アルツハイマー病の症状について分かりやすく紹介
認知症をきたす疾患として代表的であるアルツハイマー病は、記憶・思考・行動に障害が起こる病気です。
最近、物忘れが多くなったが、アルツハイマー病ではないか?と心配している方もいらっしゃると思います。
今回は、アルツハイマー病の患者に見られる特徴的な症状・治療方法・アルツハイマー病が疑われる際の相談窓口などを紹介します。
ご自身やご家族がアルツハイマー病かも知れないとお悩みの方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
アルツハイマー病の症状を段階別に紹介
・記憶障害
・判断力の低下
軽度
・迷子になる
・日常作業に時間がかかるようになるなど
中等度
・記憶障害や錯乱が悪化する
・家族や友人を認識しにくくなるなど
高度
・コミュニケーション能力の喪失
・排便、排尿障害など
多くのアルツハイマー病の最初の兆候の一つとして「記憶障害」があります。適切な言葉がうまく出てこなかったり、判断力が低下したりということが早期に見られるのです。
アルツハイマー病が進行するにつれて記憶障害は悪化していきます。
高度アルツハイマー型認知症になるとコミュニケーションをまともにとることができなくなり、自身の世話を完全に依存するようになります。
アルツハイマー病を発症しやすい年齢は?
発症割合:3%
75~84歳
発症割合:17%
85歳以上
発症割合:32%
アルツハイマー病は男性より女性に多く見られますが、その理由の一つに女性の方が長生きすることが挙げられます。
65歳以下の人にはまれですが、年齢が上がるにつれて有病率が上昇します。米国では、65歳以上の人口の10%がアルツハイマー病とであると推定されているほどです、
アルツハイマー病の人が占める割合は、日本では85歳以上で32%と、約3人に1人がアルツハイマー病と診断されています。
アルツハイマー病の患者数は、高齢人口の増加に伴って、大幅に増加すると予想されます。
アルツハイマー病の原因は?
遺伝的な要因
アルツハイマー病の原因は明らかにされていませんが、遺伝的な要因が関与していて、約15%の症例で家庭内での遺伝が認められています。
いくつかの特定の遺伝子の異常が関与している可能性があり、両親の片方が異常遺伝子を保有しているだけで遺伝する異常もあり、このような異常遺伝子を「優性」呼びます。
この場合、発症した親から1人の子供に異常遺伝子が受け継がれる可能性は50%で、子供の約半数が65歳以前にアルツハイマー病を発症するといわれています。
脳の変化
もう一つの原因として脳の変化が考えられています。脳の記憶や思考を司る部分が変性して、神経細胞が破壊されることで起こる病気です。
脳の複数の領域が変性しますが、とくに海馬、側頭葉、後頭葉が影響を受けます。
また、体と同様に、人の脳も加齢とともに機能が老化していくものです。加齢に伴う脳の変化が記憶力・判断力・適応力などが衰える原因と考えられています。
アルツハイマー病は加齢とともに誰にでも起こりうる病気ですが、何ごとにも興味や好奇心を持ち脳や心身を活性化することが予防になるとも言われています。
アルツハイマー病の診断方法とは
医師による問診
問診では、医師がご家族や患者さんの症状や病歴について詳しく聞きます。
次に認知機能検査では、患者の記憶力、注意力、言語能力、計算能力、判断力などの認知機能が検査されます。
下記でも詳しく説明していきますが、画像検査では、脳のMRIやCT検査を行い、脳萎縮や異常なタンパク質の蓄積などの異常がないか調べます。
アルツハイマー病の診断は、別の疾患の可能性やアルツハイマー病によるものかをこれらの検査結果を総合して行われます。
精神状態検査
精神状態検査は、簡単な質問と課題から成り立ち、患者が認知症を有するかどうかを判定する上で役立つ検査です。
医師はこの検査をもとに、注意力、時間、場所、人に関する見当識と記憶、様々な知的能力(言語の使用)などを評価します。
質問や課題の例として、ものの名前を言う・短いリストを覚える・図形を書き写すなどの指示が患者に与えられ、どれだけ正確に答えられたかどうかを採点し、検査を実施するのです。
血液検査や画像検査
画像検査では、脳のMRIやCT検査を行い、脳萎縮や異常なタンパク質の蓄積などの異常がないか調べます。
血液検査では、アルツハイマー病の原因となる可能性のある疾患がないか調べていきます。
例えば、幻視(実際にはない物や人が見えること)は、アルツハイマー病よりもレビー小体型認知症と呼ばれる認知症が一般的です。
血液検査や画像検査などの追加検査から得られる情報は、アルツハイマー病の診断を確定し、ほかの種類の認知症の可能性を否定するのに役立ちます。
アルツハイマー病の治療方法は?
