自閉症スペクトラム障害とは?症状や原因・関わり方について解説
自閉症スペクトラムの症状にはさまざまありますが、おとなでは「会話が一方的で話がうまくかみ合わない」「適切な人との距離感がわからない」があります。
子供の症状としては「一人遊びが好き」「名前を呼んでも反応がない」などが見られます。
社会生活を送るうえで悩んだり、お子さんなど周りの人の症状でお悩みの方は参考にしてみて下さいね。
自閉スペクトラム症の症状
子供の症状
- 一人遊びが好き
- 一つのことに熱中するとまわりが見えなくなる
- こだわりが強い
- 音や痛みに鈍感または敏感
- 名前を呼んでも反応がない
自閉症スペクトラム障害は発達障害の一つであり、コミュニケーション能力の乏しく、こだわりの強さがあるなどの症状があります。
代表的な子供の症状としては上記が例があげられ、そのほかにも表情が乏しかったり、他者に共感ができにくいなどとし、特性の程度や困難の現れ方は人それぞれ異なります。
また成長するに従って他人との違いを感じ、対人関係などに深く悩んでしまうことがあります。そのため学校や職場などでの生活に支障をきたしており、「生きづらさ」を感じています。
大人の症状
- 集団行動や親密なつきあいが苦手
- 人間関係で自然な距離感を取れない
- 人に興味をもったり共感するのが難しい
- 会話が一方的で話がうまくかみ合わない
- 急な予定変更に混乱し臨機応変な対応が困難
- 融通がきかず冗談やたとえ話がわからない
自閉スペクトラム症は大人になってから、診断される場合もあります。
症状としては上記のほかに、人との親密な付き合いが苦手であり、言葉通りに受け取ったりしてしまうなどし、さまざまなケースがあります。
子供の頃から症状があっても、大きな不適応に至らず過ごし、社会生活や人間関係の困難さからはじめて自閉症スペクトラム障害に気づくことがあります。
また不安障害やうつ病などの精神疾患との合併の可能性も高く、職場での不適応を調べる際に見つかる可能性があります。
そもそも自閉スペクトラム症とは
これまでに自閉スペクトラム症は、「自閉症」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」などいろいろな名称で呼ばれてきました。
しかし2013年のアメリカ精神医学会の診断基準DSM-5の発表後、上記の呼称をすべて「自閉スペクトラム症」と統一することになりました。
自閉スペクトラム症は約100人に1人と報告されており、性別でみると男性の方が多く、女性の約4倍の発生頻度とも言われています。
また通常1歳〜3歳までにその特徴がみられはじめると言われています。
自閉スペクトラム症の原因
現時点では、自閉スペクトラム症の原因ははっきりと分かっていません。
遺伝的な要因が関係していると考えられており、これは自閉性障害をもつ近親者が多いことが理由の一つです。
また特性が出るのは、脳の機能が原因と考えられており、親の育て方やしつけの仕方が悪いわけではありません。
大人の場合も、大人になって初めて自閉症スペクトラム障害になるというわけではありません。
子供のころには気づかなかったけれど、大人になって周囲との様々なコミュニケーションを取っていく中で初めて気づくケースがあるようです。
社会生活での困りごと・対処方法
職場での対応方法
大人になってから自分が「自閉スペクトラム症かもしれない」と感じることがある場合は、AQ-J(自閉症スペクトラム指数日本語版)というチェックリストがあります。
チェックリストだけで診断がつくのではなく、診察や心理検査なども総合的に判断・評価をし、診断していきます。チェックリストはあくまでも自己診断なので、診断には診察や心理検査が必要です。
またご家族の人が疑わしい場合は、「自閉スペクトラム症かもしれない」と感じる場合は、「〇〇に関して、私は心配している」などとアイメッセージで伝えてみることをおすすめします。
家庭内や学校での対応方法
不登校や引きこもり、ゲーム依存などの原因を探っていくと、発達障害が潜んでいる場合があります。
自閉症スペクトラム障害であることを発見し、正しく対処することは子供の成長や将来にとって大切なことです。
また発見した場合は、本人や周りの人たちがその症状や行動の特徴に対してきちんと理解し、状況に合わせた行動を取り、本人の気持ちや行動をコントロールすることが必要となってきます。
このように適切な対応をすることで、本人が学校生活や社会生活をスムーズに送れるようになります。
自閉スペクトラム症の方が受けられる支援
療育手帳
自閉症スペクトラム障害をお持ちの方は、社会生活を送るうえでさまざまな困難・障害が生じており、そんな方を援助するのが「療養手帳」です。
療養手帳は、知的障害・発達障害の人たちが受け取れる手帳であり、主に標準化された知能指数がIQ75、または70以下の方が対象となります。このIQ指数の基準は自治体によって異なる場合があります。
「医療費助成制度」「税金の減額・免除」、また「障害者向けの支援制度を利用したい場合」や「特別支援学校への入学を希望するとき」などさまざまな状況に応じて利用できます。
自治体によっては、「愛の手帳」または「みどりの手帳」と呼ばれており、各市町村の窓口で交付されています。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症やてんかんなど、なんらかの精神疾患(発達障害を含む)の方が対象となります。
手帳には1級〜3級までの等級があり、1級の方が困難や制限が大きいことを表します。
各自治体の精神保健福祉センターなどで審査が行われており、「税金の減額・免除」「各種交通機関の割引」などの各種サービスを受けることが可能。
なお、2年ごとに手帳の更新義務があり、そのたびに医師の診断書が必要であり注意が必要です。
自立支援医療
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援制度は、障害のある方の自立を助けるための公費負担医療費制度です。精神に障害のある方の、障害の軽減などのために医療の自己負担費が補助されます。
助成の内容としては精神科にかかわる医療費が1割負担になることと、所得に応じて月の自己負担上限額が設定され上限額を超えた分に関しては自己負担がなしとなります。
