認知症の幻覚はなぜ起こる?原因と対応|シンプレ訪問看護
「部屋の隅に知らない子どもが座っている」「虫がたくさん歩いている」——認知症のある方が、周りには見えないものを見えると話すことがあります。これが認知症の幻覚です。家族にとっては驚きと戸惑いが大きく、どう答えればいいのか分からなくなる場面かもしれません。けれども、幻覚は本人の性格やわがままから起きるものではないと考えられています。脳の変化や体調、お薬、部屋の明るさなど、いくつもの要因が重なって現れるとされています。
この記事では、認知症の幻覚がなぜ起こるのか、せん妄との違い、家族の接し方、相談できる窓口や費用の目安、そして訪問看護がどのように在宅での暮らしを支えられるのかを、順を追って整理します。
認知症の幻覚とは

認知症の幻覚とは、実際にはそこに無いものを、本当にあるものとして感じ取る状態をいいます。ご家族から見れば「何も無い」場所でも、本人にははっきり見えていることが多く、そこが対応の難しさにつながります。似た言葉に「妄想」「錯視」がありますが、成り立ちは少しずつ違うといわれています。まずは言葉の整理から始めると、主治医や相談窓口に状況を伝えるときにも役立ちます。
幻覚と妄想や錯覚は何が違うのか
幻覚は、見る・聞く・触れるといった感覚そのものが、対象が無いのに生じている状態を指します。一方の妄想は、事実とは異なる考えを強く確信している状態で、認知症では「財布を盗られた」という物盗られ妄想がよく知られています。幻覚は感覚の問題、妄想は考えの問題と整理すると分かりやすいでしょう。
もうひとつ紛らわしいのが錯視です。錯視は、実際にそこにあるものを別のものとして見てしまう状態で、壁のしみが人の顔に見えたり、床の小さなごみが虫に見えたりします。幻覚と錯視は本人にとっては同じくらいリアルな体験で、区別しにくいこともあるとされています。無理に切り分けようとするより、「どんな場面で、何が、どのように見えたのか」をそのまま記録しておくほうが、受診のときに役立ちます。
幻視・幻聴・幻触など幻覚の種類
幻覚は、どの感覚に現れるかによって呼び方が変わります。認知症で最も多いのは、見えるはずのないものが見える幻視です。人や子ども、小動物、虫など、具体的で細部まで見えることが多いといわれています。
このほか、誰もいないのに話し声や物音が聞こえる幻聴、体に何かが触れている感じがする幻触、においや味を感じる幻嗅・幻味などがあります。認知症では幻視に比べて幻聴の頻度は低いと報告されており、耳元でささやかれるといった訴えが続く場合は、難聴や耳の病気が背景にある可能性も含めて相談したほうがよいでしょう。
本人にはどのように見えているのか
幻視の特徴は、そのリアルさにあります。「黒い服の人が立ってこちらを見ている」「子どもが縁側に座っている」といったように、輪郭や服装まではっきりしていることが多いとされています。だからこそ、周りが「そんなものはいない」と言い切っても、本人には受け入れがたい体験になります。
本人が幻視だと自覚できている場合もあれば、まったく自覚がない場合もあります。怖がっているのか、平気そうにしているのかを見るのが大切です。動物や子どもが見えるだけで穏やかに過ごせているなら、あわてて薬を増やす必要はないこともあります。反対に、恐怖や不安が強く出ているときは、暮らしへの影響も大きくなるため、早めに主治医へ相談したい場面です。
認知症で幻覚が起こる原因

認知症の幻覚には、脳そのものの変化に加えて、体調・お薬・生活環境といった後から変えられる要因が重なっていることが少なくありません。原因が一つに絞れないぶん、逆にいえば手を打てるところも複数あるということです。ここでは代表的な四つの背景を見ていきます。
脳の働きの変化が関係するとされる理由
幻視には、ものを見て理解する働きを担う後頭葉や側頭葉の機能低下が関わっていると考えられています。目から入った情報を脳がうまく組み立てられないと、あいまいな情報を「人の姿」「動物」として補ってしまう、という説明がされることがあります。見えたものを脳が誤って補ってしまう現象と考えると、本人が嘘をついているわけでも、想像しているわけでもないことが分かります。
また、神経の情報伝達にかかわるアセチルコリンなどの物質が減ることも、幻覚の出やすさと関係するといわれています。認知症のタイプによってこの変化の程度が異なるため、幻覚の出方にも差が生まれるとされています。
薬の影響で幻覚が現れることもある
