軽度知的障害とは?
軽度知的障害は、知的障害の85%を占めるとされています。しかし、障害があることに気づかれずに大人になるケースも少なくありません。そのため、大人になってから生きづらさを感じる方もいます。
そこでこの記事では、軽度知的障害の症状や判断基準などについて解説します。また、軽度知的障害の方が利用できる相談窓口も紹介します。
軽度知的障害でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
軽度知的障害とは?
軽度知的障害の基本的な情報を説明していきます。判断が難しいため、最終的には専門医の判断が必要です。
知的機能と適応行動が平均よりやや低い
知的障害は、知能や生活能力の遅れによって、重度から軽度まで4つの程度に分類されます。軽度知的障害は、その中でも知能指数(IQ)が50~69の範囲にあたります。
軽度知的障害の方は、平均よりも少し遅れて発達しますが、日常生活や社会生活には大きな支障はありません。そのため、障害に気づかずに大人になる方もいます。
言語や学習の理解に困難がある
抽象的な事柄を理解するのが苦手なため、小学校の教科書の内容を理解するのが難しく、学習に困難を抱える場合があります。
しかし、日常生活の基本的な動作は自分で行うことができ、高度な技術を必要としない仕事であれば、適切な支援を受けることで就労することができます。
子供の成長を比べることはよくありませんが、日常生活の中で、言葉が遅いなどの疑問が生じた場合には、小児科などの医療機関を受診するようにしましょう。
基本的な生活の能力を身につけることができる
知的障害のある方は、平均的な人よりも学習に時間がかかったり、抽象的な概念を理解するのが難しい場合もありますが、成長するにつれて、基本的な生活を送るのに必要な能力を身につけることができます。
そのため、就職して自立した生活を送っている方も多く、また、より安定した生活を送るために、外部から支援を受けている方もいます。
周囲の方がその人の個性や特性を理解し、適切な支援を提供することで、できることを増やすことができます。
軽度知的障害の問題点は?
自立した生活を送れるのであれば、問題ないのでは?と思われるかもしれません。しかし、軽度でも知的障害であるため問題はあります。
軽度知的障害の幼少期の発見が難しい理由
知的障害は軽度であればあるほど、幼少期の発見が難しい傾向にあります。軽度知的障害は小学校に入学してから発見されることが一般的です。
乳幼児期には、言葉の遅れや発達の遅れなどの症状が見られる場合もありますが、それほど目立たないこともあります。そのため、周囲の人が知的障害に気づきにくいとされています。
成長するにつれて、学習や社会生活での困難が顕著になり、知的障害が発覚することが多いと言われています。
意思疎通の困難さ
軽度知的障害の方は、単純なやり取りであればそれほど困難を感じませんが、複雑なやり取りになると、理解や表現に苦労することがあります。
意思疎通がうまくいかないと、コミュニケーションに支障をきたし、人間関係に溝が生じる可能性があります。孤立感を抱くこともあるでしょう。
しかし、知的障害について本人も周囲も理解し、適切な支援があれば、困難を乗り越えることができます。
例えば、わかりやすく話したり、視覚や動作を使って理解を助けたりすることで、意思疎通をスムーズにすることができます。
自自尊心の低さと他者への依存性
軽度知的障害の方は、言葉やコミュニケーションが苦手で、自分の価値を認めにくい傾向があるため、社会の中で自分らしく生きることが難しい場合があります。
また、他者に頼ることが多く、他者からサポートを必要とする場面が多いため、自立することが難しいという傾向もあります。
そのため他者から騙されたり犯罪に巻き込まれたりするなど、本人が理解していないところで不利益を被る可能性があります。
軽度知的障害の診断方法は?
軽度知的障害は診てすぐに分かることではありません。行動などを観察し、総合的に判断して診断を下します。
原因疾患の有無を調べる
軽度知的障害の診断では、まず、知的障害の原因となる疾患がないかどうかを調べます。
原因となる疾患としては、染色体異常や先天代謝異常症、先天性風疹症候群、てんかんなどが挙げられます。
これらの疾患が見つかった場合は、その疾患の治療を行うことで、知的障害の程度や症状を改善できる可能性があります。
日常生活の適応機能を評価
・記憶
・言語
・読字
・書字
・数学的思考など
社会的領域
・共感
・対人的コミュニケーション技能
・友情関係を築く能力
・社会的な判断能力など
実用的領域
・特にセルフケア
・仕事の責任
・金銭管理
・娯楽
・行動の自己管理など
軽度知的障害の診断では、日常生活で困らないために必要な能力を、3つの領域に分けて評価します。
概念的領域では、覚えて、理解して、考えて行動する力(記憶力、言語能力、数的思考力など)を評価します。
社会的領域では、人と関わって、社会で生きていく力(共感力、対人スキル、社会的な判断力など)を評価します。
実用的領域では、自分で身の回りの世話をして、社会で働く力(セルフケア能力、仕事の能力、金銭管理能力など)を評価します。
日本版Vineland-II適応行動尺度
日本版Vineland-II適応行動尺度は、知的障害の程度を客観的に診ていく検査です。
この検査では、対象者の日常生活でできることを、同年齢の一般の適応行動と比較して評価していきます。
対象者の年齢や発達段階に合わせて、適切な検査法を選択していきます。
軽度知的障害を治療・改善するには?
