介護うつの予防法をチェック。症状や原因・利用できる制度についても解説
「介護うつ」の予防には、自分が抱えているストレスを自覚し、介護とプライベートのバランスをとりながら十分な休息を取ることが大切です。
介護は長期化することが多く、心身にかかる負担から「介護うつ」を発症する可能性があります。
今回は、このような状況を予防するためにどんなことができるのか、症状も合わせて確認していきます。
介護うつを予防するには?
ストレスを自覚する
身内などの介護をしている人が引き起こすうつ病を「介護うつ」と呼びます。肉体的、精神的疲労が蓄積し発症します。
何に対しても興味がわかず、嬉しいことも喜べない、倦怠感が持続している、などの症状があるときにはストレスがたまっていることを自覚しましょう。
気分の落ち込みや、持続する怠さを感じたときは、「疲れているだけ」と決めつけずストレスを自覚し、うつ症状が進行する前にストレスを発散することを心がけましょう。
治療が必要な症状や日常生活に支障が出る前に、対処することが大切です。
休暇や自分の時間を取る
介護うつの中でも特に認知症の家族を介護している方などは、睡眠障害の家族に付き添って夜間に起きていることで、夜間に睡眠をとることができないことがあります。
睡眠不足は持続することで、心身の休息を取ることができず、ストレスによって身体に大きく影響してきます。
ストレスによる身体の変化は、早期であれば十分な睡眠で改善する場合がありますが、そのような症状が出る前に対処したいものです。
質の高い睡眠を短時間でも取ることや、睡眠不足の場合は日中に休息時間を取ることを意識しましょう。
相談相手を作る
- 家族や友人
- 市区町村の窓口
- 保健センター・保健所
- 電話相談窓口
介護では不安や孤立感のストレスを一人で抱えず、どんなに小さな悩みも吐き出し軽減していくことが大切です。
その相手は家族や友人でもいいですし、カウンセラーなどの専門家でもいいでしょう。まずは、気軽に相談してみましょう。
また各市町村の窓口では介護相談会が開催されていたり、保健センターではこころの健康相談なども開催されているので、積極的に参加してみましょう。
外出が難しい方には、24時間対応している電話相談窓口などもありますので、活用してみてはいかがでしょうか。
介護サービスを利用し負担を分散させる
通所介護(デイサービス)
通所介護の利用者は要介護以上で、できる限り自立した生活ができるよう、日常生活の支援や、機能訓練や口腔機能向上などのリハビリを日帰りで行います。
家族の介護負担軽減の目的もあり、介護度によっては週に2回、3回と利用することも可能で、施設から自宅までの費用も含まれています。
訪問介護(ヘルパー)
訪問介護は、日常生活介助が必要な方に対して、入浴や排泄、食事などの日常生活の介護、掃除や洗濯、調理などの家事援助、通院時の移動援助などの援助を行います。
要介護と認定されると利用することができ、自宅だけでなく老人ホームなどでも援助を受けられます。
ショートステイ
ショートステイは、日常生活の介護が必要な方を特別養護老人ホームなどで短期間受け入れ、入浴や排泄、食事などの日常生活上の支援や、機能訓練などを行います。
要介護と認定を受けると利用することができ、利用者が心身共に機能を維持回復し、介護者の身体的・精神的負担の軽減などが目的です。
訪問看護
訪問看護は、必要とするすべての人が受けられるサービスで、看護師等が訪問し病気や障がいに対し病状を観察し、症状の改善に向けて援助します。
他部門とも連携を取り、必要時には点滴や吸引など病院と同じような医療処置も行います。最期を自宅で迎えたい、痛みのコントロールをしてほしいなど、希望に沿った看護も行います。
こんな症状は介護うつかも
・今まで美味しいと感じていた
ご飯を美味しいと感じなくなる
・食欲がなくなる
疲労感
・疲れやすく身体が怠い
・無気力で何をするにも億劫と感じる
睡眠障害
・疲れているのに眠れない
・何度も目が覚める
焦燥感
・騒音や物音に敏感になる
・焦りや不安で気持ちが落ち着かない
思考障害
・気分が落ち込む
・ものごとを悪い方向ばかりに
考えてしまう
介護うつの症状の代表的なものに食欲不振があります。食べられない状態から体重減少が始まり、体力が低下することで疲労感やだるさに繋がっていきます。
睡眠障害も多くの人に見られ、疲労感があるのに眠れないことや、夜間何度も目が覚めてしまい熟睡感がないなどの症状が見られます。
常に不安な気持ちで落ち着かなかったり、ネガティブなことばかり考えてしまうなど、注意力が散漫になり焦燥感や思考障害などが見られます。
これらの症状が思い当たる場合はうつ病が考えられるため、症状が進行する前に一日も早く受診することをお勧めします。
介護うつになる原因
精神的なストレス
介護は年単位など長期化することも多く、また先が見えない不安や孤独感を感じることがあります。
特に認知症の方を介護する場合には、どんどん症状が進行するため、行った介護に対し意思疎通が図れずストレスが増大することも考えられます。
介護は目標を設定しづらいため達成感を感じられず、やりがいを見失ってしまうことがあります。
介護者が仕事をしている場合には、介護による休暇を取ることに負い目を感じることもストレスに繋がりやすくなります。
体力的な負担
介護はかなりの重労働で、食事やトイレ、入浴などの日常生活を毎日援助していかなければなりません。
介護が原因で腰痛や膝痛などを発症し、日常生活に支障が出ることも考えられます。
介護者が体調不良であったり、仕事をしているという事情とは関係なく、24時間365日行う必要があり、負担は大きなものになってしまいます。
過労によってうつ病を発症することもあるため、他の家族に介護を代わってもらうなど、意識して身体を休める時間を作ることが大切です。
経済的な負担
精神的、身体的ストレスを解消するために、デイサービスやショートステイなどの介護サービスがありますが、経済的に余裕がない場合はそれらのサービスを利用できません。
サービスが利用できないと、介護者がすべての介護を行わないといけないため、休職や離職する必要が出てきてしまいます。
そうすると収入が減少し生活が苦しくなることで、外出機会が減少し、周囲と疎遠になってしまいます。
