精神疾患と遺伝の関係について紹介
精神疾患の発症にはさまざまな要因が関わっています。
遺伝はその要因の一つに過ぎず、精神疾患があるからといって必ずしも子供に遺伝するわけではありません。
しかし、精神疾患の遺伝についてどのような例があるのか気になっている方は多いでしょう。そこで今回は、精神疾患の遺伝について見ていきます。
精神疾患の発症要因については研究段階のものが多く、言い切ることのできない部分もありますが、興味深いデータもありますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
精神疾患は遺伝の影響を受けるのか?
一卵性双生児と二卵性双生児の比較で遺伝の影響が明らかに
精神疾患で受診率が高い双極性障害と統合失調症は、遺伝することが確認されています。ただし、遺伝率は100%ではありません。
双子を対象とした研究では、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の方が二卵性双生児よりも病気の発症率が高いことが分かっています。
その確率は、一卵性が50~80%で二卵性が5~30%です。この2つの病気は、遺伝以外にも虐待やストレスなど外因的要素も原因とされています。
病気のなりやすさは1.2倍と影響は小さい
前述している通り、統合失調症と双極性障害は遺伝することが分かっています。ただし、その原因となる遺伝子があるからと言って、必ずしも病気になるわけではありません。
要因とみなされた遺伝子についての調べでは、対象遺伝子と病気との関係性は1.2倍ほどしか確認されていません。
これは、その遺伝子を持たない人と持つ人では、持つ人が持たない人よりも病気になる確率が1.2倍であるということです。
個々の遺伝子自体は病気に関わる影響が小さいということが分かります。
精神疾患の遺伝研究によって期待できることは?
治療薬の開発
統合失調症や双極性障害などの精神障害を根本から解決する薬は開発されていません。遺伝子の研究が進むと、この根本的解決につながる治療薬の登場も期待できます。
現在の治療は、症状を改善させる薬の処方や精神科のリハビリテーションでの治療が主です。さまざまな治療を組み合わせて、症状の緩和や再発を防いでいます。
治療期間も長く必要で、再発のリスクも抱えている病気です。根本的に解決する治療薬が開発されれば、今よりもだいぶ短期間で社会生活に復帰できる可能性が見込めます。
事前に対策することで発症を予防
精神疾患の遺伝研究が進むと、病気のメカニズムがわかり、予防が可能になる可能性があります。
遺伝的に発症しやすい方でも、環境を整えることで発症のリスクを軽減したり、、ストレスを避け規則正しい生活を送ることで、発症のリスクを減らすことができるでしょう。
遺伝研究の難しい点は、要因となる遺伝子があったとしても必ずしも発症しないことです。これは、遺伝的な要因だけでなく、環境的な要因も発症に影響しているためです。
精神疾患の遺伝研究はまだ発展途上ですが、今後の研究で原因やメカニズムがより深く理解されることで、より効果的な予防法や治療法の開発につながることが期待されています。
精神疾患にはどんなものがある?
心因性のもの
発症要因 | 心因性 |
---|---|
説明 | 精神的な負担で発症 |
疾患 | ・ストレス性うつ病 ・不安神経症 |
心因性とは、「心」に負担がかかり発症の原因となる症状のことを言います。負担になることは人によって異なりますが、強いストレスを日々感じている人は注意してください。
人は強いストレスを感じると、防衛反応を起こします。交感神経が優勢になり、血圧や血糖値を高め感じているストレスを乗り切ろうとするのです。
一時的なら問題ありませんが、これが長期間続くと交感神経が収まらなくなり疲労感や眠れなくなるなどの症状が現れるようになります。
外因性のもの
発症要因 | 外因性 |
---|---|
説明 | 身体の病気が原因 |
疾患 | ・脳の病気や感染症 ・内臓の病気による 精神的機能の障害 |
外因性は、疾患の原因が別の病気によるもののことを言います。他の2つの要因と比べても、原因が分かりやすい点が特徴的です。
多くは脳腫瘍や事故による脳機能の欠損などが原因ですが、中には感染症や内臓の疾患によって引き起こされることもあります。
外因性の精神疾患は、精神科だけでは治療が完結しません。原因となった病気を改善のために、他の診療科と協力しながらの治療を進めていきます。
内因性のもの
発症要因 | 内因性 |
---|---|
説明 | 遺伝器質的な問題 |
疾患 | ・統合失調症 ・そううつ病 ・うつ病など |
内因性の疾患とは、や脳の機能異常など、本人の気質的な要因によって発症する疾患のことをいいます。
代表的な内因性の疾患には、統合失調症、双極性障害、うつ病、発達障害などがあり、内因性の疾患は、遺伝的な要因が大きいと考えられていますが、環境的な要因も影響していると考えられています。
適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、日常生活を送ることができるようになります。
精神疾患の治療方法
薬物療法
フルオキセチン
ルトラリンなど
SNRI
ベンラファキシン
デュロキセチンなど
ノルアドレナリンドパミン再取り込み阻害薬
ブプロピオン
抗うつ薬として最も頻繁に使用されているのは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。セロトニンの働きを良くすることで、意欲の向上や不安の解消の効果を見込めます。
セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、神経障害による痛みにも効果のある抗うつ薬です。
ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬のブプロピオンは日本では認可されていません。そのため日本では、SSRIかSNRIを用いた治療が一般的となっています。
SSRIは不安症に効果的で、神経伝達を改善することで不眠などを治療していくのに効果のある治療薬です。
電気けいれん療法
電気けいれん療法は、患者様の頭部に電気ショックを与える治療法です。ショッキングな治療法ではありますが、重いうつ病に高い効果があることが分かっています。
患者様は麻酔を投与されるので、直接痛みを感じることはありません。また、多くの方は一時的な記憶障害を発症しますが、数日から数週間で落ち着きます。
電気ショックにおけるトラブルのリスクが軽減のため、心臓への負担を減らすアトロピンなどの薬が状態によって投与される事があります。
精神療法
・環境に合う行動を学ぶ
・環境に合わない習慣を見直す
認知療法
・思い込みを認識し行動や感情を改善する
対人関係療法
・自分と関係性が深い人を理解する
・関係が深い人との問題を認識し解決していく
精神分析
・トラウマの影響を理解する
精神力動的精神療法
・無意識のパターンを認識する
支持的精神療法
・感情や表現を表に出せるよう促す
・問題解決の手助けをしていく
精神療法は表にまとめている通り、方法は大きく分けて6つあります。どの方法も一長一短があり、患者様の症状や環境を確認し、効果的な方法を選択して治療に当たります。
精神療法は、薬物療法に比べて時間がかかりますが、再発防止にもつながると言われています。また、薬物療法では改善が難しい症状でも、精神療法で改善する可能性があります。
精神疾患に悩んでいる方は、精神療法の専門家に相談するようにしましょう。
精神疾患の相談をするには?
- 保健所・保健センター
- 精神福祉センター
- いのちの電話
精神疾患だけでなく、人間関係などの悩みにも相談ができる施設の紹介です。保健所・保健センターと精神福祉センターは、電話や面談で相談を行うことができます。
相談内容は心の問題から依存症まで多岐に渡り、専門職が対応してくれるのが特徴です。面談を希望する方は、事前に電話予約しておくと対応がスムーズになります。
いのちの電話は、つらい気持ちを抱える方の相談を受けている機関です。名前を名乗る必要はありません。また、話すことが不得意な方にはメールでの相談も受け付けています。
精神科訪問看護を利用するという選択肢も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神訪問看護とは、精神科勤務経験や研修を受け資格を持っている看護師や作業療法士等が精神疾患をもつ方の自宅に直接訪問して、在宅医療を提供するサービスです。
訪問時間については医療保険の場合は30分から1時間半程度となっています。ご利用者様の体調に合わせて時間を調整いたします。
また訪問回数は基本的に週に3回まで利用することはできます。ただし条件によっては週に4回以上利用することも可能です。
精神科訪問看護のサポート内容
- 症状のコントロールや治療の相談
- 日常生活の援助
- 対人面の相談
- 気分転換の援助・健康管理
- 服薬管理状況確認、援助
- 家族の悩みや不安の解消
- 社会資源の活用援助
精神科訪問看護では、「健康状態の観察」「病状悪化の防止・回復」「社会復帰の支援」など、症状の改善に向けてさまざまなポートを受けることができます。
訪問してご本人様と面会ができない場合でも、ご希望があればご家族様からの相談を受けることも可能であったりと、それぞれの利用者様にあった看護を行っております。
また住み慣れた自宅で療養できるので、安心感が得られることや訪問看護の職員が定期的に自宅に訪問することによって孤立や孤独感が軽減され、心の支えを得られるというメリットもあります。
そのほかにも必要に応じて、医師や保健師、ケースワーカーなどの関係機関と連携し、病状の悪化の防止や早期回復につながるようサポートを行います。
精神科訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護ステーションで、こころの健康問題を抱えて悩んでいる方やそのご家族様への継続的なサポートを通じて解決への一歩をお手伝いします。
精神科勤務経験のあるスタッフが在籍し、病気と付き合いながら自分らしい生活ができるように、考え方や価値観を尊重した看護サービスを提供しています。
また、病院、行政、在宅との情報共有を行い、それぞれの専門性を活かしながら治療や社会復帰のサポートができるのも特徴です。
シンプレは訪問看護サービスを通して利用者の不安を受け止め、治療への頑張りを一緒に共有し、心から安心できる居場所づくりをお手伝いします。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの現在の対応エリアは、上記を中心となっております。
記載しているエリアを中心に行っていますが、他のエリアの方も対応が可能な場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせいただければと思います。
年齢に関わらずご利用することが可能です。サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
統合失調症や双極性障害は、遺伝することが分かっています。しかし、遺伝が100%の理由ではありませんし、それ以外の要素も重要なトリガーとなる病気です。
こころの健康問題は1人で抱え込まずに、不調が続くときには、専門的な知識を持った人や周りの人の力を借りながら治療していくことが大切です。
わたしたち、シンプレ訪問看護ステーションもきっとお役に立てることがあります。現在精神疾患で悩んでいる方や、そういった方がご家族におられる場合は是非一度わたしたちにご相談ください。
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