アルツハイマー病の治療方法や治療の流れを紹介
アルツハイマー病の治療法は行動・認知療法、音楽・アート療法などがあります。
今回は、アルツハイマー病の治療方法、治療を受ける際の相談先を紹介します。
アルツハイマー病とは、記憶力や思考力の低下によって日常生活に支障をきたしてしまう病のことで、適切なサポートを受ける必要があります。
症状でお悩みの方が周りにいる方はこの記事を参考にしてみて下さい。
アルツハイマー病の根本的な治療法はない
アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)の治療については、世界中で治療法の開発が進められており、日本ではいくつかの医薬品が承認されています。
しかし、医薬品を服用しても症状が改善されることはなく、病状の進行を遅らせることしかできません。
アルツハイマー病の根本的な治療法はまだ確立されておらず、患者さんやご家族の負担を軽くする<のが治療の目的になります。
アルツハイマー病はどんな治療ができる?
アルツハイマー病への薬物治療
商品名 | 成分名 | 適応 重症度 |
---|---|---|
アリセプト |
ドネペジル | 軽度〜高度 |
レミニール |
ガランタミン | 軽度〜中等度 |
リバスタッチ イクセロン |
リバスチグミン | 軽度〜中等度 |
メマリー |
メマンチン | 中等度〜高度 |
アルツハイマー病を治療するお薬(認知機能改善薬)は4種類あり、医師の診断により、症状の進行度に応じて最適なお薬が処方されます。
これらのお薬はアルツハイマー病そのものを治すことはできませんが、病状の進行を遅らせることはできます。
どのお薬も副作用があり、アリセプトとレミニールは下痢・吐き気・嘔吐、リバスタッチとイクセロンはかゆみ・かぶれ、メマリーはめまい・便秘・頭痛などが主な副作用です。
根本治療はまだない
現在、アルツハイマー病を完全に根本的に治療する方法は見つかっていません。しかし、上記のように病気の進行を遅らせるためのお薬がいくつか存在します。
また、アルツハイマー病の進行を遅らせるためには、健康的な生活習慣が重要です。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけることが推奨されています。
アルツハイマー病は早期に発見することが重要です。初期段階で治療を開始することで、症状の進行を遅らせることが期待できます。
そのため、軽度の記憶障害や認知機能の変化が見られた場合には、早めに医師に相談するようにしましょう。
アルツハイマー病の主な症状は?
初期症状
- 何度も同じ話をする
- 最近の出来事を忘れる
- 物忘れなどにより物を盗まれたという妄想をする
- 趣味・日課への関心がなくなる
アルツハイマー病の初期症状は、上記のように物忘れがひどくなったりします。これを記憶障害と言い、物を片づけたことを忘れてしまい、盗まれたなどの妄想を抱くようになります。
初期症状は少しずつ進行することが特徴であり、家族など普段から接している人でなければ気づきにくいため、誰にも気づかれないまま病状が進行してしまうことがあります。
記憶障害は、時間→場所→人の順番で分からなくなる傾向があり、最近の出来事を忘れるようになってきたときはアルツハイマー病を疑いましょう。
中期症状
- 場所・時間・季節などがわからなくなる
- 徘徊・妄想が増える
- 家事の手順・買い物の段取りがわからなくなる
- 言葉の意味が分からなくなる
- 食事・入浴・着替えなどに介助が必要となる
- 失禁などの不潔行為が見られる
- 衝動的な行動を起こす
アルツハイマー病の中期症状は上記のような行動・心理症状が現れ、場所・時間・季節などがわからなくなったり、家の外を徘徊するようになったりします。
徘徊をしているところを発見されても、自分の名前や住所などを思い出すことができず、警察に保護されてしまうこともあり、ご家族など介護をする中で最も大変な時期です。
アルツハイマー病の中期は、歩行能力などの身体機能には特に問題はなくても、徘徊などの行動や妄想などの心理症状が強く現れることが特徴です。
後期症状
- 家族の顔が分からなくなる
- 表情が乏しくなり反応がなくなる
- 会話を通した意思疎通ができなくなる
- 尿・便の失禁が常態化する
- 歩行・座位が保てなくなり寝たきりになる
アルツハイマー病の後期症状は、上記のような日常生活に障がいが現れ、病状が進行して末期になると、最終的には寝たきりの状態になってしまいます。
アルツハイマー病の後期は、初期や中期と比べると記憶障害はさらにひどくなり、コミュニケーションをとること自体が困難になり、時には支離滅裂な発言をしてしまうこともあります。
歩行障害や運動障害が深刻になってくると、1日の大半を寝たきりの状態で過ごすようになり、免疫力が低下して感染症に感染しやすくなります。
アルツハイマー病を引き起こす原因は?
加齢による脳の変化
アルツハイマー病は若年者もなることがありますが、主に高齢者が発症するため、加齢による脳の変化が原因ではないかと言われています。
人間の脳は30歳代位から徐々に萎縮が始まり、65歳以上になると脳の萎縮が目立つようになりますが、脳が萎縮しても必ずしもアルツハイマー病を発症するとは限りません。
アルツハイマー病の患者さんの多くは脳が萎縮しているため、高齢になるほどアルツハイマー病になるリスクは高まります。
遺伝因子
アルツハイマー病の研究は世界中で進められていますが、研究者の多くは遺伝子がアルツハイマー病の発症と密接に関係しているという認識を深めています。
遺伝子がアルツハイマー病の発症と密接に関係している理由は、18~64歳以下の若年性アルツハイマー病の患者さんの多くが遺伝的要因によって発症しているからです。
まだ研究途上の段階ですが、「APOE ε4型」という遺伝子がアルツハイマー病を発症するリスクを高めているのではないかと考えられています。
環境因子・生活習慣因子
研究者によると、アルツハイマー病の症状である認知機能の低下は、血管や代謝に関する症状との関連性が見られるという報告がされています。
生活習慣病がアルツハイマー病の発症に関与しており、特に糖尿病やメタボリック症候群の関与が研究者の間では注目されています。
まだ研究途上ですが、環境因子・生活習慣因子とアルツハイマー病との関連性が明らかになってくると、アルツハイマー病の治療に大きく貢献するでしょう。
アルツハイマー病の検査や診断を受けるには?