意外に見落とされやすいのが、飲んでいるお薬の影響です。パーキンソン病の治療薬、一部の睡眠薬や安定剤、抗コリン作用のある薬などは、人によって幻覚を引き起こしたり強めたりすることがあるといわれています。高齢になると薬の効き方も変わりやすく、量が同じでも影響が強く出ることがあります。
ここで大切なのは、家族の判断でお薬をやめたり減らしたりしないことです。急にやめると別の症状が悪化することもあります。「この薬を飲み始めてから見えるようになった気がする」という気づきは、そのまま主治医や薬剤師に伝えてください。お薬手帳を持参して、市販薬やサプリメントも含めて一覧で確認してもらうと、整理が進みやすくなります。
体調の変化や生活環境が引き金になる場合
脱水、便秘、発熱、尿路感染、痛み、睡眠不足といった体の不調は、幻覚や混乱の引き金になりやすいとされています。高齢の方は自分で不調を訴えにくいことがあるため、水分量・排便・食事量・体温を数日分メモしておくと、変化の見当がつきやすくなります。
環境の影響も見逃せません。視力の低下や白内障、部屋の暗さ、コート掛けやカーテンの影など、見間違いのもとになるものは日常にあふれています。引っ越しや入院、施設への短期入所など、慣れない場所に移ったタイミングで症状が出やすくなることもあります。
夕方から夜にかけて強まりやすい背景
夕方から夜にかけて落ち着かなくなったり、見えるものが増えたりする方もいます。日が落ちて視界が悪くなること、日中の疲れがたまること、生活リズムが乱れて眠りが浅くなることなどが重なるためと考えられています。暗さと疲れが重なる時間帯という理解でよいでしょう。
対策としては、日中に日光を浴びる時間をつくる、夕方前に部屋の照明を早めに点ける、昼寝が長くなりすぎないようにする、といった生活面の工夫が挙げられます。これらは症状を必ず消すものではありませんが、引き金を減らす助けになる場合があります。
幻覚が起こりやすい認知症のタイプ

ひとくちに認知症といっても原因となる病気はさまざまで、幻覚の出やすさも違うとされています。とくにレビー小体型認知症では幻視が代表的な症状として知られています。どのタイプなのかが分かると、お薬の選び方や日々の関わり方の見通しが立てやすくなります。
レビー小体型認知症に多い幻視
レビー小体型認知症は、レビー小体と呼ばれるたんぱく質が脳にたまることで起こるとされる病気で、認知症全体のなかで三番目に多いと報告されています。診断の手がかりとなる特徴のひとつが、繰り返し現れる具体的な幻視です。専門医療機関の解説では、幻視は六〜七割程度にみられるとされ、幻聴の頻度はそれよりかなり低いと報告されています。
このタイプでは、頭がはっきりしている時間とぼんやりしている時間の差が大きいこと、手足のふるえや動作の遅さといったパーキンソン症状、眠っている間に大声を出したり手足を動かしたりする行動などが、あわせてみられることがあるといわれています。もの忘れが目立たない段階から幻視が現れることもあるため、「認知症とは思わなかった」というご家族も少なくありません。
アルツハイマー型認知症でみられる幻覚と妄想
アルツハイマー型認知症では、初期はもの忘れが中心で、幻覚よりも妄想が先に目立つことが多いとされています。代表的なのが物盗られ妄想で、しまった場所を思い出せない不安が「盗られた」という確信につながると説明されることがあります。
進行にともなって幻覚が現れることもありますが、レビー小体型ほど幻視が前面に出ることは多くないといわれています。ただし体調不良や環境の変化が加わると、一時的に見え方が乱れることもあります。急に幻覚が出てきた場合は、認知症の進行と決めつけず、体の不調やお薬の影響も含めて確認してもらうとよいでしょう。
血管性認知症や前頭側頭型での現れ方
脳梗塞や脳出血をきっかけに起こる血管性認知症では、障害を受けた場所によって症状の出方が変わるとされ、幻覚がみられる方もいれば、意欲の低下や感情の起伏が目立つ方もいます。症状のむらが大きい点が特徴として挙げられます。
前頭側頭型認知症では、行動や言葉の変化が中心で、幻覚は比較的少ないといわれています。いずれのタイプでも、幻覚が出たかどうかだけで病気を判断することはできません。画像検査や経過の観察を含めて、専門の医師に相談することが大切です。
認知症の幻覚とせん妄の違い

幻覚が急に強くなったとき、認知症そのものの症状ではなく「せん妄」が起きていることがあります。せん妄は体の病気やお薬などをきっかけに起こる一時的な意識の障害で、原因が取り除ければ回復しうるとされています。認知症の幻覚とせん妄は見分けが難しく、重なって起こることもあるため、違いの手がかりを知っておくと役立ちます。
始まり方と経過に出る違い
