学習障害にはどんな症状がある?特徴や治療・ケアについて解説。
学習障害とは発達障害の1つであり、文章の読み書きや計算が困難であったりなどの症状が挙げられます。
また、年齢ごとに障害・症状が積み重なっていきます。例えば小学生でひらがな・漢字が読めず、中学生では英語が読めない、などです。
今回は学習障害の代表的な症状を紹介し、年代ごとに感じる症状の傾向について解説していきます。
学習障害の症状①読字障害
読字障害(ディスレクシア)とは
学習障害の中で一番多くみられ、「文字の読み方がわからない」、「文字の形がわからない」という症状があります。
詳しくは解明されていませんが、情報伝達や処理する脳の機能がスムーズに働いていないことが原因だと言われています。
日常生活では文字がぼやけたり歪んで見えることがあり、書類作成やメモができないといった症状のほか、電車やバスの目的地がわからない、標識を見落としてしまうなど事故に繋がりかねない危険もあります。
そのほかいじめやうつ病のきっかけとなることがあり、不登校や引きこもりなどの二次障害に繋がることがあるため、周囲の人が障害を理解し本人が過ごしやすい環境を考えることが大切です。
症状の特徴
- 形態の似た字を理解できない
- 小さい文字を認識できない
- どこを読んでいるのかわからなくなる
- 飛ばし読み・適当読みなどをする
読字障害は「め」と「ぬ」、「ツ」と「シ」など形の似た文字を理解できないという特徴があります。
拗音(きょう)や促音(らっぱ)などの特殊音節の認識が苦手です。つまり、きょうそう、ちょうそう、らっぱ、ねっこなどの音が苦手です。
また一字一字を読んだり、単語の途中で区切って読んだりすることがあるため、意味やつながりを意識して読むことができず、文章のどの部分を読んでいるのかわからなくなります。
同時に記憶と処理を行うことが難しく、流暢に読むことができないため、飛ばし読みや適当読みをする特徴が見られます。
学習障害の症状②書字障害
書字障害(ディスグラフィア)とは
「文字の形の認識が難しい」、「文字の読み方がわからない」、「不器用でうまく文字が書けない」など書く障害の中にもいろいろな症状があります。
原因として、脳内で身体に指示を出し手を動かすという伝達機能に不具合が生じている説が現在のところ有力です。
手と目、手と足などを同時に使う協調運動の障害も見られるため、自転車をこぐ、ボタンを留めるといったことがうまくできない、できても非常に時間がかかるなど、年齢や知能面とは不釣り合いな行動が見られます。
他の学習障害と同様に、知的発達に遅れがないために単なる努力不足として見られることがあり、からかわれたり、自信を失ってしまうことで、うつ病などの二次障害を発症するリスクがあります。
症状の特徴
- 鏡文字や自作の文字を書く
- 誤字脱字や書き順の間違いが多い
- 文字の書き写しができない・時間がかかる
- 漢字が苦手
- 文字の形や大きさがバラバラになる
左右の認識ができず鏡文字になったり、形として覚えることが苦手なため雰囲気で自作の文字を書くことがあります。
似た文字の違いに気づくことが難しいため誤字脱字になってしまったり、間違った書き順で書いてしまいます。
焦点を移す目の動き(眼球運動)と記憶することが困難であり、時間をかけた訓練が必要です。
ほかには漢字が苦手で覚えられない、行やマスからはみだし形や大きさがバラバラな文字を書くなどの症状が特徴です。
学習障害の症状③算数障害
算数障害(ディスカリキュリア)とは
小学生以降の、本格的に算数を勉強する頃に目立ちはじめ、他の科目に比べて明らかに算数や数学の成績が低いことで、気づかれることが多い障害です。
数字は順序を表す場合(序数性)と量を表す場合(基数性)があり、その区別がつきにくいのも特徴の一つです。
視覚情報の処理が苦手なため、バランスを考える、数字を揃えて書く、文字の間隔を取ることなど、筆算を書く際に桁がずれることも多くなります
言語やワーキングメモリの問題も関与していると言われており、これらが合わさって計算の遅さや単位間違い、時間の認識ができないなどの症状が見られます。
症状の特徴
- 簡単な数字・記号を理解しにくい
- 繰り上げ・繰り下げができない
- 数の大きい・小さいが分からない
- 文章問題が苦手・理解できない
- 図形やグラフが苦手・理解できない
基本的な数字や数の大小、「x」「+」などの計算式で使う記号の理解が追いついていない症状が見られます。
筆算や繰り上がり繰り下がり計算、九九など算数の内容が難しくなるにつれて、理解度がさらに低くなってしまいます。