自閉症スペクトラム障害を含む発達障害の方も対象であり、通院費やお薬にかかる費用も、自立支援医療の対象になります。
精神科デイケアや精神科訪問看護を利用した場合に、その費用が補助されます。
自閉スペクトラム症の相談窓口
児童発達支援センター
18歳未満のこどもの発達や障害に関するさまざまな相談に対応しています。
通園することで、日常生活における基本的動作の指導、自活に必要な知識、技能の習得や集団生活への適応のための訓練をする施設です。
集団療育、個別療育や保護者支援を実施しており、保育所等訪問支援の事業も行っています。また地域によっては、電話相談できる施設もあります。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは精神保健福祉法によって、各都道府県にあります(ただし東京都内には3ヵ所設置)。
センターでは、こころの病気や困りごとについて無料電話や対面での相談が可能です。
医師、看護師、保健師や精神保健福祉士などが在籍しており、こころの問題や病気で困っているご本人や家族または関係者の方から相談を受けつけています。
また匿名での相談も可能で、専門的な立場から関係各所への働きかけも促したりしています。
精神科・心療内科
「自閉スペクトラム症かもしれない」と思ったら、精神科または心療内科の病院・クリニックを受診することをおすすめします。
自閉症スペクトラムにはさまざまなタイプがあり、同じ病名であっても、人によって症状は異なります。
また自閉症スペクトラムは、自分のことを理解してサポートしてくれる人の存在が大切となります。
「自閉スペクトラム症かもしれない」と思ったら、自己判断せずに最寄りの病院やかかりつけの医師に相談してみるのもよいでしょう。
自閉スペクトラム症の治療
根本的な治療はまだ見つかっていない
現在の医学では、自閉症スペクトラム症の根本的な治療は見つかっていません。
しかしながら、お薬によってかんしゃく、多動性やこだわりなどの症状を軽減することができます。
1人ひとりのペースに合わせた療育や教育的な対応が必要となっており、またトータルのサポートをすることで、安定した生活ができます。
環境調整
環境調整とは、その人の特性に合わせた物理的な工夫や周囲の協力によって、家や職場などの環境を整えることです。
例えば「目標を分かりやすくする」「視覚的に分かりやすくする」「苦手な刺激を減らす」などをすることによって、スムーズに行動ができるように周囲の環境を整えることをさします。
しかし1人で環境を調整することは難しいです。家族や職場の人たちの協力が必要であり、場合によっては医師や心理師、作業療法士などのアドバイスを仰ぐことをおすすめします。
心理療法・カウンセリング
先程でもご紹介したように、自閉症スペクトラム障害を持つ方は、その特性から社会の中で「生きづらさ」を感じています。
自閉症スペクトラム障害の特性から、周りから理解されない部分が多くあり、「空気が読めていない」「何を考えているのか分らない」などと言われることがあります。
心理療法・カウンセリングを受診することで、そういったストレスなどに対処できるようにし、更なる悪循環を断ち切るきっかけとなります。
精神科訪問看護という選択肢も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護は、看護師や作業療法士などの資格を持つスタッフが利用者さんのご自宅へお伺いし、社会復帰に向けて障害や病気をお持ちの方をサポートするサービスです。
年齢などの制限はなく、主治医が必要と判断すれば利用することが可能です。医療保険や自立支援医療制度の適用でき、1回の訪問時間は30〜90分となっています。
主治医や地域の支援者と連携して支援し、症状で悩まれている方に対して、生活が少しでも安心したものになるようにお手伝いします。
訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係や日常生活の支援を受けられる
訪問看護には上記のようなサービスが受けることができます。
それぞれの患者さんにあわせた治療を行えるため、自宅でリラックスしながらサービスを受けることができます。
利用者さまが持つ病気とどう向き合っていくかを一緒に考え、日常生活の援助や自立支援、症状の悪化防止・服薬の管理だけでなく、家庭・社会的問題の解決のお手伝いをします。
日頃からコミュニケーションを取ることで、ご自身の症状をいち早く把握し、相談しやすい環境を整えていきます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
自閉スペクトラム症の方への対応やケアについては、慎重に行うことが必要であり、家族や周囲のサポートが必要不可欠です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、特に精神科に特化した訪問看護サービスを展開し、患者さんが自宅でも安心してケアを受けられる看護を提供しています。
患者さんはやはり、「暮らし慣れた自宅でケアを受けながら、社会生活を過ごしてみたい」と考えている方も多いと思います。シンプレでは、利用者さんの自主性を大切にし看護の立場から支援します。
また主治医や地域の支援者と連携して支援し、入院をしなくても利用者さんがその人らしい生活を継続できるように一緒に考えていきます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
自閉スペクトラム症の方やその家族の方は、その症状から大きな生きづらさを感じています。
これまでにもご紹介したように、職場や家庭などさまざまなシーンの環境調整が必要ですが、その特性から理解が十分ではありません。
家族はもちろん、公的機関や専門医だけではなく、更なるサポート・ケアが必要とされています。
シンプレ訪問看護ステーションでは、そんな自閉症スペクトラム障害の方を生活面からサポートします。
また家族の方のケアを行い、本人だけでなく家族も応援しています。自閉スペクトラム症でお困りの方は、弊社までご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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