ADHDの特徴・原因・相談先・治療方法を徹底解説。
ADHDは発達障害の一つで、不注意・多動性・衝動性といった特徴が日常生活や学業、仕事に影響することがあります。
「自分はADHDかもしれない」「子どもの行動が気になる…」と不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
ADHDの仕組みや症状、相談先を理解しておくことで、安心して適切な支援につなぐことができます。
この記事では、ADHDの基礎知識から受けられるサポートまで、分かりやすく解説していきます。
ADHDとはどんな病気?

多動性
・じっと座っていることができない
・おしゃべりが多すぎる
大人の症状
・落ち着きがない
・待つことが苦手
・貧乏ゆすりなど目的のない動き
ADHDの特徴の一つである「多動性」は、体が落ち着かず、常に動いていないと気が済まない状態を指します。
子どもの場合、授業中に席を離れたり、必要以上に話し続けてしまうなど、行動に表れやすい傾向にあります。
大人でも、多動性が完全になくなるわけではなく、そわそわした感覚や体がじっとしていられない感覚が続くことがあります。
目的のない動作が増えたり、待つことが苦手だったりと、落ち着きのなさが生活に影響する場合もあります。
衝動性
・質問が終わらない前に答え始める
・順番を待つことが難しい
・他の人がしていることを邪魔したりさえぎる
大人の症状
・よく考えず思ったことを発現する
・衝動買いをしてしまう
衝動性は、思いついた行動をすぐに実行してしまう特性で、ADHDではよく見られる症状です。
子どもでは、話の途中で急に答えてしまったり、友達の遊びを遮ってしまうケースが代表的です。
大人になると表れ方は変化しますが、「つい言い過ぎてしまう」「必要のないものを衝動買いする」など、気持ちのコントロールが難しくなることがあります。
場面によっては人間関係のトラブルにつながることもあり、対処法を知ることが大切です。
不注意
・不注意な間違いが多い
・集中力を持続するのが難しい
・興味のあることには集中しすぎてしまう
・話を聞いていないように見える など
大人の症状
・仕事でケアレスミスをする
・忘れ物やなくし物が多い
・約束を忘れる、間に合わない
・時間管理が苦手 など
不注意は、ADHDの3つの中心的な症状の一つで、物事に集中し続けることが難しい状態を指します。
子どもの場合、勉強中にケアレスミスが多く、話を聞いていないように見えることがあります。
また、興味のあることに深くのめり込み、切り替えが難しい場面もみられます。
大人では、仕事の管理や時間調整が苦手で、約束を忘れてしまうなど、生活上の困りごとにつながりやすい傾向があります。
ADHDの主な原因は?

前頭前野の機能調節に偏りがある
ADHDの原因はまだ明確に解明されていませんが、生まれつき脳の機能に偏りがあるという説が広く知られています。
その中でも特に関係が深いとされているのが、思考・判断・注意・計画性などを司る前頭前野です。
前頭前野は大脳の中でも重要な役割を担っており、この部分の機能調節がうまくいかないことで、多動性・衝動性・不注意といったADHDの主な症状が現れると考えられています。
前頭前野の働きは環境だけでなく先天的な影響も受けやすいため、個々の特性として理解することが大切です。
脳内の神経伝達物質の不足
ADHDに関連すると言われるもう一つの要素が、神経細胞同士の情報の受け渡しに重要な「神経伝達物質」の量です。
脳の細胞にはシナプスと呼ばれる隙間があり、ここでドーパミンやノルアドレナリンといった物質が情報を伝達しています。
しかしADHDの方は、この神経伝達物質が不足しやすい傾向があり、注意を集中させたり、行動をコントロールしたりする働きが弱まりやすいと考えられています。
脳内の伝達バランスが整いにくいことが、ADHDの特性につながるという点は知っておくと理解が進みやすくなります。
遺伝的要因
ADHDは遺伝的な要素を持つとも言われており、家族内で似た傾向がみられるケースも少なくありません。
研究では、親がADHDの場合、子どもにもADHD傾向が現れやすいという報告が多く見られます。
もちろん遺伝だけで決まるわけではなく、環境による影響も複合して症状は形成されますが、ADHDの特性を「本人の努力不足」と捉えないためにも、遺伝が関係する可能性を理解しておくことは重要です。
育て方やしつけは関係ない
ADHDについて誤解されやすいのが「しつけ不足では?」という指摘ですが、ADHDは育て方が原因で起こるものではありません。
子ども本人も親も意図して行動しているわけではなく、脳の働きの特性として行動が表れているため、「親のせい」「本人の怠慢」という理由で責められるべきではありません。
むしろADHDのある子どもは、自分でもどうして注意できないのかが分からず、苦しんでいることがあります。
周囲が正しい知識を持ち、サポートしながら理解を深めていくことが非常に大切です。
ADHDの診断を受けるにはどこに相談すればいい?
