チック障害とは?症状や原因・併発しやすい疾患などについて解説
チック障害の症状は、突然起こるまばたき、首や肩の動き、不自然な呼吸、発声などがあります。
症状は一時的である場合もありますが、定期的に繰り返されることもあります。
今回は、チック障害の詳しい症状や併発しやすい疾患などについてまとめました。症状にお悩みの方やそういった方が周囲にいらっしゃる場合は参考にしてみてください。
チック障害の症状
単純運動チック
- まばたき
- しかめ顔
- 白目をむく
- 顔や首を急速にふる
チック症は、症状の種類によって4つに分類されます。そのうち、よくみられる症状に単純運動チックがあります。
単純運動チックは、チック症の初期段階で発症することが多いのが特徴です。また、顔面や肩から上部に症状が現れることが多いです。
具体的には、まばたき、しかめっつら、首ふり、白目むき、口ゆがめなどの症状があります。
単純運動チックは、約1秒未満の瞬間的に発症します。
単純音声チック
- せきばらい
- 鼻をすする
- うめく・吠える
単純運動チックは、体の一部が不随意に動く症状です。単純音声チックは、うめき声や咳払いなどの音を発する症状です。
鼻ならしや「アッアッ」という声、ほえ声など、単純音声チックの症状はさまざまです。
チック症の症状は一過性の場合もありますが、単純運動チックから音声チックへと症状が変化することもあります。
単純音声チックがあると、静かな場所でも声や音を出してしまうので、ストレスを感じる方も少なくありません。
複雑性運動チック
単純運動チックは顔や肩から上部の症状が多いのに対し、複雑性運動チックは身体のさまざまな部分に動きが出るのが特徴です。
具体的には、人やものを触ったり、自分を叩いたり、頭を回しながら肩をすくめたり、跳び上がったりといった動きがあります。
口や目、髪の毛を触るなどの1~2種類の動きが主な場合もありますが、足や身体全体を一緒にひっぱるような動きもあります。
複雑性音声チック
- 自分の発した音や言葉を繰り返す
- 汚言など不謹慎な言葉を発してしまう
複雑性音声チックの特徴は、不謹慎な言葉やある言葉を繰り返してしまうことです。
不謹慎な言葉や社会的に受け入れられない言葉を繰り返す状態を「汚言」といい、チック症全体の約1割にみられます。
「汚言」状態になると、公共交通機関や人との会話を避けるなど、日常や、社会での生活に支障をきたすこともあります。
また、誰かが言った言葉をそのまま繰り返す「反響言語」という症状もあります。
運動と音声の症状どちらも見られる場合
運動チックと音声チックの両方が1年以上つづく場合に「トゥレット症候群」と診断されることがあります。
症状のかずがおおかったり、持続時間がながかったりとチックのなかでも重症度がたかいのがトゥレット症候群の特徴です。
6歳ごろから単純運動チックがはじまり、10歳を過ぎると、前駆衝動を自覚する人が増える傾向にあります。
トゥレット症候群は男性におおく、発症率は1万人に1~5人とされています。
チック症の原因
- 生まれ持った遺伝的な要因
- 脳内の神経伝達物質の異常
チック障害の原因は、遺伝的要因や体質などが関連していると考えられていますが、まだ完全には分かっていません。
ドーパミン神経系に働く薬が有効であることから、ドーパミンの伝達異常が原因のひとつとも考えられています。
また、環境によって症状が悪化したり、軽快したりすることから、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発症していると考えられているのです。
チック症の診断について
DSM-5によると、18歳までに発症し、他の精神疾患によるものでないことなどが診断基準とされています。
チックの頻度に関係なく、発症から1年以内は「暫定的チック症」、1年以上は「持続性運動または音声チック症」と診断されます。
チック症は大人になってから発症する事は稀で、服用している薬の副作用や、子どものころに診断されなかったり、再発したりしていることが考えられます。
チック症にはさまざまな症状があるため、本人や家族は癖だと思い込んでしまうこともあります。
症状に心当たりがある場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。
併発しやすい疾患
- 不安障害
- ADHD
チック症の症状には、前駆衝動と呼ばれる「やりたいけどやっちゃいけない」という気持ちがあります。
