定の有無にかかわらず適用されます。体調が不安定なときは、主治医が特別訪問看護指示書を出すことで、一定期間さらに頻回に訪問できる仕組みもあります。
夜間や緊急時の連絡体制
人工呼吸器を使用している状態では、夜間や急な体調変化への備えも気になるところです。多くの訪問看護ステーションは24時間対応の体制を届け出ており、夜間や休日でも電話などで相談できる仕組みを整えています。ただし、対応の範囲はステーションごとに異なるため、契約の前にどこまで対応してもらえるかを確認しておくと安心です。緊急時にどう動くかをあらかじめ主治医やステーションと共有しておくことが、在宅療養の支えになります。
人工呼吸器を使用している状態と医療保険

訪問看護に使う保険は、年齢や要介護認定の有無で介護保険と医療保険に分かれますが、人工呼吸器を使用している状態には特別な取り扱いがあります。別表7に該当するため、年齢や要介護認定にかかわらず医療保険で訪問看護を受けられます。人工呼吸器を使用している状態の方が手厚い訪問を受けやすいのは、この医療保険の仕組みが背景にあります。
年齢や要介護認定にかかわらず医療保険になる
本来、65歳以上の方や要介護認定を受けた方は介護保険が優先されます。しかし人工呼吸器を使用している状態のように別表7に該当する場合は、介護認定を受けていても訪問看護は医療保険が適用されます。医療保険になることで、訪問の回数を増やしやすくなったり、複数のステーションを利用できたりといった利点があります。なお、睡眠時無呼吸症候群のために使うCPAPは、ここでいう人工呼吸器には含まれない点には注意が必要です。
介護のサービスをあわせて使いたいとき
在宅では、医療的なケアだけでなく、入浴や食事などの生活の支えが必要になることもあります。生活面の支援は訪問介護、医療面の支援は訪問看護と役割が分かれており、両方を組み合わせて暮らしを支えます。背景にある病気が介護保険の対象になる場合や65歳以上の場合は、要介護認定を受けることで訪問介護などを介護保険で併用できることがあります。どの制度をどう組み合わせるのが良いかは、ケアマネジャーや病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)が整理してくれるので、まずは相談してみると安心です。
人工呼吸器の在宅療養にかかる費用と支える制度

在宅療養で気になることのひとつが費用です。人工呼吸器を使用している状態の訪問看護は医療保険が使えるため、かかる費用は年齢や所得に応じた自己負担割合が基本になります。さらに、負担を軽くするさまざまな公的な制度が用意されており、ケースによっては実質的な負担がごくわずかになることもあります。
訪問看護や呼吸器にかかる費用の目安
医療保険の訪問看護では、かかった医療費のうち、年齢や所得に応じた割合を自己負担します。おおよその目安は次のとおりです。
| 年齢・区分 | 医療保険の自己負担割合 |
|---|---|
| 義務教育就学前 | 2割 |
| 小学生〜69歳 | 3割 |
| 70〜74歳 | 2割(現役並み所得は3割) |
| 75歳以上 | 1割(所得に応じ2〜3割) |
※表の割合は医療費のうちの自己負担分で、最終的な支払い額そのものではありません。18歳までのお子さんは、子ども医療費助成で実質無料になることが多いです(お住まいの自治体により異なります)。人工呼吸器そのもののレンタルや管理にかかる費用は、在宅人工呼吸指導管理料として医療保険でまかなわれるのが一般的です。
負担を軽くする公的な制度
1か月の医療費の自己負担が高くなったときは、所得に応じた上限を超えた分が戻る高額療養費制度が使えます。また、背景にある病気が指定難病に当たる場合は、難病医療費助成により自己負担が2割になり、所得に応じた月額の上限が設けられます。とくに人工呼吸器を使用している方は、所得にかかわらず月の上限が1,000円となる取り扱いがあるとされています。このほか、生活保護を受けている世帯では難病助成の上限が0円になるなど、状況に応じて負担が小さくなる仕組みがあります。重い障害がある場合の重度心身障害者医療費助成(東京ではマル障)の対象になることもあります。どの制度が使えるかは状況により異なるため、最新の内容は市区町村の窓口やMSWに確認すると確実です。
人工呼吸器を使いながら在宅で安心して暮らすために