- 発達障害者支援センター
- 専門医療機関
- 保健所
- 精神保健福祉センター
「ADHDかもしれない」と感じたとき、まずどこに相談すればよいのか分からず不安になる方も多いと思います。
ADHDは専門的な評価が必要な疾患であり、自己判断だけでは正確な診断ができません。
そこで、地域にはADHDや発達障害について相談できる窓口が複数用意されています。
特に各都道府県に設置されている発達障害者支援センターは、子どもから大人まで幅広い年齢の相談に応じており、日常生活の困りごとや支援制度の案内なども行っているため、最初の相談先としても適しています。
また、ADHDの診断を扱う専門医療機関(小児科・児童精神科・精神科・心療内科)では、問診や行動観察、心理検査などを組み合わせて総合的に評価を行います。
発達障害の特性を客観的に把握するには医療機関での診断が不可欠であり、適切な治療や支援を受けるための大切なステップになります。
診断がつくことで学校や職場での配慮が得られる場合もあり、生活しやすさを大きく改善する可能性があります。
その他、地域の保健所や精神保健福祉センターも利用できる相談窓口です。
これらの機関では、精神疾患や発達障害に関する一般的な相談を受け付けており、必要に応じて専門医療機関の紹介を行ってくれます。
「誰に相談したらいいかわからない」場合でも、まずは身近な公的機関に連絡することでスムーズに支援へつながりやすくなります。
ADHDの診断を受けることは、単に病名を確定させるという意味だけではありません。
困りごとの原因を整理し、生活面での工夫や支援の方向性を明確にする重要なプロセスです。
早期に専門家へ相談することで負担が軽くなるケースも多いため、不安な場合は一人で抱え込まず、利用できる窓口へ気軽に相談してみてください。
ADHDの治療方法をチェックしてみよう
薬物療法
ADHDの治療では、症状を根本から完全に治すというよりも、日常生活の困りごとを軽減するためのサポートとして薬物療法が用いられます。
主に使用されるのは中枢神経刺激薬や非刺激薬で、注意力の向上や衝動性の抑制に役立つとされています。
また、不安やうつ症状を併発している場合には、三環系抗うつ薬などが併用されることもあります。
薬物療法は症状を安定させ、生活しやすさを高めるための有効な選択肢であり、医師の診断に基づいて適切な薬が処方されます。
ただし薬だけで全てが改善するわけではなく、学校・職場・家庭など周囲の環境調整や行動面の工夫と組み合わせることで、より効果を発揮します。
服薬中は医師や看護職のサポートを受けながら、副作用や生活リズムの変化に注意して進めていくことが大切です。
心理社会的治療(認知行動療法・ソーシャルスキルトレーニングなど)
- 行動療法
- 家庭療法
- ソーシャルスキルトレーニング
心理社会的治療は、薬物療法と並んでADHDの治療を支える重要な方法です。
行動療法では、望ましい行動を増やし、困りごとにつながる行動を減らすための具体的な方法を学びます。
また家庭療法では、保護者が子どもの特性に合わせたかかわり方を理解し、日常生活の中で活かせる支援方法を身につけていきます。
ソーシャルスキルトレーニングは、対人関係で起こりやすいトラブルを避けるためのコミュニケーション方法を学ぶ療法で、子どもから大人まで幅広く活用されています。
これらの心理社会的治療は、ADHDの特性に合わせて生活しやすさを高めるサポートとしてとても効果的です。
単に症状を和らげるだけでなく、自己理解や行動のコントロール力を身につけることで、学校・職場・家庭などあらゆる場面で安定した生活を送りやすくなります。
薬物療法と併用することで相乗効果が得られることも多く、治療の幅が広がります。
ADHDの方をサポートしている機関を紹介
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、全国の都道府県に設置されている発達障害に特化した総合支援機関です。
ADHDをはじめとした発達障害に関する相談、日常生活・学校・就労の困りごとへの助言、さらには専門医療機関へのつなぎなど、多岐にわたるサポートを行っています。
センターごとに提供している支援内容に多少の違いはありますが、医療・福祉・教育機関と密接に連携しながら総合的にサポートする体制が整っています。