せん妄は、いつから始まったかを比較的はっきり特定できることが多いとされています。昨日までいつもどおりだった方が、今日になって急に落ち着かなくなる、といった現れ方です。一方で認知症はゆっくり進むため、いつ始まったのかを言い当てるのは難しいといわれています。
もうひとつの手がかりが波の大きさです。せん妄では一日のなかで状態が大きく変わるとされ、数時間前は混乱していたのに、今は落ち着いて会話できるということも起こります。また、せん妄の中心にあるのは注意力を含む意識の障害で、認知症の中心にあるのは記憶の障害だと整理されています。
せん妄が疑われるときに確認したいこと
せん妄の背景には、感染症や脱水、便秘、痛み、電解質の乱れ、新しく始まったお薬、入院や引っ越しといった環境の変化などがあるとされています。次の点を思い出しながら、時系列でメモにしておくと相談がスムーズです。
- いつから様子が変わったか
- その前後で始めた薬・やめた薬はあるか
- 発熱・便秘・排尿の変化・食欲低下はないか
- 転倒や入院、部屋の模様替えなど環境の変化はあったか
- 一日のなかで落ち着く時間帯があるか
こうした記録は、限られた診察時間のなかで状況を正確に伝える助けになります。スマートフォンのメモでも十分です。
早めに受診したほうがよい様子
幻覚そのものより、あわせて起きている変化のほうが急ぎの相談を必要とすることがあります。ぼんやりして呼びかけへの反応が鈍い、水分や食事がとれていない、発熱がある、転んで頭を打った、といった場合は、まずかかりつけ医に連絡してください。本人や周囲に危険が及びそうなときも、我慢せず相談してよい場面です。
夜間や休日で判断に迷うときは、地域の救急相談窓口や、かかりつけ医の時間外案内を利用する方法もあります。「認知症だから仕方ない」と抱え込まず、体の病気の可能性も含めて診てもらうという姿勢が、結果として本人の負担を軽くすることにつながります。
認知症の幻覚への家族の接し方

認知症の幻覚に向き合うとき、ご家族が最初に迷うのが「否定すべきか、話を合わせるべきか」という点です。見えているという体験そのものを否定しないのが基本の考え方とされています。ここでは、日々の場面で使いやすい関わり方を整理します。
まずは否定せず気持ちを受け止める
「そんなものはいない」と正面から打ち消すと、本人は理解されない不安から混乱が強まり、かえって症状が長引くことがあるといわれています。かといって、嘘をついて話を大きく合わせる必要もありません。気持ちに返事をするのがちょうどよい距離感です。
たとえば「怖かったですね」「そこにいるように見えるんですね」と、感じている不安のほうに応じます。そのうえで「私には見えないけれど、一緒に確かめてみましょうか」と伝えると、否定にも同調にもならず、安心につながりやすくなります。言い方に正解はないので、うまくいった声かけをメモして家族間で共有しておくと心強いでしょう。
安心につながる声のかけ方
幻視が強く出ているときは、説得よりも場面を変えるほうが落ち着くことがあります。温かい飲み物をすすめる、別の部屋へ移る、天気のいい日は少し外の空気を吸うといった切り替えが役立つ場合があります。正しさより落ち着きを優先すると考えると、対応の迷いが減ります。
また、後ろから急に声をかけたり、大きな声で早口に話したりすると、驚きから不安が強まることがあります。正面からゆっくり、短い言葉で話しかけるほうが伝わりやすいとされています。
見間違いを減らす部屋づくりの工夫
環境を整えるだけで、見間違いが減ることがあります。夕方前から照明を点けて影を減らす、壁に掛けたコートや帽子を片付ける、模様の強いカーテンや床材を見直す、鏡に映った自分を他人と思ってしまう場合は布で覆う、といった工夫が挙げられます。影と模様を減らすのがポイントです。
あわせて、眼鏡の度が合っているか、白内障や難聴が進んでいないかも確認してみてください。見えにくさ・聞こえにくさは、あいまいな情報を増やして誤解を招きやすくします。眼科・耳鼻科の受診は、幻覚への対応としても意味のある一歩になります。
家族が疲れきってしまう前にできること
幻覚への対応は、昼夜を問わず続くことがあり、支える側の消耗も大きくなりがちです。家族が眠れない状態が続くと、余裕がなくなって関わり方もきつくなりやすく、それがまた本人の不安を強めるという循環に入ることがあります。介護している人が休むことも、ケアの一部です。
デイサービスやショートステイ、訪問介護など、介護保険で使えるサービスは介護する家族の休息にもつながります。どのサービスが合うかは、ケアマネジャーが暮らしぶりを聞きながら組み立ててくれます。「まだ大丈夫」と抱え込まず、早めに相談しておくと選択肢が広がります。
