ADHDチェック大人と子供の特徴と相談先
「何度言っても忘れ物がなくならない」「仕事のミスが続いて自分を責めてしまう」——そんな困りごとが重なると、ADHDのチェックを試してみようと考える方は少なくありません。インターネット上には大人向け・子供向けのさまざまなチェックリストがありますが、チェックはあくまで傾向をつかむための入り口で、診断そのものではありません。
この記事では、ADHDのチェックでわかることを大人と子供に分けて整理し、似た困りごとがあらわれる状態、相談できる窓口、診断と治療の進み方、そして診断を受けたあとの暮らしを支える訪問看護までをまとめました。ご自身のこと、お子さんのことを考えるときの手がかりとしてお読みください。
ADHDとはどのような特性か

ADHDは日本語で注意欠如・多動症と呼ばれ、生まれ持った脳の働き方の偏りによって、不注意・多動性・衝動性といった特性があらわれる発達障害の一つとされています。ADHDのチェックリストの項目も、この三つの特性にそって作られています。まずは、それぞれの特性がどのようなものかを整理しておきましょう。
不注意・多動性・衝動性という三つの特性
不注意は、集中が続きにくい、うっかりミスが多い、忘れ物や失くし物が多い、といったあらわれ方をします。多動性は、じっとしているのが苦手、そわそわして落ち着かない、しゃべりすぎるなど。衝動性は、順番を待てない、思いついたことをすぐ口にしてしまう、といった様子です。この三つのどれが強く出るかは一人ひとり違い、不注意が中心の方、多動性と衝動性が目立つ方、両方が混ざる方がいるとされています。
ADHDは大人と子供で気づかれ方が変わる
ADHDは大人になってから発症するものではなく、子供のころから特性があるとされています。診断のうえでも、いくつかの症状が12歳になる前からみられ、家庭と学校のように複数の場面で続いていることが目安の一つとされています。ただ、子供のころは周囲の助けでなんとかなっていて、仕事や家事の管理が求められる年齢になって初めて困りごとが表面化する方もいます。同じ特性でも、年齢や生活の場面によって気づかれ方が変わるということです。
ADHDはどのくらいの人にみられるのか
国内の研究では、成人のADHDの有病率をおよそ2%と報告したものがあり、学齢期の子供ではこれより高い割合が示されることが多いとされています。学校の一クラスに数人はADHDの特性がある子がいる、という見方もされています。数字には調査の方法によって幅がありますが、決してめずらしいものではないという点は共通しています。ADHDのチェックにたどり着いた方が「自分だけがうまくできない」と感じる必要はありません。
大人のADHDチェックで多い困りごと

大人のADHDチェックでよく取り上げられるのは、仕事や家庭生活のなかで起こる具体的な困りごとです。子供のころのような目立つ動き回りは落ち着き、不注意が前面に出ることが多いとされています。ここでは、大人が「もしかして」と感じやすい場面を整理します。
仕事や家事であらわれやすい不注意の困りごと
締め切りの管理が難しい、書類の細かい間違いが続く、複数の仕事を同時に進められない、片づけが苦手で机や部屋が散らかる、大事な予定を忘れる——こうした困りごとは、大人のADHDのチェック項目としてよく挙がります。本人はまじめに取り組んでいるのに結果が伴わないことが多く、努力不足と誤解されて自信を失ってしまう方も少なくありません。仕事の内容や職場の環境が特性に合っていないことが背景にある場合もあります。
落ち着かなさや衝動性としてあらわれる困りごと
大人の場合、多動性は動き回るというより、内側の落ち着かなさとして感じられることが多いとされています。じっと座っている場面で強い退屈を感じる、貧乏ゆすりが止まらない、話し出すと止まらない、といった形です。衝動性は、思ったことをそのまま言ってしまう、衝動的な買い物をしてしまう、といった行動につながることがあります。こうした特性が続くと、対人関係やお金の管理で思わぬつまずきが起こることもあると考えられています。
大人のADHDチェックに使われる質問票
大人のADHDのチェックとして広く使われているのが、世界保健機関(WHO)と研究者グループが作成した自己記入式の質問票ASRS-v1.1です。全体は18問で、前半の6問は自分で特性の有無を確かめるため、後半は医師にとって参考になる情報を集めるために構成されています。前半6問のうち一定数が当てはまると専門機関への相談がすすめられるという使い方をします。回答を印刷して受診時に持参し、医師と話す材料にすることもできます。ただし、これは特性を確かめるためのもので、診断結果を示すものではありません。
子供のADHDチェックで見られるサイン