特に家族へのアドバイスや支援制度の案内などは、不安を抱える方にとって大きな助けとなります。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターでは、就労を希望するADHDの方に向けた職業リハビリテーションを実施しています。
職業評価を通じて、本人がどのような働き方に向いているのかを整理し、苦手分野や強みを把握することができます。
また、担当カウンセラーと一緒に障害特性を踏まえた働き方を検討し、必要な配慮事項をまとめる支援シートを作成するなど、実際の就職活動で役立つサポートが受けられます。
ハローワークとも連携しているため、訓練後の求職活動をスムーズに進めることが可能です。
就労に向けた基礎づくりを整える場として非常に重要な機関といえます。
地域若者サポートステーション
地域若者サポートステーションは、働きたいけれど一歩踏み出せない若者の「就労支援」を行う機関です。
発達障害専門ではありませんが、ADHDの方でも利用でき、働くための基礎力を身につける支援が受けられます。
就業相談はもちろん、職場見学や体験、コミュニケーション講座の実施など、社会参加に向けた幅広いプログラムが用意されています。
また、必要に応じて臨床心理士によるカウンセリングも受けられるため、働くことへの不安が大きい方にも適した相談先です。
社会に戻るためのステップを少しずつ進めたい方に向いている支援機関といえるでしょう。
精神科訪問看護を利用するという選択肢も!
精神科訪問看護とは?
| サービス名 | 精神科訪問看護![]() |
|---|---|
| 職種 |
・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
| 訪問日数 | ・原則週3日以内 |
精神科訪問看護は、うつ病・統合失調症・発達障害などを含む精神疾患を抱える方に対して、看護師や作業療法士が自宅を訪問して支援を行うサービスです。
ADHDの方も対象となっており、日常生活の困りごとや症状の変化に合わせたサポートが受けられます。
医師の指示のもとで訪問が行われるため、安心して利用できる点も大きな特徴です。
訪問回数は週3回まで、1回あたり30分〜90分と定められており、自宅で療養しながら継続的に支援が受けられる環境が整っています。
精神科訪問看護は、単に医療処置を行うだけでなく、生活リズムの安定や対人関係、症状への向き合い方まで幅広くサポートする点が魅力です。
住み慣れた場所で安心して支援を受けられることは、ストレスを抱えやすいADHDの方にとって大きな安心材料となり、症状の安定化にもつながりやすくなります。
精神科訪問看護のサービス内容
- 症状のコントロールや治療の相談
- 日常生活の援助
- 対人面の相談
- 気分転換の援助・健康管理
- 服薬管理状況確認、援助
- 家族の悩みや不安の解消
- 社会資源の活用援助
精神科訪問看護では、病状観察を行うだけでなく、生活面の困りごとにも寄り添い、より良い生活を送るためのサポートを行います。
服薬管理のアドバイスや、体調が崩れないようにするための生活指導、対人関係に関する相談など、日常生活全般を支えてくれるため、ADHDの特性でつまずきやすい部分にも細かく対応できます。
また、家族に対する支援や不安の軽減を目的としたケアも行われるため、周囲の人も安心して関わることができます。
必要に応じて医師やケースワーカー、地域の支援機関と連携し、症状悪化の防止や早期の回復へつなげていきます。
精神科訪問看護の料金
| 負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
|---|---|---|
1割負担![]() | 1,299円/回 | 855円/回 |
2割負担![]() | 2,598円/回 | 1,710円/回 |
3割負担![]() | 3,897円/回 | 2,565円/回 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度という制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
ADHDでお悩みの方は当ステーションへご相談下さい!
