アスペルガー症候群の治療方法とは。併存の恐れのある疾患についても解説

アスペルガー症候群の特徴は、コミュニケーションが、異常なまでの強いこだわりをもっている、などです。
この疾患の治療についてですが、根治治療は今現在確立されていません。
ですが、アスペルガー症候群と上手に付き合うための治療はあります。今回はアスペルガー症候群の治療について紹介しますので、詳しく見ていきましょう。
アスペルガー症候群の治療について
根治治療はできない
アスペルガー症候群は先天的な脳機能によるもので、現代の医学では根治することはできないとされています。
また物ごとの理解の仕方や感じ方に違いがあるので、その違いや特性をよく理解し、環境を変えたり、工夫したりすることが重要です。
医療機関での治療は、あらわれる症状に応じた薬の処方、カウンセリング、環境調整などが行われます。
信頼できる専門家のアドバイスをもとに状態を正しく理解し、個々のニーズに合った適切な支援をうけることが症状改善につながるでしょう。
治療方法一覧
アスペルガー症候群の治療方法をいくつかご紹介します。
①療育
療育とは生活への不自由をなくすよう専門的な教育支援プログラムにのっとり、トレーニングしていくことをいいます。
療育をうけることで問題行動を改善したり、治療を通じて人との関わり方を学びながら人とのコミュニケーションを上手とれるようになったりなど、症状の改善が期待できるでしょう。
②ソーシャルスキルトレーニング
ソーシャルスキルトレーニングは、さまざまなプログラムを通して対人関係など社会生活に必要なスキルを学んでいく支援のことです。
ゲームやディベートなどの手法を取り入れたり、ときには認知行動療法に基づいたリハビリテーション技法として行われることもあります。
③環境の調整
アスペルガー症候群の方は、その特性ゆえにさまざまな場面で生きづらさを感じたり、トラブルや困りごとを抱えたりしてしまいがちです。
まずは自分の特性を理解し、自分の特性にあった生活しやすい環境を選ぶことで、これまで感じていた困難やトラブル軽減につながります。
④家族等のサポート
- ほめて伸ばす
- 障害ではなく違いと考える
アスペルガー症候群の方は人の発言を勘違いしやすく傷つきやすいので、ストレスを与えるような「叱る」より長所を伸ばすようにほめることが大切です。
また、アスペルガー症候群は疾患ではありますが、「病気ではなく生まれつき人と少し違うだけだよ」と伝えてあげることが本人の安心につながるでしょう。
⑤薬物療法(症状に合わせてお薬を服薬)
- 抗てんかん薬
- 抗不安薬
- 睡眠薬
アスペルガー症候群を根本的に治す薬や現時点ではありませんが、てんかんや不安症状、不眠などの二次的な症状に対して薬が使用されることがあります。
ただし薬物療法は副作用にも注意しながら使用しなければならないので主治医とよく相談しながら慎重に服薬しましょう。
アスペルガー症候群と自閉スペクトラム症
自閉スペクトラム症とは
自閉スペクトラム症は従来、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などと呼ばれていた疾患をふくむ疾患概念のことです。
家庭、学校、職場などで人と接する際に社会性やコミュニケーションの難しさが生じたり、
特定の関心ごとに強いこだわりを見せるといった特徴があります。
またどのような特徴が、どれくらい強く現れるかは人により異なるため、1人1人にあった治療が必要です。
こどもの20~50人に1人が自閉スペクトラム症と診断されていることや、女性に比べ男性の方が2~4倍自閉症スペクトラムの人が多いということがわかっています。
症状の例
自閉症スペクトラムの症状例を3つご紹介します。
自閉症
自閉症とは、コミュニケーションが苦手、興味・行動に強いこだわりを示す、対人関係の障害などを特徴とする発達障害です。
1~3歳ごろまでに、いずれかの特徴が現れると言われていますが、早期から介入し療育を行うことで「いじめ」「不登校」など二次的問題の予防につながります。
高次自閉症
高次自閉症とは、自閉症のうち知的指数(IQ)が70以上ある「知的発達の明らかな遅れが無いタイプ」のことを指します。
症状として「言語コミュニケーションの障害」「感覚の偏り」「想像力の障害」などがあると同時にADHDやトゥレット症候群といった合併症を抱えていることも少なくありません。
特定できない広汎性発達障害
特定できない広汎性発達障害は自閉症スペクトラムやアスペルガー症候群などの特徴が見られるものの、それらの基準を満たさない場合に診断される障害です。
自閉症スペクトラム同様、根本治療はできませんが症状を緩和するために「療育的アプローチ」と「薬物療法」の2つが効果的といわれています。
自閉症スペクトラム症の症状例と違い
アスペルガー症候群:少し困難
自閉症 :とても困難
高機能自閉症 :困難
言葉の遅れ
アスペルガー症候群:✖
自閉症 :〇
高機能自閉症 :〇
知的障害の有無
アスペルガー症候群:✖
自閉症 :〇
高機能自閉症 :〇
強いこだわり
アスペルガー症候群:〇
自閉症 :〇
高機能自閉症 :〇
発達障害の中でも、コミュニケーション能力の困難、こだわりが強いなどの特徴がある「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」を総称して自閉スペクトラム症と呼びます。
