睡眠障害の治療法を症状別に解説。原因や生活をおくる上での注意点も紹介
睡眠障害の治療法には「薬物療法」や「生活指導」などがあります。
睡眠障害とは、睡眠に関しての問題が多種多様あり、症状もそれぞれ異なります。
今回この記事では、睡眠障害の種類ごとの治療法や症状、対処法などについて解説していきます。
睡眠障害の治療法と症状
①不眠症
・眠りが浅い
・寝つきが悪い
・途中で目が覚める
・目が覚めても二度寝ができない
不眠症の治療
・薬物療法
・生活指導
不眠症とは、週2回以上の不眠症状が少なくとも1ヶ月以上持続し、その結果日中の機能障害を伴う状態のことを言い、症状は4種類あります。
眠りが浅い熟眠障害、寝つきが悪い入眠障害、途中で目が覚める中途覚醒、目が覚めても二度寝できない早期覚醒です。
不眠症の治療には薬物治療と生活指導があります。
入眠障害にはマイスリーやルネスタなどの超短時間型や短時間型のお薬を用い、熟眠障害や中途覚醒、早朝覚醒の症状にはサイレースやダルメートなどの中間型や長時間型のお薬を用います。
生活指導では、規則正しい生活をしたり就寝時の環境を整えたりできるように指導します。
②過眠症(ナルコレプシー)
・睡眠発作
・情動脱力発作(じょうどうだつりょくほっさ)
・睡眠麻痺
・自動症
ナルコレプシーの治療
・薬物療法
・生活指導
ナルコレプシーとは、少なくとも3ヶ月以上、夜間の睡眠が十分にも関わらず日中に耐え難い眠気が生じる状態を言い、「レム関連症状」と呼ばれる4つの特徴的な症状があります。
スイッチが切れたように眠りに落ちる症状を睡眠発作と言い、驚いた時や笑った時、嬉しくて興奮した時などに体の力が抜ける症状を情動脱力発作(じょうどうだつりょくほっさ)と言います。
他にいわゆる金縛りと言われる睡眠麻痺と、眠った自覚がなくその間の自分の行動を覚えていない自動症という症状があります。
ナルコレプシーの第一選択薬はモダフィニルですが、情動脱力発作に対してはSSRIなどの抗うつ薬が用いられることもあり、薬物療法を中心にして睡眠の質を上げる指導も行われます。
③過眠症(反復性過眠症)
・一日に20時間ほど眠ることがある
・食欲の減退
・夢の中にいるような感じがする
・うつや不安の症状がでる
反復性過眠症の治療方法
・薬物療法
・生活指導
反復性過眠症とは、眠りすぎてしまう傾眠期(けいみんき)と正常睡眠期を繰り返す状態のことを言います。
傾眠期になると一日に20時間ほど眠ってしまうことがあります。食欲が減退したり、夢の中にいるような感じがしたりする人もいます。また、うつや不安の症状が出現する場合があります。
現在、反復性過眠症に特効薬はないと言われていますが、傾眠期の予防に気分安定薬である炭酸リチウムの効果が確認されており、よく使用されます。
炭酸リチウムを用いた薬物治療と並行して、ストレスを溜めないようする、正常睡眠期の睡眠リズムを整える、アルコールを控えるといった生活指導も行われます。
④過眠症(特発性過眠症)
・日中にあわられる過度な眠気
治療
・薬物療法
・生活指導
特発性過眠症とは、慢性的な睡眠不足がないにも関わらず、日中に現れる過度な眠気のせいで日常生活に支障が出る状態のことを言います。
原因が明らかにされていないため「特発性」と呼ばれており、ナルコレプシーとの違いはレム関連症状が乏しいことと、日中の居眠りが1時間以上と長くなることです。
治療には脳の覚醒を維持するモダフィニルというお薬が処方されますが、対症療法であり根治治療ではありません。
規則正しい生活や、寝る前の刺激物(カフェインなど)を控えるといった生活指導によって症状が改善する場合もあります。
⑤睡眠時無呼吸症候群
・寝ている間呼吸が止まる