専門医
高齢者の健康管理
老年精神科医
高齢者の精神および感情面の問題
神経内科医
脳および中枢神経系の異常
神経心理士
記憶能力および思考能力の検査
アルツハイマー病の疑いがある場合は、かかりつけ医に診てもらうと、専門医を紹介してくれる場合があります。
アルツハイマー病の専門医としては、老年科医や老年精神科医、神経内科医などがあり、専門医はもの忘れ外来やもの忘れセンターなどを通じて探せます。
また、臨床神経心理士が在籍している医療機関でも、アルツハイマー病の疑いがある場合は、記憶能力や思考能力の検査が受けられます。
認知症疾患医療センター
認知症疾患医療センターは、都道府県及び政令指定都市の指定を受けた認知症専門の医療機関であり、日本全国150カ所以上の拠点で認知症に関する専門医療の相談ができます。
かかりつけ医との連携や介護サービス情報の提供など、介護を含めたトータルサポートが受けられ、アルツハイマー病の治療や介護の悩みも聞いてもらえます。
認知症疾患医療センターの指定を受けている医療機関は、「一般社団法人 認知症予防協会」のホームページで確認できます。
アルツハイマー病の診断までの流れ
問診・診察
医療機関を受診すると最初に問診が行われます。ご本人やご家族から生活環境、物忘れがひどくなったり徘徊をするようになったのはいつからか、どのような変化があったのかを聞き取ります。
問診の際に、具体的に説明できるよう、問診の前に気づいたことをメモしておくと良いでしょう。
問診が終わると医師による診察が行われ、血圧測定や聴診、聴力、手足の麻痺、歩行状態などが調べられます。これらの検査で、アルツハイマー病以外にも原因となる病気がないかを確認します。
アルツハイマー病の診断は、問診や身体検査だけではなく、アルツハイマー病の可能性をより高精度に判断することができるよう、脳の画像検査や認知機能検査を行われます。
検査
長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
ミニメンタル検査(MMSE)
画像検査
頭部CT
頭部MRI
血流SPECT
MIBG心筋シンチグラフィ
その他の検査
脳および中枢神経系の異常
神経心理士
血液検査
心電図検査
アルツハイマー病による記憶障害の程度を調べることを目的に、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタル検査(MMSE)などの神経心理検査が行われます。
脳萎縮の程度や脳出血・脳梗塞の有無の診断のために、頭部CT検査や頭部MRI検査などの画像検査が行われ、心筋シンチグラフィーという検査が行われることもあります。
その他の検査としては、血液検査や心電図検査などがあり、医師の判断に基づいて必要な検査を実施し、最終的にアルツハイマー病の診断を行います。
訪問看護を利用するという選択肢も
訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
訪問看護とは、病気・疾患がある患者さんの自宅に看護師などの医療従事者が訪問し、患者さんがより安定した生活を送れるように支援する看護サービスです。
患者さんの自宅を訪問するのは、専門知識のある看護師や作業療法士などになります。医師の指示にしたがって生活のなかでの看護やリハビリテーションを行います。
訪問看護サービスを利用すると、アルツハイマー病による精神症状で自宅で介護を受けている方は、療養上の必要な援助や助言など病状の悪化の防止につながるようサポートを行います。
- 日常生活の維持
- 生活技能の獲得・拡大
- 対人関係の維持・構築
- 家族関係の調整
- 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
- ケアの連携
- 社会資源の活用
- 対象者のエンパワーメント
訪問看護サービスの内容は上記のように多岐にわたり、疾患全般が対象になります。
訪問看護を利用することで、家庭や地域社会で生活を送りながら精神疾患の治療を継続することが可能になり、患者さんやご家族の負担を軽くすることに貢献します。
訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレは、精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供しており、自宅で看護を受けることができるので、外出が難しい方でも自宅でリラックスしながら生活を送れるようにするためのサポートします。
スタッフが定期的に自宅を訪問し、生活リズムの調整や服薬管理など利用者さまの状態にあわせた支援をおこないます。
医療機関と連携をとりながら、利用者様の治療がよりよい方向に進むようサポートをしたり、ご相談があれば利用者のご家族様のサポートもいたします。
「病気との付き合い方」を一緒に考え、自分らしく自立した生活を営めるように支援いたします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの現在の対応エリアは、上記を中心となっております。
年齢に関わらずご利用することが可能です。サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。
上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合もありますので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
アルツハイマー病の治療について解説してきました。治療に関することは、認知症疾患医療センターやもの忘れ外来、もの忘れセンターなどの専門の医療機関で相談ができます。
訪問看護では身体的・精神的な負担や現在抱えている悩みについての相談ができ、ご家族の方への支援を含めたトータルサポートが受けられます。
アルツハイマー病について、どこに相談をしたらいいかわからなくて困っている、訪問看護のサービスについて聞いてみたいなどございましたらお気軽にシンプレへお問い合わせください。
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