自閉症は、言葉の遅れや知的障害を伴い、人とコミュニケーションをとることが困難であることが大きな特徴です。
一方、高機能自閉症やアスペルガー症候群では知的障害が見られず、人によっては優れた才能を発揮することがあります。
また広汎性発達障害については自閉症、小児期法改正障害、レット症候群、その他の広汎性発達障害を含み、症状が不特定多数のため説明を割愛しています。
併発のある恐れのある疾患
自閉症スペクトラム症はさまざまな合併症が知られていますが、約70%以上の人が1つの精神疾患を、40%以上の人が2つ以上の精神疾患をもっているといわれています。
特に知的障害が多く、その他、ADHD、発達性協調運動症、不安症、抑うつ、学習障害がしばしば併存します。
また医学的併存疾患としては、てんかん、睡眠障害、便秘を合併しやすいことが知られており、てんかんの併存は、知的障害が重い人ほど多く認められています。
このような合併症や気になる症状が現れた場合には、速やかに医療機関を受診するなどの対応が必要になるでしょう。
アスペルガー症候群かもと思ったら?相談先一覧
保健所・保健センター
保健所・保険センターは年代や性別に関わらずさまざまな人の健康ニーズに応え、住民の健康を助けることを目的とした施設で、市町村ごとに設置されています。
精神疾患にかぎらず「母子保健」「生活習慣病」「高齢者保健」「健康づくり」など幅広い相談に対応できることが特徴です。
相談は電話相談や面談による相談があり、保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職が対応しています。
また保健師による訪問支援も行っているので、直接施設にいくのが難しいかたでも安心して利用できるでしょう。
精神福祉センター
精神福祉センターとは、精神保健福祉法にもとづき各都道府県・政令指定都市に設置されている支援機関です。
心の病気に関する困りごとの相談に対するアドバイス、医療機関や支援機関についての情報提供、精神デイケアなどのプログラムを行っています。
各センターにもよりますが、医師や精神保健福祉士、臨床心理士などの専門家が在籍しており、さまざまな相談が可能です。
また精神福祉センターでは相談以外に、市町村や関係諸機関への「技術指導」「技術援助」「普及啓発」なども行っています。
電話相談窓口
「いますぐ話を聞いてほしい」「誰かに悩みを相談したい」といった場合の電話相談窓口として「よりそいホットライン」や「こころの健康統一ダイヤル」などがあります。
よりそいホットラインでは、一般相談、自殺予防、DV、セクシュアルマイノリティなどを含む7つの区分に回線を分け、24時間365日電話相談を受け付けています。
一方のこころの健康相談統一ダイヤルはこころの問題について、本人はもちろん、家族など周囲の人も気軽に相談できる公的な窓口です。
どちらのサービスも具体的な問題解決を図っていくことを目的として実施されていますので
ぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。
SNS相談窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談統一ダイヤル
SNS相談
・こころのほっとチャット
・生きづらびっと
最近では電話相談の他にLINE, Twitter, Facebookなどのチャットサービスを利用した「SNS相談窓口」も増えています。
今すぐ話を聞いて欲しいけど電話する勇気がないといった方はぜひSNS相談を利用してみましょう。
SNS相談であれば自分の口で話す必要がなく、普段のLINEのような感覚で相談ができるので、精神的ハードルが電話相談に比べて低いからです。
また相談内容に応じて、対面相談および精神保健福祉センター、保健所、などの公的機関、NPO団体へ繋いでくれるサービスもあります。
精神科・心療内科
自閉症スペクトラムやアスペルガー症候群の症状を感じた場合の相談先として、精神科や心療内科もおすすめです。
精神科や心療内科では「相談」はもちろんのこと、その場で治療法や対策を提案してくれることが多いからです。
とはいえ初めて行くときは、自分の思っていることを病院の先生に説明できるか不安ですよね。
そういった場合は、家族に付き添ってもらうか、事前に話したい内容を紙にまとめておくことで、気持ちに余裕をもって受診できるでしょう。
精神科訪問看護も利用するという選択肢もある
精神科訪問看護のサービス内容
- 日常生活の維持
- 生活技能の獲得・拡大
- 対人関係の維持・構築
- 家族関係の調整
- 精神症状の悪化や増悪を防ぐ
- ケアの連携
- 社会資源の活用
- 対象者のエンパワーメント
精神科訪問看護とは、精神疾患を抱える方や精神面での症状が出ているかたに対し、看護師や作業療法士が自宅にお伺いし支援するサービスです。
薬の服用管理や生活のサポート、バイタルチェックなどさまざまな観点からサポートすることで利用者さまが安心して生活できることを目指します。
同時に家族への支援も実施し、利用者さまを取り巻く環境全体を整えていく役割も担っているのも精神科訪問看護の特徴です。