子供の場合、本人が自分の困りごとを言葉にするのは難しいため、ADHDのチェックはまわりの大人が様子を見て行うのが基本です。家庭だけ、学校だけで判断せず、いくつかの場面での様子を合わせて見ていくことが大切だとされています。
学校や集団生活であらわれやすいサイン
授業中に席を立ってしまう、話を最後まで聞けない、順番を待てない、提出物や宿題を忘れる、忘れ物が多い、といった様子は、集団生活のなかで気づかれやすいサインです。先生からの指摘で初めて気になり始めるご家庭も多いとされています。園や学校での様子は家庭からは見えにくいので、連絡帳や面談で普段の姿を聞いておくと、相談するときの手がかりになります。
家庭で気づかれやすい生活面のサイン
朝の支度が進まない、途中でほかのことを始めてしまう、片づけが続かない、何度注意しても同じことをくり返す、感情が高ぶるとなかなか切り替えられない——家庭ではこうした場面が積み重なりやすく、保護者が疲れてしまうこともあります。子供のADHDのチェックでは、こうした様子が年齢に比べて目立つかという見方をします。同じ年ごろの子でも発達には幅があるため、その子だけを見て決めつけないことが大切です。
子供のADHDチェックは大人が様子を見て行う
大人向けのASRSは成人を対象とした質問票で、児童や青年期の子供には用いられません。子供の場合は、保護者や先生が普段の行動について答える評価尺度が使われ、診察の参考にされます。家庭と学校の両方から様子を集めるのが基本で、これは同じ行動でも場面によって出方が変わるためです。チェックの結果はあくまで受診時の材料であり、診断は児童精神科や小児科などの医師が行います。
ADHDのチェックだけでは判断できない理由

ADHDのチェックで当てはまる項目が多いと、答えが出たように感じてしまいますが、チェックリストだけで診断はつきません。ADHDと似た困りごとがあらわれる状態はほかにもあり、それらを区別するには医療機関での丁寧な確認が必要とされています。
チェックはあくまで傾向をつかむための目安
質問票は、多くの人の回答をもとに「この傾向がある人は相談を検討したほうがよい」という目安の線を引いているものです。同じ人でも体調や時期によって答えは変わります。疲れがたまっている時期や、環境が大きく変わった直後は、当てはまる項目が増えることもあります。逆に、工夫で乗り切っている方は当てはまりにくく、困りごとがないという意味にはなりません。
似た困りごとがあらわれる他の状態
集中しにくい、忘れっぽい、落ち着かないという状態は、自閉スペクトラム症や限局性学習症といったほかの発達特性でも起こりますし、不安が強いとき、気分が落ち込んでいるとき、睡眠が足りていないときにもあらわれます。体の病気が背景にあることもあるとされています。だからこそ、専門の医師に相談することが大切です。医師は生育歴や生活の様子を含めて総合的に確認し、必要な検査を組み合わせて判断していきます。
チェックの結果で自分や子供を決めつけない
チェックの結果が思わしくないと、「やっぱり自分はだめだ」「この子は育てにくい子だ」と受け取ってしまうことがあります。けれど大切なのは診断名よりも、いま何に困っているかです。困りごとがはっきりすれば、診断がつく前でもできる工夫は見つかります。反対に、チェックで当てはまらなくてもつらさが続くなら、そのつらさ自体を相談してよいのです。一人で結論を出そうとせず、次の相談先につなげていきましょう。
ADHDのチェックの後に相談できる窓口

ADHDのチェックをしてみて気になることがあれば、次の一歩は相談です。相談先は年齢によって変わり、医療機関だけでなく公的な支援窓口もあります。どこから始めればよいか、大人と子供に分けて整理します。
大人が相談しやすい医療機関と支援機関
大人の場合は、精神科や心療内科が窓口になります。発達障害の診療を行っているか、初診の予約がいつごろ取れるかは医療機関によって違うので、ホームページや電話で確認してから受診すると安心です。医療機関以外では、各都道府県などに設置された発達障害者支援センターがあり、診断の有無にかかわらず、本人や家族からの相談を無料で受けています。働きづらさが中心なら、地域の就労支援機関に相談する道もあります。
子供の相談先になる学校と医療機関
子供の場合は、まず担任の先生やスクールカウンセラー、学校の特別支援教育コーディネーターに、園や学校での様子を含めて相談してみるのがおすすめです。医療機関としては児童精神科や小児科、小児神経科などが受診先になります。このほか、市区町村の保健センターや子育て支援窓口、児童発達支援センター、教育相談の窓口も相談先です。複数の窓口があるので、つながりやすいところから始めて大丈夫です。
受診の前に整理しておくとよいこと
受診の際は、困っている場面を具体的に伝えられると話が進みやすくなります。いつごろから、どんな場面で、どのくらい困っているか。子供なら母子健康手帳や通知表、連絡帳など、これまでの様子がわかるものが役に立ちます。大人なら、通知表や当時の記憶、家族に聞いた子供のころの話が参考になります。やってみたADHDのチェックの結果も持参してよい材料です。うまく話せるか不安なときは、メモにして渡すだけでも構いません。
ADHDの診断と治療の進み方