この前駆衝動を抑えようとすればするほど、かえって強く意識してしまい、やってしまうことがあります。
この前駆衝動の特徴は、強迫症状と似ていることです。そのため、チック症と強迫性障害が併発することがあります。
また、チック症は、ADHDや自閉スペクトラム症などの発達障害を併発することもあります。
併存の原因ははっきりわかっていないものの、脳機能の発達の偏りでみられるもののようです。育て方や環境は直接の原因ではないということを理解しておきましょう。
チック症の治療方法
心理教育・環境調整
チック症の治療法は、大きく分けて「心理教育」と「環境調整」の2つがあります。
心理教育とは、チック症について周囲の人が理解し、本人のストレスを減らすための支援をすることです。
環境調整とは、チック症の症状を悪化させる原因となるストレスを減らすための環境づくりです。
仕事や日常生活において、本人が心身ともにリラックスできる環境や時間を確保することが大切です。
薬物療法
チック症は、日常生活に支障がない場合は、治療をしないことが多いです。
ただし、チックの頻度が多い場合や、日常生活に支障をきたすなど、症状が重い場合は、薬物治療が検討されます。
また、強迫性障害や自閉スペクトラム症と合併している場合もあります。その場合は、合併症の治療を優先するか、薬物治療と併用して治療が行われます。
チック症の方との接し方
チック症を持つ人への接し方として、周囲の人はあえて指摘せず、暖かい目で見守ることが大切です。
チックは状況や状態によって症状が出たり消えたりするため、変化しても気にしすぎないようにしましょう。
チック症を持つ子どもへの接し方は、基本的にいままでどおりでかまいません。
症状を無理やり抑えようと指摘したり、やめさせようとしたりすると、かえって症状が悪化する可能性があるため、注意が必要です。
生活を振り返ってみて干渉しすぎていると感じた場合は、干渉を少し控えるようにしましょう。
精神科訪問看護という選択肢も
精神科訪問看護とは?
・精神科・心療内科に通院中の方
・精神疾患の診断を受けた方
・診断がなくとも医師が必要と判断した方
訪問する人
・看護の専門職
・リハビリテーションの専門職
訪問時間
・医療保険
(30分から90分程度)
精神科訪問看護とは、看護師や作業療法士などが利用者さんのご自宅に訪問し、病気や障害の回復に向けてサポートやアドバイスを行います。
病院と同じような医療処置をおこなう場合や、利用者さんの希望にそった看護をおこなう場合もあります。
対象者は精神科に通院中のかたや精神疾患の診断を受けた方などです。
訪問時間は「1回30分~1時間半」訪問頻度は「通常週3回まで」ですが疾患の状態によって毎日訪問看護を利用することもできます。
訪問看護ってどんなことをするの?
・自立した生活を営めるための支援
・生活リズムの調整
症状の悪化防止・服薬支援
・生活状況を観察
・受診や服薬を支援
社会復帰へのサポート
・主治医や関係機関と連携
・社会復帰を支援
家族の方への支援
・家族へのアドバイスや相談
・社会資源の活用などを支援
精神科訪問看護では、自立した生活を送るための支援や生活リズムの調整などを行い、社会や日常生活を送ることができるよう支援します。
通院との違いは、自宅にいながら実際の生活を軸にしたサポートやアドバイスを受けられることです。
そのほかにも状況や必要に応じて、医師や保健師、ケースワーカーなどの関係機関と連携できることも精神科訪問看護の強みです。
また、疾患を抱えている本人だけでなく、ご家族へのアドバイスや相談も行っています。
訪問看護のメリット
- 自宅に居ながら専門的なケアが受けられる
- 自宅での様子を主治医に連携できる
- 対人関係や日常生活の支援を受けられる
精神科訪問看護のメリットは、自宅にいながら専門的なケアが受けられることです。
精神疾患を抱える方は、合併症など複数の精神疾患を抱えていることも多く、家から出ることさえ困難な方も多いです。
住み慣れた自宅で療養できるので、安心感が得られることや訪問看護の職員が定期的に自宅に訪問することによって孤立や孤独感が軽減され、心の支えを得られるというメリットもあります。
精神科訪問看護の料金
負担割合 | 月の初回訪問 | 2回目以降 |
---|---|---|
3割負担 | 3,897円 | 2,565円 |
2割負担 | 2,598円 | 1,710円 |