・寝ている間にむせる・息苦しさを感じる
・起床時熟睡感がなく口が乾いている
睡眠時無呼吸症候群の治療
・CPAP(シーパップ)療法
・ナステント
・マウスピース
・食生活の改善(ダイエット)
・手術治療(UPPP・LAUP)
・薬物療法
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が止まる病気で、症状は、寝ている間にむせる、息苦しさを感じる、起床時に熟睡感がなく口が渇いているなどがあります。
治療においては、まずは食生活の改善や生活習慣の改善(ダイエット)が重要で、他にはマウスピースやナステントも有効です。
中等度以上の場合はCPAP(シーパップ)療法が行われ、扁桃・アデノイド肥大の場合は手術治療(UPPP・LAUP)が行われます。
睡眠時無呼吸症候群に有効な治療薬はなく、薬物療法で症状を改善することはできません。
⑥睡眠時随伴症(すいみんじずいはんしょう)
・眠りながら動き回る
・奇声を発する・大きな寝言
睡眠時随伴症の治療
・薬物療法
・生活指導
睡眠時随伴症(すいみんじずいはんしょう)とは、睡眠中に寝ぼけたような行動をとってしまう病気の総称です。
眠りながら動き回る睡眠時遊行症(夢遊病)や、奇声を発したり大きな寝言を言ったりする睡眠時驚愕症(夜驚症)といった症状があります。これらは小児に多く、ノンレム睡眠中に起こります。
一方で、レム睡眠行動障害という病気では、高齢の男性に多くレム睡眠中に寝言や異常行動が起こります。
治療は薬物治療と生活指導を並行して行います。夜驚症では漢方が処方されます。レム睡眠行動障害では、異常行動を抑えるクロナゼパム、漢方、ロゼレムが処方されます。
睡眠障害の原因
睡眠障害の原因は病気によって異なり、複数の原因が複雑に絡み合っている場合もあります。
不眠症はストレスや体の病気、お酒やタバコの過剰摂取、周囲の環境などが原因です。
ナルコレプシーは体を覚醒させるオレキシンがうまく作られないことが原因ですが、反復性過眠症、特発性過眠症は原因が明らかではなく、遺伝的な要素が関係していると言われています。
睡眠時無呼吸症候群は肥満、小さい顎、舌根沈下、飲酒、睡眠薬、扁桃・アデノイド肥大(小児の場合)などが原因です。
睡眠時随伴症は睡眠薬の副作用や疲労、ストレスが原因ですが、パーキンソン病やレビー小体型認知症のごく初期の症状の場合もあります。
うつ病などの精神疾患が原因となることも
睡眠障害にはうつ病などの精神疾患が関係していることがあります。精神疾患の症状として、不安や緊張が現れることで、それがストレスとなり睡眠に影響を及ぼします。
特にうつ病では、不安や緊張、抑うつ気分から不眠や過眠が出現します。そして睡眠リズムが崩れうつ病をさらに悪化させてしまうことがあります。
眠れないと自律神経のバランスが崩れ、身体の痛みや倦怠感などうつ病の身体症状が現れることがあります。うつ病と睡眠障害は相互に影響を及ぼしあっているのです。
生活で注意すること
- 規則正しい睡眠時間
- 適度な運動を心がける
- 心の休まる時間を確保する
- 寝る前にスマホやPCを使用しない
- 寝る前の飲酒を控える
睡眠障害の治療にはお薬も使われますが、まず睡眠リズムと生活習慣を整えることが大切です。寝る時間と起きる時間を毎日定めて規則正しい睡眠時間になるように心がけましょう。
また、適度な運動を心がけることで体がちょうどよく疲れてぐっすり眠れることに繋がります。さらに心が休まる時間を確保しストレスを貯めないようにすることも大切です。
睡眠の質を向上させるために、寝る前にスマホやPCは使用せず、寝る前の飲酒も控えるようにしてください。
睡眠障害の治療は何科に相談したらいい?