「暮らし慣れた自宅でケアを受けながら社会復帰を目指したい」という方はぜひ一度精神科訪問看護に相談してみてはいかがでしょうか。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担![]() |
3,897円 | 2,565円 |
2割負担![]() |
2,598円 | 1,710円 |
1割負担![]() |
1,299円 | 855円 |
上記は正看護師or作業療法士が訪問した料金となります。
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
訪問看護には、状況に応じて医療保険が適用にされ、かかった費用の自己負担は、年齢や所得により1割~3割となります。
医療保険の主な利用条件は「医師から訪問看護指示書の交付があること」「40歳未満の人」「40歳以上で要介護・要支援の認定を受けていない人」の3つです。
ただし、要介護・要支援の認定をうけていなくても、精神科の訪問看護は医療保険を適用して利用することができます。
なお、介護保険と医療保険は同時に利用することが出来ないので注意が必要です。
自立支援医療(精神通院医療)制度
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護![]() |
0円 |
低所得1![]() |
2,500円 |
低所得2![]() |
5,000円 |
中間所得1![]() |
5,000円 |
中間所得2![]() |
10,000円 |
一定所得以上![]() |
20,000円 |
自立支援制度は、障害のある方の自立を助けるための公費負担医療費制度です。精神に障害のある方の、障害の軽減などのために医療の自己負担費が補助されます。
助成の内容としては精神科にかかわる医療費が1割負担になることと、所得に応じて月の自己負担上限額が設定され上限額を超えた分に関しては自己負担がなしとなります。
通院費やお薬にかかる費用も、自立支援医療の対象になります。そのうえで、精神科デイケアや精神科訪問看護を利用した場合に、その費用が補助されます。
アスペルガー症候群でお悩みならシンプレ訪問看護ステーションへもご相談ください
当ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神科に特化している訪問看護ステーションです。
シンプレ訪問看護ステーションでは、患者さんから得た「主観的情報」と医療者の観察から得た「客観的情報」を織り交ぜながら看護を提供するように意識しております。
また訪問看護に入らせていただく上で、地域で暮らす精神疾患のあるかたの自主性を尊重しています。
利用者さんの思いをしっかりと受け止め、少しでも安心して生活できるように支援させていただきます。
対象となる精神疾患
- 自閉スペクトラム症
- うつ病
- 不安障害
- 統合失調症
- ADHD
- アルコール依存症
- その他精神疾患全般
シンプレ訪問看護ステーションでは精神科に特化した訪問看護サービスを提供しており、上記のようなさまざまな精神疾患に対応しています。
精神疾患を抱えている方は、引きこもりがちになったり、精神症状で生活が困難になったり、外来通院が難しくなったりすることもあるでしょう。
シンプレ訪問看護ステーションでは、そういったお悩み、不安点についてご相談にのりサポートさせていただいております。
どんな些細なことでもご支援させて頂きますので、お気軽にご相談ください。
シンプレの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・武蔵野市
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・新座市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの訪問エリアは上記中心に行っています。
対応エリア外でも近隣エリアであれば対応できることがありますので、お気軽にお問い合わせください。
お子さまからお年寄りのかたまで年齢問わずご利用いただけます。サービス内容についてもご質問やご相談も承っております。
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まとめ
アスペルガー症候群は詳しいメカニズムがわかっていないため、根本的原因をとりのぞき根治させることはできません。
とはいえ、療育、家族のサポート、ソーシャルスキルトレーニング、環境調整、薬物療法など症状を軽減させたり、生活を充実させる為にできることはたくさんあります。
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神科に特化した専門的なスタッフがさまざまな観点からアスペルガー症候群や自閉症スペクトラム症を支援いたします。
アスペルガー症候群や自閉症スペクトラム症でお悩みの場合には、ぜひシンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
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