人工呼吸器を使用している状態で在宅生活を続けるには、もしものときの備えも大切です。停電や災害への対策、困ったときの相談先をあらかじめ整えておくことで、ご本人もご家族も落ち着いて毎日を過ごしやすくなります。訪問看護は、こうした備えの相談にも一緒に向き合います。
停電や災害に備える
人工呼吸器は電気で動くため、停電への備えが欠かせません。多くのご家庭では、外部バッテリーや予備電源を準備し、手動で空気を送る蘇生バッグの使い方を確認しておくとされています。あわせて、停電時に電力会社へ連絡が届くよう、人工呼吸器を使っていることを事前に登録しておく方法もあります。こうした備えは一度に整える必要はなく、訪問看護や主治医、機器の業者と相談しながら少しずつ準備していけば大丈夫です。
困ったときに相談できる先
在宅療養では、医療面は訪問看護や主治医、暮らしや介護の面はケアマネジャーやMSWと、相談先が役割ごとに分かれています。一時的にご家族が休息をとりたいときには、入院などで短期間ケアを預かってもらう仕組み(在宅では「レスパイト」と呼ばれます)を利用できる場合もあります。ひとりで抱え込まずに相談できる先を知っておくことが、無理なく在宅療養を続けるための支えになります。
人工呼吸器の在宅療養を始めるには

人工呼吸器を使用している状態での在宅療養は、退院前からの準備で多くが整います。何から始めればよいか分からないときも、相談できる窓口がいくつも用意されているので心配はいりません。在宅での訪問看護は、こうした準備の段階から関わり、スムーズな移行を支えます。
退院前から始まる準備
入院中に在宅療養が決まると、退院前カンファレンスとして、主治医や病院の看護師、MSW、在宅の主治医、訪問看護ステーションなどが集まり、ケアの方針を共有することが多いとされています。この場で、必要な機器や物品、訪問の体制、緊急時の対応などを確認します。退院後の暮らしを具体的に描くことで、ご本人もご家族も見通しを持って在宅へ移りやすくなります。
相談する窓口と進め方
在宅療養を始めるときの相談先は、まず入院先の主治医やMSWです。すでに退院している場合は、在宅の主治医(かかりつけ医)や訪問看護ステーションに直接相談することもできます。訪問看護を利用するには主治医の訪問看護指示書が必要ですが、その手配も含めて専門職が整理してくれます。人工呼吸器を使用している状態でどんな支援が受けられるか迷ったら、気になる段階で早めに相談してみるのがおすすめです。
シンプレ訪問看護ステーションができること

人工呼吸器を使用している状態での在宅療養は、医療的なケアと暮らしの安心の両方を支えてくれる存在があると心強いものです。シンプレ訪問看護ステーションは、ご本人とご家族に寄り添いながら、在宅での療養を支えます。人工呼吸器を使用している状態の方が安心して毎日を過ごせるよう、一人ひとりのペースに合わせた支援を大切にしています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、看護師などの専門職がご自宅を訪問し、全身の観察やケア、ご家族への支援を行います。日々の小さな変化を見守りながら、主治医や関係機関と連携して在宅療養を支えます。ご本人の状態やご家族の希望をていねいに伺い、無理のないペースで関わることを大切にしています。困ったときに相談できる身近な存在として、安心して暮らせる毎日をお手伝いします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 東京23区
- 立川市
- 武蔵野市
- 三鷹市
- 府中市
- 昭島市
- 調布市
- 西東京市
- 小金井市
- 小平市
- 日野市
- 東村山市
- 国分寺市
- 国立市
- 福生市
- 狛江市
- 東大和市
- 清瀬市
- 東久留米市
- 武蔵村山市
- 多摩市
- 稲城市
- 和光市
- 朝霞市
- 志木市
- さいたま市
- 蕨市
- 川越市
- ふじみ野市
- 所沢市
- 川口市
- 戸田市
- 富士見市
- 新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の頻度は週1〜3回が目安ですが、人工呼吸器を使用している状態のように必要な場合は週4回以上の訪問にも対応できます。1回の訪問時間はおおよそ30〜90分で、土曜・祝日のご相談も承っています。ご本人のケアだけでなく、ご家族の不安や困りごとのご相談にも対応していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ|人工呼吸器の在宅療養は訪問看護とともに

人工呼吸器を使用している状態は、年齢や原因となる病気もさまざまですが、訪問看護をはじめとする在宅医療の体制を整えることで、住み慣れた家での療養を支えることができます。別表7に該当するため医療保険で手厚く訪問を受けられ、費用の負担を軽くする制度も用意されています。停電への備えや相談先を整えておけば、ご本人もご家族もより落ち着いて毎日を過ごしやすくなります。人工呼吸器を使用している状態での在宅療養に不安があるときは、ひとりで抱え込まず、主治医やMSW、訪問看護ステーションに相談してみてください。シンプレ訪問看護ステーションも、その一歩を一緒に支えます。
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※本記事の保険・制度・費用に関する内容は、執筆時点の一般的な情報をもとにしています。自己負担割合や助成の上限額、各種制度の要件は、年度の改定やお住まいの自治体・ご本人の状況によって異なります。最新の内容や個別の取り扱いについては、主治医・訪問看護ステーション・ケアマネジャー・お住まいの市区町村の窓口・病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)にご確認ください。
参考:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等」別表第七/難病情報センター(指定難病の医療費助成・自己負担上限額)/全国訪問看護事業協会/各自治体の医療費助成案内