1割負担 | 1,299円 | 855円 |
上記は週3回までの訪問料金となります。週4回以上訪問となる場合には料金が異なります。
精神科訪問看護では、医療保険を利用することにより自己負担を軽減できるメリットがあります。
30分を一区切りに利用可能。かかった費用については、年齢や所得によって変わり、医療費の1〜3割が自己負担となります。
また早朝や深夜などの時間外に依頼する場合や、長時間の訪問を行う場合は別途料金が発生します。
また自立支援医療制度いう制度を利用すると料金が1割負担になるほか、所得に応じて自己負担が0円になる場合もございます。
自立支援医療(精神通院医療)
区分 | 上限額 |
---|---|
生活保護 |
0円 |
低所得1 |
2,500円 |
低所得2 |
5,000円 |
中間所得1 |
5,000円 |
中間所得2 |
10,000円 |
一定所得以上 |
20,000円 |
表の料金は所得に応じた医療費の月額自己負担額の上限額となっております。
表の料金を超えた場合には、自己負担なしで医療が受けられます。
自立支援医療制度(精神通院医療)は、精神疾患の治療を受けている方の医療費の自己負担額を軽減する制度です。
助成の内容としては精神科にかかわる医療費が1割負担になることと、所得に応じて月の自己負担上限額が設定され上限額を超えた分に関しては自己負担がなしとなります。
通院費やお薬にかかる費用も、自立支援医療の対象になります。そのうえで、精神科デイケアや精神科訪問看護を利用した場合に、その費用が補助されます。
精神疾患をお持ちならシンプレへ
シンプレの特徴
シンプレは精神疾患に特化した訪問看護ステーションで、うつ病や摂食障害など、幅広い疾患を対象としています。
利用者様が病気と付き合いながら自分らしい生活ができるように、自主性を尊重した看護サービスを提供しています。
また、病院、行政、在宅との情報共有を行い、それぞれの専門性を活かしながら治療や社会復帰のサポートができるのも特徴です。
シンプレは訪問看護サービスを通して利用者の不安を受け止め、治療への頑張りを一緒に共有し、心から安心できる居場所づくりをお手伝いします。
シンプレの対応疾患例
- チック障害
- 不安障害
- アルコール依存症
- うつ病
- 自閉スペクトラム症
- ADHD
- その他精神疾患全般
シンプレ訪問看護ステーションでは、チック障害、不安障害、アルコール依存症など、さまざまな精神疾患のサポートに対応しています。
精神疾患を患うと、人とうまくコミュニケーションが取れなくなったり、気分が落ち込みやすくなったりすることがあります。また、日常生活にも支障をきたす場合もあります。
早めに専門医に相談することで、症状の改善や社会復帰につながる可能性があります。
シンプレ訪問看護ステーションでは、悩みを持つ方をサポートし、社会復帰を支援しています。
シンプレ訪問看護ステーションの対応エリア
-
<東京都>
・東京23区
※足立区、荒川区は1部エリアとなります。
・西東京市
・三鷹市
・調布市
・武蔵野市
・府中市※1部エリア
・東久留米市※1部エリア
<埼玉県>
・和光市
・朝霞市
・戸田市※1部エリア
・川越市※1部エリア
・新座市※1部エリア
・川口市※1部エリア
シンプレ訪問看護ステーションの対応地域はおもに上記が中心で、訪問活動をおこなっています。該当エリアにお住まいの方はぜひご検討ください。
また上記以外のエリアにお住まいでも、対応できる場合がございますので、一度当社スタッフへご相談ください。
サービス内容を詳しく聞きたい、スケジュールの相談なども承っております。電話やメールなどで相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
まとめ
チック症は、4つの種類に分類されており、症状もそれぞれ異なります。
チックは、単に「癖」と認識されてしまうこともあります。そのため、早めに専門医に診察してもらうことが大切です。
シンプレ訪問看護ステーションでは、チック症やその他合併症などに関するさまざまなご相談やお悩みをお伺いしております。
チック症の疑いがあったり、気になることがあったりする場合は、ぜひ一度シンプレ訪問看護ステーションにご相談ください。
ご相談の問い合わせはこちら▼
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