考えて答えを導き出すことに障害があるため、文章問題で何を聞かれているかが理解できず、図形やグラフから何かを予想したり理解することが苦手という症状もみられます。
九九は表を使って視覚で覚えたり、計算が重要でない問題では計算機やそろばんを利用することで理解できることがあるため、勉強方法を工夫し学習環境を整えることが大切です。
年代別の代表的症状
①小学生
今までは成長過程で判断がつかなかったことが、本格的に学習が始まる小学生になると、同級生と比べて明らかに読み書きや計算が苦手であるなど、学習障害の特徴が多く見られるようになります。
読字障害では、ひらがなや漢字を繰り返し練習しても読めず、指で追って読んだり、行を飛ばして読んだりし、音読を嫌がる姿が見られます。
書字障害では、鏡文字を書いてしまうなど上手く文字を書くことができず、板書ができずに時間がかかることなどから、文字を書くことを嫌がってしまいます。
算数障害では、数字を覚えられない、時計の読み方がわからない、繰り上がり繰り下がりの理解ができず筆算で桁を合わせられないなどの症状が見られてきます。
②中高生
中高生になると、文字を書くことが苦手で注意される、聞いたことは理解できるのに文書で渡されると処理できないなど、極端に苦手な分野がはっきりしてきます。
また英語を習い始めるタイミングで、読字障害や書字障害に気づくことがあり、英単語が覚えられない、「d」と「b」を反対に書いてしまうなどの症状が見られることがあります。
算数障害でも、計算はできても文章問題ができない、図形問題が極端に苦手など、学習が進むにつれて徐々に明らかになってきます。
中高生になると障害を隠してうまくやり過ごしたり、何でもないようにふるまうことができるようになりますが、困難を抱えて生活していたり、受験の際に大きなハンデになることがあります。
③大人
学習障害は生まれつきの障害であり成人になって発症することはありませんが、周囲に気づかれず成長し、仕事や社会生活で困った経験から診断を受けてわかる場合があります。
言われたことが理解できずに同じような失敗をしたり、お釣りの計算ができなかったりといった症状が見られるときには学習障害の可能性があります。
文章をまとめられずレポートがうまく作成できなかったり、集団で指示されることが苦手で会議などで辛い思いをするなど、仕事内容によってはとても苦痛となることがあります。
大人になってから様々な学習困難に直面した場合、学習障害以外の発達障害が隠れている可能性もあるため、正確な診断を受けることが大切です。
学習障害の診断方法
- 文字や単語、文章を読むときに正確でないことがある
- 文字や単語、文章を読むときに速度が遅いことがある
- 文章を当てずっぽうで読むことがある
- 発音が正確でない
- 読んで意味を理解することが難しい
- 文字を書くことが難しい
- 文法や句読点を複数間違える
- 数の概念、数値、計算を学ぶことが難しい
- 1桁の足し算を暗算でなく手の指を折って数える
学習障害の検査は子どもの場合、発達障害を専門とする小児科や心療内科、また精神科で受けることができますが、成人の場合には専門性がある医療機関が限られているので事前に確認する必要があります。
成育歴などの聴取のほか、脳の器質的な病気や異常、てんかんがないかを脳波検査、頭部CTやMRIなどで検査します。
また年齢に合わせた知能検査で知的障害がないことを確認するほか、認知能力検査などの心理検査を行います。
上記の表は、最新の診断基準であるDSM-5(精神疾患の診断、統計マニュアル第5版)の一部で、1つ以上の項目に当てはまること、それ以外にも心理検査や診察結果などから総合的に判断され学習障害と診断されます。
学習障害の原因はまだ判明していない
学習障害は生まれつき脳の部分的な機能障害と言われており、なかでも身体へ指令を出す脳や脊髄などの中枢神経系に障害があるのではないかと言われています。
中枢神経は指揮官として身体の全身から集まってくる情報を処理し指令を出す役割があり、この部分に異常があると、前述のような様々な障害が見られると考えられてます。
また発達障害全般に男児が多く見られており染色体が関係しているのではないか、遺伝的な要素もあるのではないか、とも言われています。
学習障害についての詳細については、まだはっきりと解明されていない部分が多いため、工夫して障害と付き合っていくことを考えていく必要があります。
学習障害の治療方法
- 教育的管理
- ときに精神刺激薬
現在のところ明確な治療法がないため、障害に合わせて勉強方法を工夫したり、環境を調整することで学習の困難さを解消していくしか方法がありません。