薬物治療
分類 | 成分名 |
---|---|
コリン エステラーゼ 阻害薬 |
・ドネペジル ・ガランタミン ・リバスチグミン |
NMDA 受容体 拮抗薬 |
メマンチン |
アルツハイマー病の治療方法の一つとして「薬物治療」があります。アルツハイマー病に使われる薬は主に4種類あります。
4種類の治療薬は、認知症の行動・心理症状に合わせて薬剤を選択することが多く、また剤形(錠剤、液剤、貼付剤)や用法などが異なります。
上記のようなお薬のことを認知機能改善薬と言い、副作用があることがあります。
副作用は、薬を飲み始めたばかりの頃に現れることが多く、ある程度使い続けると副作用の症状が無くなっていくことが多のが特徴です。
認知症による他の精神症状への薬物治療
分類 | 薬名 | 適応症状 |
---|---|---|
漢方薬 |
抑肝散 | 神経の 興奮状態 |
漢方薬 |
酸棗仁湯 | 不眠 |
認知症による他の精神症状に使われる薬物として、漢方薬があります。主な効き目は精神症状の緩和や体質の改善、睡眠障害の改善を目的として使用されます。
「抑肝散(よくかんさん)」は、神経の興奮状態を鎮めて怒りやすさやイライラを改善し、穏やかな生活を取り戻す手助けをしてくれる漢方薬です。
「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」は、主に不眠に使われ、心身の疲れがあり眠れない方も、より自然な形で睡眠に導いてくれる漢方薬です。
安全対策と患者の支援
アルツハイマー病の治療では、落ち着いた安全な環境を作ることが大切です。
入浴・食事・睡眠など日常生活のスケジュールを一定に保つことは、アルツハイマー病患者の記憶の手助けとなります。
また、ラジオやテレビなどの適度な刺激も役に立つ方法ではありますが、過度な刺激は避けるようにしましょう。
アルツハイマー病は、患者さんだけでなく、家族や介護者にとって大きな負担となる病気です。
困ったり迷ったりしたときに、家族の中で抱え込まず相談できる相手を持つと良いでしょう。
アルツハイマー病が疑われたら?
アルツハイマー病の相談窓口
- 保健所・保健センター
- 地域包括支援センター
- 高齢者総合相談センター
- 認知症の人と家族の会
- 認知症110番
- 若年認知症サポートセンター
アルツハイマー病について様々な相談窓口が設けられており、電話や窓口で誰でも気軽に相談することができます。
保健所や保健センターでは、地域の医療機関を教えてもらえたり、自治体によっては、保健所などで認知症についての相談会や講習会を行っているところもあります。
認知症の人と家族の会は、認知症の本人や家族、支援者、専門職の方々が集まって活動している団体です。
認知症110番は、認知症に関する情報や支援を提供しています。アルツハイマー認知症の疑いがある方は、認知症110番にご相談ください。
訪問看護を利用するという選択肢も
アルツハイマー病を抱える方々にとって、専門的なサポートと温かなケアは必要不可欠です。
穏やかな暮らしをお届けするために「訪問看護サービス」というものがあります。
訪問看護サービスは、ご自宅での安心できる環境の中に、看護師などが直接訪れ、患者様一人ひとりの個別ニーズに合わせたケアを提供するサービスです。
下記で詳しく解説していきます。
精神科訪問看護ではどんなことをしてもらえるのか?
精神科訪問看護とは?
サービス名 | 訪問看護 |
---|---|
職種 | ・看護師 ・准看護師 ・作業療法士 |
訪問日数 | 原則週3日以内 |
精神科訪問看護とは、精神科や心療内科に通院され精神疾患と診断されている方、診断はなくとも睡眠障害などで医師が訪問看護が必要と判断された人が対象です。
訪問してご本人様と面会ができない場合でも、ご希望があればご家族様からの相談を受けることも可能であったりと、それぞれの利用者様にあった看護を行います。
また、住み慣れた自宅で療養できるので安心感が得られることや、訪問看護の職員が定期的に自宅に訪問することによって孤立や孤独感が軽減され、心の支えを得られるというメリットもあります。
精神科訪問看護のサポート内容
・自立した生活を営めるための支援
・規則正しい生活リズムへの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・病状や普段の様子を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・ご家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護では、「健康状態の観察」「病状悪化の防止・回復」「社会復帰の支援」など、症状の改善に向けてさまざまなポートを受けることができます。
自宅で過ごす患者さんやご家族の方々がリラックスして日々の生活を送れるようにするため、医療機関と連携をとりながら、治療がよりよい方向に進むためのサポートはもちろん、ご相談があれば利用者のご家族様の支援も行います。
そのほかにも必要に応じて、医師や保健師、ケースワーカーなどの関係機関と連携し、病状の悪化の防止や早期回復につながるようサポートを行います。
訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
シンプレ訪問看護ステーションとは?
シンプレ訪問看護ステーションでは、精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供している訪問看護ステーションです。
専門的な知識のあるスタッフが在籍しており、これまでの経験で得た知見を活かしながら、利用者様の自主性・価値観を大切にし、ご支援させていただきます。
利用者様は、皆さんそれぞれに生活上の困難を感じいらっしゃいます。私たちはそのような患者様の生活を少しでも自分らしく、患者様の自主性を大切にできる生活環境を整えます。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションは、上記のエリアを中心にサービスを行っています。
記載されている以外ののエリアでも対応できる場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
なお、訪問看護の利用には、主治医の指示書が必要となりますので、事前に主治医への相談が必要です。
訪問看護のサービスについて聞いてみたい、どこに相談をしたらいいかわからなくて困っていた、などございましたらご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
アルツハイマー病の症状は段階的で、記憶障害から始まり、軽度~重度までその症状が異なります。
アルツハイマー病の治療は、1人で抱え込まずに、専門的な知識を持った人や周りの人の力を借りながら治療していくことが大切です。
現在アルツハイマー病で悩んでいる方や、そういった方がご家族におられる場合は是非一度わたしたちにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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