認知症の幻覚の治療と薬とのつきあい方

認知症の幻覚に対しては、いきなり薬を足すのではなく、原因を減らす順番で考えるのが一般的だとされています。体の不調、お薬、環境という三つを見直したうえで、それでも本人のつらさが強い場合に薬物療法を検討する、という流れです。ここは主治医が判断する領域なので、家族は観察した内容を伝える役に回るのが現実的です。
まず体の不調や飲んでいる薬の見直しから
発熱や脱水、便秘、痛み、尿路感染などが背景にあると、それを治療するだけで幻覚が落ち着くことがあります。前章のせん妄の項目と重なりますが、まず体の状態を確かめるのが遠回りに見えて近道になる場面は少なくありません。
お薬についても、複数の医療機関から処方が出ている場合は、重複や飲み合わせが見直しの対象になることがあります。かかりつけ薬局を一つに決めておくと、全体を把握してもらいやすくなります。
薬物療法を考えるときに気をつけたいこと
幻覚が本人にとって恐怖になっている、興奮や不眠が続いて生活が立ちゆかない、といった場合には、症状をやわらげる薬が検討されることがあります。認知症の治療薬が用いられることもあれば、精神症状に対する薬が少量から使われることもあります。少量から慎重に始めるのが基本とされています。
薬を始めたあとは、効果だけでなく、日中の眠気・ふらつき・転倒・食欲の変化といった副作用も見ておく必要があります。家族が気づいたことをそのまま伝えることで、主治医は量や種類を調整しやすくなります。効き目の判断は数日から数週間かかることもあるため、自己判断で中止せず、気になる点は早めに相談してください。
レビー小体型は薬に敏感なことがある
レビー小体型認知症では、薬に対する過敏性がみられることがあると指摘されています。とくに一部の抗精神病薬で、動きが固くなる、飲み込みにくくなる、意識がぼんやりするといった反応が強く出ることがあるとされています。診断名が分かっていることが安全な処方につながるため、受診の際は診断内容を医師や薬剤師に必ず伝えてください。
救急外来や新しい医療機関にかかるときにも同じことがいえます。お薬手帳に診断名を書き添えておく、診療情報提供書を持参するなど、情報が伝わる形を整えておくと安心です。
暮らしの工夫でやわらぐこともある
薬に頼りきらない工夫も、治療を補う位置づけとして大切にされています。日中に活動する時間をつくる、生活リズムを一定に保つ、部屋の明るさを整える、本人が安心できる人と過ごす時間を確保する、といったものです。環境を整えることは、副作用の心配がない手段でもあります。
ただし、こうした工夫で幻覚が完全に無くなるわけではありません。あくまで引き金を減らし、本人が落ち着いて過ごせる時間を増やすための支えと考えるのがよいでしょう。うまくいかない日があっても、ご家族の関わり方が悪いわけではありません。
認知症の幻覚を相談できる窓口と費用の目安

認知症の幻覚について相談できる場所は、医療と介護の両方にあります。どこから始めればよいか迷ったときは、かかりつけ医か地域包括支援センターが入口になります。ここでは具体的な窓口と、介護保険・医療保険での費用の考え方を整理します。なお以下は2026年8月時点の制度をもとにした一般的な目安で、最新の内容は各窓口でご確認ください。
もの忘れ外来や認知症疾患医療センター
診断や薬の調整については、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらう流れが一般的です。専門の窓口としては、もの忘れ外来、脳神経内科、精神科のほか、都道府県や政令市が指定する認知症疾患医療センターがあります。
認知症疾患医療センターでは、鑑別診断や身体合併症・行動心理症状への対応、地域の関係機関との連携などを担っています。幻覚の背景にどの病気があるのかをはっきりさせたい場合や、お薬の調整が難しい場合には、こうした専門機関に相談することが大切です。受診に本人が乗り気でないときは、家族だけで先に相談できる窓口もあります。
地域包括支援センターとケアマネジャー
暮らしの側の相談窓口が地域包括支援センターです。市区町村ごとに設置されており、介護保険の申請の進め方、使えるサービス、家族の困りごとまで幅広く受け付けています。申請前でも無料で相談できるのが心強いところです。
要介護認定を受けたあとは、ケアマネジャーが本人と家族の状況を聞き取り、ケアプランを作成します。訪問看護・訪問介護・デイサービス・ショートステイ・福祉用具などをどう組み合わせるかは、ここで整理されます。全国的な電話相談窓口として、認知症の人と家族の会による相談も知られています。