受診を決めたあと、どんなふうに話が進むのかがわからないと不安になるものです。ADHDの診断は一度の会話で決まるものではなく、いくつかの回に分けて確認していくことが多いとされています。ここでは診断と治療のおおまかな流れを紹介します。
問診と生育歴から診断されていく流れ
診察では、いまの困りごとに加えて、子供のころの様子や学校生活、家族の状況などをたずねられます。ADHDは子供のころからの特性を確かめることが土台になるためです。必要に応じて心理検査や、保護者・先生が記入する評価尺度、体の病気を確かめる検査が組み合わされることもあります。診断名がつくかどうかにかかわらず、この過程で自分やお子さんの得意・不得意が整理されること自体が、その後の工夫につながっていきます。
環境を整える工夫と心理社会的な支援
ADHDの支援は、薬から始まるとは限りません。とくに子供では、環境を整える工夫が土台になるとされています。持ち物を減らす、やることを目に見える形にする、席の位置を工夫する、できたところを具体的にほめる、といった関わりです。保護者が子供への関わり方を学ぶペアレントトレーニングや、対人関係の練習をするプログラムが行われることもあります。大人でも、仕事の手順を見える化する、リマインダーを使うといった工夫が支えになります。
薬による治療という選択肢
環境の工夫だけでは日常生活の支障が大きい場合、薬による治療が検討されることがあります。ADHDの治療薬は不注意や衝動性をやわらげることを目的としたもので、特性そのものをなくす薬ではありません。どの薬を使うか、いつ始めるかを決めるのは主治医で、体調や年齢、生活の状況を見ながら判断されます。取り扱いに登録が必要な薬もあり、処方できる医療機関が限られることもあります。効果や副作用の感じ方には個人差があるので、気になることは遠慮なく主治医に伝えてください。
ADHDの診断後の暮らしを支える訪問看護

診断を受けて通院が始まっても、暮らしの中の困りごとは診察室だけでは片づきません。そこで力になるのが、看護師などの専門職が自宅を訪ねる訪問看護です。精神科訪問看護を利用するには主治医の指示書が必要なので、チェックの段階ではまず受診が先になりますが、診断後の在宅生活を支える選択肢として知っておくと安心です。
訪問看護でできる服薬や体調の見守り
訪問看護では、体調や気分の変化を一緒に確認し、薬を続けられているか、飲みにくさや副作用で困っていないかを見守ります。薬の内容やケアの方針を決めるのは主治医で、看護師は暮らしの中での様子を観察し、必要なことを主治医に報告して橋渡しをする役割です。診察では言いそびれてしまうことも、自宅でなら話しやすいという方もいます。
生活リズムや困りごとを一緒に整理する
朝起きられない、部屋が片づかない、やることの順番が決められない——ADHDの特性から生じる困りごとは、暮らしの場でこそ見えてきます。訪問看護では、こうした場面を一緒に振り返り、続けられそうな工夫を一緒に探していきます。看護師が一方的にやり方を教えるのではなく、これまでご本人やご家族が続けてきた方法を確認しながら、無理のない形に整えていくイメージです。掃除や買い物などの生活援助はホームヘルパーが担う領域なので、必要に応じてそうしたサービスへの橋渡しも行います。
家族の相談にのれることと利用の始め方
ADHDのあるお子さんやご家族を支える方の「どう関わればよいかわからない」という悩みも、訪問看護で相談できます。支える側が一人で抱え込まないことが、長く続けるうえで大切だからです。利用を始めるときは、主治医や病院の相談員、市区町村の窓口に「訪問看護を使いたい」と伝えるところからで大丈夫です。訪問看護ステーションに直接問い合わせても、主治医との調整を含めて進め方を案内してもらえます。
ADHDで訪問看護を使うときの費用と保険
精神科を標榜する医療機関の医師が精神科訪問看護指示書を交付した場合、訪問看護には介護保険ではなく医療保険が適用されます。窓口での自己負担は原則3割ですが、ADHDを含む発達障害も自立支援医療(精神通院医療)の対象になるとされており、継続的な通院治療が必要と認められれば負担を軽くできます。自立支援医療は通院や薬に加えて訪問看護にも使え、年齢の制限はありません。
| 区分 | 窓口での自己負担 |
|---|---|
| 医療保険のみ | 原則3割(年齢・所得により異なる) |
| 自立支援医療を使う場合 | 原則1割(+所得別の月額上限) |
※表の割合は健康保険の自己負担分で、最終的な支払い額そのものではありません。18歳ごろまでのお子さんは、自立支援医療で軽くなった分にさらに子ども医療費助成が適用され、実質無料になることも多いです(自治体差あり)。どの制度をどう組み合わせるのが有利かは、病院の相談員や市区町村の窓口が一緒に整理してくれます。制度の内容は年度によって変わることがあるため、最新の取り扱いは各窓口でご確認ください。
ADHDのある暮らしを支えるシンプレ訪問看護ステーション

