身体表現性障害の治療方法とは?症状や原因についても詳しく解説。
身体表現性障害の治療法は、「認知行動療法」「対人関係療法」「心理教育」「薬物療法」などがあります。
今回この記事では、詳しい身体表現性障害の治療法や症状について解説していきます。
身体表現性障害の治療法について気になる方、これから治療を始める方が周りにいらっしゃる人は参考にしてみて下さい。
身体表現性障害の治療法
身体的に問題のないことを理解する
身体表現性障害を治療するための前提として、身体的に問題のないことを患者様本人が理解し、心理的安心を得る必要があります。
なぜなら、身体表現性障害の原因はストレスであり、身体的に問題があると疑う行為自体が心身に大きなストレスが掛かるからです。
実際に検査をしても何も異常が見つからなかったり、別の病気ではないかと疑ったりすることで、身体の不調が増える悪循環に陥ります。
身体的に問題がないと認識することこそが治療の大前提です。
精神科による身体表現性障害の治療法
精神科では患者様の心身の両方にアプローチするよう、その場の状況や痛みの程度に合わせて、身体表現性障害を治療します。
認知行動療法
認知行動療法は身近でストレスを感じた場面をテーマにして、症状が悪くなるきっかけや症状が良くなる因子を明確にしながら、合理的な考え方を身に着ける心理療法です。
身体表現性障害の主な原因となるストレスを受け流せるよう、認知行動療法によって根本的に考え方を改善を目指します。
森田療法
精神科医森田正馬により提唱され、沸き起こる不安や恐怖を無理に取り除かずに受け入れる療法です。
森田療法は入院や外来だけでなく、自助グループでも実施されていて、いずれも身体表現性障害をはじめとする神経症でよくあるとらわれに対処します。
薬物療法
抗うつ剤や抗不安薬(精神安定剤)を服用し、患者様の不安を取り除くことで、病気へのこだわりを緩和します。
身体表現性障害では、心の葛藤やストレスによって、身体症状を引き起こしているので、身体的に痛みを感じるときは臓器や器官に効く薬を使います。
身体表現性障害の症状とは
身体表現性障害の主な症状
身体表現性障害の主な症状は、医療機関を受診しても異常のない頭痛などの身体症状が繰り返しあわられます。
繰り返される身体症状は、主に呼吸器系や心臓血管系の不調を訴える人が多く、身体の痛みやめまい、吐き気などがあげられます。
明らかに痛みとしての自覚症状があるのに、検査をしても異常が見られず、患者様は何か深刻な病気になったのではと、不安になる傾向があります。
ずっと症状が続き、日常生活のさまざまな場面で支障をきたすことで、精神的なストレスはさらに悪化して、なおさら痛みや心身の不調が増えたように感じるのです。
身体表現性障害の症状ごとの5つタイプ
身体表現性障害といってもその症状は5つのタイプに分かれています。
身体化障害
身体化障害は痛みや胃腸症状などさまざまな身体症状が何年間も続きます。
比較的若い女性に発症することが多く、原因となる体の異常が見つからないのが特徴で、多くの人がいくつかの医療機関を受診します。
転換性障害
転換性障害は、腕や脚の痺れといった運動の障害、痛みに対する感覚が無くなるなどの症状があるのにもかかわらず、身体的異常が見られないものを指します。
症状が続く期間は短く、2週間以内に治まることが多いのですが、再発率も高く約1/4の方は1年以内に再発し、症状が慢性的に続くことがあります。
身体醜形障害
身体醜形障害は自分の容姿が醜いという考えにとらわれ、準備に必要以上の時間が掛かったり、仕事や学校に行けなくなったりするなど日常生活に支障をきたす病気です。
気にしている外見はささいなもの、あるいはそうでないにもかかわらず、本人は強く信じています。
疼痛性障害
疼痛性障害は原因がないにもかかわらず、本来は感じることのない激しい苦痛や欠陥が続く病気で、背や頭に症状が発生しやすいのが特徴です。
痛みのあまり仕事ができなくなる、精神安定剤や鎮痛剤に依存することもあります。
心気症
心気症は何か恐ろしい病気にかかったのではという不安な考えを繰り返す病気で、病気の期間と寛解期がそれぞれ数ヶ月から数年間続き、これらの期間が交互に現れます。
医師から適切な説明を受けても、なかなか信じられずに不安が尽きません。
身体表現性障害の原因
身体表現性障害は、職場での人間関係など心身の過労や職場移動や引っ越しなどの環境変化などのストレスによって引き起こされます。
もともと身体感覚に敏感かつ繊細な人がなりやすく、メンタルに負荷が掛かったときに困りごとをなかなか言語化できない人にも起こりやすいとされています。
また転換性障害の場合、幼少期からかけられた強いプレッシャーが無意識レベルで症状に変化し、目に見えないものが身体症状として表れるのが特徴です。
うつ病を併発する可能性もある
身体表現性障害はずっと続く原因不明の痛みや身体症状によって大きなストレスがかかり、うつ病を併発する可能性があります。
身体表現性障害だからといって必ずしもうつ病というわけではありませんが、慢性的なストレスによってうつ状態が悪化していくので、身体表現性障害が原因でうつ病を発症している可能性はあるのです。
身体表現性障害はストレスが原因で起こるので、うつの症状が身体表現性障害を引き起こすパターンもあります。
身体表現性障害の方への接し方
- 病気について理解を深める
- 本人の話をじっくりと聞いてあげる
身体表現性障害の方は先の見えない不安にグルグルと支配されている上に、自分の考えを周りに否定され続けれ、ストレスがかかってしまうことが多いです。