軽度知的障害と診断されたら、どうすればよいのでしょうか。治療の方法などを解説していきます。
障害そのものの改善は難しい
残念ながら、軽度知的障害は、完全に治る病気ではありません。しかし、適切な治療や療育を受けることで、できることや理解できることが広がることはわかっています。
個人差がありますが、自立して社会の中で生活を送ることは可能な場合もあります。
外部からのサポートを受けられるように環境を整えることが大切です。対応の仕方がわからない時には、行政機関などに相談してみましょう。
療育を受ける
障害のある子どもたちが、その障害や特性に合わせた支援を受けることで、自立して社会生活を送れるよう、支援する取り組みです。
療育は、障害のある子どもの成長や発達を促すことを目的としています。
療育の歴史は古く、もともとは肢体不自由児の社会参加を目的として、医療と教育を組み合わせて行われていました。
その後、精神的な障害を持つ子どもにも対象が広がり、現在では、様々な障害を持つ子どもに対する療育が行われています。
家族や周囲からの支援も重要
軽度知的障害のある方と接する際には、その障害や特性について正しく理解することが大切です。
適切な接し方によって、症状の改善や生活の質の向上につながることもあります。そのため、家庭での日常生活も、重要な治療の場と言えるでしょう。
教育の場においても、就学前から軽度知的障害が判明している場合は、特別支援学級のある学校を選ぶことが望ましいでしょう。専門の教員が、その子に合った指導や支援を行うことができます。
また、軽度知的障害を含む子供の精神疾患は、親も一緒に理解し、成長していくことが大切です。療育では、親子で参加できるプログラムが用意されているところもあります。
軽度知的障害に関する相談窓口
・児童相談所
・保健所
・各市町村の児童家庭相談窓口など
知的障害のある方・身体に障害のある方
・市町村福祉事務所
・市町村担当課(障害福祉)など
障害者の仕事に関する相談
障害者就業生活支援センターなど
知的障害の相談窓口は、相談者の年齢によって異なり、子供の場合は児童相談所や保健所、大人の場合は市町村の福祉事務所が相談ができます。
相談の種類によっては、専門的なアドバイスを受けられる機関を紹介してもらうこともできます。
どこに相談すればよいかわからない場合は、保健所や精神保健福祉センターに相談するとよいでしょう。
精神科訪問看護を利用するという選択肢も
精神科訪問看護とは?
サービス名 | 精神科訪問看護 |
---|---|
ケア内容 | ・日常生活の維持 ・生活技能の獲得 対人関係の維持など |
訪問日数 | 原則 週3日以内 |
精神科訪問看護は精神科や心療内科に通院され精神疾患と診断されている方、診断はなくとも睡眠障害などで医師が訪問看護が必要と判断された人が対象です。
看護師や作業療法士などの医療スタッフが医師の指示のもと自宅へ訪問し、病状観察や日常生活指導、また家族支援などのサポートを行います。
通常、訪問は医療保険を利用し週3回まで可能で、1回の訪問は30分から90分と決められています。体調や病状に合わせて訪問回数や時間を調整します。
外出が難しい方や精神科への入退院を繰り返している方、ご家族がどのように関わっていけばいいか困っている方は訪問看護を検討してみましょう。
精神科訪問看護のサポート内容
- 症状のコントロールや治療の相談
- 日常生活の援助
- 対人面の相談
- 気分転換の援助・健康管理
- 服薬管理状況確認、援助
- 家族の悩みや不安の解消
- 社会資源の活用援助
精神科訪問看護には「生活支援」、「自立支援」、「服薬管理」、「再発・再入院の予防」、「社会資源活用支援」などさまざまな役割があります。
病状観察や内服管理、生活援助を通じて、利用者様やその家族の能力に応じた自立を促し、本人が問題解決できるよう援助します。
主治医や関係機関との連携を図ることで、重症化する前に受診できたり、入院を予防することができます。
また必要時には家族への助言を行い、社会資源の活用をサポートすることで、療養環境を整え治療に集中できるよう支援します。
精神科訪問看護ならシンプレ看護ステーションへ!
当シンプレ訪問看護ステーションは、2020年に開業した精神疾患に特化した訪問看護ステーションです。
シンプレ訪問看護ステーションの看護内容
・統合失調症
・アルコール依存
・薬物依存
・知的障害など
主な看護内容
・生活支援
・社会復帰の支援
・症状の悪化防止・回復
・服薬支援など
精神科訪問看護では、「健康状態の観察」「病状悪化の防止・回復」「社会復帰の支援」など、症状の改善に向けてさまざまなサポートを行います。
訪問してご本人様と面会ができない場合でも、ご希望があればご家族様からの相談を受けることも可能であったりと、それぞれの利用者様にあった看護を行っております。
また住み慣れた自宅で療養できるので、安心感が得られることや訪問看護の職員が定期的に自宅に訪問することによって孤立や孤独感が軽減され、心の支えを得られるというメリットもあります。
そのほかにも必要に応じて、医師や保健師、ケースワーカーなどの関係機関と連携し、病状の悪化の防止や早期回復につながるよう支援いたします。
シンプレの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリアは、記載のエリアを中心に訪問看護を行っています。
今エリア外でも、対応できる場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。
また、TwitterやLine、TikTokなどのSNSでも情報を発信していますので、ぜひご覧ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
軽度知的障害は、知能指数が70~85程度で、日常生活に支障をきたす知的障害です。特徴がわかりにくいため、早期発見が難しい障害でもあります。
専門の窓口に相談することで早期の発見につながります。また、外部からの定期的にサポートを受けることで日常生活が安定します。
どこに相談をしたらいいかわからなくて困っている、訪問看護のサービスについて聞いてみたいなどございましたら、わたしたちへお気軽にご相談ください。
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