例えば「文字を書くことが苦手」でも、見ることが苦手で書けないのか、運動が苦手で書けないのかによって対処方法が変わるため、医師や専門家の診断を受けることが大切です。
しかし、障害への理解が足りないことでうつ病などの二次障害を引き起こしてしまう現状があるため、周囲の人の精神的なフォローも大切です。
また、学習障害を持っている子どもは、ADHD(注意欠陥多動性障害)も併発していることが多く、その場合には注意力や集中力を高めるために内服治療を行う場合があります。
精神科訪問看護も利用という選択肢も
精神科訪問看護のサービス内容
- 日常生活の維持
- 生活技能の獲得・拡大
- 対人関係の維持・構築
- 家族関係の調整
- 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
- ケアの連携
- 社会資源の活用
- 対象者のエンパワーメント
自宅で過ごす患者さんやご家族の方がリラックスして日々の生活を送れるためのサポートはもちろん、患者さんの症状の悪化の防止の支援や服薬の管理などを行い、生活環境を整えます。
訪問看護開始前後 2年間の入院日数が大きく減少しているという調査結果がでており、定期的な訪問看護の必要性がわかります。
近年、精神科訪問看護の実施事業所数や件数が伸びており、地域生活を支える適切な医療を確保させるため、急性増悪時対応の診療報酬の改定が行われるなど、国も対策を取っている状況です。
精神科看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療制度(精神通院)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療(精神通院)は、すべての精神疾患が対象で、継続的に通院治療が必要な人が申請・利用できる制度です。
通院や入院しないで行われる医療(外来、外来での投薬、デイ・ケア、訪問看護等)が対象です。
精神疾患の治療は長期的になるため、その間にかかる医療費の負担を軽くすることで、経済的にも精神的にも、治療に専念できるようにする制度です。
これを利用することで医療保険で3割負担していたところが1割の負担となり、生活活保護世帯の負担が0円になるほか、低所得世帯も段階的に負担が軽減されます。
学習障害の症状でお悩みならシンプレへ
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
都内を中心に展開している精神疾患に特化した訪問看護ステーションで、学習障害などの発達障害をはじめ、うつ病や認知症、統合失調症など精神疾患をもつ方のご自宅へ訪問しています。
看護師は精神疾患に関する専門知識や経験を持っており、疾患だけでなく日常生活や社会生活なども含めてサポートします。
利用者やその家族が大切にしている価値観や生活背景を尊重し、その人らしく安心して自宅療養できるように支援します。
また訪問している看護師だけでなく地域全体でサポートできるように、必要時には各医療機関や行政とも情報共有しながら連携を図ります。
対象となる精神疾患
- 学習障害
- アルコール依存症
- うつ病
- 自閉スペクトラム症
- 統合失調症
- ADHD
- 認知症
- その他精神疾患全般
シンプレ訪問看護ステーションでは、学習障害から統合失調症まで、幅広い精神疾患の看護を行っております。
精神科訪問看護を受けるには、精神科を受診し、医師の指示書が必要です。
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護サービスで、家族とともに本人に寄り添い、本人らしく生きていけるようサポートします。
ご利用をご検討の際はお気軽にご連絡ください。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
学習障害の症状は「読字障害」、「書字障害」、「算数障害」があり、それぞれ年代に合わせて見られる症状に特徴があります。
成育歴などの聴取のほか、脳の器質的な異常、脳波検査、頭部CTやMRI、認知能力検査などの心理検査を行い、総合的に診断されます。
現在のところ明確な治療法がないため、学習や生活の困難さを解消していく為には、障害に合わせて勉強方法を工夫したり、環境を調整することが必要です。
精神疾患に特化したシンプレ訪問看護ステーションは、あなたらしく生活する環境を共に考え、悩んでいる方やそのご家族のサポートをしていきますので、ぜひ一度ご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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