ここまで見てきたように、ADHDのチェックの次の一歩は受診と相談で、訪問看護は診断を受けた方の在宅生活を支える役割を担います。シンプレ訪問看護ステーションは精神科の訪問看護を得意としており、ADHDをはじめとする発達障害や心の不調を抱える方とご家族を、暮らしの面から支えています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神疾患や発達障害の支援に携わってきた専門職が自宅を訪問し、体調や生活リズムの確認、服薬を続けるための支援、仕事や学校での困りごとの相談などを行います。お子さまから大人の方まで幅広く対応しており、必要に応じて学校や関係機関との連携も図ります。何かを一方的に教えるのではなく、一人ひとりのペースを大切にしながら、これまでの暮らし方を一緒に確認し、迷ったときに相談できる存在であることを心がけています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 東京23区
- 立川市
- 武蔵野市
- 三鷹市
- 府中市
- 昭島市
- 調布市
- 西東京市
- 小金井市
- 小平市
- 日野市
- 東村山市
- 国分寺市
- 国立市
- 福生市
- 狛江市
- 東大和市
- 清瀬市
- 東久留米市
- 武蔵村山市
- 多摩市
- 稲城市
- 和光市
- 朝霞市
- 志木市
- さいたま市
- 蕨市
- 川越市
- ふじみ野市
- 所沢市
- 川口市
- 戸田市
- 富士見市
- 新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問は週1〜3回が目安で、1回あたりおおむね30〜90分です。ご本人の状態に応じて主治医の指示のもとで回数を調整することもあり、土曜・祝日のご相談にも対応しています。ご本人への支援に加えて、支えるご家族からの相談も承っていますので、無理なく続けられる関わり方を一緒に考えていきましょう。※お受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。また、精神科訪問看護のご利用には主治医の指示書が必要です。まずはお問い合わせから対応可否をご確認ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
ADHDのチェックで気づいた不安を相談につなげるために

ADHDのチェックは、大人なら自分で答える質問票、子供ならまわりの大人が様子を見て答える形が基本で、どちらも傾向をつかむための目安です。当てはまる項目が多くても少なくても、それだけで結論は出ません。大切なのは、いま困っていることを言葉にして相談することです。大人は精神科や心療内科、発達障害者支援センターへ。子供は学校の先生やスクールカウンセラー、児童精神科や小児科、自治体の相談窓口へ。話してみることで、その人に合った工夫や支援が見つかりやすくなります。
そして診断を受けて支援が必要になったときには、訪問看護のように暮らしの場で支えるしくみもあります。シンプレ訪問看護ステーションは、ADHDや心の不調を抱える方とご家族が自分らしく在宅生活を続けられるよう、相談しやすい距離でそっと寄り添っていきます。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
※本記事は執筆時点の一般的な情報をまとめたものです。セルフチェックは診断ではなく、診断は医師が行います。制度や保険のあつかいは年度の改定・地域・ご本人の状態により異なる場合があります。また、シンプレ訪問看護ステーションがお受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、精神科訪問看護のご利用には主治医の指示書が必要で、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。ご利用を検討される際は、お問い合わせから対応可否をご確認ください。参考:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」「e-ヘルスネット」/厚生労働科学研究成果データベース(成人期ADHDの疫学に関する研究)/世界保健機関 ASRS-v1.1(武田薬品工業「大人の発達障害ナビ」ほかで公開)/各自治体・発達障害者支援センターの公開情報。最新・正確な内容は各窓口でご確認ください。