アルコール依存症と鬱病の関係性とは?
アルコール依存症と鬱は関係性が高く、それぞれの疾患を併発している方が少なくありません。
しかしなぜ、アルコール依存症と鬱は合併しやすいと言われているのでしょうか?
この記事では、アルコール依存症と鬱が合併する原因のパターンから、適切な治療方法・相談できる自助グループなどについて詳しく紹介します。
アルコール依存症と鬱病の因果関係をチェック
アルコール依存症に鬱病が合併する割合
鬱病
アルコール依存症を併発する割合
27.9%
依存症になるリスク
3.9倍
双極性障害
アルコール依存症を併発する割合
1.9%
依存症になるリスク
6.3倍
アルコール依存症と診断されたことがある方を調査した結果、うつ病もしくは双極性障害を高い割合で合併していることが分かりました。
アルコール依存症の方は、アルコール依存症でない方と比べて、肝臓病や脳卒中などのリスクが3.9~6.3倍高くなります。
ただし、適量の飲酒は、ストレス解消や健康維持に役立ちます。
しかし、飲む量をコントロールする自制心も必要になります。アルコール依存症に陥ると、症状を軽減することはできても完治はできないので注意してください。
鬱病にアルコール依存症が合併する割合
現在アルコール依存症を持っている
うつ病の方
21%
うつ病ではない方
7%
過去にアルコール依存症だった
うつ病の方
40%
うつ病ではない方
16%
うつ病の方は、アルコール依存症に陥るリスクが、うつ病でない方よりも約3倍高いことが、研究により明らかになっています。
これは、うつ病の症状を和らげるために、アルコールに頼ってしまう傾向があるためと考えられています。
また、アルコールは薬の作用を強めてしまうため、併用すると薬の副作用が強く出たり、治療効果が得られにくくなったりすることがあります。
アルコール依存症と鬱病が合併してしまう原因
うつ病とアルコール依存症の合併する共通の原因
うつ病とアルコール依存症は、どちらも遺伝的要因やストレスなどの共通の原因によって発症すると言われています。
治療を進めることも大切ですが、再発を防ぐためには原因を突き止めて対処することが重要です。
例えば、職場でのストレスが原因であれば、部署や職場を変えるなどして、ストレスの原因を取り除きましょう。
また、性格が原因であれば、考え方や物事の捉え方を変えるために、認知行動療法などの治療を受けることも有効です。
大量飲酒や離脱症状による原因
アルコール依存症は、アルコールが身体から抜ける際に起こる離脱症状があります。
不安やイライラなどの離脱症状が出現することがあり、その際に鬱状態になることがあります。
また、アルコールを飲むと、ドーパミンが分泌されて気分が高揚します。飲酒を繰り返すと、脳はドーパミンの分泌を抑制するようになり、徐々に耐性ができてしまいます。
以前と同じ量のアルコールを飲んでも、以前ほどの効果が得られなくなり、飲酒量が増えていってしまいます。
そして、アルコールを飲むことでしか快感を得ることができなくなり、アルコールに依存してしまいます。
鬱病の症状緩和のためにアルコールを摂取し依存症に
アルコール依存症と鬱病の合併の原因の一つに、鬱病の症状緩和のためにアルコールを摂取し、それが依存症につながるということがあります。
鬱病の症状には、気分の落ち込み、意欲の低下、睡眠障害、食欲不振などがあり、本人にとって大きな苦痛となり、日常生活にも支障をきたすことがあります。
アルコールには、一時的にこれらの症状を緩和する効果があるため、鬱病の人は、アルコールを飲むことで気分が落ち着き、眠りにつけるようになるなどの効果を期待して、飲酒を繰り返すことがあります。
鬱病の方がアルコールを摂取するリスク
薬の作用が増強してしまう可能性がある
鬱病の治療には、抗うつ薬が用いられます。抗うつ薬には、鬱病の症状を改善する作用があります。
しかし、アルコールを摂取すると、抗うつ薬の血中濃度が低下することがあります。そのため、抗うつ薬の効果が十分に発揮されず、うつ病の症状が改善しない可能性があります。
また、アルコールは、抗うつ薬の作用を強くしたり、弱めたりすることも知られています。そのため、アルコールを摂取すると、抗うつ薬の副作用が出やすくなる可能性があります。
鬱病の方は、抗うつ薬を服用している場合は、アルコールを控えるようにしましょう。
睡眠の質が悪化し十分な睡眠が取れなくなる
鬱病の方は、睡眠障害を伴うことが多いです。睡眠障害は、うつ病の症状を悪化させるだけでなく、生活にも支障をきたします。
アルコールを摂取すると寝付きが良くなると感じている方もいるかもしれませんが、アルコールは、眠りが浅くなったり、中途覚醒が増えたりするなどの影響があります。
そのため、アルコールを飲むと、十分な睡眠が取れなくなり、翌朝の倦怠感や集中力低下などの症状が現れることがあります。
自殺行動に走る危険性が高まる
アルコールは、自殺念慮や自殺行動のリスクを高める可能性があります。アルコールは、判断力を低下させ、衝動的な行動をとりやすくする作用があります。
そのため、自殺念慮や自殺行動を考えている方は、アルコールを摂取すると、自殺を実行に移す可能性が高くなると考えられています。
また、アルコールは、鬱病の症状を悪化させる可能性があります。鬱病の症状が悪化すると、自殺念慮や自殺行動を起こしやすくなるため、アルコールを摂取することで、自殺リスクがさらに高まると考えられます。
精神科や心療内科などの専門家に相談する目安
お酒を飲まずにはいられない
お酒を飲まずにはいられないという気持ち、誰しも1度は経験することがあるでしょう。
たまに飲酒量が増えてしまうことは、それほど心配する必要はありません。しかし、お酒を飲まずにはいられない状態が長期に続く場合は、アルコール依存症の可能性があります。
もし、お酒を飲まずにはいられないという強い欲求を感じている場合は、専門家に相談するようにしましょう。
お酒を飲んでいる間だけは気分がいい
酒を飲むと気分が上がるのは、誰しも経験があるでしょう。