介護保険で使えるサービスと自己負担の考え方
認知症の在宅サービスは、原則として介護保険が中心になります。六十五歳以上の方は要介護認定を受ければ利用でき、四十歳から六十四歳の方も、四十歳以降に発症した認知症が「初老期における認知症」として介護保険の特定疾病に含まれるため、認定を受けて利用できる場合があります。四十代でも対象になりうるという点は知っておくとよいでしょう。
| 区分 | 介護保険サービス費の自己負担 |
|---|---|
| 原則 | 1割 |
| 一定以上の所得がある方 | 2割 |
| 現役並みの所得がある方 | 3割 |
表の割合は、かかった費用のうちご本人が支払う自己負担分です。ひと月の自己負担が高額になった場合には、所得に応じた上限を超えた分が払い戻される高額介護サービス費という仕組みがあります。また、生活保護を受けている方は介護扶助で自己負担なしとなる扱いです。どの制度が使えるかは、地域包括支援センターやケアマネジャー、医療ソーシャルワーカーが整理してくれます。
医療保険が使われるケース
認知症の訪問看護は原則として介護保険の給付ですが、例外もあります。要介護認定を受けていない場合は医療保険での利用になりますし、精神科を標榜する医療機関の医師から精神科訪問看護指示書が交付された場合には、介護保険より医療保険が優先されるという取り扱いがあります。
また、状態が急に悪くなったときに主治医が特別訪問看護指示書を交付すると、一定の期間は医療保険で訪問を手厚くできる仕組みもあります。どの保険が適用されるかは、年齢・認定の有無・指示書の種類によって決まるため、ご自身で判断せず、ステーションやケアマネジャーに確認するのが確実です。
認知症の幻覚がある在宅生活を支える訪問看護

認知症の幻覚があるご家庭では、「この状態を誰に伝えればいいのか」「受診まで待っていいのか」という判断がご家族の負担になります。訪問看護は、主治医の指示のもとで自宅に伺い、体調と暮らしの様子を観察して医師へつなぐ役割を担います。家に来て一緒に確かめる相手がいることで、迷う時間を短くできます。
日々の様子を観察し主治医へ伝える
看護師が訪問すると、血圧や体温といった体の状態に加えて、食事量・水分・排泄・睡眠・幻覚の出方や時間帯などを確認します。ご家族が気づいた変化も一緒に整理し、受診時に伝わる形にまとめて主治医へ報告します。
治療方針やお薬の内容を決めるのは主治医であり、看護師が判断や指示を出すわけではありません。ただ、日常のなかで起きていることを継続的に見て伝えられる立場だからこそ、診察室では見えにくい情報を補うことができます。
服薬の状況を一緒に確認する
幻覚への対応では、処方どおりに飲めているかどうかが重要な情報になります。訪問看護では、残薬の様子や飲み忘れの傾向、飲んだあとの体調の変化などを一緒に確認します。飲めているかを見て伝えることが、量の調整の判断材料になります。
飲み込みにくさやふらつきが出ていないかも観察の対象です。すでにご家庭で工夫されている飲ませ方があれば、それを踏まえながら、続けやすい方法を一緒に考えていきます。ご家族のほうが本人の癖に詳しいことも多いので、これまでのやり方を伺うところから始めます。
家族の困りごとを相談できる相手になる
「夜中に起こされて眠れない」「強く言ってしまって落ち込んだ」——こうした話を、遠慮なく相談できる相手がいることは、在宅で介護を続けるうえで大きな支えになります。訪問看護では、介助の方法を一緒に確認したり、使える制度やサービスの相談先へつないだりといった支援も行います。
なお、掃除や買い物といった生活援助、日常的な外出の付き添いは訪問介護の役割です。医療面は訪問看護、暮らしの援助は訪問介護と役割を分け合いながら、ケアマネジャーが全体を組み立てていきます。
訪問の頻度や始め方
介護保険で利用する場合、訪問の回数や時間はケアプランのなかでケアマネジャーと相談しながら決まります。一回あたりの時間は状態や目的に応じて設定され、状態が変わればプランの見直しもできます。回数が最初から固定されるわけではないので、まずは今の困りごとを伝えてみてください。
始め方はいくつかあります。かかりつけ医に相談する、担当のケアマネジャーに相談する、地域包括支援センターに問い合わせる、訪問看護ステーションに直接連絡する、といったルートです。どこから始めても構いません。訪問看護の利用には主治医の指示書が必要になりますが、その手配は関係者が連携して進めてくれます。