また前述のように各市町村の福祉課など介護相談できる場所も設けられているため、ぜひ参加してみましょう。
介護うつにならないために
介護うつになりやすい人の特徴
- 責任感が強く自分に責任があると考える人
- 完璧主義な人
- 問題を自分自身だけで解決しようとする人
介護うつになりやすい人として責任感が強い人が挙げられます。どんなにつらい状況でも他人に頼らず乗り切ろうとし、自分自身を追い詰めてしまいます。
また真面目な人も介護うつの危険があり、すべてを完璧にしようとして、何よりも介護を優先してしまう傾向にあります。
特に家族の介護では自分がやらなくてはと考え、疲労やストレスが蓄積した状況でも一人で解決しようと抱え込んでしまいます。
介護を継続していくために介護者は無理をせず、まず自分を大切にしていくことが大切です。
介護うつになった場合に利用できる制度
休職・傷病手当
病気やケガで休職した際、一定の手当を受けられる制度に傷病手当があり、精神疾患もその対象となります。
健康保険に加入し、病気やケガの療養のために仕事ができないと診断されていること、勤務先からの給料支払いがないこと、連続した3日間の待機期間があることが給付条件です。
パート勤務者も継続して1年以上の被保険者期間があるなどの条件を満たせば、受給可能です。
傷病手当金は同一の傷病で最長1年6カ月受給可能で、支給の期間内に職場復帰した場合には支払われません。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療(精神通院医療)は、通院治療が継続的に必要な人が利用でき、すべての精神疾患が対象です。
対象は入院しないで行われる医療で、外来や外来での投薬、デイ・ケア、訪問看護などが適用となります。
精神疾患は治療が長くなることが多いため、その間の医療費負担を軽くし、精神的にも経済的にも、安心して治療に集中できるようにする制度です。
この制度を利用すると医療保険で3割負担していたのが1割の負担となります。また、所得に応じて負担額の月の上限額が設定されます。上記表の料金が所得区分別の上限額金額です。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は精神疾患をかかえている人が受けられる福祉サービスの一つで、様々な福祉サービスを受けられます。
日常生活において長期的に制限がある人が対象で、診断を受けてから6か月以上経過していると証明できる書類が必要となります。
受けられるサービスには税金の控除や障害者職場適応訓練の実施、水道やガスなど公共料金の割引などがあります。
手帳は2年ごとに更新が必要ですが、取得することで受けられるサービスは多く、特に経済的な利点が大きいため検討されると良いでしょう。
精神科訪問看護を利用する選択肢も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・診断がなくても医師が必要と判断した方
・精神疾患の診断を受けた方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護は精神科や心療内科に通院され精神疾患と診断されている方、診断はなくとも睡眠障害などで医師が訪問看護が必要と判断された人が対象です。
看護師や作業療法士などの医療スタッフが医師の指示のもと自宅へ訪問し、身体症状の観察や日常生活指導、また家族支援などのサポートを行います。
通常の訪問には医療保険を利用します。週3回まで訪問可能で、1回の訪問は30分から90分と決められており、体調に合わせて訪問回数や時間を調整します。
外出が難しい方や精神科への入退院を繰り返している方、ご家族がどのように関わっていけばいいか困っている方は訪問看護を検討してみましょう。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら看護が受けられる
- 家族の介護方法や体調面について相談できる
訪問看護を利用するメリットは外出が難しい方や治療を中断してしまう方も、継続的に専門的な支援を自宅で受けられることです。
病状や内服状況など、医療機関やかかりつけの医師と連携し情報を共有できます。
家庭での療養状況や家族の疲労を確認し、デイサービスやショートステイ、介護サービスの導入も提案できます。
精神疾患の診断を受けた方が、職場や地域社会、また学校生活を安心して過ごせるよう利用できる制度なども提案します。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
介護うつでお悩みの方はシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレ訪問看護ステーションは精神疾患に特化し、都内を中心に展開しています。うつ病をはじめ、統合失調症や認知症など精神疾患と診断された方の自宅へ訪問します。
訪問する看護師や作業療法士などは、疾患だけでなく日常生活や、家族へのサポートも含め援助します。
自宅で安心して療養できるように、本人や家族の価値観を尊重し支援します。
また地域全体でサポートするため、訪問しているスタッフの他に、医療機関や行政と情報共有し連携を図ります。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
介護うつの予防には、まずストレスを抱えている状態を認識し、心身共に休める時間や相談相手を作ることからはじめましょう。
デイサービスやショートステイなども効果的に利用し精神的、身体的な負担を軽減しましょう。また、さまざまな社会サービスは各市町村の福祉課などが介護相談を行っていますので利用してみましょう。
さまざまな制度を利用することで、介護うつになった場合にも継続的に治療を続ける体制が整えられています。
シンプレ訪問看護では、精神科に特化した専門的な知識で、社会復帰に向けてサポートしていきます。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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