- 精神科・心療内科
- 内科・脳神経内科
- 呼吸器内科・耳鼻咽喉科
睡眠障害の症状や原因によって最適な相談先は異なります。不眠症や過眠症でお悩みの場合は心療内科に相談しましょう。
ストレスが原因の場合は精神科でも相談に乗ってもらえます。どうしても精神科・心療内科を受診しづらい方は、かかりつけの内科や脳神経内科に相談してもよいでしょう。
睡眠時無呼吸症候群でお悩みの場合は呼吸器内科・耳鼻咽喉科に相談してください。
何科に相談したらいいかわからない時は、まずは一度かかりつけの内科で診察してもらい、そこから最適な診療科へ紹介してもらうことも可能です。
精神的なことを相談できる窓口
・よりそいホットライン
・こころの健康相談ダイヤル
電話・窓口
・保健センター
・精神保健福祉センター
睡眠障害をはじめとした精神的なお悩みを相談したい場合、病院だけではなく電話で相談に乗ってもらうという手もあります。
よりそいホットラインは誰でも相談できる窓口です。精神的な問題や周りの人に相談しづらいお悩みを専門の相談員が聞いてくれます。
他にもこころの健康相談ダイヤルでは、電話をかけた所在地の都道府県、政令指定都市が実施している公的機関に電話をつないでもらえます。
お住まいの地域の保健センターや精神保健福祉センターでもこころのお悩みの相談窓口を設けています。お悩みの際は相談してみてください。
精神科訪問看護という選択肢も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護とは、精神科・心療内科に通院中で、精神疾患の診断を受けた方や診断がなくとも医師が必要と判断した方のご自宅に看護師が訪問して看護を行うことです。
主治医と連携して健康状態の悪化の防止や回復のお手伝いをします。病気の重症度や年齢、性別に関係なくどんな方でも訪問看護を受けることができます。
ご自宅に訪問するのは国家資格を持った看護の専門職やリハビリテーションの専門職で、訪問時間は30分から90分程度です。訪問看護の利用には医療保険が使えます。
精神科訪問看護ってどんなことをしてくれるの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護では、自立した生活を営めるための生活支援・自立支援を行っています。精神疾患の患者さんは病気のために睡眠リズムが崩れたり、食事が摂れなくなったりと、日常生活に支障が出る場合があります。
専門の看護師がご自宅に訪問し生活状況を観察することで、生活リズムの調整や、症状の悪化防止・服薬支援、受診の支援をするなど、訪問看護でのケアは多岐にわたります。
また、患者さん本人のケアだけでなく、主治医や関係機関と連携して社会復帰へのサポートを行いながら、ご家族へのアドバイスや相談、社会資源の活用などを支援することも訪問看護の一環です。
精神科訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係や日常生活の支援を受けられる
精神科訪問看護のメリットは、自宅にいながら専門的なケアを受けられることです。
健康状態に合わせたケアはもちろん、自宅での様子を主治医や関係機関と連携し、病状の悪化の防止や早期回復につながるようサポートを行います。
患者さんの普段の様子を正確に把握することは医師の診察だけでは難しいですが、訪問看護であれば、診察室ではわからない患者さんの問題や困りごとを見つけられることがあります。
また、対人関係の相談や日常生活の支援を受けることができたりと、患者さんの社会復帰お手伝いをします。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療(精神通院医療)とは、精神疾患に関する医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
対象者は、統合失調症やうつ病、双極性障害などの精神疾患をお持ちで、通院による精神科的治療を継続的に必要とされている方です。
自己負担額の上限は所得によって異なります。生活保護を受けている方は0円で、それ以外の方は上記の表のように段階的に上限額が設定されています。
ひと月の医療費が上限を超えた場合、それ以上は自己負担なしで医療を受けることができます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレとは精神科に特化した訪問看護ステーションです。
生活支援・自立支援、症状の悪化防止・服薬支援、社会復帰へのサポート、ご家族の方への支援を行っています。
精神科に特化しているため専門性の高い看護を行っており、利用される患者さんに寄り添って自主性を尊重しながら、患者さんの状態に合わせたきめ細やかなケアを提供しています。
また、医療機関や行政と連携を取って患者さんをサポートすることで、病気のケアだけでなく、その先を見据えた社会復帰へのお手伝いもさせていただいています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
睡眠障害の治療は薬物治療と生活指導が中心となり、不眠や過眠などの症状に合わせたお薬を服用しながら、生活リズムを整えて適度な運動と休息をとることで治療を進めていきます。
病気によって自分ひとりでは服薬や規則正しい生活が難しい場合は、訪問看護という社会復帰に向けたサポート行う訪問看護を活用をご検討してみるのはいかがでしょうか。
シンプレは精神科に特化した訪問看護ステーションであり、利用される患者さんの状態に合わせて自主性を尊重しながらケアを行います。
お悩みの際は自分ひとりで抱え込まずに、ぜひ一度シンプレまでご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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