認知症の幻覚に悩むご家族を支えるシンプレ訪問看護ステーション

認知症の幻覚は、ご本人にとっては現実の体験であり、ご家族にとっては答えの見えない毎日です。だからこそ、定期的に家に来て一緒に様子を見る人がいることに意味があります。シンプレ訪問看護ステーションは、認知症のある方とご家族の在宅での暮らしを、看護の立場から支えています。
シンプレ訪問看護ステーションの特徴
シンプレ訪問看護ステーションでは、看護師をはじめとする専門職がご自宅へ伺い、体調の観察、服薬状況の確認、生活のなかでの困りごとの相談、主治医やケアマネジャーとの連携を行っています。認知症のある方の場合、幻覚や不安の出方は日によって変わります。その日の状態に合わせて関わり方を調整しながら、ご本人のペースを大切にした支援を心がけています。
ご家族への支援も大切にしています。これまでご家庭で続けてこられた関わり方を伺いながら、負担が大きくなっている部分を一緒に整理し、必要に応じて他のサービスや相談先へつなぎます。困ったときに相談できる相手がいることを、日々の安心につなげていただければと考えています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
- 東京23区
- 立川市
- 武蔵野市
- 三鷹市
- 府中市
- 昭島市
- 調布市
- 西東京市
- 小金井市
- 小平市
- 日野市
- 東村山市
- 国分寺市
- 国立市
- 福生市
- 狛江市
- 東大和市
- 清瀬市
- 東久留米市
- 武蔵村山市
- 多摩市
- 稲城市
- 和光市
- 朝霞市
- 志木市
- さいたま市
- 蕨市
- 川越市
- ふじみ野市
- 所沢市
- 川口市
- 戸田市
- 富士見市
- 新座市
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
訪問の頻度は週一回から数回まで、ご本人の状態やケアプランに応じて調整しています。一回あたりの訪問時間も目的に合わせて設定でき、土曜・祝日の対応についてもご相談を承っています。ご本人だけでなく、ご家族からのご相談もお受けしていますので、「これは相談していいことなのか」と迷う内容でも構いません。
※お受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。まずはお問い合わせから対応可否をご確認ください。
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まとめ|認知症の幻覚と向き合うために知っておきたいこと

認知症の幻覚は、脳の変化だけでなく、体調・お薬・環境といった複数の要因が重なって現れると考えられています。とくにレビー小体型認知症では幻視が代表的な症状として知られており、急に強くなった場合にはせん妄が隠れていることもあります。急な変化は体の不調のサインかもしれないという視点を持っておくと、対応の幅が広がります。
ご家族の関わり方としては、見えている体験そのものを否定せず、気持ちのほうに応じること、部屋の明るさや見間違いのもとを整えること、そして支える側が休む時間を確保することが挙げられます。相談先は、かかりつけ医、もの忘れ外来や認知症疾患医療センター、地域包括支援センター、ケアマネジャーと複数あり、費用の面でも介護保険や高額介護サービス費といった仕組みが用意されています。
それでも、幻覚のある毎日をご家族だけで受け止め続けるのは簡単なことではありません。訪問看護は、自宅で様子を一緒に確かめ、主治医へつなぎ、困りごとを相談できる相手として、在宅の暮らしを支えます。認知症の幻覚で悩まれているときは、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。
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※本記事は2026年8月時点の一般的な情報をまとめたものです。制度の内容や保険のあつかいは年度の改定・地域・ご本人の状態により異なる場合があります。また、シンプレ訪問看護ステーションがお受けできる内容は、時期・対応エリア・ご本人の状態によって異なり、医療的に重いケースなど一部対応できない場合もあります。ご利用を検討される際は、お問い合わせから対応可否をご確認ください。参考:厚生労働省、国立長寿医療研究センター、国立病院機構 宇多野病院、新潟市医師会、公益社団法人 認知症の人と家族の会。最新・正確な内容は各窓口でご確認ください。