しかし、お酒を飲む以外に喜びを感じられない、お酒にしか興味が持てない場合は、注意が必要です。
今まで好きだった趣味や活動を楽しめなくなったり、飲酒に費やす時間が増えたりしている場合は、アルコール依存症の可能性があります。
アルコール依存症は、一人で克服するのは難しい病気です。専門医に相談して、適切な治療やサポートを受けましょう。
アルコールが抜けると気分の落ち込みが激しい
アルコールを摂取して気分が上がることは一般的な酔い方です。しかし、飲酒をやめると気分が落ち込み、憂鬱になる場合は、注意が必要です。
飲酒をやめた後に、特に理由もなく気分が落ち込む場合は、アルコール依存症の可能性があります。アルコール依存症は、脳がアルコールに依存する病気です。アルコールを摂取しないと、イライラや不安などの症状が現れます。
落ち込みを無くすために、さらに飲酒を続けてしまうと、アルコール依存症が悪化してしまいます。
医療機関以外に相談できるところも
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターとは、各都道府県にある施設です。こころの健康センターと称している施設もあります。
ここではアルコール依存症関連の情報を得ることができ、健康相談を受け付ける相談窓口も設けています。
地域の医療機関の情報も得られるので、どの医療機関を受診したらよいのかわからない時などに活用してみてください。
施設によっては集団治療回復プログラムや家族会など、患者やその家族が話し合う場を設けています。
保健所
保健所とは、管轄の地域の保健衛生など多方面な分野を管理する行政機関です。アルコール問題についても相談を受け付けています。
電話でも受け付けているので、対面での相談が難しい方にもおすすめです。また、相談は必ずしも本人でなくても構いません。家族が相談しても大丈夫です。
行政機関として、地域の様々な施設や警察などの他の行政機関とも連携を行うことができます。各都道府県に必ず1つはあるので、お住まいの地域にも必ず設置されています。
自助グループ
自助グループはある障害や依存症を抱える人たちが、互いに支えあい励ましあいながら克服していくグループのことです。
ここではアルコール依存症の自助グループを紹介していきます。断酒会やAAなどの大きなグループもありますが、地域に密着した活動を行う小さなグループもあります。
ほとんどのグループで、本人だけでなく家族を対象にした家族会が行われます。アルコール依存症からの克服には、本人の努力だけでなく家族の支えもとても大切です。
精神科訪問看護を利用するという選択肢も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護は、看護師や作業療法士などの医療スタッフが医師の指示のもと自宅へ訪問し、病状観察や日常生活指導、また家族支援などのサポートを行います。
「健康状態の観察」や「病状悪化の防止・回復」など、多方面のサポートを通じて、利用者が日常生活の自立や社会復帰を実現できるように支援します。
原則としては週に3日以内の訪問ですが、医師が必要と判断することで4日以上の訪問も可能になります。年齢による制限もなく、幼少期から年配の方まで利用できます。
アルコール依存症に対する看護内容
アルコール依存症に対しての看護は、正しいアルコール依存症に対する知識を利用者とスタッフ両方が持つことから始まります。
また、長期にわたる看護が必要となるため、信頼関係と治療環境も重要です。規則正しい生活を送れるように、環境を整えることも看護の仕事になります。
アルコール依存症は家族にも大きな負担をかけます。訪問看護では、家族の相談に応じ、理解と協力を得るためのサポートを行います。
断酒は動機付けや、断酒の3本柱である抗酒剤・通院・自助グループも大切です。これらの大切さを理解してもらうように、都度指導します。
アルコール依存症治療のサポートなら当ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションの看護内容
・アルコール依存
・薬物依存
・知的障害
・精神疾患全般
主な看護内容
・生活支援
・自立支援
・症状の悪化防止
・服薬支援など
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化した訪問看護を提供しておりアルコール依存症の方の訪問看護も行っております。
また、鬱病や発達障害など幅広い精神疾患なども対象です。こころの健康問題を抱えて悩んでいる方やそのご家族様への継続的なサポートを通じて解決への一歩をお手伝いします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションは、基本的にリストに記載している地区で訪問看護の活動を行っています。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っており、年齢に関わらず利用することが可能です。
上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合もありますので、お気軽にお問い合わをお待ちしております。
TwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、ぜひご覧ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
鬱病とアルコール依存症は合併しやすい病気です。2つの病気を治療は、時間をかけてゆっくり回復するのが特徴のため、焦らず治療に取り組むことが大切です。
自宅療養で不安があるときには、社会復帰に向けたサポートを行う精神科訪問看護と言う選択肢があります。
シンプレでは事業所内のチームの連携を大切にし、皆さまの在宅生活を支えます。精神疾患でお悩みのかたはぜひわたしたちへご連絡ください。
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