本人が抱えているストレスに対して、周囲があまり話を聞いていなかったり、否定すると病気はますます悪化するので、まずは本人の話を聞いてあげるようにしましょう。
心の病気は早期に治療に入ることで回復が早まる可能性もあります。病気に対する理解を深め、本人のサポートを心がけることが大切です。
精神科訪問看護でサポートしてもらう
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神訪問看護とは、精神科勤務経験や研修を受け資格を持っている看護師や作業療法士等が精神疾患をもつ方の自宅に直接訪問して、在宅医療を提供するサービスです。
訪問時間については医療保険の場合は30分から1時間半程度となっています。ご利用者様の体調に合わせて時間を調整いたします。
また訪問回数は基本的に週に3回まで利用することはできます。ただし条件によっては週に4回以上利用することも可能です。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護は患者様の体調安定、その先の社会的な自立に向けて、日常の服薬管理や症状の観察や合併症の配慮、就労支援の助言など、さまざまな支援をしています。
支援の内容は患者様だけでなく、患者様の家族からの相談に応じたり、主治医や医療機関との連携にも対応しているのが特徴です。
精神疾患をお持ちの患者様が1日でも早く社会復帰をするためには、患者様を支える地域医療や家族とのスピーディな連携が重要ですので、きめ細かく支援をします。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら看護を受けられる
- 対人関係の相談や日常生活の支援を受けられる
身体表現性障害の方が精神科訪問看護を受けるメリットは主に2つあります。
一つ目は、住み慣れたご自宅で疾患や障害に応じた看護を受けられることです。外出が難しい方でも自宅でリラックスしながらサービスを受けることができます。
もう一つは、症状以外にも対人関係や、心の葛藤など精神面の相談や日常生活の相談をすることができます。
また、必要であれば自宅で支援を行うご家族さまのご相談もお受けしており、医療とのハブ役として患者様の回復に向けてお手伝いします。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
身体表現性障害の方が利用できる制度
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療制度は、精神疾患患者様が安心して治療に専念できるよう、心身の障害に対する医療費の自己負担額を1割まで減らす医療制度です。
状況によっては、睡眠剤から抗うつ薬までいくつかの種類の薬が出されるので、1回の通院の負担が大きいと感じた人も多いと思います。
自立支援医療を受けるためには、患者様の住んでいる役所へ申請する必要があり、申請してから受領証が届くまでに時間が掛かるので、早めに手続きをするのがよいでしょう。
精神障害者保健福祉手帳
身体表現性障害の方で精神科へ通院している方は精神障害者保健福祉手帳を申請することができ、さまざまな場面で優遇を受けられます。
精神障害者保健福祉手帳は所持者が何らかの精神障害を持っていることを認める制度で、障害の重さによって1~3級の3つがあり、医師の判断により階級が分けられます。
手帳を持つことで税金の控除が受けられたり、交通機関が安くなったりと様々な支援サービスを受けることができることが特徴です。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護ステーションで、精神科勤務経験者が在籍していることに加えて、精神疾患患者様を看護したい気持ちをもったスタッフが集まっています。
利用者の自主性を大切に、専門的な知識をもったスタッフが、訪問看護サービスを通して利用者様が自分らしく生活をおくれることができるよう生活環境を整えます。
また、必要に応じて医療機関や行政と連携を取り、社会資源の活用などのサポートも行いながら、利用者様の状況に合わせて社会復帰のサポートをします。
シンプレで対象になる精神疾患
- 身体表現性障害
- うつ病
- 双極性障害
- アルコール依存症
- その他精神疾患全般
シンプレは上記にある病気以外にも、精神疾患全般を対象に訪問看護サービスをしています。
精神疾患を抱えている方の中にはお子さんから高齢の方までいろいろな人がいて、一人ひとり生活環境や背景が異なります。
シンプレでは、このようにうつ病のきっかけとなる障害をもった人も含めて、精神疾患全般を受け入れる体制も整えており、安心して日常を送れるようサポートしています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
今回は身体表現性障害の治療から利用できる制度まで解説しました。
身体表現性障害の治療は身体的に異常が無いと認識した上で、必要に応じて薬を服用していくことが大切です。
病院まで足を運べなかったり、通院時に身の回りのことまでは話せない人が、社会復帰できるように支える精神科訪問看護というサービスがあります。
シンプレは訪問看護サービスの中でも精神に特化しており、患者様と社会の架け橋となれるよう、サポートをしています。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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