シンプレ訪問看護ステーションとは?
| 対象者 | 主な看護内容 |
|---|---|
| 精神疾患 全般 ![]() |
・生活支援 ・自立支援 ・症状の悪化防止、服薬支援 ・社会復帰サポート ・家族の方への支援 |
シンプレ訪問看護ステーションでは、ADHDのほか、発達障害・うつ病・統合失調症・PTSD・双極性障害・不安障害・認知症などの精神疾患をお持ちの方が、自分らしい生活を続けられるようサポートをしています。
訪問するスタッフは、看護師・准看護師・作業療法士など専門の知識を持った職員で構成されており、症状の観察から生活リズムの調整、家族支援まで幅広く対応しています。
また、医師や行政、地域の支援機関とも連携し、利用者さんが安心して支援を受けられる体制を整えている点も特徴です。
「困った時に頼れる場所がある」という安心感は、ADHDの方の生活を大きく支える力になります。
シンプレでは、利用者一人ひとりのペースや困りごとに寄り添いながら、社会参加に向けた支援や再発予防のケアも実施しています。
気持ちが不安定になりやすい時期や、生活のつまずきが続いてしまう場面でも、医療者が伴走しながら相談に応じます。
「自分だけではうまくいかない」「家族だけで支えるのは不安」という場合でも、訪問看護を活用することで安心した生活につながります。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。
近隣の市区町村についても、訪問可能な場合がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
1回の訪問は30分〜90分。訪問回数は週1〜3回が基本ですが、必要に応じて週4回以上の訪問にも対応可能です。
祝日・土曜日の訪問にも対応しているため、仕事や家庭の事情で平日の利用が難しい方でも利用しやすい環境が整っています。
服薬支援、退院支援、再発予防、社会復帰サポートなど多様な支援をおこなっており、サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談など、困りごとの大小に関わらず、ご相談も承っております。
電話やメールなどで受け付けていますので、まずは一度ご連絡ください。
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まとめ
ADHDは、脳の働きの特性によって多動性・衝動性・不注意といった症状があらわれる発達障害の一つです。
子育てや環境が原因で起こるものではなく、生まれつきの脳機能や神経伝達物質の働きが関係していることがわかっています。
子どもから大人まで幅広い年代で見られ、年齢によって症状のあらわれ方が変わることも特徴のひとつです。
症状の理解と適切な支援を受けることは、生活のしやすさを大きく高める第一歩となります。
ADHDの特性によって勉強・仕事・コミュニケーションが難しく感じる場面は多いですが、治療や周囲のサポートを活用することで、無理なく自分らしく生活していくことができます。
薬物療法や心理社会的治療、生活リズムの調整などを組み合わせることで症状が安定し、日常の困りごとが少しずつ軽減されていきます。
また、相談できる場所を持つことが安心感につながるため、専門機関や地域の支援窓口を早めに利用することも大切です。
さらに、精神科訪問看護を利用することで、自宅に居ながら症状のコントロールや生活サポートを受けることができます。
訪問看護師が定期的に状態を確認し、服薬管理や生活支援、家族へのアドバイスなどを行うため、一人で抱え込みやすい不安を軽減し、安定した療養環境を整えることが可能です。
ADHDは適切な支援と理解があることで、より生きやすい環境を作ることができる疾患です。
「最近生活がうまくいかない」「子どもの行動が気になる」「支援を受けたいけれどどこに相談したらいいかわからない」など、不安を感じている方は、一度専門窓口へ相談することをおすすめします。
早期に相談することで、自分に合った支援方法が見つかり、今より過ごしやすい日常へとつながっていきます。
精神科訪問看護の利用を検討している方や、話を聞いてみたい方も、まずはお気軽にお問い合わせください。
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